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Einstein の2つの原理

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第1章 相対性原理と光速不変
目次
  1. 2つの原理
  2. 光源の速さによらないことの検証
  3. 光の球面と Galilei 変換
  4. 時計の合わせ方
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第1章 §1.3 ★★★ 相対性原理と光速不変の原理を述べ、それが Galilei 変換と両立しないこと、時計の合わせ方を定義し直す必要があることを示す

2つの原理

Galilei 変換と Maxwell 方程式の食い違いを解消するには、3つの道が考えられた。

  1. Maxwell 方程式を修正する。Maxwell 方程式が正しくなく、Galilei 変換で形を保つように修正すべきだとする道である。この道は、Maxwell 方程式が電磁誘導から光の伝播まで正確に説明していることと合わない。
  2. 相対性原理を力学に限る。相対性原理は力学だけのもので、電磁気学にはエーテル系という特別な系があるとする道である。この道は、Michelson–Morley の実験がエーテル系に対する運動を見つけなかったことと合わない。
  3. Galilei 変換を修正する。相対性原理を電磁気学まで含めて認め、Galilei 変換の方を修正する道である。

Einstein は1905年に第三の道を選び、次の2つを理論の出発点に置いた。

特殊相対論の2つの原理

  1. 相対性原理:物理法則は、すべての慣性系で同じ形をとる。力学の法則に限らず、電磁気学の法則も含む。
  2. 光速不変の原理:真空中の光の速さは、光源の運動にも観測者の慣性系にもよらず、どの向きにも同じ値 cc をとる。

第2の原理は第1の原理からかなりの部分が導ける。Maxwell 方程式がすべての慣性系で同じ形をとるなら、そこに現れる定数 ε0\varepsilon_0、μ0\mu_0 もすべての慣性系で同じ値である。したがって c=1/ε0μ0c=1/\sqrt{\varepsilon_0\mu_0} もすべての慣性系で同じ値になる。

光速不変の原理は、電磁気学に相対性原理を当てはめたときの帰結を、光の速さという測れる量で言い直したものと読むことができる。2つを別に書いておく理由は、第2の原理が「光源の速さによらない」という主張も含み、それを Maxwell 方程式の詳細に頼らずに使えるからである。

「特殊」の意味

特殊相対論の「特殊」は、扱う座標系を慣性系に限るという意味である。加速する座標系と重力を含めるように拡げた理論が一般相対論で、第7章から扱う。「特殊相対論では加速する物体を扱えない」と読むのは誤りである。慣性系から見て加速する物体の運動は、特殊相対論で記述できる(第5章 §5.4 の双曲線運動)。

光源の速さによらないことの検証

「光の速さが光源の速さに足される」という考え(放射説)も、Michelson–Morley の実験の結果とは両立する。光源が装置と一緒に動いていれば、装置から見た光の速さはどの向きにも cc になるからである。この考えを退けるには、速く動く光源から来た光の速さを調べる必要がある。

1913年に de Sitter は連星を使った議論を出した。連星の一方の星が軌道上で地球に近づく向きに動くときと遠ざかる向きに動くときで光の速さが違えば、遠くから届く光の到着時刻がずれて、星の見かけの運動が乱れるはずである。実際の連星の観測には、そのような乱れは見られない(例題 1.3)。1964年には CERN で、光速に近い速さで走る中性 π\pi 中間子が崩壊して出すガンマ線の速さが測られ、光源の速さが光の速さに足される割合は 10−410^{-4} 程度以下であることが示された。

例題 1.3 放射説と連星 ★★

オリジナル地球から距離 D=1.0×103D=1.0\times10^3 光年にある連星を考える。一方の星は、視線方向の速度成分が +u+u(地球へ近づく)と −u-u(遠ざかる)の間で周期的に変わる軌道を回っている。u=1.0×102 km/su=1.0\times10^2\,\mathrm{km/s} とする。光の速さが光源の視線方向の速度に足される(近づくときは c+uc+u、遠ざかるときは c−uc-u)と仮定する。

  1. 近づくときに出た光と遠ざかるときに出た光の、地球までの伝わる時間の差 δt\delta t を u≪cu\ll c の1次で求め、日の単位で表せ。
  2. 軌道の周期が 1010 日のとき、地球で見える星の動きはどうなるか述べよ。
解答

1.  伝わる時間はそれぞれ D/(c+u)D/(c+u)、D/(c−u)D/(c-u) である。差は

δt=Dc−u−Dc+u=2Duc2−u2≃2Duc2=2 Dc uc\delta t=\frac{D}{c-u}-\frac{D}{c+u}=\frac{2Du}{c^2-u^2}\simeq\frac{2Du}{c^2}=2\,\frac{D}{c}\,\frac{u}{c}

となる。D/c=1.0×103D/c=1.0\times10^3 年、u/c=1.0×105/(3.00×108)=3.33×10−4u/c=1.0\times10^5/(3.00\times10^8)=3.33\times10^{-4} なので

δt≃2×1.0×103 年×3.33×10−4=0.667 年=0.667×365.25 日=2.4×102 日\delta t\simeq2\times1.0\times10^3\,\text{年}\times3.33\times10^{-4}=0.667\,\text{年}=0.667\times365.25\,\text{日}=2.4\times10^2\,\text{日}

である。

2.  δt≈240\delta t\approx240 日は周期 10 日の 24 倍もある。軌道上の異なる時刻に出た光が順番を入れ替えて地球に届き、同じ星が軌道上の複数の位置に同時に見えるはずである。星が規則正しく1つの軌道を回って見えるという観測と合わないので、放射説は退けられる。距離の大きい天体ほど効果が拡大されるので、小さな u/cu/c でも判定ができる。

光の球面と Galilei 変換

2つの原理が Galilei 変換と両立しないことを、光の球面で確かめる。時刻 t=0t=0 に KK の原点から全方向へ光を出す。光速不変の原理から、KK で光の波面は

x2+y2+z2=c2t2(1.13)x^2+y^2+z^2=c^2t^2\tag{1.13}

を満たす球面である。K′K' の原点もこの瞬間に同じ点にあった。したがって光速不変の原理は、K′K' でも波面が自分の原点を中心とする球面

x′2+y′2+z′2=c2t′2(1.14)x'^2+y'^2+z'^2=c^2t'^2\tag{1.14}

になることを要求する。しかし Galilei 変換で (1.13) を書き直すと (x′+vt′)2+y′2+z′2=c2t′2(x'+vt')^2+y'^2+z'^2=c^2t'^2 となり、中心が x′=−vt′x'=-vt' にずれた球面になる。これは (1.14) と一致しない。

光速不変の原理が要求するのは、1つの光の波面が次の2つを同時に満たすことである。

  • KK で見ると、KK の原点を中心とする球である。
  • K′K' で見ると、K′K' の原点を中心とする球である。

2つの原点は t>0t>0 で別の場所にあるので、時間が全員に共通だと考える限り、これは矛盾である。この矛盾を解消するには、「KK で同じ時刻」の点の集まりと「K′K' で同じ時刻」の点の集まりが違う、つまり時刻の付け方そのものが慣性系ごとに違うと認めるしかない。

(1.13) と (1.14) は、量 c2t2−x2−y2−z2c^2t^2-x^2-y^2-z^2 が 0 であるという条件が2つの系で同じ形をとることを言っている。第2章ではこの量が 00 でないときも含めて保たれる変換を探し、Lorentz 変換を導く。第3章ではこの量を不変間隔と呼ぶ。

時計の合わせ方

時刻が慣性系ごとに違ってよいとなると、「ある慣性系の時刻」を測る手続きをはっきり決めておく必要がある。慣性系の各点に、同じ作りの時計を静止させて置く。

1つの場所で起きる出来事の時刻は、その場所の時計で読む。問題は離れた場所の時計どうしをどう合わせるかである。光速不変の原理を使うと、次の手続きで合わせられる。

定義 1.4(Einstein の同期)

慣性系の中の静止した2点 A、B を考える。A の時計で時刻 t1t_1 に A から光を出し、B で反射させて、A の時計で時刻 t2t_2 に A に戻ってきたとする。光が B で反射した瞬間の B の時計の読みが

tB=t1+t22(1.15)t_B=\frac{t_1+t_2}{2}\tag{1.15}

であるとき、A と B の時計は合っている(同期している)という。

光の速さは行きも帰りも cc なので、行きにかかる時間と帰りにかかる時間は等しい。それぞれ往復時間の半分で、A と B の距離は c(t2−t1)/2c(t_2-t_1)/2 である。

この手続きは、同じ慣性系の中の時計どうしで矛盾なく使える。A と B が合っていれば B と A も合っており(対称性)、A と B、B と C が合っていれば A と C も合っている(推移性)。後者は、光速が向きによらず一定という原理から確かめられる(確認テスト 1.3-5)。

この手続きで合わせた時計の読みを、その慣性系の時刻と定める。ある慣性系で2つの出来事が同時であるとは、それぞれの場所の同期した時計が同じ時刻を示すことである。

「光の片道の速さ」と同期の約束

光の片道の速さを測るには、離れた2点の時計がすでに合っている必要がある。ところが時計を合わせるには光の片道の速さを知っている必要がある。

(1.15) は「行きと帰りの速さが等しい」と約束して、この循環を断ち切っている。往復の平均の速さ cc は1つの時計で測れるので、約束に依存しない。光速不変の原理は、どの慣性系でもこの約束が矛盾なく使えることを主張している。

確認テスト

オリジナル

  1. 1.3-1 特殊相対論の2つの原理を述べよ。また、Michelson–Morley の実験だけでは光速不変の原理のうちどの部分が確かめられないかを述べよ。
  2. 1.3-2 KK の原点から t=0t=0 に出た光の波面 (1.13) を考える。これを Galilei 変換で K′K' の座標に書き直せ。そのうえで、球の中心と半径を時刻 t′t' の関数として求めよ。さらに、K′K' の各方向へ進む光の速さが次の値になることを示せ。

+x′ 方向:c−v,−x′ 方向:c+v,y′ 方向:c2−v2+x'\text{ 方向}: c-v,\qquad -x'\text{ 方向}: c+v,\qquad y'\text{ 方向}: \sqrt{c^2-v^2} 3. 1.3-3 点 A の時計で時刻 t1=0t_1=0 に A から光を出し、点 B で反射した光が A に t2=2.00 μst_2=2.00\,\mu\mathrm s に戻ってきた。反射の瞬間に B の時計を何秒に合わせればよいか。A と B の距離も求めよ。4. 1.3-4 例題 1.3 の設定で、距離を D=5.0×102D=5.0\times10^2 光年、u=50 km/su=50\,\mathrm{km/s} に替える。このときの δt\delta t を日の単位で求めよ。5. 1.3-5 慣性系の中に静止した3点 A、B、C がある。A と B、A と C の時計をそれぞれ Einstein の同期で合わせたとき、B と C の時計も合っていることを示せ。ただし光の速さはどの向きにも cc とし、A、B、C の時計は同じ作りで同じ速さで進むとする。

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