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添字の記法と計量

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第4章 4元ベクトルとテンソル
目次
  1. 座標と添字
  2. 計量と不変間隔
  3. 総和規約
  4. 添字の上げ下げ
  5. なぜ2種類の成分が要るのか
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第4章 §4.1 ★★★ 上付き・下付きの添字と総和規約は、以後のすべての式の書き方の規則になる

第2章で導いた Lorentz 変換は、ctct と xx を混ぜる線形変換であった。第3章では、その変換で値を変えない量として不変間隔

Δs2=c2Δt2−Δx2−Δy2−Δz2(4.1)\Delta s^2=c^2\Delta t^2-\Delta x^2-\Delta y^2-\Delta z^2\tag{4.1}

を見つけた。これから先、エネルギーと運動量、電荷密度と電流密度、電場と磁場のように、Lorentz 変換で互いに混ざり合う量が次々に出てくる。そのたびに γ\gamma と β\beta の入った変換式を個別に書き下していては、式の数が増えるだけで見通しが立たない。

この章では、発想を逆にする。座標と同じ規則で変換する量に「4元ベクトル」という名前を付け、その規則を一度だけ確かめておく。そうしておけば、ある量が4元ベクトルだと分かった時点で変換則は自動的に決まり、内積をとれば不変量が得られる。

2つ以上の添字を持つ量(テンソル)にも同じ考え方を広げる。最後に、場の微分を同じ文法で扱えるようにする。

この章で作る道具の使い道を先に挙げておく。

  • 第5章では4元速度と4元運動量を定義し、E2=(pc)2+(mc2)2E^2=(pc)^2+(mc^2)^2 を4元運動量の内積として読む。
  • 第6章では電磁場を反対称テンソル FμνF^{\mu\nu} として扱い、そのエネルギー運動量テンソルを書く。
  • 第8章からは計量 ημν\eta_{\mu\nu} を、位置によって変わる gμνg_{\mu\nu} に置き換える。それでも添字の上げ下げ・縮約・テンソルの変換則は、この章の規則がそのまま使われる。

前の章から借りる結果は2つある。1つめは xx 方向のブーストである。

ct′=γ(ct−βx),x′=γ(x−βct),y′=y,z′=z(4.2)ct'=\gamma(ct-\beta x),\qquad x'=\gamma(x-\beta ct),\qquad y'=y,\qquad z'=z\tag{4.2}

ここで K′K' 系は、もとの系に対して速度 vx^v\hat{\bm{x}} で動く系である。記号は β=v/c\beta=v/c、γ=(1−β2)−1/2\gamma=(1-\beta^2)^{-1/2} である。2つめは、不変間隔 (4.1) がこの変換で値を変えないことである。

座標と添字

時空の点(事象)を4つの数で指定する。時間の座標に cc を掛けて長さの次元にそろえ、

xμ=(x0,x1,x2,x3)=(ct, x, y, z)(4.3)x^\mu=(x^0,x^1,x^2,x^3)=(ct,\,x,\,y,\,z)\tag{4.3}

と書く。添字 μ\mu は上付きであり、指数ではない。x2x^2 は yy 座標のことであり、2乗ではない。2乗を書きたいときは (x1)2(x^1)^2 のように括弧で包む。

添字の文字には次の約束を置く。

  • ギリシャ文字 μ,ν,ρ,σ,α,β,…\mu,\nu,\rho,\sigma,\alpha,\beta,\dots は0, 1, 2, 3を動く。
  • ラテン文字 i,j,k,…i,j,k,\dots は空間の成分1, 2, 3だけを動く。

3次元の位置ベクトルは太字で x=(x1,x2,x3)\bm{x}=(x^1,x^2,x^3) と書く。したがって xμ=(ct,x)x^\mu=(ct,\bm{x}) である。

ただし β\beta と γ\gamma は、ブーストの速さを表す記号として使い続ける。添字としての β\beta は文脈で区別する。この章では添字に β\beta を使う箇所でも、ブーストの速さと同じ式には並べない。

計量と不変間隔

不変間隔 (4.1) は、係数 +1,−1,−1,−1+1,-1,-1,-1 を対角に並べた行列

ημν=(10000−10000−10000−1)=diag(+1,−1,−1,−1)(4.4)\eta_{\mu\nu}=\begin{pmatrix}1&0&0&0\\0&-1&0&0\\0&0&-1&0\\0&0&0&-1\end{pmatrix} =\mathrm{diag}(+1,-1,-1,-1)\tag{4.4}

を使うと、

Δs2=∑μ=03∑ν=03ημν ΔxμΔxν(4.5)\Delta s^2=\sum_{\mu=0}^{3}\sum_{\nu=0}^{3}\eta_{\mu\nu}\,\Delta x^\mu\Delta x^\nu\tag{4.5}

と1つの式にまとまる。ημν\eta_{\mu\nu} を Minkowski 計量(または単に計量)と呼ぶ。名前は H. Minkowski に由来する。

(4.5) は、3次元の距離の2乗 ∑i(Δxi)2\sum_i(\Delta x^i)^2 を「長さを測る規則」とみなしたときの4次元版である。時間の方向と空間の方向とで符号が逆になっていることが、Euclid 空間との唯一の違いである。

この符号の付け方 (+,−,−,−)(+,-,-,-) は流儀の1つで、時間的な間隔で Δs2>0\Delta s^2>0 になる。逆の流儀 (−,+,+,+)(-,+,+,+) の本では、同じ式の符号がところどころ反転する。式を比べるときは、計量の流儀を先に確かめる必要がある。

総和規約

(4.5) の2つの ∑\sum は、書かなくても添字の形から読み取ることができる。そこで次の約束を置く。

定義 4.1(Einstein の総和規約)

1つの項の中に同じ添字が上付きで1回、下付きで1回現れたら、その添字について0から3まで(ラテン文字なら1から3まで)和をとる。和の記号 ∑\sum は書かない。

この約束のもとで、(4.5) は次のように書くことができる。

Δs2=ημνΔxμΔxν\Delta s^2=\eta_{\mu\nu}\Delta x^\mu\Delta x^\nu

和をとる添字(この例の μ,ν\mu,\nu)をダミー添字と呼ぶ。ダミー添字は和の変数なので、別の文字に取り替えても式の意味は変わらない。たとえば次の2つは同じ数である。

ημνΔxμΔxν=ηαβΔxαΔxβ\eta_{\mu\nu}\Delta x^\mu\Delta x^\nu=\eta_{\alpha\beta}\Delta x^\alpha\Delta x^\beta

これに対し、項の中に1回だけ現れる添字を自由添字と呼ぶ。自由添字は「この式が μ=0,1,2,3\mu=0,1,2,3 の4本の式をまとめたものである」ことを表す。

添字の式が正しく書けているかどうかは、次の3つの規則で機械的に点検することができる。

  1. 1つの項の中で、同じ添字は2回までしか現れない。2回現れるときは上下に1回ずつである。
  2. 等号や和でつながれたすべての項で、自由添字の文字と上下の位置が一致している。
  3. ダミー添字の文字は、同じ項の中のほかの添字と重ならないように選ぶ。

例を3つ挙げる。

  • aμ=bμcνdνa^\mu=b^\mu c_\nu d^\nu は正しい。右辺の ν\nu はダミー添字で、μ\mu は両辺で上の自由添字である。
  • aμ=bμa^\mu=b_\mu は規則2に反する。
  • aμbμcμa_\mu b^\mu c_\mu は規則1に反し、和をどう取るかが決まらない。

添字の式を書くときによく起きる誤り

  • 2つの式を掛けるとき、両方に同じダミー添字の文字が入っていると、規則1が破れる。たとえば a⋅b=aμbμa\cdot b=a_\mu b^\mu と c⋅d=cμdμc\cdot d=c_\mu d^\mu を掛ける。その積は、片方の文字を替えて aμbμcνdνa_\mu b^\mu c_\nu d^\nu と書く。
  • 上付き同士 aμbμa^\mu b^\mu の和は、この章の規則では定義しない。和をとりたいときは計量で片方を下げてから掛ける。
  • ημν\eta_{\mu\nu} は行列として書けるが、添字の式は行列の積の順序を気にしなくてよい。ημνaν\eta_{\mu\nu}a^\nu と aνημνa^\nu\eta_{\mu\nu} は同じ数である。

添字の上げ下げ

4元ベクトル aμa^\mu と計量から、下付きの添字を持つ組

aμ≔ημνaν=(a0, −a1, −a2, −a3)(4.6)a_\mu\coloneqq\eta_{\mu\nu}a^\nu=(a^0,\,-a^1,\,-a^2,\,-a^3)\tag{4.6}

を作る。aμa^\mu を反変成分、aμa_\mu を共変成分と呼ぶ。計量が対角なので、空間成分の符号が反転するだけである。逆に戻すには、ημν\eta_{\mu\nu} の逆行列 ημν\eta^{\mu\nu} を使う。ημν\eta_{\mu\nu} は対角成分が ±1\pm1 なので逆行列も同じ成分を持ち、

ημληλν=δμν,ημν=diag(+1,−1,−1,−1)(4.7)\eta^{\mu\lambda}\eta_{\lambda\nu}=\delta^\mu{}_\nu,\qquad \eta^{\mu\nu}=\mathrm{diag}(+1,-1,-1,-1)\tag{4.7}

を満たす。ここで δμν\delta^\mu{}_\nu は Kronecker のデルタである。添字が等しいとき1、それ以外で0をとる。(4.7) を使うと、確かにもとの成分に戻る。

ημνaν=ημνηνλaλ=δμλaλ=aμ\eta^{\mu\nu}a_\nu=\eta^{\mu\nu}\eta_{\nu\lambda}a^\lambda=\delta^\mu{}_\lambda a^\lambda=a^\mu

最後の等号では、Kronecker のデルタとの縮約が「添字の文字を λ\lambda から μ\mu に付け替える」操作になることを使った。

2つの4元ベクトルの内積を

a⋅b≔ημνaμbν=aμbμ=aμbμ=a0b0−a⋅b(4.8)a\cdot b\coloneqq\eta_{\mu\nu}a^\mu b^\nu=a_\mu b^\mu=a^\mu b_\mu=a^0b^0-\bm{a}\cdot\bm{b}\tag{4.8}

と定める。中央の2つの等号は、(4.6) と、ημν\eta_{\mu\nu} が対称であることから従う。右辺の a⋅b\bm{a}\cdot\bm{b} は3次元の内積であり、点で書いた4次元の内積とは記号の文脈で区別する。

a⋅aa\cdot a を aa のノルムと呼ぶ。Euclid 空間と違って、ノルムは負にも0にもなりうる。第3章 §3.2 で座標差について述べた分類は、任意の4元ベクトルに対して同じように定める。

  • a⋅a>0a\cdot a>0 なら時間的。
  • a⋅a=0a\cdot a=0 なら光的。
  • a⋅a<0a\cdot a<0 なら空間的。

なぜ2種類の成分が要るのか

上付きと下付きの区別は、計量の符号に由来する技術的な都合に見えるかもしれない。しかし実際には、基底が直交していないときにはいつでも現れる、より一般的な区別である。

図4.1 の2次元の Euclid 平面で、互いに直交しない基底 e1,e2\bm{e}_1,\bm{e}_2 をとる。2種類の成分は次のように読む。

  • 反変成分:ベクトルを a=a1e1+a2e2\bm{a}=a^1\bm{e}_1+a^2\bm{e}_2 と書いたときの係数である。基底に平行に射影して読む(平行四辺形の辺の長さ)。
  • 共変成分:ベクトルと基底との内積 ai≔a⋅eia_i\coloneqq\bm{a}\cdot\bm{e}_i である。基底に垂直に射影して読む。

2つの組は

ai=a⋅ei=aj ej⋅ei=gij aj,gij≔ei⋅ej(4.9)a_i=\bm{a}\cdot\bm{e}_i=a^j\,\bm{e}_j\cdot\bm{e}_i=g_{ij}\,a^j,\qquad g_{ij}\coloneqq\bm{e}_i\cdot\bm{e}_j\tag{4.9}

で結ばれる。基底どうしの内積を並べた行列 gijg_{ij} が計量であり、添字を下げる操作はこの行列を掛けることにほかならない。正規直交基底では gij=δijg_{ij}=\delta_{ij} になり、2種類の成分は一致する。3次元の物理で両者を区別しなかったのはこのためである。

Minkowski 時空では、慣性系の基底 e0,e1,e2,e3e_0,e_1,e_2,e_3 は「4次元の内積」(4.8) について互いに直交している。しかし長さの2乗の符号が違い、e0⋅e0=+1e_0\cdot e_0=+1、ei⋅ei=−1e_i\cdot e_i=-1 である。そのため gμν=eμ⋅eν=ημνg_{\mu\nu}=e_\mu\cdot e_\nu=\eta_{\mu\nu} が単位行列にならず、反変成分と共変成分が空間成分の符号の分だけずれる。

第8章で曲がった時空を扱うと、基底は位置ごとに斜交し、計量 gμνg_{\mu\nu} は対角ですらなくなる。そのときも (4.9) の関係はそのまま成り立つ。

図

図 4.1 斜交する基底での2種類の成分(単位長さの基底の場合)。破線は基底に平行な射影で、これで反変成分 a1,a2a^1,a^2 を読む。点線は基底に垂直な射影で、これで共変成分 ai=a⋅eia_i=\bm{a}\cdot\bm{e}_i を読む。基底が直交していれば2本の線は重なる。

例題 4.1 添字の式の計算 ★★

オリジナル4元ベクトル aμ=(3, 1, 2, 0)a^\mu=(3,\,1,\,2,\,0)、bμ=(2, 0, 1, 1)b^\mu=(2,\,0,\,1,\,1) を考える。

  1. 共変成分 aμa_\mu、bμb_\mu を書け。
  2. 次の3つの内積を求めよ。

a⋅a,b⋅b,a⋅ba\cdot a,\qquad b\cdot b,\qquad a\cdot b

2つのベクトルが、それぞれ時間的・光的・空間的のどれかを判定せよ。3. ημνημν\eta^{\mu\nu}\eta_{\mu\nu} と δμμ\delta^\mu{}_\mu を求めよ。

解答
  1. (4.6) により、空間成分の符号を反転する。

aμ=(3, −1, −2, 0),bμ=(2, 0, −1, −1).a_\mu=(3,\,-1,\,-2,\,0),\qquad b_\mu=(2,\,0,\,-1,\,-1). 2. 内積は aμbμa_\mu b^\mu の形で、成分ごとに掛けて足せばよい。

a⋅a=aμaμ=3⋅3+(−1)⋅1+(−2)⋅2+0⋅0=9−1−4=4,a\cdot a=a_\mu a^\mu=3\cdot3+(-1)\cdot1+(-2)\cdot2+0\cdot0=9-1-4=4,

b⋅b=2⋅2+0⋅0+(−1)⋅1+(−1)⋅1=4−0−1−1=2,b\cdot b=2\cdot2+0\cdot0+(-1)\cdot1+(-1)\cdot1=4-0-1-1=2,

a⋅b=aμbμ=3⋅2+(−1)⋅0+(−2)⋅1+0⋅1=6−0−2+0=4.a\cdot b=a_\mu b^\mu=3\cdot2+(-1)\cdot0+(-2)\cdot1+0\cdot1=6-0-2+0=4.

a⋅a=4>0a\cdot a=4>0、b⋅b=2>0b\cdot b=2>0 なので、2つとも時間的である。3. ημνημν\eta^{\mu\nu}\eta_{\mu\nu} は2つのダミー添字について和をとる。対角成分以外は 00 なので

ημνημν=∑μ=03ημμημμ=(+1)2+(−1)2+(−1)2+(−1)2=4.\eta^{\mu\nu}\eta_{\mu\nu}=\sum_{\mu=0}^{3}\eta^{\mu\mu}\eta_{\mu\mu}=(+1)^2+(-1)^2+(-1)^2+(-1)^2=4.

別の見方をすると、これは (4.7) で ν\nu を μ\mu に合わせて和をとった量と同じである。

ημληλμ=δμμ\eta^{\mu\lambda}\eta_{\lambda\mu}=\delta^\mu{}_\mu

δμμ=δ00+δ11+δ22+δ33=4\delta^\mu{}_\mu=\delta^0{}_0+\delta^1{}_1+\delta^2{}_2+\delta^3{}_3=4 は時空の次元に等しい。

確認テスト

オリジナル

  1. 4.1-1 次の式のうち、添字の規則に反しているものを選び、どの規則に反するかを答えよ。

(a) aμ=ημνbν(b) aμ=bμcνdν(c) aμ=bνcνdν(d) aμ=bμ\text{(a)}\ a^\mu=\eta^{\mu\nu}b_\nu\qquad \text{(b)}\ a_\mu=b_\mu c^\nu d_\nu\qquad \text{(c)}\ a^\mu=b_\nu c^\nu d^\nu\qquad \text{(d)}\ a_\mu=b^\mu 2. 4.1-2 aμ=(5, 4, 0, 3)a^\mu=(5,\,4,\,0,\,3)、bμ=(1, 1, 1, 1)b^\mu=(1,\,1,\,1,\,1) とする。次の4つの内積を求めよ。

a⋅a,b⋅b,a⋅b,(a+b)⋅(a+b)a\cdot a,\qquad b\cdot b,\qquad a\cdot b,\qquad (a+b)\cdot(a+b)

さらに、次の式が成り立つことを数値で確かめよ。

(a+b)⋅(a+b)=a⋅a+2 a⋅b+b⋅b(a+b)\cdot(a+b)=a\cdot a+2\,a\cdot b+b\cdot b 3. 4.1-3 δμνδνμ\delta^\mu{}_\nu\delta^\nu{}_\mu と ημνηνληλρηρμ\eta_{\mu\nu}\eta^{\nu\lambda}\eta_{\lambda\rho}\eta^{\rho\mu} を求めよ。4. 4.1-4 任意の4元ベクトル a,ba,b について、aμbμ=aμbμa_\mu b^\mu=a^\mu b_\mu を証明せよ。計量の対称性 ημν=ηνμ\eta_{\mu\nu}=\eta_{\nu\mu} を使ってよい。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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