応用数学入門 第4章 §4.5 ★ 偶関数化が使えない奇数次の xn+1 型には唯一の道具
∫0∞xn+1dx のように、分母が zn だけで書けて、区間が [0,∞) である型を考える。n が偶数なら被積分関数は偶関数なので 21∫−∞∞ に直して半円法(§4.3)が使えるが、n が奇数だと偶関数でないためこの書き換えが許されず、半円法は最初の一手で行き詰まる。この場合に使うのが偏角 2π/n の扇形である。
扇形が働く理由は、z↦e2πi/nz という回転で分母 zn+1 が不変になることにある。角度 2π/n だけ回した半直線の上では被積分関数が元の実軸上の値と同じになるので、戻りの辺の積分が元の積分の定数倍になり、二辺をまとめて一つの未知数 I について解ける。
要点
扇形法の定石(f(z)=1/(zn+1)、n≥2) ★
- 1. 経路:原点から実軸を R まで進み、半径 R の円弧を偏角 2π/n まで回り、半直線 argz=2π/n を原点へ戻る(反時計回り)。
- 2. 内部の極は 1 個:zn=−1 の根のうち 0<argz<2π/n にあるのはz0=eiπ/n だけである。留数はResz=z0f=nz0n−11=nz0nz0=−neiπ/n(z0n=−1 を使った)。
- 3. 円弧は消える:∣z∣=R で ∣zn+1∣≥Rn−1 だから∫弧≤Rn−1(2π/n)R→0(R→∞、n≥2)。
- 4. 戻りの辺:z=te2πi/n(t:R→0)と置くと zn=tn、dz=e2πi/ndt なので戻りの辺は −e2πi/nI になる。
- 5. 解く:(1−e2πi/n)I=2πi(−eiπ/n/n)。左辺を 1−e2πi/n=−eiπ/n⋅2isin(π/n) と書き直すと eiπ/n が約せて
∫0∞xn+1dx=nsin(π/n)π
この閉じた式は二通りに検算できる。n=2 とすると π/(2sin(π/2))=π/2 で、初等的に分かる ∫0∞dx/(x2+1)=[arctanx]0∞=π/2 に一致する。また n→∞ では被積分関数が [0,1) で 1、(1,∞) で 0 に各点収束するので積分値は 1 に近づくはずで、実際 π/(nsin(π/n))→π/(n⋅π/n)=1 となる。(検算スクリプト で n=3,4,5,6 を SymPy により確認。)
例題 4.5(扇形が唯一の道になる例:奇数次 ★)
オリジナル∫0∞x3+1dx を求めよ。
解答
1/(x3+1) は偶関数ではないので ∫0∞=21∫−∞∞ とは書けず、半円法は使えない(そもそも x=−1 で分母が 0 になり、実軸全体の積分が発散する)。そこで偏角 2π/3 の扇形を取る。内部の極は z0=eiπ/3 のみで、Res=−eiπ/3/3。円弧は (2π/3)R/(R3−1)→0 で消え、戻りの辺は −e2πi/3I だから
(1−e2πi/3)I=2πi(−3eiπ/3).
1−e2πi/3=−eiπ/3⋅2isin(π/3) を代入して eiπ/3 と i を約すと
I=3sin(π/3)π=3⋅23π=332π=923π≈1.2092.
(検算スクリプト で確認。)
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com