tecktom.com

Fermi の黄金律:連続スペクトルへの遷移

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第8部 第1章 時間に依存する摂動論とダイナミクス
目次
  1. 一定値摂動と 関数の出現
  2. 遷移レートと黄金律
  3. 周期的摂動:吸収と誘導放出
  4. 応用:光電効果の(半古典的)レート
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学入門 第8部 第1章 §8.1.5 ★★★ 黄金律。連続スペクトルへの遷移。

ここまでの遷移先はすべて離散準位だった。しかし現実の実験——光電効果で電子が連続的な自由状態へ飛び出す、励起原子が光を放って崩壊する、粒子が散乱される——では、終状態がほぼ連続に分布している。このとき長時間極限で意味をもつのは「時刻 tt での確率」ではなく単位時間あたりの遷移レートであり、それを与えるのが Fermi の黄金律(golden rule)である。時間依存摂動論の最重要の応用がここにある。

一定値摂動と δ\delta 関数の出現

★★★ δ(E)\delta(E) の出現=エネルギー保存。

摂動が t=0t=0 で突然オンされ以後一定(V^(t)=V^\hat V(t)=\hat V、t≥0t\ge0)の場合、§1.2 の Point「時間依存摂動論と時間非依存摂動論の関係」で求めた1次振幅から、f≠if\neq i への遷移確率は万能公式の ω=0\omega=0 版

Pi→f(t)=4∣Vfi∣2ℏ2ωfi2sin⁡2ωfit2=∣Vfi∣2ℏ2 f(ωfi2, t),f(α,t)≡(sin⁡αtα) ⁣2P_{i\to f}(t)=\frac{4|V_{fi}|^2}{\hbar^2\omega_{fi}^2}\sin^2\frac{\omega_{fi}t}{2} =\frac{|V_{fi}|^2}{\hbar^2}\,f\Bigl(\frac{\omega_{fi}}{2},\,t\Bigr),\qquad f(\alpha,t)\equiv\Bigl(\frac{\sin\alpha t}{\alpha}\Bigr)^{\!2}

となる。関数 f(α,t)f(\alpha,t) を α\alpha の関数として眺めるのが要点だ:α=0\alpha=0 に高さ t2t^2 のピークをもち、幅は ∼π/t\sim\pi/t、そして面積は

∫−∞∞f(α,t) dα=t∫−∞∞(sin⁡yy) ⁣2dy=πt\int_{-\infty}^{\infty}f(\alpha,t)\,\mathrm{d}\alpha =t\int_{-\infty}^{\infty}\Bigl(\frac{\sin y}{y}\Bigr)^{\!2}\mathrm{d} y=\pi t

(y=αty=\alpha t と置換;∫(sin⁡y/y)2dy=π\int(\sin y/y)^2\mathrm{d} y=\pi は記号計算で確認済み)。高さが t2t^2 で伸び、幅が 1/t1/t で狭まり、面積が tt に比例して増える——これはまさに δ\delta 関数へ収束する族であり、

 f(α,t) ⟶ πt δ(α)(t→∞) \boxed{\ f(\alpha,t)\ \longrightarrow\ \pi t\,\delta(\alpha)\qquad(t\to\infty)\ }

と書ける。ピークの幅 ∣ωfi∣≲π/t|\omega_{fi}|\lesssim\pi/t は「時間 tt の観測はエネルギーを ΔE∼ℏ/t\Delta E\sim\hbar/t までしか分解できない」(§1.2 で見たエネルギー・時間の不確定性)の再現で、t→∞t\to\infty でエネルギー保存 Ef=EiE_f=E_i が厳密化していく、と読める。

遷移レートと黄金律

★★★ w=(2π/ℏ)∣V∣2ρ(E)w=(2\pi/\hbar)|V|^2\rho(E)。

δ\delta 関数極限を確率の式に入れると、δ(α)=δ(ωfi/2)=2δ(ωfi)=2ℏ δ(Ef(0)−Ei(0))\delta(\alpha)=\delta(\omega_{fi}/2)=2\delta(\omega_{fi})=2\hbar\,\delta(E_f^{(0)}-E_i^{(0)}) に注意して

Pi→f(t) ⟶ 2πtℏ ∣Vfi∣2 δ(Ef(0)−Ei(0))P_{i\to f}(t)\ \longrightarrow\ \frac{2\pi t}{\hbar}\,|V_{fi}|^2\,\delta(E_f^{(0)}-E_i^{(0)})

——確率が時間に比例して増える。よって「単位時間あたりの遷移レート」が時間によらぬ定数として定義でき、

 wi→f=Pi→ft=2πℏ ∣Vfi∣2 δ(Ef(0)−Ei(0)) \boxed{\ w_{i\to f}=\frac{P_{i\to f}}{t}=\frac{2\pi}{\hbar}\,|V_{fi}|^2\,\delta(E_f^{(0)}-E_i^{(0)})\ }

これが Fermi の黄金律である。δ\delta 関数は単独の離散準位では意味をもたず、連続に分布した終状態について足し上げて(積分して)初めて有限の数を返す。終状態のエネルギー分布を状態密度 ρ(E)\rho(E)(EE と E+dEE+\mathrm{d} E の間の状態数が ρ(E) dE\rho(E)\,\mathrm{d} E)で表して積分すると

wi→(近傍の連続状態)=∫dEf ρ(Ef) 2πℏ∣Vfi∣2‾ δ(Ef−Ei)= 2πℏ ∣Vfi∣2‾ ρ(Ei) w_{i\to\text{(近傍の連続状態)}}=\int\mathrm{d} E_f\,\rho(E_f)\,\frac{2\pi}{\hbar}\overline{|V_{fi}|^2}\,\delta(E_f-E_i) =\boxed{\ \frac{2\pi}{\hbar}\,\overline{|V_{fi}|^2}\,\rho(E_i)\ }

(∣Vfi∣2‾\overline{|V_{fi}|^2} は同じエネルギーの終状態にわたる平均)。レート=結合の強さ ∣V∣2|V|^2 × 行き先の多さ ρ\rhoという因数分解が黄金律の読み方のすべてである:選択則・偏光依存性などの「物理の個性」は行列要素に、運動学・次元性は状態密度に入る。

「レート」が意味をもつ時間の窓

黄金律は二重の極限の上に立っている。(i) δ\delta 関数近似には tt が十分長いこと——ピーク幅 ℏ/t\hbar/t が終状態分布の広がりより狭く、かつ終状態の離散間隔より粗いこと——が要る。(ii) 一方、摂動論の大前提 ∑fPi→f=wt≪1\sum_f P_{i\to f}=wt\ll1 には tt が十分短いこと(t≪1/wt\ll1/w)が要る。両立する窓 ℏ/ΔE≪t≪1/w\hbar/\Delta E\ll t\ll1/w の中で「一定レートの崩壊」という描像が成立する。窓を超えて t∼1/wt\sim1/w まで追うと初期状態の減衰(指数崩壊 e−wt\mathrm{e}^{-wt})を自己無撞着に扱う必要が生じ、これは黄金律を無限次まで部分的に足し上げる理論(Wigner–Weisskopf 理論)の領分になる。なお2準位系(Rabi 問題)で確率が sin⁡2\sin^2 振動して戻ってくるのは、終状態が離散で δ\delta 関数が立たない——黄金律の適用外——だからである。

周期的摂動:吸収と誘導放出

★★ 吸収・誘導放出。

光を当てる状況を表す単色の周期摂動

V^(t)=F^ e−iωt+F^† eiωt(ω>0)\hat V(t)=\hat F\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t}+\hat F^\dagger\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega t}\qquad(\omega>0)

に黄金律を拡張する(F^\hat F はエルミートでなくてよい;電磁波と電子の相互作用 12m(p^+eA^)2\frac{1}{2m}(\hat{\bm{p}}+e\hat{\bm{A}})^2 は単色光では実際この形に書ける——極小結合は第5部『電磁場中の荷電粒子とゲージ』の第1章)。1次振幅は §1.2 の定石どおり

cf(1)(t)=−iℏ∫0t[Ffi ei(ωfi−ω)t1+(F†)fi ei(ωfi+ω)t1]dt1c_f^{(1)}(t)=-\frac{\mathrm{i}}{\hbar}\int_0^t\Bigl[F_{fi}\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\omega_{fi}-\omega)t_1}+ (F^\dagger)_{fi}\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\omega_{fi}+\omega)t_1}\Bigr]\mathrm{d} t_1

と2項に分かれ、∣cf(1)∣2|c_f^{(1)}|^2 には各項の2乗と交差項が現れる。t→∞t\to\infty で δ\delta 関数に育つのは位相が止まれる2項の2乗だけで(交差項は e±2iωt\mathrm{e}^{\pm2\mathrm{i}\omega t} で回り続けて平均が消える)、共鳴条件ごとに分離したレートを得る:

 wi→f(a)=2πℏ ∣Ffi∣2 δ(Ef(0)−Ei(0)−ℏω),wi→f(e)=2πℏ ∣(F†)fi∣2 δ(Ef(0)−Ei(0)+ℏω) \boxed{\ w^{(\rm a)}_{i\to f}=\frac{2\pi}{\hbar}\,|F_{fi}|^2\,\delta(E_f^{(0)}-E_i^{(0)}-\hbar\omega),\qquad w^{(\rm e)}_{i\to f}=\frac{2\pi}{\hbar}\,|(F^\dagger)_{fi}|^2\,\delta(E_f^{(0)}-E_i^{(0)}+\hbar\omega)\ }

第1式は Ef=Ei+ℏωE_f=E_i+\hbar\omega——外場からエネルギー ℏω\hbar\omega をもらう吸収、第2式は Ef=Ei−ℏωE_f=E_i-\hbar\omega——外場へ返す誘導放出である。(F†)fi=(Fif)∗(F^\dagger)_{fi}=(F_{if})^* より、準位対 n↔kn\leftrightarrow k の上りと下りのレートは等しい(wn→k(a)=wk→n(e)w^{(\rm a)}_{n\to k}=w^{(\rm e)}_{k\to n})。この対称性(詳細つり合い)が、反転分布さえ作れば光が増幅される——レーザーの原理——を保証する。なお、外場を古典場として扱うこの計算に自然放出は現れない(誰も揺すっていないのに光る過程には電磁場自体の量子化が要る)。

応用:光電効果の(半古典的)レート

★★ 光電効果。

黄金律の使い方の実演として、金属(あるいは原子)中の束縛電子が単色光で連続状態へ叩き出される光電効果を扱う。初期状態はエネルギー E0E_0(<0<0)の束縛状態 ∣0⟩| 0 \rangle、終状態は運動量 ℏk\hbar\bm{k} の自由電子 ∣k⟩| \bm{k} \rangle(E=ℏ2k2/2mE=\hbar^2\bm{k}^2/2m)、摂動は上の単色型で吸収項だけが効くとする。

黄金律のまとめ

一定・周期摂動の1次確率は t→∞t\to\infty で δ\delta 関数を生み、レート w=2πℏ∣Vfi∣2δ(ΔE)w=\frac{2\pi}{\hbar}|V_{fi}|^2\delta(\Delta E)(周期摂動なら ΔE∓ℏω\Delta E\mp\hbar\omega)が定義できる。連続終状態では w=2πℏ∣V∣2‾ρ(E)w=\frac{2\pi}{\hbar}\overline{|V|^2}\rho(E)——結合の2乗×状態密度。吸収と誘導放出のレートは等しく(レーザーの土台)、自然放出には場の量子化が要る。適用条件は「終状態が実質連続」×「ℏ/ΔE≪t≪1/w\hbar/\Delta E\ll t\ll1/w の時間窓」。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『基礎理論』の記事一覧へ