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出てくるもの2:反強磁性と2つの副格子

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第3章 磁性 II:Heisenberg 模型・Weiss 平均場・スピン波
目次
  1. 高温の帯磁率と Néel 温度
  2. 同じ副格子の中の結合があるとき
  3. 秩序の下の帯磁率:垂直と平行
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部 第3章 §5.3.3 ★★★ 副格子ごとに平均場を置くと、Néel 温度 TNT_{\mathrm N} と、高温の χm=C/(T+θ)\chi_{\mathrm m}=C/(T+\theta) が出る。秩序の軸に垂直な帯磁率は温度によらず一定で、平行な帯磁率は低温で 0 に落ちる

高温の帯磁率と Néel 温度

J>0J>0 で、格子が副格子 A・B に分かれ、どの格子点の zz 個の隣もすべて反対の副格子にあるとする。副格子ごとに平均 ⟨SA⟩\langle \bm{S}_A \rangle、⟨SB⟩\langle \bm{S}_B \rangle を置くと、A の格子点の平均場の Hamiltonian は

HA=(gμBB+zJ⟨SB⟩)⋅SA(5.3.13)H_A=\bigl(g\mu_{\mathrm B}\bm{B}+zJ\langle \bm{S}_B \rangle \bigr)\cdot\bm{S}_A\tag{5.3.13}

で、B も A と B を入れ替えた形になる。

まず高温で弱い一様な磁場をかけ、⟨SAz⟩=⟨SBz⟩=−σ\langle S_A^z \rangle =\langle S_B^z \rangle =-\sigma とする。1次の式は σ=S(S+1)3kBT(gμBB−zJσ)\sigma=\frac{S(S+1)}{3 k_{\mathrm B} T}(g\mu_{\mathrm B}B-zJ\sigma) で、強磁性の式の z∣J∣z\lvert J\rvert が −zJ-zJ に替わっただけである。解くと

χm=CT+θ,kBθ=zJS(S+1)3(5.3.14)\chi_{\mathrm m}=\frac{C}{T+\theta},\qquad k_{\mathrm B}\theta=\frac{zJS(S+1)}{3}\tag{5.3.14}

となる。隣のスピンが外の磁場と逆向きの分子場を作るので、帯磁率は相互作用のない Curie の法則より小さい。

磁場をかけずに、⟨SAz⟩=−σA\langle S_A^z \rangle =-\sigma_A、⟨SBz⟩=+σA\langle S_B^z \rangle =+\sigma_A と副格子ごとに逆を向く解を探す。A の有効な場は zJ⟨SBz⟩=zJσAzJ\langle S_B^z \rangle =zJ\sigma_A で SAzS_A^z を下に向けるので、自己無撞着方程式は σA=SBS(βSzJσA)\sigma_A=SB_S(\beta SzJ\sigma_A) となり、強磁性の式 (5.3.7) で ∣J∣\lvert J\rvert を JJ に替えたものと同じである。したがって

kBTN=zJS(S+1)3=kBθ(5.3.15)k_{\mathrm B} T_{\mathrm N}=\frac{zJS(S+1)}{3}= k_{\mathrm B}\theta\tag{5.3.15}

で副格子の磁化が現れる。これが Néel 温度で、隣どうしの結合だけなら θ/TN=1\theta/T_{\mathrm N}=1 である。

同じ副格子の中の結合があるとき

同じ副格子の中の第2近接にも結合 J2>0J_2>0 があり(z2z_2 個)、第1近接を J1J_1(z1z_1 個)と書く。高温の一様な応答では2種類の隣がどちらも磁場と逆の分子場を作るので、kBθ=(z1J1+z2J2)S(S+1)/3k_{\mathrm B}\theta=(z_1J_1+z_2J_2)S(S+1)/3 になる。一方、秩序では第2近接は同じ副格子なので平均は自分と同じ向きで、第1近接と逆向きの寄与になり、kBTN=(z1J1−z2J2)S(S+1)/3k_{\mathrm B} T_{\mathrm N}=(z_1J_1-z_2J_2)S(S+1)/3 になる。比

θTN=z1J1+z2J2z1J1−z2J2(5.3.16)\frac{\theta}{T_{\mathrm N}}=\frac{z_1J_1+z_2J_2}{z_1J_1-z_2J_2}\tag{5.3.16}

は1より大きく、同じ副格子の中の結合が秩序を妨げる度合い(フラストレーション)の目安になる。

秩序の下の帯磁率:垂直と平行

T<TNT<T_{\mathrm N} では、秩序の軸(ここでは zz)に対して磁場の向きが2通りある。

垂直な磁場(B=Bex\bm{B}=B\bm{e}_x)では、2つの副格子の平均が大きさ σ0\sigma_0 を保ったまま、磁場と逆向きにわずかに傾く。⟨SA⟩=σ0(−sin⁡φ,0,−cos⁡φ)\langle \bm{S}_A \rangle =\sigma_0(-\sin\varphi,0,-\cos\varphi)、⟨SB⟩=σ0(−sin⁡φ,0,+cos⁡φ)\langle \bm{S}_B \rangle =\sigma_0(-\sin\varphi,0,+\cos\varphi) と置くと、式 (5.3.13) の A の有効な場はhA=(gμBB−zJσ0sin⁡φ, 0, zJσ0cos⁡φ)\bm{h}_A=(g\mu_{\mathrm B}B-zJ\sigma_0\sin\varphi,\ 0,\ zJ\sigma_0\cos\varphi) である。⟨SA⟩\langle \bm{S}_A \rangle は hA\bm{h}_A と逆向きなので、xx 成分と zz 成分の比をそろえて

sin⁡φcos⁡φ=gμBB−zJσ0sin⁡φzJσ0cos⁡φ⟹sin⁡φ=gμBB2zJσ0\frac{\sin\varphi}{\cos\varphi}=\frac{g\mu_{\mathrm B}B-zJ\sigma_0\sin\varphi}{zJ\sigma_0\cos\varphi} \quad\Longrightarrow\quad \sin\varphi=\frac{g\mu_{\mathrm B}B}{2zJ\sigma_0}

を得る。一様な磁化は M=ngμBσ0sin⁡φ=ng2μB2B/(2zJ)M=ng\mu_{\mathrm B}\sigma_0\sin\varphi=ng^2\mu_{\mathrm B}^2B/(2zJ) で、

χ⊥=μ0ng2μB22zJ(5.3.17)\chi_\perp=\frac{\mu_0ng^2\mu_{\mathrm B}^2}{2zJ}\tag{5.3.17}

は σ0\sigma_0 にも温度にもよらない。傾けることで得る Zeeman のエネルギーと、副格子どうしの角度が開くことで損する交換のエネルギーの釣り合いが、副格子の磁化の大きさと無関係に決まるからである。T=TNT=T_{\mathrm N} では式 (5.3.14) が C/(2TN)C/(2T_{\mathrm N}) を与え、式 (5.3.8) の形の CC と TNT_{\mathrm N} を入れると式 (5.3.17) と一致する。χ⊥\chi_\perp は高温の帯磁率に連続につながる。

平行な磁場(B=Bez\bm{B}=B\bm{e}_z)では、各副格子の磁化の大きさが変わる。A・B の ⟨−Sz⟩\langle -S^z \rangle がどちらも δσ\delta\sigma だけずれるとし、1次まで展開するとδσ=S2βBS′(x0) (gμBB−zJδσ)\delta\sigma=S^2\beta B_S'(x_0)\,(g\mu_{\mathrm B}B-zJ\delta\sigma)(x0=βSzJσ0x_0=\beta SzJ\sigma_0)で、

χ∥=μ0ng2μB2S2βBS′(x0)1+zJS2βBS′(x0)(5.3.18)\chi_\parallel=\mu_0ng^2\mu_{\mathrm B}^2\frac{S^2\beta B_S'(x_0)}{1+zJS^2\beta B_S'(x_0)}\tag{5.3.18}

となる。T→0T\to0 では BS′(x0)B_S'(x_0) が e−x0/S\mathrm{e}^{-x_0/S} の速さで 0 になるので χ∥→0\chi_\parallel\to0 である。完全にそろった副格子は磁場の向きの成分をもうそれ以上変えられない。T=TNT=T_{\mathrm N} では x0=0x_0=0、BS′(0)=(S+1)/(3S)B_S'(0)=(S+1)/(3S) を入れると χ∥=χ⊥\chi_\parallel=\chi_\perp になる。

図

図 5.3.2 2副格子の反強磁性体の平均場の帯磁率(S=1/2S=1/2、隣どうしの結合だけ。式 (5.3.14)・(5.3.17)・(5.3.18))。TNT_{\mathrm N} より上は Curie–Weiss の形で、下では秩序の軸に垂直な χ⊥\chi_\perp が一定、平行な χ∥\chi_\parallel が 0 へ落ちる。灰色の細い線は向きをでたらめに平均した多結晶の値で、T=0T=0 で 2/32/3 になる。どれも平均場の近似。

例題 5.3.3 θ/TN\theta/T_{\mathrm N} と多結晶の帯磁率 ★★

オリジナル

  1. (1) ある反強磁性体で、高温の 1/χm1/\chi_{\mathrm m} の直線から θ\theta を、帯磁率の折れ曲がりから TNT_{\mathrm N} を読み、θ/TN=5\theta/T_{\mathrm N}=5 を得た。式 (5.3.16) の模型で z2J2/(z1J1)z_2J_2/(z_1J_1) を求めよ。
  2. (2) 多結晶の試料では、結晶の向きがでたらめなので帯磁率は (χ∥+2χ⊥)/3(\chi_\parallel+2\chi_\perp)/3 になる。T=0T=0 での値を χm(TN)\chi_{\mathrm m}(T_{\mathrm N}) との比で求めよ。
解答

(1) r=z2J2/(z1J1)r=z_2J_2/(z_1J_1) と置くと (1+r)/(1−r)=5(1+r)/(1-r)=5 で、r=2/3r=2/3。同じ副格子の中の結合が第1近接の 2/32/3 もあり、秩序がかなり妨げられていることを示す。隣どうしの結合だけなら θ/TN=1\theta/T_{\mathrm N}=1 なので、測った比が1から離れているほど、模型に第2近接以遠の結合を足す必要がある。

(2) T=0T=0 では χ∥=0\chi_\parallel=0、χ⊥=χm(TN)\chi_\perp=\chi_{\mathrm m}(T_{\mathrm N}) なので、(0+2χ⊥)/3=23χm(TN)(0+2\chi_\perp)/3=\frac23\chi_{\mathrm m}(T_{\mathrm N})。多結晶の帯磁率は TNT_{\mathrm N} で頭を打ち、T→0T\to0 で 2/32/3 まで下がる。単結晶で方向を分けて測ると、どちらが秩序の軸かが分かる。

木下の勉強ステータス

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