授業で習った形との対応:古典の線形符号と CSS 符号
AI 生成・木下が未勉強
相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第9章 §3.9.6 ★★ 情報理論の授業の検査行列・シンドローム復号・Hamming 符号と、量子情報の授業の Knill–Laflamme 条件の書き方・CSS 符号を、この章の形と並べる
古典の線形符号
情報理論の授業では、長さ の2進の線形符号を検査行列 ( の 0・1 の行列)で
と定める( は Shannon エントロピーの と区別するために字体を変えた)。符号語 に誤り が加わった を受け取ると、 は符号語に依らず誤りだけで決まる。これがシンドローム で、表を引いて を推し、引き戻す。7ビットの Hamming 符号は、第 列が の2進表示である
で定まり、1ビットの誤りのシンドロームが誤った位置の番号の2進表示になる(、Hamming 19501R. W. Hamming (1950), Bell Syst. Tech. J. 29, 147。下の脚注へ)。古典の Hamming 上界 は で の等号になる。
この章の形との対応は次のとおりである。古典の検査行列の各行は「どのビットの偶奇を見るか」で、量子のスタビライザーの生成元 にあたる。古典のシンドローム は量子の にあたり、どちらも符号語・符号状態に依らず誤りだけで決まる。違いは、量子の誤りが と の2種類(と積の )あり、生成元にも 型と 型が要ることである。Pauli 演算子 を 0・1 の列 で表すと、2つの Pauli が交換する条件は
となり、スタビライザーの生成元を並べた行列は、古典の検査行列を長さ に広げて、行どうしがこの内積で直交するという条件を付けたものになる。
CSS 符号と Steane 符号
(mod 2)を満たす検査行列があれば、その各行から 型の生成元(1 の位置に )と 型の生成元(1 の位置に )を作ることができる。 型と 型の生成元で と が並ぶ位置の数は の2つの行の内積なので、 ならすべて交換する。 型の生成元は の誤りを、 型の生成元は の誤りを、それぞれ古典の符号と同じシンドロームで見つける。この作り方を CSS 符号と呼ぶ2A. R. Calderbank and P. W. Shor (1996), Phys. Rev. A 54, 1098; A. M. Steane (1996), Phys. Rev. Lett. 77, 793。下の脚注へ。Hamming 符号 (3.9.15) から作ったものが Steane の 符号である。
量子情報の授業では、Knill–Laflamme 条件を符号空間の正規直交基底 で
と書くことが多い。 で挟めば式 (3.9.10) と同じ内容である。 で は「誤りが違う論理状態を混ぜない」こと、 が に依らないことは「誤りの大きさが論理状態に依らない」ことを表し、後者が 3.9.3節の「環境に残る状態が論理状態に依らない」にあたる。授業ではこの2つの条件を別々に覚えることが多いが、相補チャネルで見ると1つの条件 にまとまる。
例題 3.9.6 Hamming 符号から Steane 符号を作る ★★
オリジナル
- (1) 式 (3.9.15) の について (mod 2)を確かめ、5番目のビットが誤ったときのシンドロームを求めよ。
- (2) の各行から 型・ 型の生成元を3つずつ作る。符号空間の次元を求めよ。
- (3) 5番目の量子ビットに が当たったとき、 型・ 型の生成元のシンドロームを求めよ。
解答
(1) 各行の 1 の数は4(偶数)で、異なる2行が共に 1 を持つ位置は2か所(行1と2は位置6・7、行1と3は位置5・7、行2と3は位置3・7)なので、すべての内積が 0(mod 2)になる。5番目のビットの誤り のシンドロームは の第5列 で、2進で を表す。
(2) 生成元は 、、 と、 を に替えた3つで、。(1) により互いに交換するので、符号空間の次元は 、。
(3) の の部分は 型の生成元と、 の部分は 型の生成元と反交換する。どちらも の第5列を読むので、 型のシンドロームは 、 型のシンドロームも 。両方が同じ位置5を指すので、 と が同時に起きた、すなわち と分かる。古典の Hamming 符号の復号を2回、別々の向きに使っているだけである。
1 R. W. Hamming (1950), Bell Syst. Tech. J. 29, 147。
2 A. R. Calderbank and P. W. Shor (1996), Phys. Rev. A 54, 1098; A. M. Steane (1996), Phys. Rev. Lett. 77, 793。
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