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証明その1:連続な frame function は2次形式である

2026年10月17日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第9部 第2章 Gleason の定理:射影の上の確率は密度行列で決まる
目次
  1. 大円平均の作用素
  2. 球面調和関数の上では 倍
  3. 定理と証明
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第9部 第2章 §9.2.3 ★★★ 実3次元の球面の上で、frame の条件が球面調和関数の ℓ=0,2\ell=0,2 以外の成分をすべて消すことを示す。確率が「2乗」になる理由の数学的な中身

大円平均の作用素

Gleason の証明は、実3次元 R3\mathbb{R}^3 の場合が中心になる(複素の場合や高次元の場合は 9.2.4節で R3\mathbb{R}^3 に帰着させる)。この節では、R3\mathbb{R}^3 の単位球面 S2S^2 の上の連続な frame function がすべて2次形式であることを証明する。

単位ベクトル nn に対し、nn に直交する大円(nn を極とする赤道)の上の平均をとる作用素を

(Cg)(n)≔12π∫02πg(cos⁡φ u+sin⁡φ v) dφ(9.2.6)(\mathcal C g)(n)\coloneqq\frac{1}{2\pi}\int_0^{2\pi}g\bigl(\cos\varphi\,u+\sin\varphi\,v\bigr)\,\mathrm{d}\varphi\tag{9.2.6}

と定める。u,vu,v は nn に直交する正規直交の2本で、平均は u,vu,v の選び方によらない。

frame function ff(重み WW)に対して、nn を含む基底 {n, u(φ), u(φ+π2)}\{n,\ u(\varphi),\ u(\varphi+\frac\pi2)\}(u(φ)=cos⁡φ u+sin⁡φ vu(\varphi)=\cos\varphi\,u+\sin\varphi\,v)を考えると、すべての φ\varphi で f(n)+f(u(φ))+f(u(φ+π2))=Wf(n)+f(u(\varphi))+f(u(\varphi+\frac\pi2))=W である。これを φ\varphi について平均すると、第2項と第3項はどちらも (Cf)(n)(\mathcal Cf)(n) になるので

f(n)+2(Cf)(n)=W(すべての n∈S2)(9.2.7)f(n)+2(\mathcal Cf)(n)=W\qquad(\text{すべての }n\in S^2)\tag{9.2.7}

を得る。frame function の条件のうち、この章の証明で使うのはこの1つの式だけである。

C\mathcal C は次の2つの性質を持つ。第一に、回転と交換する:回転 RR で gR(x)=g(R−1x)g_R(x)=g(R^{-1}x) とおくと C(gR)=(Cg)R\mathcal C(g_R)=(\mathcal Cg)_R。nn に直交する大円を RR で回すと RnRn に直交する大円になるからである。第二に、L2(S2)L^2(S^2) の内積について対称である:

∫S2h(n) (Cg)(n) dΩn=∫S2(Ch)(x) g(x) dΩx.(9.2.8)\int_{S^2}h(n)\,(\mathcal Cg)(n)\,\mathrm{d}\Omega_n=\int_{S^2}(\mathcal Ch)(x)\,g(x)\,\mathrm{d}\Omega_x .\tag{9.2.8}

左辺は「直交する2本の単位ベクトルの組 (n,x)(n,x) を一様に選んだときの h(n)g(x)h(n)g(x) の平均」に 4π4\pi を掛けたもので、この一様な分布は nn と xx を入れ替えても変わらないからである。

球面調和関数の上では Pℓ(0)P_\ell(0) 倍

S2S^2 の上の2乗可積分な関数は、球面調和関数の空間 Yℓ\mathcal Y_\ell(ℓ=0,1,2,…\ell=0,1,2,\dots、次元 2ℓ+12\ell+1、L^2\hat{\bm{L}}^2 の固有値 ℏ2ℓ(ℓ+1)\hbar^2\ell(\ell+1) の固有空間)の直和に分かれる。

補題 9.2.4(大円平均は Yℓ\mathcal Y_\ell の上で定数倍 ★★★)

Y∈YℓY\in\mathcal Y_\ell なら CY=Pℓ(0) Y\mathcal CY=P_\ell(0)\,Y。ここで PℓP_\ell は Legendre 多項式で、Pℓ(0)=0P_\ell(0)=0(ℓ\ell が奇数)、Pℓ(0)=(−1)ℓ/2(ℓ−1)!!ℓ!!P_\ell(0)=(-1)^{\ell/2}\frac{(\ell-1)!!}{\ell!!}(ℓ\ell が偶数、P0(0)=1P_0(0)=1)である。

証明

C\mathcal C は多項式を同じ次数以下の多項式に移し、回転と交換するので、回転の生成子 L^\hat{\bm{L}} と交換し、L^2\hat{\bm{L}}^2 の固有空間 Yℓ\mathcal Y_\ell を自分自身に移す。Yℓ\mathcal Y_\ell は回転群の既約表現なので、Schur の補題により、C\mathcal C は Yℓ\mathcal Y_\ell の上で定数 λℓ\lambda_\ell 倍である。定数を求めるには、Yℓ\mathcal Y_\ell の中の1つの関数で1点の値を比べればよい。Y(x)=Pℓ(x3)Y(x)=P_\ell(x_3)(zz 軸のまわりに回転対称な関数)は Yℓ\mathcal Y_\ell に入り、n=e3n=e_3 での値は Y(e3)=Pℓ(1)=1Y(e_3)=P_\ell(1)=1 である。一方 e3e_3 に直交する大円は赤道 x3=0x_3=0 なので、(CY)(e3)=Pℓ(0)(\mathcal CY)(e_3)=P_\ell(0)。よって λℓ=Pℓ(0)\lambda_\ell=P_\ell(0)。

この補題は Funk–Hecke の公式の特別な場合である。Pℓ(0)P_\ell(0) の値は 1, 0, −12, 0, 38, 0, −516,…1,\ 0,\ -\frac12,\ 0,\ \frac38,\ 0,\ -\frac{5}{16},\dots と続き、偶数の ℓ≥4\ell\ge4 では ∣Pℓ(0)∣<12\lvert P_\ell(0)\rvert <\frac12 である(∣Pℓ+2(0)∣=ℓ+1ℓ+2∣Pℓ(0)∣\lvert P_{\ell+2}(0)\rvert =\frac{\ell+1}{\ell+2}\lvert P_\ell(0)\rvert で単調に減る)。

定理と証明

定理 9.2.5(連続な frame function は2次形式 ★★★)

S2S^2 の上の連続な frame function ff(重み WW)は、ある実対称行列 AA(Tr⁡A=W\operatorname{Tr} A=W)で f(x)=xTAxf(x)=x^{\mathsf T}Ax と書ける。

証明

Y∈YℓY\in\mathcal Y_\ell を任意にとり、(9.2.7) の両辺に YY を掛けて球面で積分する。対称性 (9.2.8) と補題 9.2.4 から ∫Y Cf=∫(CY)f=Pℓ(0)∫Yf\int Y\,\mathcal Cf=\int(\mathcal CY)f=P_\ell(0)\int Yf なので

(1+2Pℓ(0))∫S2Yf dΩ=W∫S2Y dΩ.(9.2.9)\bigl(1+2P_\ell(0)\bigr)\int_{S^2}Y f\,\mathrm{d}\Omega=W\int_{S^2}Y\,\mathrm{d}\Omega .\tag{9.2.9}

右辺は ℓ≥1\ell\ge1 では 00(定数関数 1∈Y01\in\mathcal Y_0 と直交する)。左辺の係数 1+2Pℓ(0)1+2P_\ell(0) は、ℓ\ell が奇数なら 11、ℓ=2\ell=2 なら 00、偶数の ℓ≥4\ell\ge4 なら 1−2∣Pℓ(0)∣>01-2\lvert P_\ell(0)\rvert >0 か 1+2∣Pℓ(0)∣>01+2\lvert P_\ell(0)\rvert >0 で、いずれも 00 でない。したがって ℓ≠0,2\ell\neq0,2 のすべての Y∈YℓY\in\mathcal Y_\ell について ∫Yf=0\int Yf=0、すなわち ff は Y0⊕Y2\mathcal Y_0\oplus\mathcal Y_2 の外の成分を持たない。ℓ=0\ell=0 では 3∫f=4πW3\int f=4\pi W(Y=1Y=1)から ff の平均は W/3W/3 である。

Y0⊕Y2\mathcal Y_0\oplus\mathcal Y_2 は、実対称行列 AA による2次形式 xTAxx^{\mathsf T}Ax を球面に制限したものの全体と一致する(2次形式の空間は6次元で、xTx=1x^{\mathsf T}x=1 が Y0\mathcal Y_0、AA のトレースのない部分が Y2\mathcal Y_2 の5次元)。そこで ff の Y0⊕Y2\mathcal Y_0\oplus\mathcal Y_2 成分を q(x)=xTAxq(x)=x^{\mathsf T}Ax と書くと、f−qf-q は連続で、すべての球面調和関数と直交する。球面調和関数の全体は L2(S2)L^2(S^2) で完全なので f−q=0f-q=0(L2L^2 の意味で)で、連続関数が L2L^2 で 00 ならすべての点で 00 である。最後に、qq の基底の和は Tr⁡A\operatorname{Tr} A で、これが WW に等しい。

図 9.2.2 に係数 1+2Pℓ(0)1+2P_\ell(0) を描いた。ℓ=2\ell=2 でだけ 00 になるのは、P2(0)=−12P_2(0)=-\frac12 という値の偶然ではなく、2次形式 xTAxx^{\mathsf T}Ax の基底の和が Tr⁡A\operatorname{Tr} A という基底によらない量になることの裏返しである。トレースのない2次形式(Y2\mathcal Y_2)はどの基底でも和が 00 なので、(9.2.7) の右辺に寄与しない。確率が振幅の2乗になることの数学的な中身は、「基底の和を一定に保つ連続関数は、球面の上では2次の成分しか持てない」というこの事実である。

図

図 9.2.2 frame の条件 (9.2.7) が球面調和関数の各成分に掛ける係数 1+2Pℓ(0)1+2P_\ell(0)。00 になる ℓ=2\ell=2 の成分だけが重み 00 のまま残り、ℓ=0\ell=0 の成分が重み WW を担う。ほかの成分はすべて消える。偶数の ℓ\ell で係数は 11 のまわりを振動しながら 11 に近づく。

例題 9.2.3 x34x_3^4 は frame function でない ★★

オリジナルS2S^2 の上の関数 g(x)=x34g(x)=x_3^4 を考える。

  1. (1) 標準基底 {e1,e2,e3}\{e_1,e_2,e_3\} と、3本とも zz 成分が 1/31/\sqrt3 の正規直交基底での和をそれぞれ求めよ。
  2. (2) z4=15+47P2(z)+835P4(z)z^4=\frac15+\frac47P_2(z)+\frac{8}{35}P_4(z) を確かめ、g+2Cgg+2\mathcal Cg を求めよ。
  3. (3) (2) の結果から、gg が frame function でないこと、そして Y4\mathcal Y_4 の成分を取り除いた 15+47P2(x3)\frac15+\frac47P_2(x_3) が frame function であることを示せ。
解答

(1) 標準基底では 0+0+1=10+0+1=1。zz 成分が 1/31/\sqrt3 の基底(たとえば (2/3,0,1/3)(\sqrt{2/3},0,1/\sqrt3), (−1/6,±1/2,1/3)(-1/\sqrt6,\pm1/\sqrt2,1/\sqrt3))では 3⋅19=133\cdot\frac19=\frac13。基底によって和が違うので、gg は frame function でない。

(2) P2(z)=12(3z2−1)P_2(z)=\frac12(3z^2-1), P4(z)=18(35z4−30z2+3)P_4(z)=\frac18(35z^4-30z^2+3) を代入すると15+27(3z2−1)+135(35z4−30z2+3)=z4+(67−67)z2+(15−27+335)=z4\frac15+\frac27(3z^2-1)+\frac{1}{35}(35z^4-30z^2+3)=z^4+\bigl(\frac67-\frac67\bigr)z^2+\bigl(\frac15-\frac27+\frac{3}{35}\bigr)=z^4。補題 9.2.4 で各成分に 1+2Pℓ(0)1+2P_\ell(0) が掛かるので、n3=n⋅e3n_3=n\cdot e_3 として

g(n)+2(Cg)(n)=3⋅15+0⋅47P2(n3)+74⋅835P4(n3)=35+25P4(n3).g(n)+2(\mathcal Cg)(n)=3\cdot\frac15+0\cdot\frac47P_2(n_3)+\frac74\cdot\frac{8}{35}P_4(n_3)=\frac35+\frac25P_4(n_3).

n=e3n=e_3 では 35+25=1\frac35+\frac25=1、n=e1n=e_1 では P4(0)=38P_4(0)=\frac38 から 35+320=34\frac35+\frac{3}{20}=\frac34。直接の計算でも、n=e1n=e_1 に直交する大円の上で x3=cos⁡φx_3=\cos\varphi なので Cg(e1)=⟨cos⁡4φ⟩=38\mathcal Cg(e_1)=\langle\cos^4\varphi\rangle=\frac38、g(e1)=0g(e_1)=0 から 0+34=340+\frac34=\frac34 と一致する。

(3) frame function なら (9.2.7) で g+2Cgg+2\mathcal Cg は定数のはずだが、(2) の結果は nn によって変わる。よって gg は frame function でない。食い違いは Y4\mathcal Y_4 の成分 835P4\frac{8}{35}P_4 だけから出ている。これを取り除いた q(x)=15+47P2(x3)=135+67x32q(x)=\frac15+\frac47P_2(x_3)=\frac{1}{35}+\frac67x_3^2 は2次形式 xTAxx^{\mathsf T}Ax(A=diag⁡(135,135,135+67)A=\operatorname{diag}(\frac{1}{35},\frac{1}{35},\frac{1}{35}+\frac67))で、どの基底でも和は Tr⁡A=335+3035=35\operatorname{Tr} A=\frac{3}{35}+\frac{30}{35}=\frac35。重み 35\frac35 の frame function である。

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