信号処理論入門 第1章 §1.2 ★ Euler・逆Eulerは全範囲で使う基本道具
信号処理で複素数が主役になるのは、正弦波 cos,sin を一つの複素指数 ejθ にまとめて扱えるからである。実部・虚部に分けて二本の式を追う代わりに、一本の複素式で振幅と位相を同時に運べるため、計算が劇的に簡潔になる。
要点
Euler の公式
ejθ=cosθ+jsinθ.(1.1)
これから直ちに、正弦・余弦を複素指数で表す逆 Euler の公式
cosθ=2ejθ+e−jθ,sinθ=2jejθ−e−jθ(1.2)
が得られる。
式(1.1)は ex,cosθ,sinθ の Maclaurin 展開
ejθ=k=0∑∞k!(jθ)k=cosθ(1−2!θ2+4!θ4−⋯)+jsinθ(θ−3!θ3+5!θ5−⋯)
を、j の冪 j0,j1,j2,j3=1,j,−1,−j の周期性を使って実部・虚部にまとめれば得られる。
複素数 z=x+jy は複素平面上の一点であり、極形式 z=rejθ(r=∣z∣=x2+y2、θ=argz)で書ける。この表示のもとで積と商は
z1z2=r1r2ej(θ1+θ2),z2z1=r2r1ej(θ1−θ2)
となり、積は「大きさの積・偏角の和(回転)」、商は「大きさの商・偏角の差」という幾何的な意味をもつ。複素指数を掛ける操作が「回転」であるというこの事実は、後で「時間シフトが周波数領域では位相の回転 e−jωt0 になる」(第3章)というFourier 変換の最重要の性質へ直結する。
複素共役 zˉ=x−jy を使うと、実部・虚部はRez=21(z+zˉ)、Imz=2j1(z−zˉ)、大きさの二乗は ∣z∣2=zzˉ と表せる。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com