応用数学入門 第10章 §10.1 ★ 変換が「和 → 積分」で生まれる背景。規約の違いに注意。
前章では周期 T の関数を扱った。では、周期をもたない(つまり T→∞ の)関数はどうすればよいか。答えは「離散的だった振動数 nω0 を連続変数にする」ことである。この極限操作からフーリエ変換が自然に現れる。本章ではさらに、デルタ関数・符号関数・主値といった、第 3 章の逆ラプラス変換で不可欠になる道具も準備する。
複素フーリエ級数とその係数を再掲する:
f(t)=n=−∞∑∞cneiωnt,cn=T1∫−T/2T/2f(t′)e−iωnt′dt′,ωn:=nω0=T2πn.
隣り合う振動数の間隔は Δω=ωn+1−ωn=T2π である。cn を代入して f を書き下し、T1=2πΔω を用いると
f(t)=n=−∞∑∞2πΔω[∫−T/2T/2f(t′)e−iωnt′dt′]eiωnt.
ここで T→∞ とすると、Δω→0 となり、ωn を渡る和は ω に関するリーマン和 → 積分に移行する(これは前章の直交性と並ぶ、本書で繰り返し使う極限操作である)。振動数の関数
f^(ω):=∫−∞∞f(t′)e−iωt′dt′
を定義すれば、上の極限は次の対を与える。
定義
定義 (フーリエ変換と反転公式 ★★★)
f^(ω)=F[f](ω)=∫−∞∞f(t)e−iωtdtf(t)=2π1∫−∞∞f^(ω)eiωtdω
前者をフーリエ変換、後者を逆フーリエ変換(反転公式)という。係数 2π1 は、級数のときの T1 が極限で 2πΔω になった名残である。
落とし穴
規約について(流儀の違いに注意).
2π1 をどちらに置くか、指数の符号をどちらにとるかには流儀がある。本書は「順変換に e−iωt、逆変換に前係数 2π1」という物理で標準的な非対称規約を用いる。
これに対し、問題によっては、前係数を 2π1 ずつ両側に振り分けた対称規約
F(k)=2π1∫−∞∞f(x)e−ikxdx,f(x)=2π1∫−∞∞F(k)eikxdk
を問題文で定義してから問うことが多い(順変換側に 2π1 を置く第三の規約もある)。したがって作法は「問題文の定義をそのまま写して計算を始める」であり、本書の式を暗記して当てはめるのではない。
二つの規約の変換は簡単で、F対称(k)=2π1F本書(k) である。係数の置き方が違うと畳み込み定理の形も変わる点だけは要注意で、本書の規約では F[f∗g]=F[f]F[g] だが、対称規約では
F[f∗g](k)=2πF(k)G(k)
と 2π が残る(この等式の証明そのものが問題になることもある)。2π を落とすと以降の計算が全部ずれる。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com