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2次元なら作れる:量子ビットの非文脈的な模型

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第9部 第3章 Kochen–Specker の定理と文脈依存性
目次
  1. 2次元で着色が自明な理由
  2. 模型と、Born の規則の再現
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第9部 第3章 §9.3.2 ★★ 量子ビットでは隠れた変数の模型が実際に作れることを示し、定理が3次元以上でしか成り立たない理由を確かめる

2次元で着色が自明な理由

量子ビット H=C2\mathcal{H}=\mathbb{C}^2 では、射線 ∣x⟩| x \rangle に直交する射線は ∣x⊥⟩| x^\perp \rangle の1本しかない。正規直交基底は互いに交わらない2本組 {∣x⟩,∣x⊥⟩}\{| x \rangle ,| x^\perp \rangle \} に分かれ、1本の射線は1つの基底にしか属さない。だから、各組から好きな方を 11 に選べば KS 着色ができ、非文脈性はそもそも制約にならない。Bloch 球の言葉では、射線は単位ベクトル n\bm{n}(P^n=12(1^+n⋅σ)\hat P_{\bm{n}}=\frac12(\hat 1+\bm{n}\cdot\bm{\sigma}))に対応し、直交する射線は −n-\bm{n} である。KS 着色は、球面を「n\bm{n} と −n-\bm{n} の一方だけが黒」となるように塗ることに当たる。第9部第2章で Gleason の定理が2次元で破れたのも同じ理由である。

着色が作れるだけでなく、その混合で Born の規則を再現する模型も作ることができる。Bell(1966)と Kochen–Specker(1967)はどちらも、量子ビットについてそのような模型を示した。ここでは計算しやすい形の1つを使う。

模型と、Born の規則の再現

命題 9.3.4(量子ビットの隠れた変数の模型 ★★)

量子ビットの純粋状態を Bloch ベクトル m\bm{m}(∣m∣=1\lvert \bm{m}\rvert =1)で表す。隠れた変数 λ\lambda を単位球面上の単位ベクトルとし、その分布を

qm(λ)={λ⋅mπ(λ⋅m>0)0(λ⋅m≤0)(立体角 dΩ について)(9.3.3)q_{\bm{m}}(\lambda)=\begin{cases}\dfrac{\lambda\cdot\bm{m}}{\pi} & (\lambda\cdot\bm{m}>0)\\[1ex] 0 & (\lambda\cdot\bm{m}\le0)\end{cases}\qquad(\text{立体角 }\mathrm{d}\Omega\text{ について})\tag{9.3.3}

と定める。物理量 n⋅σ\bm{n}\cdot\bm{\sigma} の値を vλ(n⋅σ)=sgn⁡(λ⋅n)v_\lambda(\bm{n}\cdot\bm{\sigma})=\operatorname{sgn}(\lambda\cdot\bm{n}) で割り当てると、

Pr⁡(n⋅σ=+1)=∫λ⋅n>0qm(λ) dΩ=1+m⋅n2(9.3.4)\Pr\bigl(\bm{n}\cdot\bm{\sigma}=+1\bigr)=\int_{\lambda\cdot\bm{n}>0}q_{\bm{m}}(\lambda)\,\mathrm{d}\Omega=\frac{1+\bm{m}\cdot\bm{n}}{2}\tag{9.3.4}

となり、Born の規則 Tr⁡(ρ^P^n)=12(1+m⋅n)\operatorname{Tr}\bigl(\hat\rho\hat P_{\bm{n}}\bigr)=\frac12(1+\bm{m}\cdot\bm{n}) と一致する。

証明

まず規格化を確かめる。m\bm{m} を極にとった極座標で λ⋅m=cos⁡ϑ\lambda\cdot\bm{m}=\cos\vartheta なので ∫qm dΩ=1π∫02πdφ∫0π/2cos⁡ϑsin⁡ϑ dϑ=1π⋅2π⋅12=1\int q_{\bm{m}}\,\mathrm{d}\Omega=\frac1\pi\int_0^{2\pi}\mathrm{d}\varphi\int_0^{\pi/2}\cos\vartheta\sin\vartheta\,\mathrm{d}\vartheta=\frac1\pi\cdot2\pi\cdot\frac12=1。

次に確率を計算する。x+=max⁡(x,0)=12(x+∣x∣)x_+=\max(x,0)=\frac12(x+\lvert x\rvert ) を使って qm=12π(λ⋅m+∣λ⋅m∣)q_{\bm{m}}=\frac{1}{2\pi}(\lambda\cdot\bm{m}+\lvert \lambda\cdot\bm{m}\rvert ) と書くと

Pr⁡(+)=12π[∫λ⋅n>0λ⋅m dΩ+∫λ⋅n>0∣λ⋅m∣ dΩ].\Pr(+)=\frac{1}{2\pi}\Bigl[\int_{\lambda\cdot\bm{n}>0}\lambda\cdot\bm{m}\,\mathrm{d}\Omega+\int_{\lambda\cdot\bm{n}>0}\lvert \lambda\cdot\bm{m}\rvert \,\mathrm{d}\Omega\Bigr].

第1項は m⋅∫λ⋅n>0λ dΩ\bm{m}\cdot\int_{\lambda\cdot\bm{n}>0}\lambda\,\mathrm{d}\Omega で、半球の上の λ\lambda の積分は対称性から n\bm{n} の向きを向き、大きさは ∫λ⋅n>0λ⋅n dΩ=π\int_{\lambda\cdot\bm{n}>0}\lambda\cdot\bm{n}\,\mathrm{d}\Omega=\pi(規格化の計算と同じ)なので、第1項は π m⋅n\pi\,\bm{m}\cdot\bm{n}。第2項は、λ→−λ\lambda\to-\lambda で半球 λ⋅n>0\lambda\cdot\bm{n}>0 が反対の半球に移り、∣λ⋅m∣\lvert \lambda\cdot\bm{m}\rvert は変わらないので、球面全体の積分 ∫∣λ⋅m∣ dΩ=2π\int\lvert \lambda\cdot\bm{m}\rvert \,\mathrm{d}\Omega=2\pi の半分 π\pi である。よって Pr⁡(+)=12π(π m⋅n+π)=12(1+m⋅n)\Pr(+)=\frac{1}{2\pi}(\pi\,\bm{m}\cdot\bm{n}+\pi)=\frac12(1+\bm{m}\cdot\bm{n})。λ⋅n=0\lambda\cdot\bm{n}=0 となる λ\lambda は測度 00 なので、Pr⁡(−)=1−Pr⁡(+)\Pr(-)=1-\Pr(+) である。

混合状態(∣r∣<1\lvert \bm{r}\rvert <1)は純粋状態の混合 ρ^=∑jpjρ^mj\hat\rho=\sum_jp_j\hat\rho_{\bm{m}_j} に書けるので、分布も q=∑jpjqmjq=\sum_jp_jq_{\bm{m}_j} と混ぜれば、確率の線型性で 12(1+r⋅n)\frac12(1+\bm{r}\cdot\bm{n}) が出る。この模型は非文脈的である。量子ビットの文脈は {n⋅σ}\{\bm{n}\cdot\bm{\sigma}\} とその関数だけで、vλ(n⋅σ)v_\lambda(\bm{n}\cdot\bm{\sigma}) は λ\lambda と n\bm{n} だけで決まり、vλ(−n⋅σ)=sgn⁡(−λ⋅n)=−vλ(n⋅σ)v_\lambda(-\bm{n}\cdot\bm{\sigma})=\operatorname{sgn}(-\lambda\cdot\bm{n})=-v_\lambda(\bm{n}\cdot\bm{\sigma}) と (V2) を満たしているからである。

図

図 9.3.1 量子ビットの模型を、m\bm{m} と n\bm{n} を含む平面で切った断面。λ\lambda は m\bm{m} の向きの半球(横線より上)に密度 λ⋅m/π\lambda\cdot\bm{m}/\pi で分布する。n⋅σ=+1\bm{n}\cdot\bm{\sigma}=+1 になるのは λ\lambda が破線の右上側(λ⋅n>0\lambda\cdot\bm{n}>0)にあるときで、その重みは cos⁡2(θ/2)\cos^2(\theta/2)。赤の扇形は、n\bm{n} の半球のうち m\bm{m} の半球から外れた部分(λ\lambda が来ない)と、m\bm{m} の半球のうち n\bm{n} の半球から外れた部分(値 −1-1)を示す。

例題 9.3.2 模型で確率を計算する ★★

オリジナル状態を m=ez\bm{m}=\bm{e}_z(∣↑⟩| \uparrow \rangle)とする。

  1. (1) n=(sin⁡θ,0,cos⁡θ)\bm{n}=(\sin\theta,0,\cos\theta) で θ=π/3\theta=\pi/3 のとき、(9.3.4) から Pr⁡(n⋅σ=+1)\Pr(\bm{n}\cdot\bm{\sigma}=+1) を求め、Born の規則 ∣⟨n∣↑⟩∣2=cos⁡2(θ/2)\lvert \langle \bm{n} | \uparrow \rangle \rvert ^2=\cos^2(\theta/2) と比べよ。
  2. (2) θ=π/2\theta=\pi/2(σx\sigma_x の測定)で、λ\lambda の値が +1+1 になる領域を言葉で書き、確率 12\frac12 を確かめよ。
  3. (3) 同じ λ\lambda で σx\sigma_x と σz\sigma_z を「両方とも」値を持たせるこの模型は、例題 9.3.1 の von Neumann の仮定を満たすか。
解答

(1) m⋅n=cos⁡π3=12\bm{m}\cdot\bm{n}=\cos\frac\pi3=\frac12 なので Pr⁡(+)=12(1+12)=34\Pr(+)=\frac12(1+\frac12)=\frac34。Born の規則は cos⁡2π6=34\cos^2\frac\pi6=\frac34 で一致する。

(2) λ\lambda は上半球(λz>0\lambda_z>0)に密度 λz/π\lambda_z/\pi で分布し、σx=+1\sigma_x=+1 となるのは λx>0\lambda_x>0 の側である。密度 λz/π\lambda_z/\pi は λx→−λx\lambda_x\to-\lambda_x の鏡映で変わらないので、上半球の右半分と左半分の重みは等しく、Pr⁡(+)=12\Pr(+)=\frac12。(9.3.4) でも m⋅n=0\bm{m}\cdot\bm{n}=0 から 12\frac12。

(3) 満たさない。vλ(σx)+vλ(σz)∈{0,±2}v_\lambda(\sigma_x)+v_\lambda(\sigma_z)\in\{0,\pm2\} だが、σx+σz=2 n⋅σ\sigma_x+\sigma_z=\sqrt2\,\bm{n}\cdot\bm{\sigma}(n=(1,0,1)/2\bm{n}=(1,0,1)/\sqrt2)の値は vλ(2 n⋅σ)=±2v_\lambda(\sqrt2\,\bm{n}\cdot\bm{\sigma})=\pm\sqrt2 である。それでもこの模型は Born の規則をすべて再現する。交換しない組の値に和の関係を求めない限り、隠れた変数は量子ビットと両立する。von Neumann の仮定が強すぎたことの具体例になっている。

木下の勉強ステータス

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