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出てくるもの(2):球面収差を光線追跡で確かめ、非球面で消す

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3章 収差
目次
  1. 球面1枚で平行光を集める
  2. 非球面:面の形の4次の項を変える
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第3章 §3.4 ★★ 球面1枚の球面収差を厳密に追跡して3次の式と比べる。楕円面は Fermat の原理から球面収差を持たない

球面1枚で平行光を集める

空気(n1=1n_1=1)からガラス(屈折率 nn)への球面(曲率半径 R>0R>0、中心はガラスの側)に、光軸に平行な光線が高さ hh で入る場合を、近似なしで追う。入射点で面の法線は光軸と角 θ1\theta_1 をなし、sin⁡θ1=h/R\sin\theta_1=h/R である。屈折角 θ2\theta_2 は Snell の法則 sin⁡θ1=nsin⁡θ2\sin\theta_1=n\sin\theta_2 で決まり、屈折した光線は光軸と角 θ1−θ2\theta_1-\theta_2 をなして光軸へ向かう。球の中心 CC、入射点、光線が光軸を横切る点 FhF_h の作る三角形に正弦定理を当てると、CC から FhF_h までの距離は Rsin⁡θ2/sin⁡(θ1−θ2)R\sin\theta_2/\sin(\theta_1-\theta_2) で、面の頂点から測った位置は

L(h)=R+Rsin⁡θ2sin⁡(θ1−θ2)(3.14)L(h)=R+\frac{R\sin\theta_2}{\sin(\theta_1-\theta_2)}\tag{3.14}

になる。h→0h\to0 で θ2/(θ1−θ2)→1/(n−1)\theta_2/(\theta_1-\theta_2)\to1/(n-1) なので、近軸の焦点は L0=nR/(n−1)L_0=nR/(n-1) である。

図

図 3.2 空気からガラス(n=1.5n=1.5)への球面(R=10 mmR=10\,\mathrm{mm})に、高さ h=1,…,5 mmh=1,\dots,5\,\mathrm{mm} で平行に入る光線の厳密な追跡。縦は横の約3倍に拡大した。縁の光線ほど手前で光軸を横切り、近軸の焦点 30 mm30\,\mathrm{mm} に集まらない

例題 3.4 球面1枚の縦の球面収差 ★★★

オリジナル式 (3.14) を hh の2次まで展開し、

L(h)=nRn−1−h22n(n−1)R+O(h4)L(h)=\frac{nR}{n-1}-\frac{h^2}{2n(n-1)R}+\mathcal{O}(h^4)

を示せ。n=1.5n=1.5, R=10 mmR=10\,\mathrm{mm} で h=3 mmh=3\,\mathrm{mm} と 5 mm5\,\mathrm{mm} について、3次収差の範囲の値と厳密な値を比べよ。

解答

R=1R=1 の単位で書く。sin⁡θ1=h\sin\theta_1=h, sin⁡θ2=h/n\sin\theta_2=h/n なので

sin⁡(θ1−θ2)=h1−h2/n2−hn1−h2,L=1+1/n1−h2/n2−1−h2/n.\sin(\theta_1-\theta_2)=h\sqrt{1-h^2/n^2}-\frac hn\sqrt{1-h^2},\qquad L=1+\frac{1/n}{\sqrt{1-h^2/n^2}-\sqrt{1-h^2}/n}.

分母を2次まで展開すると (1−h22n2)−1n(1−h22)=n−1n(1+h22n)\bigl(1-\frac{h^2}{2n^2}\bigr)-\frac1n\bigl(1-\frac{h^2}{2}\bigr)=\frac{n-1}{n}\Bigl(1+\frac{h^2}{2n}\Bigr) なので

L=1+1n−1(1−h22n)=nn−1−h22n(n−1).L=1+\frac{1}{n-1}\Bigl(1-\frac{h^2}{2n}\Bigr)=\frac{n}{n-1}-\frac{h^2}{2n(n-1)} .

RR を戻すと与式になる。n=1.5n=1.5, R=10 mmR=10\,\mathrm{mm} では L0=30 mmL_0=30\,\mathrm{mm}、2次の係数は −1/15 mm−1-1/15\,\mathrm{mm^{-1}} で、h=3 mmh=3\,\mathrm{mm} では3次の範囲で L−L0=−0.600 mmL-L_0=-0.600\,\mathrm{mm}、厳密に −0.611 mm-0.611\,\mathrm{mm}、h=5 mmh=5\,\mathrm{mm} では −1.667 mm-1.667\,\mathrm{mm} と −1.758 mm-1.758\,\mathrm{mm} である。差は h4h^4 に比例して増え(5次収差)、開口の半径が RR の半分になると3次の式は5パーセントずれる。

近軸の焦点面(z=L0z=L_0)で見た横のずれは、縦のずれに光線の傾き tan⁡(θ1−θ2)≈h/L0\tan(\theta_1-\theta_2)\approx h/L_0 を掛けたもので、3次の範囲で大きさ h3/(2n(n−1)RL0)h^3/(2n(n-1)RL_0)、h=3 mmh=3\,\mathrm{mm} で 0.060 mm0.060\,\mathrm{mm}(厳密に 0.063 mm0.063\,\mathrm{mm})である。横のずれが h3h^3 に比例することが「3次」収差の名の意味である。

図

図 3.3 図 3.2 の球面の縦の球面収差。実線は3次収差の式、点線(点つき)は式 (3.14) による厳密な値。hh が大きいと厳密な値のほうが速く離れる(5次収差)

非球面:面の形の4次の項を変える

球面収差は、面が球であることを前提にした値である。面の形を、頂点で同じ曲率半径 RR を持つ回転2次曲面(円錐曲面)

z(h)=h2/R1+1−(1+κ)h2/R2=h22R+(1+κ)h48R3+O(h6)(3.15)z(h)=\frac{h^2/R}{1+\sqrt{1-(1+\kappa)h^2/R^2}}=\frac{h^2}{2R}+(1+\kappa)\frac{h^4}{8R^3}+\mathcal{O}(h^6)\tag{3.15}

に取り替える。κ\kappa を円錐定数と呼び、κ=0\kappa=0 が球、−1<κ<0-1<\kappa<0 が光軸の向きに長い楕円面、κ=−1\kappa=-1 が放物面である。κ\kappa は面の形の h4h^4 の項だけを変え、近軸(h2h^2 の項)は変えない。したがって近軸の焦点は L0L_0 のままで、3次の球面収差の係数だけが変わる。式 (3.14) と同じ追跡を円錐曲面で行うと(verify で κ\kappa を変えて確かめた)、

L(h)−L0=−(1+κn2) h22n(n−1)R+O(h4)(3.16)L(h)-L_0=-\frac{(1+\kappa n^2)\,h^2}{2n(n-1)R}+\mathcal{O}(h^4)\tag{3.16}

になり、κ=−1/n2\kappa=-1/n^2 で3次の球面収差が消える。この面では5次以上も含めて消える。それを Fermat の原理で示すのが次の例題である。

例題 3.5 楕円面は平行光を1点に集める ★★

オリジナル長半径 aa、離心率 ee の楕円 z2/a2+r2/b2=1z^2/a^2+r^2/b^2=1(b=a1−e2b=a\sqrt{1-e^2}、rr は光軸からの距離)を光軸のまわりに回した面の、z>−az>-a の側を屈折率 nn のガラスで満たす。光は空気の側から光軸に平行に入る。

  1. (1) 面の上の点 (z,r)(z,r) から遠い側の焦点 F=(ae,0)F=(ae,0) までの距離が a−eza-ez であることを示せ。
  2. (2) e=1/ne=1/n のとき、平面 z=−az=-a から面の上の点を経て FF に至る光路長が、面の上の点によらず (1+n)a(1+n)a になることを示し、平行光が FF に収差なく集まることを Fermat の原理で説明せよ。
  3. (3) この楕円の頂点 z=−az=-a での曲率半径と円錐定数を求め、式 (3.16) と矛盾しないことを確かめよ。
解答

(1) r2=b2(1−z2/a2)=(a2−z2)(1−e2)r^2=b^2(1-z^2/a^2)=(a^2-z^2)(1-e^2) なので(z−ae)2+r2=z2−2aez+a2e2+a2−z2−a2e2+e2z2=(a−ez)2(z-ae)^2+r^2=z^2-2aez+a^2e^2+a^2-z^2-a^2e^2+e^2z^2=(a-ez)^2。∣z∣≤a\lvert z\rvert \le a, e<1e<1 なので距離は a−eza-ez。

(2) 光路長は空気中の z−(−a)=z+az-(-a)=z+a とガラス中の n(a−ez)n(a-ez) の和で、ne=1ne=1 なら z+a+na−z=(1+n)az+a+na-z=(1+n)a となり、面の上の点によらない。平面 z=−az=-a は入ってくる平行光の波面で、そこから FF までの光路長がどの光線でも等しいので、どの光線も FF に同じ位相で着く。Fermat の原理の言葉では、FF に向かう光線の族のどれもが光路長を停留させ、近くの経路との差が恒等的に 00 なので、光線は高さ hh によらず FF を通る。

(3) 頂点 z=−az=-a の近くで z=−a+r2/(2R)+…z=-a+r^2/(2R)+\dots と書くと、楕円の式から R=b2/a=a(1−e2)R=b^2/a=a(1-e^2)。楕円を頂点を原点とする式 (3.15) の形に書き直すと円錐定数は κ=−e2\kappa=-e^2 で、e=1/ne=1/n なら κ=−1/n2\kappa=-1/n^2。式 (3.16) の係数 1+κn21+\kappa n^2 がちょうど 00 になり、3次の範囲の結果と一致する。

面の形の4次の項を選んで球面収差を消すことができるのは、H4H_4 の係数が面の形の4次の項に1次で入るからである。非球面1つで消せるのは1つの物体の点(ここでは無限遠の光軸の上の点)についての球面収差で、コマや非点収差まで同時に消すには、面の数を増やし、絞りの位置も選ぶ必要がある。5つの収差を5つの係数で数えたことは、少なくともそれだけの自由な設計の量(面の曲率・間隔・ガラス・非球面の係数・絞りの位置)が要ることを意味する。

木下の勉強ステータス

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