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出てくるもの(1):Seidel の5つの収差

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3章 収差
目次
  1. 収差関数の6つの係数
  2. 5つの収差の形
  3. コマの 3 対 1 は正準変換の帰結
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第3章 §3.3 ★★★ 収差関数の6つの係数のうち5つが、球面収差・コマ・非点収差・像面湾曲・歪曲になる。コマの像の3対1は正準変換の帰結

収差関数の6つの係数

収差関数 WW は4次の H4H_4 を近軸の光線に沿って積分したもので、近軸の流れ (3.6) は回転と鏡映を保つので、WW も同じ対称性を持つ。したがって WW は物体面の値で作った3つの不変量 U=∣X0∣2U=\lvert \bm{X}_0\rvert ^2, V=X0⋅P0V=\bm{X}_0\cdot\bm{P}_0, Q=∣P0∣2Q=\lvert \bm{P}_0\rvert ^2 の2次式である:

W(X0,P0)=w1Q2+w2QV+w3V2+w4UQ+w5UV+w6U2.(3.11)W(\bm{X}_0,\bm{P}_0)=w_1Q^2+w_2QV+w_3V^2+w_4UQ+w_5UV+w_6U^2 .\tag{3.11}

P0\bm{P}_0 で微分すると(∂U/∂P0=0\partial U/\partial\bm{P}_0=0, ∂V/∂P0=X0\partial V/\partial\bm{P}_0=\bm{X}_0, ∂Q/∂P0=2P0\partial Q/\partial\bm{P}_0=2\bm{P}_0)

∂W∂P0=4w1Q P0⏟球面収差+w2(2VP0+QX0)⏟コマ+2w3VX0⏟非点収差+2w4UP0⏟像面湾曲+w5UX0⏟歪曲(3.12)\frac{\partial W}{\partial \bm{P}_0}=\underbrace{4w_1Q\,\bm{P}_0}_{\text{球面収差}} +\underbrace{w_2\bigl(2V\bm{P}_0+Q\bm{X}_0\bigr)}_{\text{コマ}} +\underbrace{2w_3V\bm{X}_0}_{\text{非点収差}} +\underbrace{2w_4U\bm{P}_0}_{\text{像面湾曲}} +\underbrace{w_5U\bm{X}_0}_{\text{歪曲}}\tag{3.12}

となり、w6U2w_6U^2 は P0\bm{P}_0 を含まないので消える。w6w_6 は光路長を光線によらない量だけずらすだけで、像には現れない。残った5つの項が Seidel の5収差である(3次の範囲で分類した L. Seidel の名を冠する)。各項の名前と、像の上でのずれの形を、物体の点を X0=(h,0)\bm{X}_0=(h,0)(xx 軸の上、高さ hh)、光線の向きを P0=ρ(cos⁡φ,sin⁡φ)\bm{P}_0=\rho(\cos\varphi,\sin\varphi) と書いて順に見る。ρ\rho は光線の傾き(屈折率を掛けたもの)で、レンズの開口のどこを通るかを決め、φ\varphi はその方位角である。

5つの収差の形

球面収差(w1w_1)。ずれは 4Aw1ρ3(cos⁡φ,sin⁡φ)4Aw_1\rho^3(\cos\varphi,\sin\varphi) で、物体の高さ hh によらず、光軸の上の点にも現れる。開口の縁を通る光線(ρ\rho が大きい)ほど大きくずれ、ずれの向きは光線の向き P0\bm{P}_0 と同じなので、像面の前後で光線が光軸を横切る位置が ρ\rho によって変わる。像面をわずかに δz\delta z だけずらすと、光線は δz pi/ni=δz DP0/ni\delta z\,\bm{p}_{\mathrm i}/n_{\mathrm i}=\delta z\,D\bm{P}_0/n_{\mathrm i} だけ動く(nin_{\mathrm i} は像の側の屈折率、B=0B=0 では D=1/AD=1/A)。これが球面収差のずれを打ち消す δz\delta z が、その光線が光軸を横切る位置で、

δz(ρ)=−4w1A2ni ρ2(3.13)\delta z(\rho)=-4w_1A^2n_{\mathrm i}\,\rho^2\tag{3.13}

になる。光軸を横切る位置が ρ2\rho^2 に比例して動くことを縦の球面収差と呼ぶ。

コマ(w2w_2)。ずれは

Aw2hρ2(2cos⁡φ (cos⁡φ,sin⁡φ)+(1,0))=Aw2hρ2(2+cos⁡2φ, sin⁡2φ)Aw_2h\rho^2\bigl(2\cos\varphi\,(\cos\varphi,\sin\varphi)+(1,0)\bigr)=Aw_2h\rho^2\bigl(2+\cos2\varphi,\ \sin2\varphi\bigr)

で、φ\varphi を 00 から 2π2\pi まで回すと、中心 (2Aw2hρ2,0)(2Aw_2h\rho^2,0)、半径 ∣Aw2hρ2∣\lvert Aw_2h\rho^2\rvert の円を2周する。子午面の光線(φ=0\varphi=0)は 3Aw2hρ23Aw_2h\rho^2 に、球欠面の光線(φ=±π/2\varphi=\pm\pi/2)は Aw2hρ2Aw_2h\rho^2 に着き、この2つをそれぞれ子午のコマ・球欠のコマと呼ぶ。ρ\rho ごとに半径が ρ2\rho^2 に比例した円が、近軸の像点から xx 軸の向きにずれて並び、全体として彗星の尾のような形になる(図 3.1)。名前はこの形(coma、彗星の頭)に由来する。

非点収差(w3w_3)。ずれは 2Aw3h2ρcos⁡φ (1,0)2Aw_3h^2\rho\cos\varphi\,(1,0) で、ρ\rho の1次なので焦点のずれ(デフォーカス)と同じ形だが、xx の向き(物体の点と光軸を含む面、子午面)の成分しか持たない。子午面の中の光線(φ=0,π\varphi=0,\pi)とそれに垂直な面の中の光線(球欠面、φ=±π/2\varphi=\pm\pi/2)で焦点の位置が違う。

像面湾曲(w4w_4)。ずれは 2Aw4h2ρ(cos⁡φ,sin⁡φ)2Aw_4h^2\rho(\cos\varphi,\sin\varphi) で、向きによらないデフォーカスである。式 (3.13) と同じ考え方で、高さ hh の物体の点の像は δz=−2w4A2nih2\delta z=-2w_4A^2n_{\mathrm i}h^2 だけ光軸の向きにずれた所に結ぶ。平らな物体の像が、h2h^2 に比例して反った曲面の上にできる。w3w_3 と合わせると、子午面の光線の焦点は δzt=−2(w3+w4)A2nih2\delta z_{\mathrm t}=-2(w_3+w_4)A^2n_{\mathrm i}h^2、球欠面の光線の焦点は δzs=−2w4A2nih2\delta z_{\mathrm s}=-2w_4A^2n_{\mathrm i}h^2 で、2つの焦点の面の差が非点収差、2つの面がそろっても残る反りが像面湾曲である。

歪曲(w5w_5)。ずれは Aw5h3(1,0)Aw_5h^3(1,0) で、ρ\rho によらない。像はぼけずに1点に結ぶが、その位置が Ah(1+w5h2)A h(1+w_5h^2) で、倍率が物体の高さによって変わる。Aw5Aw_5 と AA が同じ符号(w5>0w_5>0)なら外側ほど倍率が大きく、正方形の格子が糸巻き形に、w5<0w_5<0 なら樽形にゆがむ。

図

図 3.1 コマの像(点像の形)。ρ=0.25,0.5,0.75,1\rho=0.25,0.5,0.75,1 の光線の輪がそれぞれ円になり、半径が ρ2\rho^2 に比例して並ぶ。長さの単位は ∣Aw2∣hρmax⁡2\lvert Aw_2\rvert h\rho_{\max}^2。円はどれも原点から ±30∘\pm30^\circ の2本の線(破線)に接し、像は頂角 60∘60^\circ の扇の中に収まる。ρ=1\rho=1 の子午面の光線の着く点(33)と球欠面の光線の着く点(11)を赤い点で示した

コマの 3 対 1 は正準変換の帰結

ずれのベクトルを X0\bm{X}_0 と P0\bm{P}_0 の3次の式で回転と鏡映に対して共変なものとして一般に書くと、

Δxi=P0 (c1Q+c2V+c3U)+X0 (c4Q+c5V+c6U)\Delta\bm{x}_{\mathrm i}=\bm{P}_0\,(c_1Q+c_2V+c_3U)+\bm{X}_0\,(c_4Q+c_5V+c_6U)

の6つの係数 c1,…,c6c_1,\dots,c_6 がある。hh と ρ2\rho^2 に比例する項(コマの形)は c2VP0c_2V\bm{P}_0 と c4QX0c_4Q\bm{X}_0 の2つで、一般にはこの2つは独立である。ところが定理 3.2 の形 A ∂W/∂P0A\,\partial W/\partial\bm{P}_0 では、式 (3.12) のとおり c2=2Aw2c_2=2Aw_2, c4=Aw2c_4=Aw_2 で、c2=2c4c_2=2c_4 に縛られる。6つの係数が5つの w1,…,w5w_1,\dots,w_5 で決まり、関係が1つ増えている。この関係のために、コマの円の中心は半径のちょうど2倍の位置に来て、子午のコマと球欠のコマの比は 3:13:1 になる。光学系がどんな面とどんなガラスでできていても、3次のコマの像の形は相似で、大きさ w2w_2 だけが系によって変わる。光線の流れが正準変換であるために、収差の形に関係が1つ加わる。

例題 3.3 コマの円と 60∘60^\circ の扇 ★★

オリジナルコマだけがある系で、X0=(h,0)\bm{X}_0=(h,0), P0=ρ(cos⁡φ,sin⁡φ)\bm{P}_0=\rho(\cos\varphi,\sin\varphi) の光線の像の上のずれを Δx=Aw2hρ2(2+cos⁡2φ, sin⁡2φ)\Delta\bm{x}=Aw_2h\rho^2(2+\cos2\varphi,\ \sin2\varphi) とする。Aw2h>0Aw_2h>0 とする。

  1. (1) ρ\rho を固定して φ\varphi を 00 から 2π2\pi まで回すとき、ずれの点が描く図形を求め、何周するかを答えよ。
  2. (2) ρ\rho を 00 から ρmax⁡\rho_{\max} まで動かしたときの像全体が、原点を頂点とする頂角 60∘60^\circ の扇の中に収まることを示せ。
  3. (3) 子午のコマ(φ=0\varphi=0 の光線の xx のずれ)と球欠のコマ(φ=π/2\varphi=\pi/2 の光線の xx のずれ)の比と、像全体の xx の向きの長さと yy の向きの幅の比を求めよ。
解答

(1) Δx/(Aw2hρ2)=(2,0)+(cos⁡2φ,sin⁡2φ)\Delta\bm{x}/(Aw_2h\rho^2)=(2,0)+(\cos2\varphi,\sin2\varphi) は中心 (2,0)(2,0)、半径 11 の円の上の点で、角 2φ2\varphi で回るので φ\varphi が1周する間に円を2周する。向きが反対の光線 P0\bm{P}_0 と −P0-\bm{P}_0(開口の中で原点について対称な2点を通る光線)が像の上の同じ点に来る。

(2) 中心 (2r,0)(2r,0)、半径 rr(r=Aw2hρ2r=Aw_2h\rho^2)の円に原点から引いた接線が xx 軸となす角は sin⁡β=r/(2r)=1/2\sin\beta=r/(2r)=1/2 から β=30∘\beta=30^\circ で、rr によらない。どの ρ\rho の円も原点から ±30∘\pm30^\circ の2本の直線に接しその内側にあるので、像全体は頂角 60∘60^\circ の扇に収まる。

(3) φ=0\varphi=0 で Δx=3Aw2hρ2\Delta x=3Aw_2h\rho^2、φ=π/2\varphi=\pi/2 で Δx=(2−1)Aw2hρ2=Aw2hρ2\Delta x=(2-1)Aw_2h\rho^2=Aw_2h\rho^2 なので、子午のコマと球欠のコマの比は 3:13:1 である。像全体は xx の向きに 00 から 3Aw2hρmax⁡23Aw_2h\rho_{\max}^2 まで、yy の向きに −Aw2hρmax⁡2-Aw_2h\rho_{\max}^2 から +Aw2hρmax⁡2+Aw_2h\rho_{\max}^2 まで広がるので、長さと幅の比は 3:23:2 である。どちらの比も系によらず、本文で述べたとおり、ずれが WW の勾配で書けることで決まっている。

木下の勉強ステータス

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