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授業で習った形との対応:古典の線形符号と CSS 符号

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第9章 量子誤り訂正
目次
  1. 古典の線形符号
  2. CSS 符号と Steane 符号
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第9章 §3.9.6 ★★ 情報理論の授業の検査行列・シンドローム復号・Hamming 符号と、量子情報の授業の Knill–Laflamme 条件の書き方・CSS 符号を、この章の形と並べる

古典の線形符号

情報理論の授業では、長さ nn の2進の線形符号を検査行列 H\mathsf H((n−k)×n(n-k)\times n の 0・1 の行列)で

C古典={x∈{0,1}n: Hx=0 (mod 2)}\mathcal C_{\text{古典}}=\{x\in\{0,1\}^n:\ \mathsf Hx=0\ (\mathrm{mod}\ 2)\}

と定める(H\mathsf H は Shannon エントロピーの HH と区別するために字体を変えた)。符号語 xx に誤り ee が加わった x+ex+e を受け取ると、H(x+e)=He\mathsf H(x+e)=\mathsf He は符号語に依らず誤りだけで決まる。これがシンドローム s=Hes=\mathsf He で、表を引いて ee を推し、引き戻す。7ビットの Hamming 符号は、第 jj 列が jj の2進表示である

H=(000111101100111010101)(3.9.15)\mathsf H=\begin{pmatrix}0&0&0&1&1&1&1\\0&1&1&0&0&1&1\\1&0&1&0&1&0&1\end{pmatrix}\tag{3.9.15}

で定まり、1ビットの誤りのシンドロームが誤った位置の番号の2進表示になる([7,4,3][7,4,3]、Hamming 19501R. W. Hamming (1950), Bell Syst. Tech. J. 29, 147。下の脚注へ)。古典の Hamming 上界 2n−k≥∑j≤t(nj)2^{n-k}\ge\sum_{j\le t}\binom nj は [7,4,3][7,4,3] で 23=1+72^3=1+7 の等号になる。

この章の形との対応は次のとおりである。古典の検査行列の各行は「どのビットの偶奇を見るか」で、量子のスタビライザーの生成元 gig_i にあたる。古典のシンドローム He\mathsf He は量子の s(E)s(E) にあたり、どちらも符号語・符号状態に依らず誤りだけで決まる。違いは、量子の誤りが XX と ZZ の2種類(と積の YY)あり、生成元にも XX 型と ZZ 型が要ることである。Pauli 演算子 Xa1Zb1⊗⋯⊗XanZbnX^{a_1}Z^{b_1}\otimes\dots\otimes X^{a_n}Z^{b_n} を 0・1 の列 (a ∣ b)∈{0,1}2n(a\,|\,b)\in\{0,1\}^{2n} で表すと、2つの Pauli が交換する条件は

a⋅b′+a′⋅b=0(mod2)(3.9.16)a\cdot b'+a'\cdot b=0\pmod 2\tag{3.9.16}

となり、スタビライザーの生成元を並べた行列は、古典の検査行列を長さ 2n2n に広げて、行どうしがこの内積で直交するという条件を付けたものになる。

CSS 符号と Steane 符号

HHT=0\mathsf H\mathsf H^{\mathsf T}=0(mod 2)を満たす検査行列があれば、その各行から XX 型の生成元(1 の位置に XX)と ZZ 型の生成元(1 の位置に ZZ)を作ることができる。XX 型と ZZ 型の生成元で XX と ZZ が並ぶ位置の数は H\mathsf H の2つの行の内積なので、HHT=0\mathsf H\mathsf H^{\mathsf T}=0 ならすべて交換する。ZZ 型の生成元は XX の誤りを、XX 型の生成元は ZZ の誤りを、それぞれ古典の符号と同じシンドロームで見つける。この作り方を CSS 符号と呼ぶ2A. R. Calderbank and P. W. Shor (1996), Phys. Rev. A 54, 1098; A. M. Steane (1996), Phys. Rev. Lett. 77, 793。下の脚注へ。Hamming 符号 (3.9.15) から作ったものが Steane の [[7,1,3]][[7,1,3]] 符号である。

量子情報の授業では、Knill–Laflamme 条件を符号空間の正規直交基底 ∣iL⟩| i_{\mathrm L} \rangle で

⟨iL∣E^a†E^b∣jL⟩=cab δij\langle i_{\mathrm L} |\hat E_a^\dagger\hat E_b| j_{\mathrm L} \rangle =c_{ab}\,\delta_{ij}

と書くことが多い。P^=∑i∣iL⟩⟨iL∣\hat P=\sum_i| i_{\mathrm L} \rangle \langle i_{\mathrm L} | で挟めば式 (3.9.10) と同じ内容である。i≠ji\ne j で 00 は「誤りが違う論理状態を混ぜない」こと、cabc_{ab} が ii に依らないことは「誤りの大きさが論理状態に依らない」ことを表し、後者が 3.9.3節の「環境に残る状態が論理状態に依らない」にあたる。授業ではこの2つの条件を別々に覚えることが多いが、相補チャネルで見ると1つの条件 I(R;E)=0I(R;E)=0 にまとまる。

例題 3.9.6 Hamming 符号から Steane 符号を作る ★★

オリジナル

  1. (1) 式 (3.9.15) の H\mathsf H について HHT=0\mathsf H\mathsf H^{\mathsf T}=0(mod 2)を確かめ、5番目のビットが誤ったときのシンドロームを求めよ。
  2. (2) H\mathsf H の各行から XX 型・ZZ 型の生成元を3つずつ作る。符号空間の次元を求めよ。
  3. (3) 5番目の量子ビットに YY が当たったとき、XX 型・ZZ 型の生成元のシンドロームを求めよ。
解答

(1) 各行の 1 の数は4(偶数)で、異なる2行が共に 1 を持つ位置は2か所(行1と2は位置6・7、行1と3は位置5・7、行2と3は位置3・7)なので、すべての内積が 0(mod 2)になる。5番目のビットの誤り e=(0,0,0,0,1,0,0)e=(0,0,0,0,1,0,0) のシンドロームは H\mathsf H の第5列 (1,0,1)(1,0,1) で、2進で 55 を表す。

(2) 生成元は 111XXXX\mathbf 1\mathbf 1\mathbf 1XXXX、1XX11XX\mathbf 1XX\mathbf 1\mathbf 1XX、X1X1X1XX\mathbf 1X\mathbf 1X\mathbf 1X と、XX を ZZ に替えた3つで、n−k=6n-k=6。(1) により互いに交換するので、符号空間の次元は 27−6=22^{7-6}=2、k=1k=1。

(3) Y5=iX5Z5Y_5=\mathrm{i} X_5Z_5 の XX の部分は ZZ 型の生成元と、ZZ の部分は XX 型の生成元と反交換する。どちらも H\mathsf H の第5列を読むので、ZZ 型のシンドロームは 101101、XX 型のシンドロームも 101101。両方が同じ位置5を指すので、XX と ZZ が同時に起きた、すなわち Y5Y_5 と分かる。古典の Hamming 符号の復号を2回、別々の向きに使っているだけである。

1 R. W. Hamming (1950), Bell Syst. Tech. J. 29, 147。

2 A. R. Calderbank and P. W. Shor (1996), Phys. Rev. A 54, 1098; A. M. Steane (1996), Phys. Rev. Lett. 77, 793。

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