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この章のまとめ

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第6部 第4章 Grover と探索の下界

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第6部 第4章 §6.4.7 ★★★ 探索は「当たりの印がついた状態を空の状態から引き離す」仕事で、1回の問い合わせで引き離せる量に上限がある。Grover の回転はその上限をほぼ使い切り、N\sqrt N が最適になる

この章では、印のついたオラクルで kk 回問い合わせた後の状態 ∣ψkv⟩| \psi_k^v \rangle と、空のオラクルでの状態 ∣ψk⟩| \psi_k \rangle を比べた。アルゴリズムの側では、オラクル O^v\hat O_v と平均のまわりの反射 R^s\hat R_s がどちらも反射で、その積が平面 span⁡{∣r⟩,∣v⟩}\operatorname{span}\{| r \rangle ,| v \rangle \} の中の角 2θ2\theta(sin⁡θ=1/N\sin\theta=1/\sqrt N)の回転になることだけから、成功確率 sin⁡2((2k+1)θ)\sin^2((2k+1)\theta) と最適な回数 ⌊π/(4θ)⌋≈(π/4)N\lfloor\pi/(4\theta)\rfloor\approx(\pi/4)\sqrt N が出た。同じ回転は当たりが MM 個ある場合(sin⁡θ=M/N\sin\theta=\sqrt{M/N})にも、任意の手順の成功確率を上げる振幅増幅にも使え、回数を乱数で選べば当たりの数を知らなくてもよく、固有値の位相を読めば当たりの数が分かった。

下界の側では、1回の問い合わせで ∣ψv⟩| \psi^v \rangle を ∣ψ⟩| \psi \rangle から引き離せる量が、空の状態が ∣v⟩| v \rangle に置いている振幅の2倍以下であることを足し上げて Δk≤4k2\Delta_k\le4k^2 を示し、成功には Δk≳N\Delta_k\gtrsim N が要ることと合わせて k≳N/2k\gtrsim\sqrt N/2(BBBV の下界)を得た。Grover のアルゴリズムは Δk=4Nsin⁡2(kθ)\Delta_k=4N\sin^2(k\theta) で、この上限をほぼ等号で使っている。情報の側から見ると、kk 回の後に得られる情報量は Holevo 量 χk=S(ρˉk)\chi_k=S(\bar\rho_k) で押さえられ、χk≤hb(δk)+δkln⁡(N−1)\chi_k\le h_{\mathrm b}(\delta_k)+\delta_k\ln(N-1)(δk≤4k2/N\delta_k\le4k^2/N)だった。古典の問い合わせでは情報量が kk に比例して増えるのに対し、量子の問い合わせでは k2k^2 に比例して増え、ln⁡N\ln N を集めるのに N\sqrt N 程度の回数で足りる。それより少なくはできない。

次の第5章(第6部第5章)では、ここまでの量子アルゴリズムを、雑音のある実際の量子ビットの上で長く走らせるための誤り耐性としきい値定理を扱う。Grover のアルゴリズムのように N\sqrt N 回の反復を誤りなく続けるには、1回あたりの誤りを 1/N1/\sqrt N より十分小さく保つ必要があり、それを可能にするのが誤り訂正である。

この章の道具

  • オラクル O^v=1−2∣v⟩⟨v∣\hat O_v=\mathbf 1-2| v \rangle \langle v |(位相キックバック)、反射 R^s=2∣s⟩⟨s∣−1\hat R_s=2| s \rangle \langle s |-\mathbf 1、反復 G^v=R^sO^v\hat G_v=\hat R_s\hat O_v。
  • 2つの反射の積は回転:G^vk∣s⟩=sin⁡((2k+1)θ)∣v⟩+cos⁡((2k+1)θ)∣r⟩\hat G_v^k| s \rangle =\sin((2k+1)\theta)| v \rangle +\cos((2k+1)\theta)| r \rangle、sin⁡θ=M/N\sin\theta=\sqrt{M/N}。
  • 最適な回数 k∗=⌊π/(4θ)⌋≈(π/4)N/Mk_*=\lfloor\pi/(4\theta)\rfloor\approx(\pi/4)\sqrt{N/M}、Pk∗≥1−M/NP_{k_*}\ge1-M/N。回数を乱数で選ぶと平均 12−sin⁡4mθ4msin⁡2θ\frac12-\frac{\sin4m\theta}{4m\sin2\theta}。
  • 振幅増幅:成功確率 aa の手順を約 π/(4a)\pi/(4\sqrt a) 回で成功確率 11 近くへ。
  • 下界:Δk=∑v∥∣ψkv⟩−∣ψk⟩∥2≤4k2\Delta_k=\sum_v\lVert | \psi_k^v \rangle -| \psi_k \rangle \rVert ^2\le4k^2、成功確率 1−ε1-\varepsilon には Δk≥N(1−ε)−2(1−ε)N\Delta_k\ge N(1-\varepsilon )-2\sqrt{(1-\varepsilon )N}。
  • 情報量:I(V;V^)≤χk=S(ρˉk)≤hb(δk)+δkln⁡(N−1)I(V;\hat V)\le\chi_k=S(\bar\rho_k)\le h_{\mathrm b}(\delta_k)+\delta_k\ln(N-1)、δk≤4k2/N\delta_k\le4k^2/N。誤りなく当てるには k≥N−1/2k\ge\sqrt{N-1}/2。

総合問題 16個の候補の探索を上から下から ★★★

オリジナル候補が N=16N=16 個、当たりが1つの探索を考える。情報量はビットで答えよ。

  1. (1) (使う道具:6.4.2節・6.4.3節)θ\theta と、反復 k=1,2,3k=1,2,3 回の後の成功確率を求め、最適な回数 k∗k_* を示せ。
  2. (2) (使う道具:6.4.3節の振幅増幅)k∗k_* 回の反復で成功確率をちょうど 11 にしたい。補助の量子ビットを回す確率 cc を求めよ。2回の反復で成功確率を 11 にできないことを示せ。
  3. (3) (使う道具:6.4.4節・6.4.5節)誤りなく当てるのに要る問い合わせの回数の下界を、BBBV の式 (6.4.22) と情報の側の式 (6.4.29) の両方で求めよ。
  4. (4) (使う道具:6.4.5節/第3部第7章 の Holevo の限界/第1部第6章 の Fano の不等式)Grover の反復 k=2k=2 回の後の Holevo 量 χ2\chi_2 を求め、Fano の不等式から、2回の問い合わせでどんな測定をしても避けられない誤りの確率の下限を求めよ。Grover の2回の反復の実際の誤りの確率と比べよ。
  5. (5) (使う道具:6.4.3節/第6部第2章 の位相推定)平面の中の G^v\hat G_v の固有値と固有ベクトルを求め、∣s⟩| s \rangle が2つの固有ベクトルに重み 1/21/2 ずつで分かれることを示せ。5ビットの位相推定で固有値の位相 θ/π\theta/\pi が最も近い格子点 j/32j/32 に読まれたとき、当たりの数の推定値 Nsin⁡2(πj/32)N\sin^2(\pi j/32) を求めよ。
解答

(1) sin⁡θ=1/4\sin\theta=1/4 から θ=0.25268\theta=0.25268。P1=sin⁡2(3θ)=0.4727P_1=\sin^2(3\theta)=0.4727、P2=sin⁡2(5θ)=0.9084P_2=\sin^2(5\theta)=0.9084、P3=sin⁡2(7θ)=0.9613P_3=\sin^2(7\theta)=0.9613。π/(4θ)=3.108\pi/(4\theta)=3.108 なので k∗=3k_*=3。k=4k=4 では sin⁡2(9θ)=0.5817\sin^2(9\theta)=0.5817 に下がる。

(2) k=3k=3 で (2k+1)θ′=π/2(2k+1)\theta'=\pi/2 とするので θ′=π/14=0.22440\theta'=\pi/14=0.22440、c=sin⁡2θ′/sin⁡2θ=16sin⁡2(π/14)=0.7922c=\sin^2\theta'/\sin^2\theta=16\sin^2(\pi/14)=0.7922。補助の量子ビットを 0.7922∣1⟩+0.2078∣0⟩\sqrt{0.7922}| 1 \rangle +\sqrt{0.2078}| 0 \rangle に回して成功の条件に加えれば、3回の反復で成功確率は 11 になる。2回で確実に当てるには 5θ′=π/25\theta'=\pi/2、すなわち θ′=π/10=0.3142\theta'=\pi/10=0.3142 が要るが、これは θ=0.2527\theta=0.2527 より大きい。この方法で角を大きくすることはできないので、2回では足りない。

(3) BBBV の式では 1216−2×4=2=1.414\frac12\sqrt{16-2\times4}=\sqrt2=1.414、情報の側の式では 15/2=1.936\sqrt{15}/2=1.936。どちらからも「少なくとも2回」が出る。(2) の方法は3回を使うので、下界と1回の差がある。

(4) sin⁡2(4θ)=0.71777\sin^2(4\theta)=0.71777 を式 (6.4.30) に入れて χ2=[hb(0.71777)+0.71777ln⁡15]/ln⁡2=3.663\chi_2=[h_{\mathrm b}(0.71777)+0.71777\ln15]/\ln2=3.663 ビット。Holevo の限界から I(V;V^)≤3.663I(V;\hat V)\le3.663 ビットなので、H(V ∣ V^)≥4−3.663=0.337H(V\,|\,\hat V)\ge4-3.663=0.337 ビット。Fano の不等式 hb(Perr)+Perrlog⁡215≥0.337h_{\mathrm b}(P_{\mathrm{err}})+P_{\mathrm{err}}\log_2 15\ge0.337(ビット)をPerrP_{\mathrm{err}} について解くと Perr≥0.0329P_{\mathrm{err}}\ge0.0329 になる。一般の2回のアルゴリズムについては、4k2/N=14k^2/N=1 が 1−1/N1-1/N を超えるので命題 6.4.6 の上限は 44 ビットになり、誤りの下限は出ない。したがってこの下限は Grover の反復の状態に限った値である。Grover の2回の実際の誤りの確率は 1−0.9084=0.09161-0.9084=0.0916 で、下限の約3倍ある。差は、(1) の後半で見たように途中の状態が直交しきっておらず、計算基底の測定で Holevo 量の全部は取り出せないことによる。

(5) 平面の中で G^v\hat G_v は角 2θ2\theta の回転 (cos⁡2θ−sin⁡2θsin⁡2θcos⁡2θ)\begin{pmatrix}\cos2\theta&-\sin2\theta\\ \sin2\theta&\cos2\theta\end{pmatrix}(基底 ∣r⟩,∣v⟩| r \rangle ,| v \rangle)なので、固有値は e±2iθ\mathrm{e}^{\pm2\mathrm{i}\theta}、固有ベクトルは ∣g±⟩=(∣r⟩∓i∣v⟩)/2| g_\pm \rangle =(| r \rangle \mp\mathrm{i}| v \rangle )/\sqrt2 である。∣s⟩=cos⁡θ∣r⟩+sin⁡θ∣v⟩| s \rangle =\cos\theta| r \rangle +\sin\theta| v \rangle との内積は ⟨g±∣s⟩=(cos⁡θ±isin⁡θ)/2=e±iθ/2\langle g_\pm | s \rangle =(\cos\theta\pm\mathrm{i}\sin\theta)/\sqrt2=\mathrm{e}^{\pm\mathrm{i}\theta}/\sqrt2 で、重みは ∣⟨g±∣s⟩∣2=1/2\lvert \langle g_\pm | s \rangle \rvert ^2=1/2 ずつになる。固有値の位相は ±2θ/(2π)=±θ/π=±0.08043\pm2\theta/(2\pi)=\pm\theta/\pi=\pm0.08043。最も近い格子点は 3/32=0.093753/32=0.09375(差 0.01330.0133)で、2/32=0.06252/32=0.0625(差 0.01790.0179)より近い。推定値は 16sin⁡2(3π/32)=1.3516\sin^2(3\pi/32)=1.35 で、当たりの数は整数なので M=1M=1 と読める。負の位相 −0.08043-0.08043 を読んだ場合も sin⁡2\sin^2 が同じなので、同じ推定値になる。

木下の勉強ステータス

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