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不変間隔と光円錐

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 時空図と不変間隔
目次
  1. 不変間隔
  2. 時間的・空間的・光的
  3. 因果律
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第3章 §3.2 ★★★ どの慣性系でも値が同じになる「間隔」と、それによる事象の関係の3分類。因果律が相対論と両立する理由

不変間隔

2つの事象 P1=(ct1,x1,y1,z1)P_1=(ct_1,x_1,y_1,z_1) と P2=(ct2,x2,y2,z2)P_2=(ct_2,x_2,y_2,z_2) を考える。座標差を Δt=t2−t1\Delta t=t_2-t_1、Δx=x2−x1\Delta x=x_2-x_1 などと書く。

定義 3.1(不変間隔)

2つの事象の間隔(世界間隔)Δs2\Delta s^2 を

Δs2=(cΔt)2−(Δx)2−(Δy)2−(Δz)2(3.7)\Delta s^2=(c\Delta t)^2-(\Delta x)^2-(\Delta y)^2-(\Delta z)^2\tag{3.7}

で定める。隣り合う2事象については ds2=c2dt2−dx2−dy2−dz2\mathrm{d} s^2=c^2\mathrm{d} t^2-\mathrm{d} x^2-\mathrm{d} y^2-\mathrm{d} z^2 と書き、これを線素と呼ぶ。

記号 Δs2\Delta s^2 は「ある量 Δs\Delta s の2乗」という意味ではなく、1つの量の名前である。この量は負にもなりうる。符号の約束は計量 ημν=diag(+1,−1,−1,−1)\eta_{\mu\nu}=\mathrm{diag}(+1,-1,-1,-1) に従っており、時間方向に離れた事象で正になる。

定理 3.2(間隔の不変性 ★★★)

慣性系 KK と、それに対して xx 方向へ一定の速度で動く慣性系を考える。動く系を K′K' とすると、2つの系で測った2事象の間隔は等しい。

(cΔt′)2−(Δx′)2−(Δy′)2−(Δz′)2=(cΔt)2−(Δx)2−(Δy)2−(Δz)2.(c\Delta t')^2-(\Delta x')^2-(\Delta y')^2-(\Delta z')^2=(c\Delta t)^2-(\Delta x)^2-(\Delta y)^2-(\Delta z)^2 .

証明

Lorentz 変換 (3.1) は座標について線形で、定数項を含まない。そのため座標差も同じ式で変換される。

cΔt′=γ(cΔt−βΔx),Δx′=γ(Δx−βcΔt),Δy′=Δy,Δz′=Δz.c\Delta t'=\gamma(c\Delta t-\beta\Delta x),\qquad \Delta x'=\gamma(\Delta x-\beta c\Delta t),\qquad \Delta y'=\Delta y,\qquad \Delta z'=\Delta z .

前の節の式 (3.5) の計算で、(ct,x)(ct,x) を (cΔt,Δx)(c\Delta t,\Delta x) に置き換える。すると

(cΔt′)2−(Δx′)2=(cΔt)2−(Δx)2(c\Delta t')^2-(\Delta x')^2=(c\Delta t)^2-(\Delta x)^2

を得る。y,zy,z 方向の差は変わらないので、両辺から (Δy)2+(Δz)2(\Delta y)^2+(\Delta z)^2 を引いて主張を得る。

任意の向きのブーストは、空間の回転で xx 方向のブーストに直し、もう一度回転で戻すことで作れる。空間の回転は (Δx)2+(Δy)2+(Δz)2(\Delta x)^2+(\Delta y)^2+(\Delta z)^2 と Δt\Delta t を変えないので、間隔は任意の向きのブーストと回転を組み合わせた変換でも不変である。第4章では、間隔を保つ線形変換の全体として Lorentz 変換をあらためて定義する。

間隔の不変性と光速不変の関係

  • 光の信号で結ばれた2事象では Δs2=0\Delta s^2=0 である。光速不変の原理は「Δs2=0\Delta s^2=0 ならどの慣性系でも Δs′2=0\Delta s'^2=0」を言っている。
  • 定理 3.2 はそれより強く、Δs2\Delta s^2 の値そのものが変わらないことを主張する。この強い主張は、第2章 §2.1 の導出で使った線形性と、逆向きのブーストとの対称性に基づいている。

時間的・空間的・光的

間隔の符号は慣性系によらないので、2事象の関係を符号で分類することができる。

定義 3.3(間隔の分類)

2事象の間隔について、

  • Δs2>0\Delta s^2>0 のとき、2事象は時間的に離れているという。
  • Δs2<0\Delta s^2<0 のとき、2事象は空間的に離れているという。
  • Δs2=0\Delta s^2=0 のとき、2事象は光的に離れているという(ヌルとも呼ぶ)。

事象 P1P_1 を原点に置き、Δs2=0\Delta s^2=0 を満たす点の集合を考える。

c2t2=x2+y2+z2c^2t^2=x^2+y^2+z^2

この集合は、空間の次元を1つ落として描くと円錐になる。これを P1P_1 の光円錐と呼ぶ。t>0t>0 の側が未来の光円錐、t<0t<0 の側が過去の光円錐である。

光円錐で仕切られた3つの領域には、次の名前がついている。

  • 光円錐の内側(時間的に離れた点)のうち t>0t>0 の部分を P1P_1 の未来と呼ぶ。
  • 同じく内側のうち t<0t<0 の部分を過去と呼ぶ。
  • 光円錐の外側(空間的に離れた点)をよそ(elsewhere)と呼ぶことがある。
図

図 3.2 事象 P1P_1 の光円錐(yy 方向を1つだけ残し、破線の楕円で円錐の断面を示した)。QQ は時間的に離れた未来の事象、RR は空間的に離れた事象。RR を通る K′K' の同時刻線(青の点線)は P1P_1 も通りうる。そのような K′K' では P1P_1 と RR は同時である。

時間的に離れた2事象と、空間的に離れた2事象では、慣性系を取り替えたときに許される見え方が異なる。次の2つの命題でそれを確かめる。

命題 3.4(時間的な間隔)

2事象が時間的に離れているとき、

  1. 時間差 Δt\Delta t の符号はすべての慣性系で同じである。
  2. 2事象が同じ場所で起きる慣性系が存在し、その系での時間差は Δs/c\Delta s/c(Δs=Δs2\Delta s=\sqrt{\Delta s^2})である。
証明

空間の回転で Δy=Δz=0\Delta y=\Delta z=0 にとってよい。このとき時間的という条件は ∣cΔt∣>∣Δx∣\left\vert c\Delta t\right\vert >\left\vert \Delta x\right\vert である。

  1. K′K' での時間差は cΔt′=γ(cΔt−βΔx)c\Delta t'=\gamma(c\Delta t-\beta\Delta x) である。∣β∣<1\left\vert \beta\right\vert <1 なので

∣βΔx∣<∣Δx∣<∣cΔt∣\left\vert \beta\Delta x\right\vert <\left\vert \Delta x\right\vert <\left\vert c\Delta t\right\vert

となり、括弧の中の符号は cΔtc\Delta t の符号と同じになる。γ>0\gamma>0 なので、2つの系の時間差は同符号である。2. β=Δx/(cΔt)\beta=\Delta x/(c\Delta t) ととる。∣β∣<1\left\vert \beta\right\vert <1 なので、これは許される速度である。この系では Δx′=γ(Δx−βcΔt)=0\Delta x'=\gamma(\Delta x-\beta c\Delta t)=0 となる。間隔の不変性から (cΔt′)2=Δs2(c\Delta t')^2=\Delta s^2 である。

命題 3.5(空間的な間隔)

2事象が空間的に離れているとき、

  1. 2事象が同時に起きる慣性系が存在し、その系での2点の距離は −Δs2\sqrt{-\Delta s^2} である。
  2. 時間差の符号が KK と逆になる慣性系も存在する。
証明

同じく Δy=Δz=0\Delta y=\Delta z=0 とし、空間的という条件 ∣Δx∣>∣cΔt∣\left\vert \Delta x\right\vert >\left\vert c\Delta t\right\vert を使う。

  1. β=cΔt/Δx\beta=c\Delta t/\Delta x とすると ∣β∣<1\left\vert \beta\right\vert <1 である。このとき

cΔt′=γ(cΔt−βΔx)=0c\Delta t'=\gamma(c\Delta t-\beta\Delta x)=0

となる。不変性から −(Δx′)2=Δs2-(\Delta x')^2=\Delta s^2 である。2. cΔt′=γ(cΔt−βΔx)c\Delta t'=\gamma(c\Delta t-\beta\Delta x) は β\beta の1次関数である。括弧の中は β=cΔt/Δx\beta=c\Delta t/\Delta x で0を横切る。この値の絶対値は1より小さい。そこで β\beta を、この値と ±1\pm1 のあいだにとる。符号は Δx\Delta x と同じ側を選ぶ。すると Δt′\Delta t' は Δt\Delta t と逆の符号になる。

因果律

ある事象 P1P_1 が別の事象 P2P_2 の原因になるには、前者から後者へ何らかの信号が届かなければならない。信号の速さが cc を超えないとする。このとき P2P_2 は、P1P_1 から見て未来の光円錐の内側か上にある。

このとき2事象は時間的か光的に離れている。

時間的なら、命題 3.4 から、すべての慣性系で P1P_1 が先に起きる。光的な場合は ∣Δx∣=∣cΔt∣\left\vert \Delta x\right\vert =\left\vert c\Delta t\right\vert である。∣β∣<1\left\vert \beta\right\vert <1 と合わせて同じ議論を使うと、やはり時間差の符号は変わらない。原因と結果の順序はどの慣性系でも入れ替わらない。

逆に、空間的に離れた2事象の順序は慣性系によって入れ替わる(命題 3.5)。これは、空間的に離れた2事象のあいだには因果関係がありえないことと両立している。

もし光より速い信号が存在すれば、空間的に離れた2事象のあいだで信号を送れることになり、ある慣性系では「受信が送信より前」に起きてしまう。そうした信号を2回組み合わせると、送信者が自分の過去へ信号を送り返すことができ、矛盾が生じる。特殊相対論が光速を信号の速さの上限とするのはこのためである。

例題 3.2 2つの閃光の関係 ★★

オリジナル慣性系 KK で、2つの事象が次の時刻と位置で起きた(どちらも y,zy,z 座標は0)。

A: t=0, x=0;B: t=2.00 μs, x=1000 mA:\ t=0,\ x=0;\qquad B:\ t=2.00\,\mu\mathrm{s},\ x=1000\,\mathrm m

光速は c=3.00×108 m/sc=3.00\times10^8\,\mathrm{m/s} として計算する。

  1. 2事象の間隔を求め、時間的・空間的・光的のどれかを答えよ。AA が BB の原因になりうるかも述べよ。
  2. 2事象が同時になる慣性系の速度 β\beta と、その系での2事象の距離を求めよ。
  3. BB が AA より先に起きる慣性系の速度の範囲を求めよ。
解答
  1. cΔt=3.00×108×2.00×10−6=600 mc\Delta t=3.00\times10^8\times2.00\times10^{-6}=600\,\mathrm m、Δx=1000 m\Delta x=1000\,\mathrm m である。

Δs2=(600)2−(1000)2=3.6×105−1.0×106=−6.4×105 m2<0\Delta s^2=(600)^2-(1000)^2=3.6\times10^5-1.0\times10^6=-6.4\times10^5\ \mathrm{m^2}<0

なので空間的である。AA から BB へは光でも次の時間がかかる。

10003×108=3.33 μs\frac{1000}{3\times10^8}=3.33\,\mu\mathrm s

これは 2.00 μs2.00\,\mu\mathrm s より長いので、信号は届かない。AA は BB の原因になりえない。2. 命題 3.5 の (1) から β=cΔt/Δx=600/1000=0.6\beta=c\Delta t/\Delta x=600/1000=0.6 である。このとき γ=1.25\gamma=1.25 で

Δx′=γ(Δx−βcΔt)=1.25×(1000−0.6×600)=1.25×640=800 m.\Delta x'=\gamma(\Delta x-\beta c\Delta t)=1.25\times(1000-0.6\times600)=1.25\times640=800\,\mathrm m .

これは −Δs2=6.4×105=800 m\sqrt{-\Delta s^2}=\sqrt{6.4\times10^5}=800\,\mathrm m と一致する。3. cΔt′=γ(600−1000β)<0c\Delta t'=\gamma(600-1000\beta)<0 となるのは β>0.6\beta>0.6 のときである。β<1\beta<1 と合わせて 0.6<β<10.6<\beta<1 の範囲である。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.2-1 原点の事象 OO に対して、次の3つの事象がそれぞれ時間的・空間的・光的のどれに当たるかを答えよ。

P:(ct,x,y,z)=(5,3,0,0),Q:(3,2,2,1),R:(2,1,2,0)P:(ct,x,y,z)=(5,3,0,0),\qquad Q:(3,2,2,1),\qquad R:(2,1,2,0) 2. 3.2-2 静止系で、時間差が cΔt=10 mc\Delta t=10\,\mathrm m、距離が Δx=6 m\Delta x=6\,\mathrm m の2事象がある。y,zy,z 方向の差は0とする。2事象が同じ場所で起きる慣性系の β\beta と、その系での時間差 cΔt′c\Delta t' を求めよ。3. 3.2-3 間隔の不変性は、ブーストを2回続けた変換でも成り立つことを示せ。さらに、2回のブーストを続けた変換を考える。向きはどちらも同じで、速度は1回目が β1\beta_1、2回目が β2\beta_2 とする。これが次の速度の1回のブーストと一致することを、ct′′ct'' の式を比べて確かめよ。

β3=β1+β21+β1β2\beta_3=\frac{\beta_1+\beta_2}{1+\beta_1\beta_2} 4. 3.2-4 光的に離れた2事象(Δs2=0\Delta s^2=0、Δt>0\Delta t>0)を考える。どの慣性系でも Δt′>0\Delta t'>0 となることを示せ。さらに、β→1\beta\to1 の極限で Δt′\Delta t' がどうなるかを調べよ。場合は2つあり、Δx=cΔt\Delta x=c\Delta t の場合と Δx=−cΔt\Delta x=-c\Delta t の場合である。

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