tecktom.com

速度の合成則と光行差

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第2章 Lorentz 変換
目次
  1. 速度の変換
  2. 光速を超えないこと
  3. 光行差
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第2章 §2.3 ★★★ 速度は足し算でなく (2.19) で合成する。光速を超えない理由と、星の見える向きのずれが同じ式から出る

速度の変換

KK で速度 u=(ux,uy,uz)\bm{u}=(u_x,u_y,u_z) で動く粒子を考える。この粒子を K′K' から見た速度 u′\bm{u}' を求める。粒子の世界線上で近い2つの事象の座標の差を (dt,dx,dy,dz)(\mathrm{d} t,\mathrm{d} x,\mathrm{d} y,\mathrm{d} z) とすると、dx=ux dt\mathrm{d} x=u_x\,\mathrm{d} t などである。Lorentz 変換は線形なので、座標の差も同じ式で変換される。

dt′=γ(dt−vc2dx)=γ(1−vuxc2)dt,dx′=γ (dx−v dt)=γ (ux−v) dt,\mathrm{d} t'=\gamma\left(\mathrm{d} t-\frac{v}{c^2}\mathrm{d} x\right)=\gamma\left(1-\frac{vu_x}{c^2}\right)\mathrm{d} t,\qquad \mathrm{d} x'=\gamma\,(\mathrm{d} x-v\,\mathrm{d} t)=\gamma\,(u_x-v)\,\mathrm{d} t,

dy′=dy=uy dt\mathrm{d} y'=\mathrm{d} y=u_y\,\mathrm{d} t、dz′=uz dt\mathrm{d} z'=u_z\,\mathrm{d} t である。速度は u′=dx′/dt′\bm{u}'=\mathrm{d}\bm{x}'/\mathrm{d} t' なので、比をとって

ux′=ux−v1−vux/c2,(2.19)u'_x=\frac{u_x-v}{1-vu_x/c^2},\tag{2.19}

uy′=uyγ (1−vux/c2),uz′=uzγ (1−vux/c2)(2.20)u'_y=\frac{u_y}{\gamma\,(1-vu_x/c^2)},\qquad u'_z=\frac{u_z}{\gamma\,(1-vu_x/c^2)}\tag{2.20}

を得る。逆向きは vv を −v-v に替えたもので、

ux=ux′+v1+vux′/c2u_x=\frac{u'_x+v}{1+vu'_x/c^2}

などとなる。

運動の方向に垂直な成分 uyu_y も変わることに注意する。座標は y′=yy'=y なのに、速度の成分は uy′≠uyu'_y\ne u_y となる。これは、yy を割る時間の側が変わるからである。

xx 軸に沿った運動(uy=uz=0u_y=u_z=0)に限る。物体の K′K' での速度を u′u' と書く。このとき KK での速度は

u=u′+v1+u′v/c2(2.21)u=\frac{u'+v}{1+u'v/c^2}\tag{2.21}

である。これを速度の合成則と呼ぶ。u′v≪c2u'v\ll c^2 なら分母は 1 に近く、Galilei の足し算 u=u′+vu=u'+v に戻る。

u′=cu'=c を入れると u=(c+v)/(1+v/c)=cu=(c+v)/(1+v/c)=c である。光の速さはどの慣性系でも cc のままである。

光速を超えないこと

速度の合成則で、光速より遅い速度をいくら合成しても光速に届かないことを示す。

命題 2.2(光速未満は保たれる ★★)

速度の変換 (2.19)・(2.20) について、u2=ux2+uy2+uz2u^2=u_x^2+u_y^2+u_z^2、u′2u'^2 を同様に定めると

1−u′2c2=(1−u2/c2)(1−v2/c2)(1−vux/c2)2(2.22)1-\frac{u'^2}{c^2}=\frac{(1-u^2/c^2)(1-v^2/c^2)}{(1-vu_x/c^2)^2}\tag{2.22}

が成り立つ。したがって ∣v∣<c\left\vert v\right\vert <c のとき、次が成り立つ。

  • (i) u<cu<c ならば u′<cu'<c である。
  • (ii) u=cu=c ならば u′=cu'=c である。
証明

D=1−vux/c2D=1-vu_x/c^2 と書く。(2.19)・(2.20) から

c2D2−u′2D2=c2D2−(ux−v)2−uy2+uz2γ2.c^2D^2-u'^2D^2=c^2D^2-(u_x-v)^2-\frac{u_y^2+u_z^2}{\gamma^2}.

右辺を展開する。次の3つを使う。

c2D2=c2−2vux+v2ux2c2,(ux−v)2=ux2−2vux+v2,1γ2=1−v2c2\begin{aligned}c^2D^2&=c^2-2vu_x+\frac{v^2u_x^2}{c^2},\\ (u_x-v)^2&=u_x^2-2vu_x+v^2,\\ \frac1{\gamma^2}&=1-\frac{v^2}{c^2}\end{aligned}

これらを入れると

c2−2vux+v2ux2c2−ux2+2vux−v2−(uy2+uz2)(1−v2c2)=c2−v2−u2+v2u2c2c^2-2vu_x+\frac{v^2u_x^2}{c^2}-u_x^2+2vu_x-v^2-(u_y^2+u_z^2)\left(1-\frac{v^2}{c^2}\right) =c^2-v^2-u^2+\frac{v^2u^2}{c^2}

となる。−2vux-2vu_x は打ち消し合う。残りの速さの2乗の項は、まとまって u2=ux2+uy2+uz2u^2=u_x^2+u_y^2+u_z^2 になる。

右辺は c2(1−u2/c2)(1−v2/c2)c^2(1-u^2/c^2)(1-v^2/c^2) と因数分解できる。両辺を c2D2c^2D^2 で割れば (2.22) である。最後に結論の2つを確かめる。

  • (i) ∣v∣<c\left\vert v\right\vert <c かつ u<cu<c とする。このとき ∣vux∣<c2\left\vert vu_x\right\vert <c^2 なので D>0D>0 である。右辺は正なので、u′<cu'<c である。
  • (ii) u=cu=c なら右辺は 0 で、u′=cu'=c である。

物体を光速より速く送れないことは、第3章 §3.2 で因果律として、第5章 §5.2 でエネルギーが発散することとして、別の角度から確かめる。

光行差

光の速度にも (2.19)・(2.20) が使える。光が届く向きは観測者の速度によって変わり、星の見える方向がずれる。これを光行差と呼ぶ。

KK で静止した星を考える。星の方向を、観測者から星へ向かう単位ベクトル n\bm{n} で表す。その xx 軸となす角を α\alpha とする。

xyxy 面内で n=(cos⁡α,sin⁡α,0)\bm{n}=(\cos\alpha,\sin\alpha,0) である。星から来る光は −n-\bm{n} の向きに進むので、光の速度は u=−cn\bm{u}=-c\bm{n} である。K′K' の観測者が見る星の方向は n′=−u′/c\bm{n}'=-\bm{u}'/c である。(2.19)・(2.20) に ux=−ccos⁡αu_x=-c\cos\alpha、uy=−csin⁡αu_y=-c\sin\alpha を入れると

cos⁡α′=cos⁡α+β1+βcos⁡α,sin⁡α′=sin⁡αγ (1+βcos⁡α)(2.23)\cos\alpha'=\frac{\cos\alpha+\beta}{1+\beta\cos\alpha},\qquad \sin\alpha'=\frac{\sin\alpha}{\gamma\,(1+\beta\cos\alpha)}\tag{2.23}

を得る(u′=cu'=c なので cos⁡2α′+sin⁡2α′=1\cos^2\alpha'+\sin^2\alpha'=1 は自動的に成り立つ)。0<α<π0<\alpha<\pi の星を考える。β>0\beta>0 なら cos⁡α′>cos⁡α\cos\alpha'>\cos\alpha で、星は進む向きの側へ寄って見える。

β≪1\beta\ll1 で1次まで展開すると、α′=α−Δα\alpha'=\alpha-\Delta\alpha として

Δα≃βsin⁡α(2.24)\Delta\alpha\simeq\beta\sin\alpha\tag{2.24}

である。実際、cos⁡α′≃(cos⁡α+β)(1−βcos⁡α)≃cos⁡α+βsin⁡2α\cos\alpha'\simeq(\cos\alpha+\beta)(1-\beta\cos\alpha)\simeq\cos\alpha+\beta\sin^2\alpha とcos⁡(α−Δα)≃cos⁡α+Δαsin⁡α\cos(\alpha-\Delta\alpha)\simeq\cos\alpha+\Delta\alpha\sin\alpha を比べればよい。

図

図 2.3 光行差 (2.23)。横軸は静止した観測者が見る星の方向、縦軸は xx の正の向きに速さ βc\beta c で動く観測者が見る方向。点線は β=0\beta=0。β\beta が大きいほど星は進む向き(α′=0\alpha'=0)の側へ集まる。

図 2.3 のとおり、β\beta が 11 に近づくと、ほとんどの星が進む向きの小さな円錐の中に集まって見える。KK で α=90∘\alpha=90^\circ の星を考える。(2.23) から、この星は cos⁡α′=β\cos\alpha'=\beta、すなわち sin⁡α′=1/γ\sin\alpha'=1/\gamma の方向に見える。したがって静止系で前半分の空にある星は、K′K' では半頂角 arcsin⁡(1/γ)\arcsin(1/\gamma) の円錐の中に収まる。

同じ式を、光源が動く場合に読み替えることもできる。K′K' に静止した光源が、すべての向きに一様に光を出すとする。KK ではその光の半分が、進む向きの半頂角 arcsin⁡(1/γ)\arcsin(1/\gamma) の円錐に集まる。光速に近い電子が出す放射が細いビームになるのはこのためで、放射の強さも含めた議論は『電磁気学入門』第11章 §11.4 で扱う。

例題 2.3 地球の公転による年周光行差 ★★

オリジナル地球は太陽のまわりを平均の速さ 29.8 km/s29.8\ \mathrm{km/s} で公転している。太陽に対して静止した系での星の方向を α\alpha(公転の速度の向きから測る)とする。

  1. 地球から見た星の方向のずれ Δα\Delta\alpha の最大値を求めよ。角度の秒(1′′=1/36001''=1/3600 度)で表し、c=2.998×108 m/sc=2.998\times10^8\ \mathrm{m/s} を使え。
  2. 公転の速度は半年で向きが反転する。公転面に垂直な方向(黄道の極)にある星は、1年のあいだに天球上でどのような図形を描くか。
解答

(1)  β=2.98×104/2.998×108=9.94×10−5\beta=2.98\times10^4/2.998\times10^8=9.94\times10^{-5} である。β≪1\beta\ll1 なので (2.24) が使え、ずれは α=90∘\alpha=90^\circ(速度に垂直な方向の星)で最大になる。

Δαmax⁡=β rad=9.94×10−5×180×3600π′′=20.5′′\Delta\alpha_{\max}=\beta\ \mathrm{rad}=9.94\times10^{-5}\times\frac{180\times3600}{\pi}{}''=20.5''

である。この値は光行差定数と呼ばれ、18世紀に J. Bradley が星の位置の年周変化として見つけた量と同じ大きさである。γ−1≈5×10−9\gamma-1\approx5\times10^{-9} なので、ここで現れるのは β\beta の1次の効果である。相対論に特有の部分(γ\gamma の補正)はこの精度では見えない。

(2)  黄道の極にある星は、公転の速度とつねに垂直なので α=90∘\alpha=90^\circ で、ずれは常に 20.5′′20.5'' である。ずれの向きは公転の速度の向きで、速度は1年で公転面内を1周する。したがって星は、真の位置を中心とする半径 20.5′′20.5'' の円を1年で1周する。

黄道の極から離れた星では、速度と星の方向のなす角が1年のあいだに変わり、ずれの大きさも変わる。図形は円でなく楕円になり、黄道面上の星では線分になる。

確認テスト

オリジナル

  1. 2.3-1 K′K' の速さは 0.9c0.9c である(標準配置)。K′K' で、同じ向きに速さ 0.9c0.9c で粒子を打ち出した。KK での粒子の速さを求めよ。
  2. 2.3-2 屈折率 nn の水が管の中を速さ vv で流れている。水の静止系で光の速さは c/nc/n である。実験室で、流れと同じ向きに進む光の速さをvv の1次まで求め、u≃c/n+v (1−1/n2)u\simeq c/n+v\,(1-1/n^2) となることを示せ。n=1.333n=1.333 のときの係数 1−1/n21-1/n^2 の値を求めよ。
  3. 2.3-3 命題 2.2 の式 (2.22) を、xx 軸に沿った運動(uy=uz=0u_y=u_z=0)の場合に(2.19) から直接導け。
  4. 2.3-4 K′K' に静止した光源が全方向に一様に光を出す。K′K' の速さは β=0.99\beta=0.99 である。KK で、光の半分が入る前方の円錐の半頂角を度で求めよ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『基礎理論』の記事一覧へ