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線形化した重力と重力波

2026年10月15日18分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第13章 ブラックホールと重力波
目次
  1. 線形化
  2. 座標の取り替えとゲージ
  3. 調和ゲージと波動方程式
  4. 真空中の平面波と TT ゲージ
  5. 重力波が粒子に及ぼす効果
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第13章 §13.3 ★★★ 計量を平らな計量と小さなずれ hμνh_{\mu\nu} に分けると、真空の Einstein 方程式は hh の波動方程式になり、座標の自由度を除くと2つの偏光が残る

線形化

時空がほぼ平らで、ある座標で計量が

gμν=ημν+hμν,∣hμν∣≪1(13.22)g_{\mu\nu}=\eta_{\mu\nu}+h_{\mu\nu},\qquad|h_{\mu\nu}|\ll1\tag{13.22}

と書ける場合を考える。hh の2次以上を落とし、1次まで残す。逆計量は

gμν=ημν−hμνg^{\mu\nu}=\eta^{\mu\nu}-h^{\mu\nu}

である(gμλgλν=δμν+O(h2)g^{\mu\lambda}g_{\lambda\nu}=\delta^\mu{}_\nu+O(h^2) を確かめればよい)。hh の添字の上げ下げは η\eta で行う。トレースを h≡ημνhμνh\equiv\eta^{\mu\nu}h_{\mu\nu} と書く。第9章 §9.2 の弱い場の計量と、第11章で求めた空間成分

g00≃1+2Φc2,gij=−(1−2Φc2)δijg_{00}\simeq1+\frac{2\Phi}{c^2},\qquad g_{ij}=-\Bigl(1-\frac{2\Phi}{c^2}\Bigr)\delta_{ij}

はこの形で、h00=2Φ/c2h_{00}=2\Phi/c^2、hij=(2Φ/c2)δijh_{ij}=(2\Phi/c^2)\delta_{ij} である。

Christoffel 記号は hh の1次の量なので、∂g=∂h\partial g=\partial h で

Γρμν=12ηρσ(∂μhσν+∂νhσμ−∂σhμν)\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}=\frac12\eta^{\rho\sigma}\bigl(\partial_\mu h_{\sigma\nu}+\partial_\nu h_{\sigma\mu}-\partial_\sigma h_{\mu\nu}\bigr)

である。Riemann テンソル (13.2) の ΓΓ\Gamma\Gamma の項は2次なので落ちる。第1添字を η\eta で下げて Γρνσ=12(∂νhρσ+∂σhρν−∂ρhνσ)\Gamma_{\rho\nu\sigma}=\frac12(\partial_\nu h_{\rho\sigma}+\partial_\sigma h_{\rho\nu}-\partial_\rho h_{\nu\sigma}) と書くと

Rρσμν=∂μΓρνσ−∂νΓρμσ=12(∂μ∂νhρσ+∂μ∂σhρν−∂μ∂ρhνσ−∂ν∂μhρσ−∂ν∂σhρμ+∂ν∂ρhμσ)R_{\rho\sigma\mu\nu}=\partial_\mu\Gamma_{\rho\nu\sigma}-\partial_\nu\Gamma_{\rho\mu\sigma} =\frac12\bigl(\partial_\mu\partial_\nu h_{\rho\sigma}+\partial_\mu\partial_\sigma h_{\rho\nu}-\partial_\mu\partial_\rho h_{\nu\sigma} -\partial_\nu\partial_\mu h_{\rho\sigma}-\partial_\nu\partial_\sigma h_{\rho\mu}+\partial_\nu\partial_\rho h_{\mu\sigma}\bigr)

で、第1項と第4項が消えて

Rρσμν=12(∂μ∂σhρν+∂ν∂ρhσμ−∂μ∂ρhσν−∂ν∂σhρμ)(13.23)R_{\rho\sigma\mu\nu}=\frac12\bigl(\partial_\mu\partial_\sigma h_{\rho\nu}+\partial_\nu\partial_\rho h_{\sigma\mu}-\partial_\mu\partial_\rho h_{\sigma\nu}-\partial_\nu\partial_\sigma h_{\rho\mu}\bigr)\tag{13.23}

を得る。Ricci テンソル Rμν=ηραRαμρνR_{\mu\nu}=\eta^{\rho\alpha}R_{\alpha\mu\rho\nu} は、(13.23) の添字を (ρ,σ,μ,ν)→(α,μ,ρ,ν)(\rho,\sigma,\mu,\nu)\to(\alpha,\mu,\rho,\nu) と付け替えて縮約し

Rμν=12(∂μ∂αhαν+∂ν∂αhαμ−□hμν−∂μ∂νh),□≡∂α∂α=1c2∂2∂t2−∇2(13.24)R_{\mu\nu}=\frac12\bigl(\partial_\mu\partial^\alpha h_{\alpha\nu}+\partial_\nu\partial^\alpha h_{\alpha\mu}-\Box h_{\mu\nu}-\partial_\mu\partial_\nu h\bigr),\qquad \Box\equiv\partial^\alpha\partial_\alpha=\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2}-\nabla^2\tag{13.24}

となる。静的な弱い場では R00=12∇2h00=∇2Φ/c2R_{00}=\frac12\nabla^2h_{00}=\nabla^2\Phi/c^2 で、第11章 §11.2 の R00≃∇2Φ/c2R_{00}\simeq\nabla^2\Phi/c^2 に一致する。

座標の取り替えとゲージ

hμνh_{\mu\nu} は座標を選ぶと決まる量で、同じ時空でも座標を少し変えると変わる。座標を x′μ=xμ+ξμ(x)x'^\mu=x^\mu+\xi^\mu(x) と微小にずらす。ずらし ξ\xi とその微分は、hh と同程度に小さいとする。計量の変換則(第8章 §8.2)gμν(x)=(∂x′α/∂xμ)(∂x′β/∂xν)gαβ′(x′)g_{\mu\nu}(x)=(\partial x'^\alpha/\partial x^\mu)(\partial x'^\beta/\partial x^\nu)g'_{\alpha\beta}(x') に ∂x′α/∂xμ=δαμ+∂μξα\partial x'^\alpha/\partial x^\mu=\delta^\alpha{}_\mu+\partial_\mu\xi^\alpha を入れ、1次まで残すと

ημν+hμν=ημν+hμν′+∂μξν+∂νξμ\eta_{\mu\nu}+h_{\mu\nu}=\eta_{\mu\nu}+h'_{\mu\nu}+\partial_\mu\xi_\nu+\partial_\nu\xi_\mu

である。ここで g′(x′)g'(x') を g′(x)g'(x) に置き換えた。その差は ξ⋅∂h′\xi\cdot\partial h' の程度で、2次の量である。よって

hμν′=hμν−∂μξν−∂νξμ(13.25)h'_{\mu\nu}=h_{\mu\nu}-\partial_\mu\xi_\nu-\partial_\nu\xi_\mu\tag{13.25}

である。これは電磁気のゲージ変換 Aμ→Aμ−∂μχA_\mu\to A_\mu-\partial_\mu\chi と同じ構造である。hh のうち ∂μξν+∂νξμ\partial_\mu\xi_\nu+\partial_\nu\xi_\mu の形の部分は座標の取り方だけを表し、物理的な意味をもたない。

命題 13.6(線形化した Riemann テンソルのゲージ不変性 ★★)

(13.23) の RρσμνR_{\rho\sigma\mu\nu} は、変換 (13.25) で変わらない。

証明

(13.23) は hh について線形なので、hμν=∂μξν+∂νξμh_{\mu\nu}=\partial_\mu\xi_\nu+\partial_\nu\xi_\mu を入れて 0 になることを示せばよい(確認テスト 13.3-4)。

曲率が変わらないことから、座標の揺れだけの hh(Riemann テンソルが 0)は重力波ではない。電磁気では場 FμνF_{\mu\nu} が観測量で、ポテンシャル AμA_\mu は観測量でない。同じく線形化した重力では RρσμνR_{\rho\sigma\mu\nu} が観測量である。

調和ゲージと波動方程式

(13.24) は、トレースを反転した量

hˉμν≡hμν−12ημνh,hˉ=−h(13.26)\bar h_{\mu\nu}\equiv h_{\mu\nu}-\frac12\eta_{\mu\nu}h,\qquad \bar h=-h\tag{13.26}

を使うと簡単になる(ημνημν=4\eta^{\mu\nu}\eta_{\mu\nu}=4 から hˉ=h−2h=−h\bar h=h-2h=-h)。Dν≡∂αhˉανD_\nu\equiv\partial^\alpha\bar h_{\alpha\nu} と書く。∂αhαν=Dν+12∂νh\partial^\alpha h_{\alpha\nu}=D_\nu+\frac12\partial_\nu h なので、(13.24) の ∂μ∂νh\partial_\mu\partial_\nu h の項が打ち消し合って

Rμν=12(∂μDν+∂νDμ−□hμν)(13.27)R_{\mu\nu}=\frac12\bigl(\partial_\mu D_\nu+\partial_\nu D_\mu-\Box h_{\mu\nu}\bigr)\tag{13.27}

となる。

ゲージ変換 (13.25) で DνD_\nu は Dν′=Dν−□ξνD'_\nu=D_\nu-\Box\xi_\nu と変わる(確認テスト 13.3-2)。したがって □ξν=Dν\Box\xi_\nu=D_\nu を解いて ξ\xi を選べば、新しい座標で

∂αhˉαν=0(13.28)\partial^\alpha\bar h_{\alpha\nu}=0\tag{13.28}

にできる。この条件を調和ゲージ(Lorenz ゲージとも呼ぶ)と呼ぶ。電磁気の Lorenz 条件 ∂μAμ=0\partial_\mu A^\mu=0 に対応する条件である。

調和ゲージでは Rμν=−12□hμνR_{\mu\nu}=-\frac12\Box h_{\mu\nu} である。κ=8πG/c4\kappa=8\pi G/c^4 と書くと、トレース反転した Einstein 方程式 (13.4) は1次で

−12□hμν=κ(Tμν−12ημνT)-\frac12\Box h_{\mu\nu}=\kappa\Bigl(T_{\mu\nu}-\frac12\eta_{\mu\nu}T\Bigr)

となる。源の TμνT_{\mu\nu} はすでに1次の小ささなので、右辺の計量を η\eta に置き換えてよい。両辺のトレースを反転すると、次の形にまとまる。

定理 13.7(線形化した Einstein 方程式 ★★★)

調和ゲージ (13.28) で、Einstein 方程式は hh の1次で

□hˉμν=−16πGc4 Tμν(13.29)\Box\bar h_{\mu\nu}=-\frac{16\pi G}{c^4}\,T_{\mu\nu}\tag{13.29}

になる。符号 (−,+,+,+)(-,+,+,+) の流儀の本では、ダランベルシアンと hˉ\bar h の符号がともに逆になり、式の形は同じである。

証明

−12□hμν=κ(Tμν−12ημνT)-\frac12\Box h_{\mu\nu}=\kappa(T_{\mu\nu}-\frac12\eta_{\mu\nu}T) のトレースをとると −12□h=κ(T−2T)=−κT-\frac12\Box h=\kappa(T-2T)=-\kappa T である。これに 12ημν\frac12\eta_{\mu\nu} を掛けて元の式から引くと

−12□(hμν−12ημνh)=κ(Tμν−12ημνT)+12ημνκT=κTμν-\frac12\Box\Bigl(h_{\mu\nu}-\frac12\eta_{\mu\nu}h\Bigr)=\kappa\Bigl(T_{\mu\nu}-\frac12\eta_{\mu\nu}T\Bigr)+\frac12\eta_{\mu\nu}\kappa T=\kappa T_{\mu\nu}

となり、□hˉμν=−2κTμν\Box\bar h_{\mu\nu}=-2\kappa T_{\mu\nu} を得る。

静的な弱い場で確かめる。h00=hii=2Φ/c2h_{00}=h_{ii}=2\Phi/c^2(i=1,2,3i=1,2,3)とすると

h=2Φc2−3⋅2Φc2=−4Φc2,hˉ00=4Φc2,hˉij=0\begin{aligned}h&=\frac{2\Phi}{c^2}-3\cdot\frac{2\Phi}{c^2}=-\frac{4\Phi}{c^2},\\ \bar h_{00}&=\frac{4\Phi}{c^2},\qquad \bar h_{ij}=0\end{aligned}

である。(13.29) の 00 成分は

−∇24Φc2=−16πGρc2c4-\nabla^2\frac{4\Phi}{c^2}=-\frac{16\pi G\rho c^2}{c^4}

で、Poisson 方程式 ∇2Φ=4πGρ\nabla^2\Phi=4\pi G\rho に一致する。圧力は ρc2\rho c^2 より小さいので、TijT_{ij} は小さい。これは hˉij=0\bar h_{ij}=0 と整合する。作用(Einstein–Hilbert 作用を hh の2次まで展開したもの)から (13.29) を導く道は、虎の巻『解析力学から様々な理論分野を組み立てる』第2部第18章にある。

真空中の平面波と TT ゲージ

真空(Tμν=0T_{\mu\nu}=0)では (13.29) は □hˉμν=0\Box\bar h_{\mu\nu}=0 で、各成分が光速で伝わる波動方程式に従う。重力の変化は光速で伝わる。平面波の解

hˉμν=Aμνcos⁡(kαxα),kαkα=0,kαAαν=0(13.30)\bar h_{\mu\nu}=A_{\mu\nu}\cos(k_\alpha x^\alpha),\qquad k_\alpha k^\alpha=0,\qquad k^\alpha A_{\alpha\nu}=0\tag{13.30}

を考える。1つ目の条件が波動方程式、2つ目が調和ゲージ (13.28) である。AμνA_{\mu\nu} は対称で10成分、調和ゲージの4条件で6成分が残る。

調和ゲージを保つ座標の取り替えはまだ残っている。Dν′=Dν−□ξνD'_\nu=D_\nu-\Box\xi_\nu なので、□ξν=0\Box\xi_\nu=0 を満たすずらしなら調和ゲージは崩れない。ξν=Bνsin⁡(kαxα)\xi_\nu=B_\nu\sin(k_\alpha x^\alpha) の形の4つの自由度で、さらに4つの条件

h0μ=0,h≡hμμ=0(13.31)h_{0\mu}=0,\qquad h\equiv h^\mu{}_\mu=0\tag{13.31}

を課すことができる(h=0h=0 なので hˉμν=hμν\bar h_{\mu\nu}=h_{\mu\nu})。この座標を TT ゲージ(transverse–traceless)と呼ぶ。h0μ=0h_{0\mu}=0 と調和ゲージを合わせると ∂jhjk=0\partial^jh_{jk}=0 で、波は進行方向に垂直な成分だけをもつ(横波)。残る自由度は 10−4−4=210-4-4=2 である。

zz の向きに進む波 kμ=(ω/c)(1,0,0,1)k^\mu=(\omega/c)(1,0,0,1) を考える。横波の条件から h3μ=0h_{3\mu}=0 で、トレースが 0 なので h11=−h22h_{11}=-h_{22} である。独立な成分は h11h_{11} と h12h_{12} の2つで、線素は次の形になる。

命題 13.8(重力波の2つの偏光 ★★★)

zz の向きに進む重力波の TT ゲージの線素は

ds2=c2dt2−(1+h+)dx2−(1−h+)dy2−2h× dx dy−dz2(13.32)\mathrm{d} s^2=c^2\mathrm{d} t^2-\bigl(1+h_+\bigr)\mathrm{d} x^2-\bigl(1-h_+\bigr)\mathrm{d} y^2-2h_\times\,\mathrm{d} x\,\mathrm{d} y-\mathrm{d} z^2\tag{13.32}

である。ここで2つの振幅 h+h_+、h×h_\times を、それぞれプラス偏光、クロス偏光の振幅と呼ぶ。どちらも t−z/ct-z/c の関数である。この本の計量の流儀では、成分との関係は

h11=−h+,h22=h+,h12=−h×h_{11}=-h_+,\qquad h_{22}=h_+,\qquad h_{12}=-h_\times

である。

2つの振幅は線素から定義したので、h+>0h_+>0 は xx の向きの距離が伸びることを表す。(−,+,+,+)(-,+,+,+) の本では h11=+h+h_{11}=+h_+ と書く。成分 h11h_{11} の符号だけがこの本と逆になり、2つの振幅の意味は同じである。

この平面波の Riemann テンソル (13.23) は 0 でなく、Ricci テンソル (13.24) は 0 である。重力波は真空の Einstein 方程式 Rμν=0R_{\mu\nu}=0 を満たしたまま伝わる時空の曲がりである。

重力波が粒子に及ぼす効果

TT ゲージの座標に静止した自由粒子は、重力波が来ても静止したままである。静止した粒子では、測地線の方程式の空間成分は d2xi/dτ2=−Γi00c2\mathrm{d}^2x^i/\mathrm{d}\tau^2=-\Gamma^i{}_{00}c^2 である。h0μ=0h_{0\mu}=0 なので

Γi00=12ηij(2∂0hj0−∂jh00)=0\Gamma^i{}_{00}=\frac12\eta^{ij}\bigl(2\partial_0h_{j0}-\partial_jh_{00}\bigr)=0

で、粒子は加速しない。TT ゲージは、自由粒子に貼りついて動く座標になっている。それでも粒子間の固有の距離は変わる。xx 軸上の原点と x=Lx=L に置いた2つの粒子の距離は、(13.32) から

L固有=∫0L1+h+ dx≃L(1+12h+)(13.33)L_{\mathrm{固有}}=\int_0^L\sqrt{1+h_+}\,\mathrm{d} x\simeq L\Bigl(1+\frac12h_+\Bigr)\tag{13.33}

で、h+h_+ とともに振動する。yy の向きの距離は L(1−h+/2)L(1-h_+/2) で、逆の位相で振動する。

同じ結果は測地線偏差の方程式からも得られる。TT ゲージで (13.23) の Ri0j0R_{i0j0} を計算すると、h0μ=0h_{0\mu}=0 なので最後の項だけが残る。添字を上げた形まで書くと

Ri0j0=−12∂02hij,Ri0j0=12∂02hijR_{i0j0}=-\frac12\partial_0^2h_{ij},\qquad R^i{}_{0j0}=\frac12\partial_0^2h_{ij}

である。ゆっくり動く粒子どうしの偏差について (13.3) の空間成分は(第10章 §10.2 と同じ手順で)

d2ξidt2=−c2Ri0j0 ξj=12 ∂2h^ij∂t2 ξj,h^≡(h+h×h×−h+)(13.34)\frac{\mathrm{d}^2\xi^i}{\mathrm{d} t^2}=-c^2R^i{}_{0j0}\,\xi^j=\frac12\,\frac{\partial^2\hat h_{ij}}{\partial t^2}\,\xi^j,\qquad \hat h\equiv\begin{pmatrix}h_+&h_\times\\ h_\times&-h_+\end{pmatrix}\tag{13.34}

となる。ここで ξi\xi^i は局所慣性系で測った偏差、h^ij=−hij\hat h_{ij}=-h_{ij} は線素から読んだ空間の伸び縮みである。偏差の変化は小さいので、右辺の ξj\xi^j を初めの値 ξ0j\xi^j_0 で置き換えて2回積分すると

ξi=ξ0i+12h^ij ξ0j\xi^i=\xi^i_0+\frac12\hat h_{ij}\,\xi^j_0

で、(13.33) と一致する。

円形に並べた粒子の輪で見ると、2つの偏光の変形は次のとおりである(図 13.3)。

  • プラス偏光は、輪を xx の向きと yy の向きに交互に引き伸ばす。
  • クロス偏光は、45∘45^\circ 傾いた向きに同じ変形をする。

座標を zz 軸のまわりに回すと、(h+,h×)(h_+,h_\times) は回した角の2倍だけ回る(確認テスト 13.3-3)。90∘90^\circ 回すと同じ変形に戻るので、重力波はスピン2の波である。進行方向の向きの成分が無いこと(横波)は、(13.34) で h^3j=0\hat h_{3j}=0 に対応する。

図

図 13.3 zz の向きに進む重力波を受けた、xyxy 面の円形の粒子の輪の変形(1周期の4つの時刻。変形は大きく誇張してある)。上がプラス偏光 h+=hsin⁡ωth_+=h\sin\omega t、下がクロス偏光で、クロス偏光の変形はプラス偏光を 45∘45^\circ 回したものである。

例題 13.4 レーザー干渉計で測る腕の長さの変化 ★★

オリジナル腕の長さ L=4 kmL=4\,\mathrm{km} の2本の腕を、直角に置いた干渉計がある。腕は xx 軸と yy 軸に沿っている。この干渉計に、zz の向きから振幅 h+=1.0×10−21h_+=1.0\times10^{-21} のプラス偏光の重力波が来る。

  1. 各腕の長さの変化の最大値と、2本の腕の長さの差の最大値を求めよ。陽子の半径 0.84×10−15 m0.84\times10^{-15}\,\mathrm m と比べよ。
  2. 同じ波がクロス偏光(h×=1.0×10−21h_\times=1.0\times10^{-21}、h+=0h_+=0)であれば、腕の長さの差はどうなるか。
解答
  1. (13.33) から、xx の腕の伸びは

12h+L=12×10−21×4×103 m=2.0×10−18 m\frac12h_+L=\frac12\times10^{-21}\times4\times10^3\,\mathrm m=2.0\times10^{-18}\,\mathrm m

で、同じとき yy の腕は同じだけ縮む。差は h+L=4.0×10−18 mh_+L=4.0\times10^{-18}\,\mathrm m で、陽子の半径の約 1/210 である。2本の腕が逆の位相で伸び縮みするので、腕の長さの差を光の干渉で測る配置にすると、片方の腕だけを測るより2倍の信号が得られる。2. クロス偏光では、(13.32) の dx2\mathrm{d} x^2 と dy2\mathrm{d} y^2 の係数が 1 のままである。したがって2つの座標軸に沿った腕の長さは1次で変わらず、差は 0 である。伸び縮みは 45∘45^\circ の向きに起きる。1台の L 字型の干渉計は1つの偏光の組み合わせにしか感じないので、偏光を分けて測るには向きの違う複数の検出器が要る。

確認テスト

オリジナル

  1. 13.3-1 重力波の独立な成分が2つになる数え方 10−4−4=210-4-4=2 の3つの数が、それぞれ何に由来するかを述べよ。
  2. 13.3-2 ゲージ変換 (13.25) で hˉμν\bar h_{\mu\nu} がどう変わるかを求めよ。さらに Dν=∂αhˉανD_\nu=\partial^\alpha\bar h_{\alpha\nu} が Dν′=Dν−□ξνD'_\nu=D_\nu-\Box\xi_\nu と変わることを示せ。
  3. 13.3-3 回転の行列を R(θ)R(\theta) と書く。座標を zz 軸のまわりに角 θ\theta 回すと、(13.34) の行列は

h^ → R(θ)Th^R(θ)\hat h\ \to\ R(\theta)^{\mathsf T}\hat hR(\theta)

に変わる。新しい振幅 h+′h_+'、h×′h_\times' を求めよ。θ=45∘\theta=45^\circ でプラス偏光がクロス偏光に移ることを確かめよ。4. 13.3-4 (13.23) に hμν=∂μξν+∂νξμh_{\mu\nu}=\partial_\mu\xi_\nu+\partial_\nu\xi_\mu を入れると 0 になることを示せ(命題 13.6 の証明)。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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