信号処理論入門 第7章 §7.2 ★★ 畳み込み定理の証明
以下、x[n]↔X(z)、y[n]↔Y(z) とする。どれも定義式の和の変数変換だけで証明できるので、導出ごと覚えるのがよい。
要点
z 変換の性質一覧
- 線形性:Z[αx[n]+βy[n]]=αX(z)+βY(z)
- 時間シフト:Z[x[n−m]]=z−mX(z)
- スケール変換(指数重み):Z[αnx[n]]=X(z/α)
- 複素共役:Z[x∗[n]]=X∗(z∗)
- 畳み込み:Z[x[n]∗y[n]]=X(z)Y(z)
- 乗算:Z[x[n]y[n]]=2πj1∮CX(ζ)Y(ζz)ζ−1dζ(積分路を単位円に取れば循環畳み込み)
- 相関関数:Z[rxy[m]]=X(z)Y∗(z∗1)、ただし rxy[m]=∑nx[n+m]y∗[n]
- Parseval(一般化):n=−∞∑∞∣x[n]∣2=2πj1∮CX(z)X∗(z∗1)z−1dz
代表として時間シフトと畳み込みを導出しておく。時間シフトは k=n−m と置き換えるだけで
Z[x[n−m]]=n∑x[n−m]z−n=k∑x[k]z−k−m=z−mk∑x[k]z−k=z−mX(z).
1サンプルの遅延が z−1 倍に対応する—これが「z−1=遅延素子」というディジタル信号処理の記法の由来であり、第8章のブロック線図・差分方程式の変換で繰り返し使う。畳み込みは和の順序交換により
Z[x∗y]=n∑(m∑x[m]y[n−m])z−n=m∑x[m]n∑y[n−m]z−n=m∑x[m]z−mY(z)=X(z)Y(z)
となる。Fourier 変換の畳み込み定理(第3章)とまったく同じ構造であり、理由も同じ—zn が畳み込みの固有関数だから—である。スケール変換は αnx[n] の和で z/α がまとまって現れることから即座に出る。この性質は「信号に指数の重みを掛けることは、z 平面を半径方向に伸縮することと同じ」と読め、第11章の周波数変換(α=−1 で z→−z、すなわち LPF→HPF)の伏線になる。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com