量子力学入門 第7部 第2章 §7.2.1 ★ 解析力学の基礎(背景)
WKB 法の数式は、解析力学の言葉——作用・正準運動量・Hamilton–Jacobi 方程式——で書かれている。本章では、Newton の運動方程式しか覚えていなくても読み通せるように、解析力学の骨格を量子力学で使う部分に絞って一から組み立て直す。ゴールは3つ:(i) 「作用 S」が何者で、なぜ量子力学の位相 eiS/ℏ に座るのか、(ii) 位相空間の座標を取り替える正準変換の考え方と、その量子版がユニタリ変換であること、(iii) Bohr–Sommerfeld 量子化に現れる ∮pdx が古典力学で既に特別な量(断熱不変量)だったこと、を腑に落とすことである。
1次元の粒子(座標 x、速度 x˙)に対し、Lagrangian を
L(x,x˙)=2mx˙2−V(x)(運動エネルギー−ポテンシャル)
と定め、時刻 t1 に x1 を出て時刻 t2 に x2 に着く経路の候補 x(t) ごとに作用
S[x(t)]:=∫t1t2L(x(t),x˙(t))dt
を対応させる(経路を入れると数が出る「関数の関数」=汎関数)。最小作用の原理(正確には停留作用の原理)は:
実際に実現する運動は、両端を固定した微小変形に対して作用が停留する(δS=0)経路である。
これが Newton 方程式と同値であることを確かめる。経路を x(t)→x(t)+δx(t)(δx(t1)=δx(t2)=0:両端固定)と変形すると、L の変化を1次まで拾って
δS=∫t1t2[∂x∂Lδx+∂x˙∂Lδx˙]dt.
第2項を部分積分し(δx˙=dtdδx)、境界項は δx(t1,2)=0 で消えるから
δS=∫t1t2[∂x∂L−dtd∂x˙∂L]δxdt.
これが任意の δx(t) で消える条件は、被積分関数の [ ⋅ ] が恒等的にゼロであること:
dtd∂x˙∂L=∂x∂L (Euler–Lagrange 方程式)(7.2.1)
L=2mx˙2−V を入れれば ∂x˙∂L=mx˙、∂x∂L=−V′(x) より mx¨=−V′(x)——Newton 方程式が戻る。微分方程式(局所的な因果律)と変分原理(経路全体の大域的な条件)が同じ運動を選ぶ、というのが解析力学の出発点である。多自由度でも話は同じで、一般化座標 qi ごとに (7.2.1) が1本ずつ立つ。座標の取り方(直交・極・束縛付き)によらず同じ形の方程式で書ける——これが Lagrange 形式の実用上の威力である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com