tecktom.com

定義と収束領域(ROC)

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第7章 z変換 — 離散時間信号のもう一つの変換

AI 生成・木下が未勉強

信号処理論入門 第7章 §7.1 ★★★ ROC必須。右側/左側・有限長の型は後半全問の前提

ここから後半に入る。後半の主役は「システム」、すなわち入力信号を出力信号へ変換する装置であり、その解析と設計のための道具が本章の z 変換である。DTFT(第4章)は ∑n∣x[n]∣\sum_n \left\vert x[n]\right\vert が発散する信号(例えばステップ u[n]u[n] やランプ nu[n]nu[n])には素直に適用できなかった。z 変換は、複素正弦波 ejΩn\mathrm{e}^{\mathrm{j}\Omega n} の代わりに振幅も変わる複素指数列 zn=(rejΩ)nz^n=(r\mathrm{e}^{\mathrm{j}\Omega})^n を基底に採ることでこの制限を取り払う。rr という「減衰・増幅の自由度」を持たせたぶん、収束する信号の範囲が広がる—これが z 変換の発想である。

定義 (z変換)

数列 x[n]x[n](n∈Zn\in\mathbb{Z})の z 変換を

X(z)=∑n=−∞∞x[n] z−n(z∈C)X(z)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}x[n]\,z^{-n}\qquad(z\in\mathbb{C})

と定義する。X(z)=Z[x[n]]X(z)=\mathcal{Z}[x[n]]、x[n]⟷X(z)x[n]\longleftrightarrow X(z) とも書く。

定義を眺めると、これは x[n]x[n] を係数とする z=0z=0(と z=∞z=\infty)まわりのLaurent 級数

X(z)=⋯+x[−1]z1+x[0]z0+x[1]z−1+⋯X(z)=\cdots+x[-1]z^{1}+x[0]z^{0}+x[1]z^{-1}+\cdots

にほかならない。したがって z 変換の理論は複素関数論の Laurent 展開の理論そのものであり、後で見る逆変換の公式も Laurent 係数を取り出す複素積分として自然に出てくる。

なぜ znz^n を基底に選ぶのか。理由は第1章の畳み込みに戻ると明快で、vn=znv_n=z^n は畳み込み演算の固有関数だからである。実際、任意の数列 hnh_n に対して

(h∗v)n=∑k∈Zvn−khk=∑k∈Zzn−khk=(∑k∈Zhkz−k)⏟固有値 λz=H(z) zn⏟vn(h* v)_n=\sum_{k\in\mathbb{Z}}v_{n-k}h_k =\sum_{k\in\mathbb{Z}}z^{n-k}h_k =\underbrace{\Bigl(\sum_{k\in\mathbb{Z}}h_k z^{-k}\Bigr)}_{\text{固有値 }\lambda_z=H(z)}\, \underbrace{z^n}_{v_n}

となり、畳み込みという「面倒な演算」がスカラー倍に化ける。固有値として現れる ∑khkz−k\sum_k h_k z^{-k} は hh の z 変換そのものである。この一行が後半全体の種になる(第8章で伝達関数として結実する)。

z 変換は無限級数なので、どの zz で収束するかを常に添えなければならない。収束する zz の集合

ROC={z∣∣X(z)∣<∞}\mathrm{ROC}=\{z \mid \left\vert X(z)\right\vert <\infty\}

を収束領域(region of convergence)と呼ぶ。絶対収束で評価すると

∣X(z)∣≤∑n=−∞∞∣x[n]∣ ∣z∣−n\left\vert X(z)\right\vert \le\sum_{n=-\infty}^{\infty}\left\vert x[n]\right\vert \,\left\vert z\right\vert ^{-n}

であり、右辺は ∣z∣\left\vert z\right\vert にしか依らない。ゆえに ROC は原点を中心とする円環状の領域になる。収束の判定には nn の符号で和を二つに割るのが便利で、

X(z)=∑n=−∞−1x[n]z−n⏟Xleft(z)+∑n=0∞x[n]z−n⏟Xright(z)X(z)=\underbrace{\sum_{n=-\infty}^{-1}x[n]z^{-n}}_{X_{\mathrm{left}}(z)} +\underbrace{\sum_{n=0}^{\infty}x[n]z^{-n}}_{X_{\mathrm{right}}(z)}

と分けて、それぞれを左側 z 変換・右側 z 変換と呼ぶ(両方合わせたものを区別のため両側 z 変換と呼ぶこともある)。右側の和は ∣z∣−n\left\vert z\right\vert ^{-n}(n≥0n\ge0)の級数だから、∣z∣\left\vert z\right\vert が大きいほど収束しやすく、ROC は最大の極 zRz_R の外側 ∣z∣>∣zR∣\left\vert z\right\vert >\left\vert z_R\right\vert となる。左側の和は逆に ∣z∣\left\vert z\right\vert が小さいほど収束しやすく、ROC は最小の極 zLz_L の内側∣z∣<∣zL∣\left\vert z\right\vert <\left\vert z_L\right\vert となる。両側信号の ROC は両者の共通部分、すなわち円環∣zR∣<∣z∣<∣zL∣\left\vert z_R\right\vert <\left\vert z\right\vert <\left\vert z_L\right\vert である(共通部分が空なら z 変換は存在しない)。

X(z)X(z) が有理関数 X(z)=PN(z)/PD(z)X(z)=P_N(z)/P_D(z) で表されるとき、分子多項式の根(X(z)=0X(z)=0 となる zz)を零点、分母多項式の根(X(z)X(z) が発散する zz)を極と呼ぶ。極では級数が収束しようがないから、ROC は極を含まず、極が ROC の境界を定める。

例題7.1(基本 z 変換対 — ステップと「反転ステップ」)★★★

オリジナル次の信号の z 変換と ROC を求めよ。(1)δ[n]\delta[n]、(2)u[n]u[n]、(3)x[n]=−u[−n−1]x[n]=-u[-n-1](n≤−1n\le-1 で −1-1、n≥0n\ge0 で 00)。

解答

(1)X(z)=∑nδ[n]z−n=z0=1X(z)=\sum_n\delta[n]z^{-n}=z^0=1。有限和だから全平面で収束しROC=C\mathrm{ROC}=\mathbb{C} 全体。

(2)X(z)=∑n=0∞z−n=1+z−1+z−2+⋯X(z)=\sum_{n=0}^{\infty}z^{-n}=1+z^{-1}+z^{-2}+\cdots。これは公比 z−1z^{-1} の等比級数だから ∣z∣>1\left\vert z\right\vert >1 で収束し、

u[n]  ⟷  11−z−1,ROC={z∣∣z∣>1}.u[n]\;\longleftrightarrow\;\frac{1}{1-z^{-1}},\qquad \mathrm{ROC}=\{z\mid\left\vert z\right\vert >1\}.

零点は z=0z=0、極は z=1z=1 で、ROC は極 z=1z=1 の外側になっている。

(3)X(z)=−∑n=−∞−1z−n=−∑m=1∞zm=−z1−z=11−z−1X(z)=-\sum_{n=-\infty}^{-1}z^{-n}=-\sum_{m=1}^{\infty}z^{m} =\dfrac{-z}{1-z}=\dfrac{1}{1-z^{-1}}。公比 zz の等比級数だから今度は∣z∣<1\left\vert z\right\vert <1 で収束し、

−u[−n−1]  ⟷  11−z−1,ROC={z∣∣z∣<1}.-u[-n-1]\;\longleftrightarrow\;\frac{1}{1-z^{-1}},\qquad \mathrm{ROC}=\{z\mid\left\vert z\right\vert <1\}.

(2)と(3)は式の形はまったく同じで、ROC だけが違う。

落とし穴

ROC を書かない z 変換は答えとして不完全である。例題7.1の(2)と(3)が示すように、同じ X(z)=1/(1−z−1)X(z)=1/(1-z^{-1}) でもROC が ∣z∣>1\left\vert z\right\vert >1 なら因果的なステップ、∣z∣<1\left\vert z\right\vert <1 なら非因果的な反転ステップと、異なる信号に対応する。X(z)X(z) と ROC の組で初めて信号が一意に定まる。

同じ等比級数の計算で、減衰指数列に対する最重要の対

αnu[n]  ⟷  11−αz−1,ROC={z∣∣z∣>∣α∣}\alpha^n u[n]\;\longleftrightarrow\;\frac{1}{1-\alpha z^{-1}}, \qquad \mathrm{ROC}=\{z\mid \left\vert z\right\vert >\left\vert \alpha\right\vert \}

が得られる(α=1\alpha=1 がステップ)。また DTFT の対 anu[n]↔1/(1−ae−jΩ)a^nu[n]\leftrightarrow1/(1-a\mathrm{e}^{-\mathrm{j}\Omega})(第4章)は、この式で z=ejΩz=\mathrm{e}^{\mathrm{j}\Omega} と置いたものにほかならない。

例題7.2(ランプ関数の z 変換)★★

オリジナルr[n]=n u[n]r[n]=n\,u[n] の z 変換と ROC を求めよ。

解答

定義から直接書き下すと

X(z)=0+z−1+2z−2+3z−3+⋯X(z)=0+z^{-1}+2z^{-2}+3z^{-3}+\cdots

である。これはステップの変換 U(z)=1/(1−z−1)U(z)=1/(1-z^{-1})(∣z∣>1\left\vert z\right\vert >1)から作れる。ランプは遅延ステップの積み重ね r[n]=∑m=1∞u[n−m]r[n]=\sum_{m=1}^{\infty}u[n-m] と書けるから、時間シフトの性質(次節)Z[u[n−m]]=z−mU(z)\mathcal{Z}[u[n-m]]=z^{-m}U(z) を使って

X(z)=∑m=1∞z−m 11−z−1=11−z−1⋅z−11−z−1=z−1(1−z−1)2,ROC={z∣∣z∣>1}.X(z)=\sum_{m=1}^{\infty}z^{-m}\,\frac{1}{1-z^{-1}} =\frac{1}{1-z^{-1}}\cdot\frac{z^{-1}}{1-z^{-1}} =\frac{z^{-1}}{(1-z^{-1})^2},\qquad \mathrm{ROC}=\{z\mid\left\vert z\right\vert >1\}.

零点は z=0z=0、極は z=1z=1(二重)である。別解として、U(z)U(z) を z−1z^{-1} で微分してから z−1z^{-1} を掛けても同じ式が出る(等比級数の項別微分)。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『基礎理論』の記事一覧へ