信号処理論入門 第10章 §10.1 ★ 離散との対応表。安定は左半平面。IIRの下地
第11章で IIR フィルタを設計するとき、出発点になるのはアナログフィルタ(連続時間 LTI システム)である。本章では離散時間で組み上げた理論を連続時間に写し替え(ほとんど機械的な置き換えで済む)、代表的なアナログ LPF であるButterworth フィルタを構成する。
連続時間 LTI システムの入出力は畳み込み積分
y(t)=∫−∞∞h(τ)x(t−τ)dτ
で結ばれる。離散時間の zn に対応する固有関数は x(t)=est(s∈C)で、
y(t)=∫h(τ)es(t−τ)dτ=固有値 H(s)∫h(τ)e−sτdτ est
となる。固有値を与える変換
H(s)=L[h(t)]=∫−∞∞h(t)e−stdt
が Laplace 変換であり、H(s) を伝達関数と呼ぶ。Y(s)=H(s)X(s) が成り立つ。因果性は離散時間とまったく同様に
h(t)=0(t<0)
であり、因果的システムの伝達関数は右側 Laplace 変換 ∫0∞h(t)e−stdt になる。微分方程式で書かれたシステム
y(t)+p=1∑Papdtpdpy(t)=q=0∑Qbqdtqdqx(t)
は、微分が s 倍に化けることから
H(s)=1+a1s+⋯+aPsPb0+b1s+⋯+bQsQ
という s の有理関数になる(P≥Q でプロパー。非プロパーだと約分後に s の多項式部分=微分演算子が残ってしまうため、実現可能な系は常にプロパーである)。
BIBO 安定性も平行に進む:条件は h(t) の絶対可積分∫∣h(t)∣dt<∞ であり(証明は和を積分に替えるだけ)、因果的な有理伝達関数ではすべての極が開左半平面 Res<0 にあることと同値になる。ROC は最も右の極より右側の右半平面で、安定なら虚軸を含む。周波数応答は虚軸上の伝達関数
H(jω)=H(s)s=jω=∫h(t)e−jωtdt
すなわち h の Fourier 変換である。
要点
離散時間 ↔ 連続時間の対応表
| 離散時間 | 連続時間 |
| 固有関数 | zn | est |
| 変換 | z 変換 | Laplace 変換 |
| 周波数応答の場所 | 単位円 z=ejΩ | 虚軸 s=jω |
| 因果性 | h[n]=0 (n<0) | h(t)=0 (t<0) |
| BIBO 安定(応答) | ∑∣h[n]∣<∞ | ∫∣h(t)∣dt<∞ |
| BIBO 安定(極) | すべて単位円内 | すべて左半平面 |
| 最小位相 | 零点も単位円内 | 零点も左半平面 |
両者は z=esT(T:サンプリング周期)で結ばれ、虚軸の区間 ω∈(−π/T,π/T] が単位円1周に対応する。∣ω∣>π/T の帯は単位円上の同じ場所に重なって写る—これがエイリアシング(第5章)の s 平面から見た姿である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com