信号処理論入門 第2章 §2.3 ★★ エネルギー保存。級数和・帯域幅の計算
内積を基底で展開して二乗和を取ると、正規直交性から交差項が消え、Parseval の等式が得られる。
要点
Parseval の等式(Fourier 級数)
T01∫0T0∣x(t)∣2dt=k=−∞∑∞∣ck∣2.
導出。 第1章の「ノルム二乗=射影二乗の和」の一行そのものである。展開 x(t)=∑kckejkω0t を ∣x∣2=xx に代入し、二重和にして項別に積分すると
∫0T0∣x(t)∣2dt=k∑l∑ckcl∫0T0ej(k−l)ω0tdt=k∑l∑ckclT0δkl=T0k∑∣ck∣2.
急所は基底の正規直交性 ∫0T0ej(k−l)ω0tdt=T0δkl(k=l の交差項が積分でちょうど 0 になり、対角項 k=l だけが残る)にある。両辺を T0 で割れば上式を得る。左辺は信号の平均パワー、右辺は各周波数成分のパワーの総和である。これは幾何的には「ベクトルの長さの二乗は正規直交成分の二乗和に等しい」というPythagoras の定理の無限次元版に他ならない。「時間領域で測ってもスペクトル側で測ってもエネルギーは同じ」というこの保存則は、以後 Fourier 変換・DFT でも形を変えて何度も現れる。
近似誤差と直交性
基底を ∣k∣≤N に限った部分和 xN(t)=∑∣k∣≤Nckϕk は、同じ本数の基底で作れる信号のうち x に最も近い(L2 誤差最小の)ものである。これは「元信号と近似信号の差 x−xN が、近似に使った基底すべてと直交する」ことから従う(直交射影の最良近似性)。基底を増やすほど誤差は単調に減る。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com