制御工学入門 第6章 §6.1
定義 (定常偏差)
目標値 r(t) と出力 y(t) の差 e(t)=r(t)−y(t) の、時間が十分たった後の値
ess=t→∞lime(t)
を定常偏差という。追従の正確さを表す。
これを逆変換せずに求めるのが最終値の定理である。
要点
最終値の定理。sF(s) の極がすべて左半面(虚軸含まず)にあるとき
t→∞limf(t)=s→0limsF(s).
証明の筋
微分則 L[f˙]=sF(s)−f(0)=∫0∞f˙e−stdt で s→0 をとると、右辺 →∫0∞f˙dt=f(∞)−f(0)。左辺 →lims→0sF(s)−f(0)。両辺を比べて f(∞)=lims→0sF(s)。(極が左半面にあり f(∞) が存在することが前提。)□
単位フィードバック系で E(s)=1+L(s)1R(s) だから、
ess=s→0lim1+L(s)sR(s).
定義 (システムの型と誤差定数)
開ループ L(s) が原点にもつ極の数 N を型(type)という(L(s)=sN∏(1+Tas)K∏(1+Tbs))。定常偏差は次の誤差定数で決まる:
位置定数 Kp=s→0limL(s),速度定数 Kv=s→0limsL(s),加速度定数 Ka=s→0lims2L(s).
要点
型と定常偏差の対応表
| 入力 \ 型 | 0型 | 1型 | 2型 |
| ステップ 1/s | 1+Kp1 | 0 | 0 |
| ランプ 1/s2 | ∞ | Kv1 | 0 |
| 加速度 1/s3 | ∞ | ∞ | Ka1 |
気持ち
定常偏差の勘所は「積分器(1/s)を何個もつか」に尽きる。積分器は誤差を溜め込んで出力に反映するので、誤差が残っている限り操作量を増やし続け、最終的に誤差を 0 にする。だから1型(積分器1個)はステップ目標に定常偏差 0、2型はランプ目標まで 0 にできる。使いどころは、「位置決めで残留誤差を消したい → 積分器を足す(PID の I)」という設計判断。ただし積分器は位相を −90∘ 遅らせるので安定余裕を食う(第9章)。正確さ(型)と安定性のトレードオフが制御設計の核心である。
例題 6.1(演習6.1(型と定常偏差))
オリジナルL(s)=s(s+2)10 の単位フィードバック系で、単位ステップ・単位ランプに対する定常偏差を求めよ。
解答
L は原点に極1個なので1型。ステップ:ess=0(1型はステップに定常偏差 0)。ランプ:Kv=lims→0sL(s)=210=5、ess=1/Kv=0.2。(1型はランプに一定の偏差、加速度入力には追従不能で ∞。)残留偏差 0.2 を減らすにはゲイン K を上げる(Kv を上げる)か、積分器を足して2型にすればよい。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com