応用数学入門 第10章 §10.5 ★★ δ の初期条件(熱核)・逆ラプラスで使う道具。主値は演習 11.3 のヒント。
ここからは、逆ラプラス変換(§3.5、および演習 11.3)で直接使う「超関数」の道具を用意する。
ディラックのデルタ関数
★★ ∫δφ=φ(0)、δ^=1。点源=インパルス。
デルタ関数 δ(t) は、任意の滑らかな φ に対して
∫−∞∞δ(t)φ(t)dt=φ(0)
を満たす「関数」として特徴づけられる(正確には超関数)。反転公式に f=δ を入れると、δ^(ω)=∫δ(t)e−iωtdt=1 なので、
δ(t)=2π1∫−∞∞eiωtdω.
これは「すべての振動数を等しい重みで足すと、t=0 に集中したスパイクになる」という、きわめて有用な表示である。
ヘヴィサイド関数と符号関数
★ 片側化のスイッチ。ラプラス変換の「t≥0 のみ」と結ぶ。
ヘヴィサイド(階段)関数を
Θ(t)=21+sgn(t)={10(t>0)(t<0)
と定義する。ここで sgn(t) は符号関数(t>0 で +1、t<0 で −1)である。Θ は「片側だけ生かす」スイッチであり、ラプラス変換が「t≥0 のみを見る片側変換」であることと本質的に結びついている(§3.1)。
符号関数のフーリエ変換と主値
★ 2iPp1 の公式。演習 11.3(2) の別解ヒント。
sgn(t) は無限遠で 0 に減衰しないため、そのフーリエ変換は素朴には収束しない。e−ϵ∣t∣ を掛けて ϵ→0+ とする正則化で扱う:
∫−∞∞sgn(t)e−iptdt=ϵ→0+lim[∫0∞e−(ϵ+ip)tdt−∫−∞0e(ϵ−ip)tdt]=ϵ→0+lim[ϵ+ip1−ϵ−ip1]=ip2.
この結果は、逆から読むと次のヒントの公式に他ならない:
定理
命題 (符号関数の表示 ★)
∫−∞∞eipysgn(y)dy=ip2=2iPp1,すなわち2iPp1=∫−∞∞dyeipysgn(y).
ここで Pp1 は p=0 におけるコーシーの主値を表す。
落とし穴
主値とは.
1/p は p=0 で発散するが、その周りを対称に積分すれば正負が打ち消して有限値が残る。これを主値 P∫ と書く。上の等式は演習 11.3(2) のヒントそのものであり、そこでは逆ラプラス変換の被積分を、この関係を通じてガウス積分の形へ整えるのに使う。
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