信号処理論入門 第2章 §2.4 ★ Gibbs現象は窓関数(第6章)の伏線
部分和 xN を係数の定義に戻して和を実行すると、畳み込みの形にまとまる。
xN(t)=∣k∣≤N∑ckejkω0t=T01∫0T0x(τ)DN(t−τ)dτ,DN(t)=k=−N∑Nejkω0t.
ここで現れた DN をDirichlet 核と呼ぶ。等比級数の和として閉じた形に書けて、
DN(t)=sin(21ω0t)sin((N+21)ω0t).(2.7)
つまり部分和は、元信号を Dirichlet 核で畳み込んだ(平滑化した)ものである。N→∞ で DN は δ 関数列のように鋭くなり、x が区分的に滑らかなら xN(t) は各連続点で x(t) に収束する(Dirichlet の条件)。不連続点では左右の平均値 21(x(t+)+x(t−)) に収束する。
ただし不連続点の近傍では、N をいくら増やしても跳びの約 9% のオーバーシュートが消えない。これをGibbs 現象という。原因は Dirichlet 核(2.7)が振動しながら緩やかにしか減衰しない(負の値をもつ)ことにあり、方形波などをそのまま有限本で近似するときに必ず現れる。第6章の窓関数は、まさにこの「打ち切りに伴うリンギング」を抑える工夫である。
例題2.2(Parseval で級数の和を求める)★★
オリジナル周期 T0 で、1周期を x(t)=1 (0≤t<T0/2), x(t)=−1 (T0/2≤t<T0) と定めた方形波(∣x(t)∣=1)を考える。この x は奇関数(原点対称)なので複素 Fourier 係数は偶数 k で ck=0、奇数 k で ck=jπk2 となる(本章の係数定義から直接計算できる)。これに Parseval の等式を適用し、m=0∑∞(2m+1)21=8π2 を示せ。
解答
∣x∣=1 ゆえ左辺の平均パワーは T01∫0T01dt=1。右辺は奇数 k のみ寄与し、∣ck∣2=π2k24。k の正負をまとめると
1=k odd∑π2k24=2m=0∑∞π2(2m+1)24=π28m=0∑∞(2m+1)21.
よって m=0∑∞(2m+1)21=8π2。Parseval の等式が、スペクトルの情報から純粋に数論的な級数和を導く好例である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com