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実験計画法とは

2026年10月15日16分で読めますAI生成教科書『資格試験』第1章 イントロダクション
目次
  1. 実験計画法の対象と手順
  2. Fisher の3原則
  3. 反復:誤差を推定し、平均の分散を小さくする
  4. 無作為化:系統的な影響による偏りを取り除く
  5. 局所管理:ブロック間の変動を誤差から除く
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

実験計画法 第1章 §1.1 ★★ 反復・無作為化・局所管理の3原則が、それぞれ誤差の推定・偏りの除去・誤差の縮小を担う

実験計画法は、限られた回数の実験から、どの要因が結果にどれだけ影響するかを、誤差の大きさと比べて判定するための方法である。その中身は次の2つに分かれる。

  • 計画:実験をどう組むか(因子と水準の選び方、実験の順序、ブロックの作り方)を決める部分。
  • 解析:得られたデータから平方和を分解して検定と推定を行う部分。

計画が悪いと、解析をどれだけ丁寧に行っても要因の効果と別の原因の影響を区別することができない。そのため、この章ではまず計画の側の原則(Fisher の3原則)を、数式で確かめられる形で述べる。

次に、解析の側の道具として、正規母集団の平均と分散に関する検定と区間推定を復習する。分散分析の FF 検定は、2つの母平均の差の tt 検定を3つ以上の水準へ広げたものであり、2水準のときは両者が完全に一致する。この一致を §1.2 で導いておくと、第2章以降の分散分析表が何を計算しているかを、既に知っている tt 検定の言葉で読むことができる。最後の節では、本の第1.3節(本書の構成と勉強方法)の代わりに、この解説の章立て・記号・使い方をまとめる。

資格試験の応用(理工学)の科目で、この章の内容が単独の大問になることは少ない。ただし、「この実験で無作為化が必要な理由を述べよ」「ブロックを設けると誤差分散がどう変わるか」のような説明の小問や、2群比較の tt 検定と1元配置の FF 検定の関係を問う小問は、実験計画法の大問の最初の1〜2問として出ることがある。

実験計画法の対象と手順

実験で結果として測る量を特性値、特性値に影響しそうな原因のうち実験者が意図的に変えるものを因子、因子をどの値に設定するかの段階を水準と呼ぶ(第2章 §2.1 で詳しく定義する)。たとえば、樹脂の引張強度を特性値とし、成形温度を因子として 160,180,200 ∘C160,180,200\,{}^\circ\mathrm{C} の3水準で比べる、という形である。

同じ水準で実験を繰り返しても、特性値は毎回少しずつ違う値になる。原料のロットの違い、測定器の読みの揺らぎ、室温の変化など、実験者が制御していない多くの原因が重なって生じるこのばらつきを誤差と呼ぶ。実験計画法の問題は、水準を変えたときの特性値の違いが、誤差によるばらつきの範囲を超えているかどうかを判定することである。

実験は、おおよそ次の順序で進める。

  1. 実験の目的を決め、目的に合う特性値を選ぶ。
  2. 取り上げる因子と水準を決め、因子の数と実験回数の制約から配置(1元配置・2元配置・直交配列表・乱塊法など)を選ぶ。
  3. 実験の順序と割り付けを無作為に決めて実施し、データを分散分析で解析する。
  4. 最適と判断した条件での特性値を推定し、その条件で確認の実験をして推定が当たっているかを確かめる。

この解説の第2章以降は、このうち「配置を選ぶ」から「推定する」までの部分を、配置ごとに扱う。

Fisher の3原則

R. A. Fisher は、農業の圃場試験(区画に分けた畑で品種や肥料を比べる試験)の解析を通じて、実験の計画が満たすべき原則を3つにまとめた。反復(replication)・無作為化(randomization)・局所管理(local control)である。3つの原則は、それぞれ誤差に対して異なる役割を担う。

定義 1.1(Fisher の3原則)

  1. 反復:同じ処理(水準)の実験を2回以上行う。
  2. 無作為化:実験の順序や、実験の単位(試験片・区画・日)への処理の割り付けを、乱数で決める。
  3. 局所管理:実験の場を、内部では条件がそろっている小さなブロック(同じ日・同じロット・隣り合う区画)に分け、各ブロックの中で処理を比べる。

反復:誤差を推定し、平均の分散を小さくする

ある水準で rr 回実験し、データ x1,…,xrx_1,\dots,x_r が得られたとする。データは互いに独立に N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) に従うとする。反復には2つの役割がある。

第一に、反復があると誤差分散 σ2\sigma^2 をデータから推定することができる。σ2\sigma^2 の不偏推定量は

V=∑j(xj−xˉ)2r−1V=\frac{\sum_j(x_j-\bar x)^2}{r-1}

で、分母の自由度 r−1r-1 は r≥2r\ge2 でなければ正にならない。1元配置で aa 個の水準をそれぞれ rr 回ずつ実験すると、誤差の自由度は

ϕe=a(r−1)\phi_e=a(r-1)

である(第2章 §2.2)。r=1r=1 では ϕe=0\phi_e=0 となり、誤差分散を推定する手段が無いので、水準間の違いが誤差の範囲内か否かを判定することができない。

第二に、反復は平均の精度を上げる。水準平均 xˉ\bar x の分散は

V[xˉ]=σ2r(1.1)V[\bar x]=\frac{\sigma^2}{r}\tag{1.1}

で、rr を増やすほど小さくなる。2つの水準の平均の差 xˉ1−xˉ2\bar x_1-\bar x_2(各 rr 回、互いに独立)の分散は次のとおりである。

V[xˉ1−xˉ2]=2σ2rV[\bar x_1-\bar x_2]=\frac{2\sigma^2}{r}

信頼区間の幅は標準偏差に比例するので、幅を半分にするには rr を4倍にする必要がある。

無作為化:系統的な影響による偏りを取り除く

実験を時間の順に行うと、室温・装置の温まり方・作業者の慣れなどが、実験の順番とともに少しずつ変わる。実験は NN 回で、その枠に1から NN までの番号を付ける。こうした影響を、kk 番目の枠に固有の値 uku_k として表し、データを

xk=μ(k)+uk+εk(1.2)x_k=\mu_{(k)}+u_k+\varepsilon_k\tag{1.2}

とおく。μ(k)\mu_{(k)} は kk 番目の枠に割り付けた水準の母平均である。εk\varepsilon_k は互いに独立な N(0,σ2)\mathrm{N}(0,\sigma^2) の誤差である。uku_k は実験者が知らない固定された値で、たとえば一次の傾向 uk=δku_k=\delta k を考える。

2水準を nn 回ずつ比べるとする。全体の回数は N=2nN=2n である。前半の枠で A1A_1 を、後半の枠で A2A_2 を行うとする。このとき差 xˉ1−xˉ2\bar x_1-\bar x_2 の期待値には、母平均の差に加えて、前半と後半の uu の平均の差が入る。

一次の傾向なら、その差は −nδ-n\delta である。したがって δ>0\delta>0 なら A1A_1 の効果を実際より小さく見積もる。このように処理の効果と別の原因の影響がデータの上で分けられない状態を交絡と呼ぶ。

無作為化は、どの枠にどの水準を割り付けるかを乱数で決める操作である。A1A_1 に使う枠は、全部の枠から nn 個を選ぶ。その選び方 (Nn)\binom{N}{n} 通りが等確率になるようにする。このとき、次の補題が成り立つ。

補題 1.2(無作為に選んだ枠の平均)

固定された値 u1,…,uNu_1,\dots,u_N の平均とばらつきを次のように書く。

uˉ=1N∑kuk,su2=1N∑k(uk−uˉ)2\bar u=\frac1N\sum_k u_k,\qquad s_u^2=\frac1N\sum_k(u_k-\bar u)^2

この中から nn 個を等確率に無作為に選び、選んだ値の平均を uˉS\bar u_S とする。このとき

E[uˉS]=uˉ,V[uˉS]=N−nN−1⋅su2n.(1.3)E[\bar u_S]=\bar u,\qquad V[\bar u_S]=\frac{N-n}{N-1}\cdot\frac{s_u^2}{n}.\tag{1.3}

証明

kk 番目の枠が選ばれたとき1、選ばれないとき0をとる確率変数を ZkZ_k とする。uˉS=1n∑kukZk\bar u_S=\frac1n\sum_k u_kZ_k である。ある枠が選ばれる確率は n/Nn/N なので E[Zk]=n/NE[Z_k]=n/N である。したがって

E[uˉS]=1n∑kuk⋅nN=uˉ.E[\bar u_S]=\frac1n\sum_k u_k\cdot\frac nN=\bar u.

分散を求める。Zk2=ZkZ_k^2=Z_k より V[Zk]=nN−n2N2=n(N−n)N2V[Z_k]=\frac nN-\frac{n^2}{N^2}=\frac{n(N-n)}{N^2}。k≠lk\neq l のとき、2つの枠がともに選ばれる確率はn(n−1)N(N−1)\frac{n(n-1)}{N(N-1)} なので

Cov(Zk,Zl)=n(n−1)N(N−1)−n2N2=nN⋅N(n−1)−n(N−1)N(N−1)=−n(N−n)N2(N−1).\mathrm{Cov}(Z_k,Z_l)=\frac{n(n-1)}{N(N-1)}-\frac{n^2}{N^2}=\frac nN\cdot\frac{N(n-1)-n(N-1)}{N(N-1)}=-\frac{n(N-n)}{N^2(N-1)}.

dk=uk−uˉd_k=u_k-\bar u とおくと ∑kdk=0\sum_k d_k=0 である。∑kZk=n\sum_k Z_k=n は定数なので

∑kukZk=∑kdkZk+uˉ∑kZk=∑kdkZk+nuˉ\sum_k u_kZ_k=\sum_k d_kZ_k+\bar u\sum_k Z_k=\sum_k d_kZ_k+n\bar u

となる。v=V[Zk]v=V[Z_k]、c=Cov(Zk,Zl)c=\mathrm{Cov}(Z_k,Z_l) と書くと

V[∑kdkZk]=∑kdk2 v+∑k≠ldkdl c=(v−c)∑kdk2+c(∑kdk)2=(v−c) Nsu2.V\Bigl[\sum_k d_kZ_k\Bigr]=\sum_k d_k^2\,v+\sum_{k\neq l}d_kd_l\,c=(v-c)\sum_k d_k^2+c\Bigl(\sum_k d_k\Bigr)^2=(v-c)\,Ns_u^2.

ここで v−c=n(N−n)N2(1+1N−1)=n(N−n)N(N−1)v-c=\frac{n(N-n)}{N^2}\bigl(1+\frac1{N-1}\bigr)=\frac{n(N-n)}{N(N-1)} なので、V[∑kukZk]=n(N−n)N−1su2V[\sum_k u_kZ_k]=\frac{n(N-n)}{N-1}s_u^2。n2n^2 で割って (1.3) を得る。

補題を2水準の比較に使う。A2A_2 に割り付けられるのは残りの nn 枠で、その平均は

uˉSc=Nuˉ−nuˉSn=2uˉ−uˉS\bar u_{S^c}=\frac{N\bar u-n\bar u_S}{n}=2\bar u-\bar u_S

である。よって uˉS−uˉSc=2(uˉS−uˉ)\bar u_S-\bar u_{S^c}=2(\bar u_S-\bar u) となり、

E[uˉS−uˉSc]=0,V[uˉS−uˉSc]=4V[uˉS]=4(N−n)N−1⋅su2n.(1.4)E[\bar u_S-\bar u_{S^c}]=0,\qquad V[\bar u_S-\bar u_{S^c}]=4V[\bar u_S]=\frac{4(N-n)}{N-1}\cdot\frac{s_u^2}{n}.\tag{1.4}

したがって、無作為化した実験では E[xˉ1−xˉ2]=μ1−μ2E[\bar x_1-\bar x_2]=\mu_1-\mu_2 が、uku_k がどんな値であっても成り立つ。期待値は、誤差 ε\varepsilon と割り付けの乱数の両方についてとっている。

系統的な影響 uku_k は偏りとしては残らず、割り付けによって変わる偶然の変動としてxˉ1−xˉ2\bar x_1-\bar x_2 の分散に加わる。その分は各水準内のばらつきにも同じように現れるので、誤差分散の推定値にも入る。無作為化は、未知の系統的な影響を「誤差の一部」として扱えるようにする操作である。構造式の「誤差は互いに独立」という仮定は、この操作によって実験の手続きの側から保証される。

例題 1.1 一次の傾向と無作為化 ★★

オリジナル2水準 A1,A2A_1,A_2 を3回ずつ、計6回の実験を1日のうちに順に行う。データは (1.2) の形で、傾向は uk=δku_k=\delta k(k=1,…,6k=1,\dots,6)とする。

  • (1) 順序 A1A1A1A2A2A2A_1A_1A_1A_2A_2A_2 で実験したとき、E[xˉ1−xˉ2]E[\bar x_1-\bar x_2] を求めよ。
  • (2) A1A_1 に使う3枠を (63)=20\binom63=20 通りから等確率に選ぶとする。このときの E[xˉ1−xˉ2]E[\bar x_1-\bar x_2] と V[xˉ1−xˉ2]V[\bar x_1-\bar x_2] を求めよ。
解答

(1) 2つの水準平均は次のようになる。

xˉ1=μ1+δ⋅1+2+33+εˉ1=μ1+2δ+εˉ1,xˉ2=μ2+δ⋅4+5+63+εˉ2=μ2+5δ+εˉ2.\begin{aligned}\bar x_1&=\mu_1+\delta\cdot\frac{1+2+3}{3}+\bar\varepsilon_1=\mu_1+2\delta+\bar\varepsilon_1,\\ \bar x_2&=\mu_2+\delta\cdot\frac{4+5+6}{3}+\bar\varepsilon_2=\mu_2+5\delta+\bar\varepsilon_2.\end{aligned}

よって E[xˉ1−xˉ2]=μ1−μ2−3δE[\bar x_1-\bar x_2]=\mu_1-\mu_2-3\delta で、−3δ-3\delta の偏りが生じる。

(2) uk=δku_k=\delta k の平均とばらつきは次のとおりである。

uˉ=3.5δ,su2=δ2⋅16∑k=16(k−3.5)2=δ2⋅17.56=3512δ2.\bar u=3.5\delta,\qquad s_u^2=\delta^2\cdot\frac16\sum_{k=1}^6(k-3.5)^2=\delta^2\cdot\frac{17.5}{6}=\frac{35}{12}\delta^2.

差を次のように3つに分ける。

xˉ1−xˉ2=(μ1−μ2)+(uˉS−uˉSc)+(εˉ1−εˉ2)\bar x_1-\bar x_2=(\mu_1-\mu_2)+(\bar u_S-\bar u_{S^c})+(\bar\varepsilon_1-\bar\varepsilon_2)

(1.4) を N=6N=6、n=3n=3 で使うと

E[xˉ1−xˉ2]=μ1−μ2,V[uˉS−uˉSc]=4⋅35⋅35δ2/123=73δ2.E[\bar x_1-\bar x_2]=\mu_1-\mu_2,\qquad V[\bar u_S-\bar u_{S^c}]=\frac{4\cdot3}{5}\cdot\frac{35\delta^2/12}{3}=\frac73\delta^2.

誤差の項 εˉ1−εˉ2\bar\varepsilon_1-\bar\varepsilon_2 の分散は σ2/3+σ2/3=2σ2/3\sigma^2/3+\sigma^2/3=2\sigma^2/3 で、割り付けの乱数とは独立だから

V[xˉ1−xˉ2]=2σ23+7δ23.V[\bar x_1-\bar x_2]=\frac{2\sigma^2}{3}+\frac{7\delta^2}{3}.

(検算:20 通りの選び方を全部書き出すと、uˉS−uˉSc\bar u_S-\bar u_{S^c} は ±3δ\pm3\delta の範囲の値をとる。その平均は0、2乗の平均は 73δ2\frac73\delta^2 になる。)偏り −3δ-3\delta は消え、代わりに分散が 7δ2/37\delta^2/3 だけ増える。

例題 1.1 の (2) で増えた分散 7δ2/37\delta^2/3 は、傾向 δ\delta が誤差に比べて大きいと無視することができない。傾向があると分かっているなら、無作為化だけに頼らず、次の局所管理で傾向そのものを比較から外す方が精度は高い。

局所管理:ブロック間の変動を誤差から除く

実験の単位(試験片・区画・日)には、処理と無関係な個体差がある。jj 番目の単位の個体差を γj\gamma_j とする。γj\gamma_j は互いに独立に N(0,σR2)\mathrm{N}(0,\sigma_R^2) に従い、誤差とも独立とする。2つの処理 A1,A2A_1,A_2 を各 rr 回比べる2通りの計画を考える。

命題 1.3(ブロックを設けたときの差の分散)

  • (i) 完全無作為化:2r2r 個の異なる単位に、2つの処理を rr 個ずつ無作為に割り付け、次のデータを得るとする。

x=μi+γ(単位)+εx=\mu_i+\gamma_{(\text{単位})}+\varepsilon

このとき V[xˉ1−xˉ2]=2(σ2+σR2)rV[\bar x_1-\bar x_2]=\dfrac{2(\sigma^2+\sigma_R^2)}{r}。

  • (ii) ブロックを設ける:rr 個の単位(ブロック)のそれぞれで A1,A2A_1,A_2 を1回ずつ行い、次のデータを得るとする。

xij=μi+γj+εijx_{ij}=\mu_i+\gamma_j+\varepsilon_{ij}

このとき V[xˉ1−xˉ2]=2σ2rV[\bar x_1-\bar x_2]=\dfrac{2\sigma^2}{r}。

証明

(i) 各データは μi\mu_i に、互いに独立な γ+ε\gamma+\varepsilon を足したものである。その分散は σR2+σ2\sigma_R^2+\sigma^2 である。xˉ1\bar x_1 と xˉ2\bar x_2 は異なる単位の平均なので独立である。それぞれの分散は (σ2+σR2)/r(\sigma^2+\sigma_R^2)/r で、差の分散はその和である。

(ii) 2つの水準平均は次のようになる。

xˉ1⋅=μ1+γˉ+εˉ1⋅,xˉ2⋅=μ2+γˉ+εˉ2⋅\bar x_{1\cdot}=\mu_1+\bar\gamma+\bar\varepsilon_{1\cdot},\qquad \bar x_{2\cdot}=\mu_2+\bar\gamma+\bar\varepsilon_{2\cdot}

γˉ=1r∑jγj\bar\gamma=\frac1r\sum_j\gamma_j は2つの平均に共通に入る。差をとると

xˉ1⋅−xˉ2⋅=μ1−μ2+εˉ1⋅−εˉ2⋅\bar x_{1\cdot}-\bar x_{2\cdot}=\mu_1-\mu_2+\bar\varepsilon_{1\cdot}-\bar\varepsilon_{2\cdot}

となって γˉ\bar\gamma は消え、分散は 2σ2/r2\sigma^2/r になる。

命題 1.3 は局所管理の効果を量で示している。ブロックの中で処理を比べると、ブロック間の個体差 σR2\sigma_R^2 は差をとる段階で消え、比較の精度は誤差 σ2\sigma^2 だけで決まる。同じ精度を完全無作為化で得るには、繰返しを (σ2+σR2)/σ2(\sigma^2+\sigma_R^2)/\sigma^2 倍に増やす必要がある。

ブロックの中でどちらの処理を先に行うかは、ブロックごとに無作為に決める。これにより、ブロックの中に残る系統的な影響も偏りにならない。局所管理と無作為化を組み合わせたこの計画が乱塊法で、第11章で扱う。

図 1.1 は、圃場試験での2つの計画を模式的に示している。畑の左から右へ地力が変わるとき、完全無作為化では地力の差が処理の比較に入るが、隣り合う区画をまとめたブロックの中で比べると、地力の差は比較に入らない。

図

図 1.1 8区画で2処理を比べる2つの計画。上は8区画に A1,A2A_1,A_2 を4個ずつ無作為に割り付けたもの、下は隣り合う2区画を1ブロックとし、各ブロックの中で A1,A2A_1,A_2 の位置を無作為に決めたもの(太枠がブロック)。網の濃さは地力を表す

3原則の役割の分担

反復は誤差分散 σ2\sigma^2 を推定可能にし、平均の分散を σ2/r\sigma^2/r に下げる。無作為化は、未知の系統的な影響を偏りでなく偶然の変動に変え、誤差の独立性の仮定を手続きで保証する。局所管理は、既知の変動の源(日・ロット・区画)をブロックとして比較から外し、誤差分散そのものを小さくする。3つのうち無作為化だけは、系統的な影響の大きさを知らなくても偏りを取り除く点で、ほかの2つと性格が異なる。

確認テスト

オリジナル

  1. 1.1-1 Fisher の3原則を挙げ、それぞれが誤差に関して何を可能にするかを1文ずつで述べよ。
  2. 1.1-2 2水準 A1,A2A_1,A_2 を2回ずつ、計4回を順に行う。kk 番目のデータに一次の傾向 uk=δku_k=\delta k が加わるとする。 (a) 2つの順序 A1A1A2A2A_1A_1A_2A_2 と A1A2A2A1A_1A_2A_2A_1 を考える。それぞれで偏り E[xˉ1−xˉ2]−(μ1−μ2)E[\bar x_1-\bar x_2]-(\mu_1-\mu_2) を求めよ。 (b) A1A_1 に使う2枠を6通りから等確率に選ぶとき、uˉS−uˉSc\bar u_S-\bar u_{S^c} の期待値と分散を、6通りを書き出す方法と補題 1.2 の両方で求めよ。
  3. 1.1-3 ブロック間の個体差の分散が σR2=12\sigma_R^2=12、誤差分散が σ2=4\sigma^2=4 であるとする。2処理を各 r=5r=5 回比べるとき、完全無作為化とブロックを設けた計画のそれぞれで V[xˉ1−xˉ2]V[\bar x_1-\bar x_2] を求めよ。また、完全無作為化で、ブロックを設けた計画と同じ分散以下にするには、各処理の繰返しが何回以上必要か。
  4. 1.1-4 誤差分散 σ2=4\sigma^2=4 が既知の正規母集団で、2水準を各 rr 回比べる。μ1−μ2\mu_1-\mu_2 の95%信頼区間

xˉ1−xˉ2±z0.0252σ2/r\bar x_1-\bar x_2\pm z_{0.025}\sqrt{2\sigma^2/r}

の半幅を1以下にしたい。rr の最小値を求めよ。z0.025=1.960z_{0.025}=1.960 を用いてよい。5. 1.1-5 確認テスト 1.1-2 の順序 A1A2A2A1A_1A_2A_2A_1 について、傾向が二次 uk=δk2u_k=\delta k^2 のときを考える。このときの偏り E[xˉ1−xˉ2]−(μ1−μ2)E[\bar x_1-\bar x_2]-(\mu_1-\mu_2) を求め、この順序が一次の傾向にしか対処できないことを説明せよ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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