制御工学入門 第4章 §4.2
制御系の応答は多くが2次系で近似でき、制御工学の中心となる。
要点
標準2次系 G(s)=s2+2ζωns+ωn2ωn2。減衰比 ζ と固有角周波数 ωn で決まり、極は
s=−ζωn±jωn1−ζ2=−ζωn±jωd,ωd=ωn1−ζ2.
ζ<1:減衰振動、ζ=1:臨界制動、ζ>1:過制動。
0<ζ<1 の単位ステップ応答は
y(t)=1−1−ζ2e−ζωntsin(ωdt+ϕ),ϕ=arccosζ.
この式から過渡特性が導かれる。
定義 (過渡特性)
- 立ち上がり時間 tr:出力が最終値の 10%→90%(または 0→100%)に達する時間。速さの指標。
- ピーク時間 tp:最初の最大値に達する時間。tp=π/ωd。
- 行き過ぎ量(オーバーシュート) Mp:最大値が最終値をどれだけ超えるか(割合)。Mp=e−πζ/1−ζ2。
- 整定時間 ts:出力が最終値の ±2%(または ±5%)内に収まる時間。ts≈4/(ζωn)(2%)。
気持ち
行き過ぎ量 Mp は「勢い余ってどれだけ目標を通り越すか」で、振動の激しさ=減衰の悪さを測る。Mp は ζ だけで決まり(ωn に依らない)、ζ が小さいほど大きい。使いどころは2次系設計で、「行き過ぎ ≤10%」といった仕様から必要な ζ(≥0.59)を逆算する。一方 ωn は応答の速さ(tr,ts は 1/ωn に比例)を決める。「ζ で行き過ぎ、ωn で速さ」と役割を分けて覚えるとよい。実用では ζ≈0.7 が速さと行き過ぎのバランス点とされる。
行き過ぎ量の導出
y˙=0 となる最初の時刻が tp。y(t) を微分して整理すると sin(ωdt)=0 の最初の正根tp=π/ωd。これを y に代入すると
y(tp)=1+e−ζωn⋅π/ωd=1+e−πζ/1−ζ2,
最終値 1 を引いて Mp=e−πζ/1−ζ2。整定時間は包絡線e−ζωnt/1−ζ2 が 0.02 に減衰する条件から ts≈4/(ζωn)。(検算スクリプト で ζ=0.5⇒Mp=0.163、tp=π/ωd、ts=4/ζωn を確認。)□
例題 4.1(演習4.1(仕様から ζ,ωn を決める))
オリジナル2次系で行き過ぎ量を 16.3% 以下、整定時間(2%)を 2s 以下にしたい。ζ,ωn の条件を求めよ。
解答
Mp=e−πζ/1−ζ2≤0.163 より ζ≥0.5。ts=4/(ζωn)≤2 より ζωn≥2。ζ=0.5 なら ωn≥4rad/s。たとえば ζ=0.5,ωn=4 が仕様を満たす。極は s=−2±j23。行き過ぎ量から ζ、整定時間から ζωn(極の実部)が決まる、という設計の基本手順である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com