信号処理論入門 第8章 §8.4 ★★★ |h|総和有限が全極単位円内と同値。安定判定の基本
定義 (BIBO 安定)
有界な任意の入力 x[n] に対し出力 y[n]=L[x[n]] が有界となるとき、システムは BIBO(bounded-input bounded-output)安定であるという。因果的かつ BIBO 安定なシステムを実現可能なシステムと呼ぶ。
定理 (BIBO 安定性の判定 ★★★)
離散時間 LTI システムが BIBO 安定であるための必要十分条件は、インパルス応答が絶対総和可能なこと:∥h∥1=∑n∈Z∣h[n]∣<∞。
十分性は畳み込みの素直な評価から出る:
∣y[n]∣=m∑h[m]x[n−m]≤m∑∣h[m]∣∣x[n−m]∣≤∥x∥∞m∑∣h[m]∣=∥x∥∞∥h∥1<∞.
必要性は対偶で示す。h が絶対総和可能でないとき、明らかに有界な入力
x[n]=sgn(h[−n])=⎩⎨⎧1,0,−1,h[−n]>0h[−n]=0h[−n]<0
を入れると、n=0 での出力が
y[0]=m∑h[m]x[−m]=m∑∣h[m]∣=∥h∥1=∞
と発散する。つまり絶対総和可能でなければ BIBO 安定ではない。
これを伝達関数の言葉に翻訳すると、最もよく使う形になる。
定理 (極による安定判定 ★★★)
因果的な離散時間 LTI システムが BIBO 安定であるための必要十分条件は、伝達関数のすべての極が単位円の内部(境界を含まない)にあること:∣pk∣<1(∀k)。
理由は両方向とも部分分数分解で見える。極がすべて単位円内なら、H(z)=∑kAk/(1−pkz−1) より h[n]=∑kAkpknu[n] であり
n=0∑∞∣h[n]∣≤k∑∣Ak∣n=0∑∞∣pk∣n=k∑1−∣pk∣∣Ak∣<∞
と絶対総和可能になる(等比級数の収束は ∣pk∣<1 が保証する)。逆に BIBO 安定なら H(ejΩ)≤∑n∣h[n]∣<∞ よりROC が単位円を含む。因果的システムの ROC は最大極の外側だから、すべての極は単位円の内側になければならない。極が単位円上にある場合(例:ステップ u[n]、極 z=1)も∥h∥1=∞ となり不安定であることに注意する。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com