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スピン磁気共鳴と Rabi 振動

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第8部 第1章 時間に依存する摂動論とダイナミクス
目次
  1. 厳密解
  2. Rabi 振動と共鳴条件
  3. 摂動論との比較
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学入門 第8部 第1章 §8.1.4 ★★★ NMR/Rabi。RWA。

次は2準位系(スピン 12\tfrac12)を振動磁場で駆動する問題。核磁気共鳴(NMR)や量子ビット操作の心臓部であり、やはり厳密に解けて摂動論と比較できる。zz 方向の静磁場 B0B_0 と xyxy 面内を回転する磁場 B1B_1:

H^0=μBB0σ^z,V^(t)=μBB1[σ^xcos⁡ωt+σ^ysin⁡ωt].\hat H_0=\mu_B B_0\hat\sigma_z,\qquad \hat V(t)=\mu_B B_1[\hat\sigma_x\cos\omega t+\hat\sigma_y\sin\omega t].

σ^z∣±⟩=±∣±⟩\hat\sigma_z| \pm \rangle =\pm| \pm \rangle。以下 α≡μBB0/ℏ\alpha\equiv\mu_B B_0/\hbar、β≡μBB1/ℏ\beta\equiv\mu_B B_1/\hbar と略記する。

厳密解

★★★ 回転系での厳密解。

Rabi 振動と共鳴条件

★★★ Rabi 公式・共鳴条件・RWA。

摂動論との比較

★★ 弱磁場での摂動近似。

例題 1.9

★★ 磁気共鳴の摂動比較 (1)。V^(t)\hat V(t) を摂動とし、t=0t=0 で ∣+⟩| + \rangle からスピン反転する確率を2次まで求めよ。

解答

§1.2 の定石を一段ずつなぞる。

Step 0(無摂動系の整理). H^0=μBB0σ^z\hat H_0=\mu_B B_0\hat\sigma_z の固有状態は ∣±⟩| \pm \rangle、固有値は E±=±μBB0E_\pm=\pm\mu_B B_0。準位間隔は E+−E−=2μBB0≡ℏω0E_+-E_-=2\mu_B B_0\equiv\hbar\omega_0(ω0=2α\omega_0=2\alpha)。始状態 ∣i⟩=∣+⟩| i \rangle =| + \rangle、終状態 ∣f⟩=∣−⟩| f \rangle =| - \rangle で、この遷移の Bohr 振動数は

ω−+=E−−E+ℏ=−ω0.\omega_{-+}=\frac{E_--E_+}{\hbar}=-\omega_0.

Step 1(行列要素と選択則). 前節の行列表示 V^(t)=μBB1(0e−iωteiωt0)\hat V(t)=\mu_B B_1\left(\begin{smallmatrix}0&\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t}\\ \mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega t}&0\end{smallmatrix}\right) の左下成分を読んで

⟨−∣V^(t)∣+⟩=μBB1 eiωt,⟨+∣V^(t)∣+⟩=⟨−∣V^(t)∣−⟩=0.\langle - | \hat V(t) | + \rangle =\mu_B B_1\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega t},\qquad \langle + | \hat V(t) | + \rangle =\langle - | \hat V(t) | - \rangle =0.

回転磁場は純粋に非対角——スピンを反転させる遷移だけを起こし、準位をずらす対角成分をもたない。対角要素が零である事実は Step 3′' で効く。

Step 2(相互作用描像の位相).

V−+I(t)=⟨−∣V^(t)∣+⟩ eiω−+t=μBB1 ei(ω−ω0)t=ℏβ eiΔt,Δ≡ω−ω0 (離調).V^I_{-+}(t)=\langle - | \hat V(t) | + \rangle \,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega_{-+}t} =\mu_B B_1\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\omega-\omega_0)t} =\hbar\beta\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\Delta t},\qquad \Delta\equiv\omega-\omega_0\ (\text{離調}).

外場の回転 eiωt\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega t} と準位の位相 e−iω0t\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega_0t} が合成され、時間依存が単色 eiΔt\mathrm{e}^{\mathrm{i}\Delta t} に化けた——定石の標準形である。

Step 3(1次振幅と万能公式).

c−(1)(t)=−iℏ∫0tV−+I(t1) dt1=−iβ∫0teiΔt1dt1=−iβ eiΔt/2 2sin⁡(Δt/2)Δc_-^{(1)}(t)=-\frac{\mathrm{i}}\hbar\int_0^t V^I_{-+}(t_1)\,\mathrm{d} t_1 =-\mathrm{i}\beta\int_0^t\mathrm{e}^{\mathrm{i}\Delta t_1}\mathrm{d} t_1 =-\mathrm{i}\beta\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\Delta t/2}\,\frac{2\sin(\Delta t/2)}{\Delta}

(§1.2 の標準積分をそのまま使った)。絶対値の2乗をとれば、v=ℏβv=\hbar\beta とした万能公式そのもので

 P+→−(t)≃∣c−(1)∣2=4β2Δ2sin⁡2Δt2=4β2(ω−ω0)2sin⁡2(ω−ω0)t2 \boxed{\ P_{+\to-}(t)\simeq\bigl|c_-^{(1)}\bigr|^2=\frac{4\beta^2}{\Delta^2}\sin^2\frac{\Delta t}{2} =\frac{4\beta^2}{(\omega-\omega_0)^2}\sin^2\frac{(\omega-\omega_0)t}{2}\ }

Step 3′'(なぜこれで「2次まで」なのか). 2次振幅は中間状態 mm を一つ挟む

c−(2)(t)=(−iℏ)2∑m∫0t ⁣dt1∫0t1 ⁣dt2  V−mI(t1) Vm+I(t2).c_-^{(2)}(t)=\Bigl(-\frac{\mathrm{i}}\hbar\Bigr)^2\sum_m\int_0^t\!\mathrm{d} t_1\int_0^{t_1}\!\mathrm{d} t_2\;V^I_{-m}(t_1)\,V^I_{m+}(t_2).

2準位系なので中間状態は m∈{+,−}m\in\{+,-\} の2つだけ。和を展開すると2本の経路の被積分関数

V−−I(t1) V−+I(t2)⏟m=− の経路 + V−+I(t1) V++I(t2)⏟m=+ の経路\underbrace{V^I_{--}(t_1)\,V^I_{-+}(t_2)}_{m=-\ \text{の経路}} \ +\ \underbrace{V^I_{-+}(t_1)\,V^I_{++}(t_2)}_{m=+\ \text{の経路}}

になる。ここで決定的なのは、この問題の V^(t)=μBB1(0e−iωteiωt0)\hat V(t)=\mu_B B_1\left(\begin{smallmatrix}0&\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t}\\ \mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega t}&0\end{smallmatrix}\right) が非対角のみで、対角要素がゼロだという事実である(相互作用描像に移しても VnmI=VnmeiωnmtV^I_{nm}=V_{nm}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega_{nm}t} ゆえ対角性は保たれる):

V++I(t)=0,V−−I(t)=0.V^I_{++}(t)=0,\qquad V^I_{--}(t)=0.

これを2経路に代入すると、m=−m=- の経路は先頭の因子 V−−I(t1)=0V^I_{--}(t_1)=0 で潰れ、m=+m=+ の経路は末尾の因子 V++I(t2)=0V^I_{++}(t_2)=0 で潰れる:

V−−I(t1) V−+I(t2)=0,V−+I(t1) V++I(t2)=0.V^I_{--}(t_1)\,V^I_{-+}(t_2)=0,\qquad V^I_{-+}(t_1)\,V^I_{++}(t_2)=0.

どちらの経路も因子の一つが恒等的にゼロなので、積分するまでもなく

 c−(2)(t)≡0 \boxed{\ c_-^{(2)}(t)\equiv0\ }

パリティによる言い換え. V^\hat V が非対角のみとは、「摂動は蹴るたびに必ずスピンを反転させ(∣+⟩↔∣−⟩| + \rangle \leftrightarrow| - \rangle)、その場に留まる成分をもたない」ということ。すると ∣+⟩| + \rangle から ∣−⟩| - \rangle へ行くには奇数回の反転が要り、∣+⟩→∣−⟩→∣+⟩| + \rangle \xrightarrow{}| - \rangle \xrightarrow{}| + \rangle と偶数回蹴られると必ず出発点 ∣+⟩| + \rangle に戻ってしまう。ゆえに ∣+⟩→∣−⟩| + \rangle \to| - \rangle の遷移には奇数次 c−(1),c−(3),…c_-^{(1)},c_-^{(3)},\dots だけが寄与し、偶数次はすべて零。したがって確率を B1B_1 の2次まで正しく与えるのは ∣c−(1)∣2|c_-^{(1)}|^2 で尽きており、次の補正は 2Re⁡[c−(1)∗c−(3)]=O(B14)2\operatorname{Re}[c_-^{(1)*}c_-^{(3)}]=O(B_1^4)(c−(1)=O(B1)c_-^{(1)}=O(B_1) と c−(3)=O(B13)c_-^{(3)}=O(B_1^3) の積)から始まる。

(もし静磁場のずれ δBzσ^z\delta B_z\hat\sigma_z のような対角摂動が加われば V−−I≠0V^I_{--}\neq0 となり、m=−m=- の経路が生き残って c−(2)≠0c_-^{(2)}\neq0 になる。2次が消えるのは、本問の V^\hat V が純粋にスピン反転型だからこその結果である。)\boxed{}

時間依存摂動論と時間非依存摂動論の関係

「1次の遷移振幅は、時間非依存摂動論の1次補正の重ね合わせなのでは?」という疑問は自然だが、両者は別の問いに答えている。時間非依存の1次 ∣ϕn(1)⟩=∑m≠nVmnEn(0)−Em(0)∣ϕm(0)⟩| \phi_n^{(1)} \rangle =\sum_{m\neq n}\frac{V_{mn}}{E_n^{(0)}-E_m^{(0)}}| \phi_m^{(0)} \rangle は静的な固有状態の変形(分母はエネルギー差、時間は現れない)。時間依存の1次 cf(1)(t)=−iℏ∫0tVfiIdt1c_f^{(1)}(t)=-\frac{\mathrm{i}}\hbar\int_0^tV^I_{fi}\mathrm{d} t_1 は時刻 tt での遷移振幅(足し上げるのは中間状態の和ではなく時刻の積分)。

両者がつながるのは、摂動を静的にオンし続けた特別な場合である。V^(t)=V^\hat V(t)=\hat V(時間に依らない、t>0t>0 でオン)とすると時間積分が実行でき、f≠if\neq i で

cf(1)(t)=−iℏVfi∫0teiωfit1dt1=VfiEi(0)−Ef(0)(eiωfit−1).c_f^{(1)}(t)=-\frac{\mathrm{i}}\hbar V_{fi}\int_0^t\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega_{fi}t_1}\mathrm{d} t_1 =\frac{V_{fi}}{E_i^{(0)}-E_f^{(0)}}\bigl(\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega_{fi}t}-1\bigr).

係数 VfiEi(0)−Ef(0)\dfrac{V_{fi}}{E_i^{(0)}-E_f^{(0)}} は時間非依存の1次補正の混成係数そのもの——静的極限で確かに再現される(振動因子 eiωfit−1\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega_{fi}t}-1 は、新しい固有状態へ移り変わる過渡的な位相)。つまり時間依存摂動論のほうが広く、時間非依存摂動論はその「摂動を静的にした極限」として含まれる。一般の V^(t)\hat V(t)(振動磁場など)では時間積分が非自明になり、共鳴・Rabi 振動のような静的極限には存在しない現象が現れる、というのが両者の本質的な違いである。

木下の勉強ステータス

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