信号処理論入門 第2章 §2.2 ★★ 係数の実虚・偶奇対称
要点
Fourier 級数(複素形式)。周期 T0 の信号 x(t) に対し
x(t)ck=k=−∞∑∞ckejkω0t=T01∫0T0x(t)e−jkω0tdt(合成: 展開係数から信号へ),(分析: 信号から展開係数へ).
係数の式は、展開式の両辺と ϕk の内積を取り、直交性(2.2)でk=l の項だけを残せば直ちに出る。すなわち ck=⟨x,ϕk⟩/T0 であり、展開係数とは信号を各複素正弦波へ射影した成分である。ck の集合 {ck} を離散的なスペクトルと呼び、∣ck∣ が周波数 kω0 の成分の振幅、argck が位相を表す。
実信号 x(t)∈R のときは c−k=ck(共役対称)が成り立ち、正負の周波数成分が対になって実の余弦・正弦を作る。これを使えばcos,sin による実形式の Fourier 級数x(t)=2a0+∑k≥1(akcoskω0t+bksinkω0t)とも書けるが、計算は複素形式の方が一貫して簡単である。
負の周波数とは何か
ejωt は複素平面上を回る単位ベクトルで、ω>0 なら反時計回り、ω<0 なら時計回りに回る——
ω の符号は回転の向きを表す(回転の速さは ∣ω∣)。実数の余弦は1本の回転では作れず、逆向きに回る2本の和で初めて実になる:
cosω0t=21(+ω0, 反時計ejω0t+−ω0, 時計e−jω0t).
2本のベクトルは虚部(縦)が打ち消し合い、実部(横)の往復運動だけが残る。だから実信号のスペクトルは必ず +ω と −ω が対で現れ(c−k=ck、連続では X(−ω)=X(ω))、台も原点対称になる。負の周波数は「余分な架空の波」ではなく、実信号を作るのに要る相方の半分である(+ω 単独を取り出せるのは複素信号のときだけ)。「1秒あたりの振動回数」という素朴な意味の周波数は非負だが、複素指数で表す約束をした瞬間、符号が回転の向き=位相の約束として現れる、と理解しておけばよい。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com