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直交配列表を用いた分割法とは

2026年10月15日24分で読めますAI生成教科書『資格試験』第13章 直交配列表を用いた分割法
目次
  1. 第12章の分割法から借りる結果
  2. 1次単位を基本列で決める
  3. 構造式と列平方和の期待値
  4. 1次誤差と2次誤差の列
  5. 分散分析後の推定
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

実験計画法 第13章 §13.1 ★ 1次単位を基本列の一部で決めると、成分記号にその文字しか含まない列が1次の列になる

第12章の分割法は、水準を変えにくい因子(炉の温度、反応槽の圧力など)を大きな実験単位(1次単位)ごとに設定し、変えやすい因子をその中の小さな単位(2次単位)で変える計画であった。誤差が2種類に分かれ、1次単位の因子は1次誤差で、2次単位の因子と1次・2次の交互作用は2次誤差で検定する。

因子が3つ、4つと増えて交互作用も見たくなると、すべての水準組合せを実施する多元配置の分割法では実験の回数が多すぎる。そこで、第8章の2水準系直交配列表に分割法の構造を重ねる。これが直交配列表を用いた分割法である。

この章で作る道具は3つある。

  1. 直交配列表の列を成分記号で「1次単位の列」と「2次単位の列」に分ける規則と、その規則が正しい理由。
  2. 列平方和の期待値が1次の列と2次の列で異なることの導出。ここから「割り付けなかった1次の列が1次誤差、2次の列が2次誤差になる」が出る。
  3. 分散分析後の推定。母平均の推定量の分散が2つの誤差分散の1次結合になること、それを Satterthwaite の等価自由度で扱う方法である。

統計応用(理工学)の実験計画法の大問では、「割り付けを読む → 1次誤差と2次誤差の列を決める → 分散分析表を2段に作る →期待平均平方から検定の分母を選ぶ → 最適条件を推定する」という連鎖で問われうる。

記号は第8章に合わせ、表は LN(2N−1)L_N(2^{N-1}) とする。第8章の列番号は、この章では jj と書く。文字 kk は1次単位の大きさに使う。

  • 列[jj]の符号ベクトルを uj\bm u_j と書く。水準1を +1+1、水準2を −1-1 で表す。
  • 列[jj]の水準別の和を Tj1,Tj2T_{j1},T_{j2} と書く。列平方和は S[j]=(Tj1−Tj2)2/NS_{[j]}=(T_{j1}-T_{j2})^2/N である。
  • 分割法の2種類の誤差分散を、1次誤差(1次単位ごとの変動)が σ(1)2\sigma_{(1)}^2、2次誤差(個々の実験の変動)が σ(2)2\sigma_{(2)}^2 とする。
  • 1次誤差の平方和・自由度・平均平方を Se(1),ϕe(1),Ve(1)S_{e(1)},\phi_{e(1)},V_{e(1)} と書く。2次誤差のものは Se(2),ϕe(2),Ve(2)S_{e(2)},\phi_{e(2)},V_{e(2)} と書く。

第12章の分割法から借りる結果

まず第12章の分割法の結果を、この章で使う形で1回書いておく。設定は次のとおりである。

  • 1次因子 AA(aa 水準)を、各反復の1次単位に割り当てる。反復を因子 RR とみなし、その回数を rr とする。
  • 各1次単位をさらに2次単位に分け、2次因子 BB の bb 水準を無作為な順に実施する。

このときデータの構造式は

xijh=μ+ai+γh+ε(1)ih+bj+(ab)ij+ε(2)ijh,ε(1)ih∼N(0,σ(1)2),ε(2)ijh∼N(0,σ(2)2)(13.1)x_{ijh}=\mu+a_i+\gamma_h+\varepsilon_{(1)ih}+b_j+(ab)_{ij}+\varepsilon_{(2)ijh},\qquad \varepsilon_{(1)ih}\sim\mathrm{N}(0,\sigma_{(1)}^2),\quad \varepsilon_{(2)ijh}\sim\mathrm{N}(0,\sigma_{(2)}^2)\tag{13.1}

で(γh\gamma_h は反復の効果、すべての確率変数は独立)、期待平均平方は

E(Ve(1))=σ(2)2+b σ(1)2,E(Ve(2))=σ(2)2(13.2)E(V_{e(1)})=\sigma_{(2)}^2+b\,\sigma_{(1)}^2,\qquad E(V_{e(2)})=\sigma_{(2)}^2\tag{13.2}

となる。各要因の期待平均平方は、次の2つの型に分かれる。

  • 1次因子の E(VA)E(V_A) は、1次誤差の期待平均平方に効果の項を足した形である。そのため AA は VA/Ve(1)V_A/V_{e(1)} で検定する。
  • E(VB)E(V_B) と E(VA×B)E(V_{A\times B}) は、2次誤差の期待平均平方に効果の項を足した形である。そのため、この2つはそれぞれ VB/Ve(2)V_{B}/V_{e(2)} と VA×B/Ve(2)V_{A\times B}/V_{e(2)} で検定する。

(13.2) の係数 bb は「1つの1次単位に含まれる2次単位の数」である。1次単位の平均には、1次誤差が bb 個のデータに共通に入る。そのため1次単位どうしを比べる平方和には、σ(1)2\sigma_{(1)}^2 が bb 倍されて現れる。この「1次単位の中のデータの数」が、直交配列表の場合にも同じ役割を持つ。

1次単位を基本列で決める

N=2pN=2^p 行の直交配列表 LN(2N−1)L_N(2^{N-1}) を考える。第8章のとおり、列[jj]の成分記号は、jj の2進表示で1の立つ位置の基本文字を並べたものである。基本文字と位の対応は次のとおりである。

a↔1,b↔2,c↔4,d↔8a\leftrightarrow1,\qquad b\leftrightarrow2,\qquad c\leftrightarrow4,\qquad d\leftrightarrow8

標準の表では、成分記号の中で最も後ろの文字が同じ列をまとめて群と呼ぶ。L8L_8 の第1群は列[1](aa)である。第2群は列[2]・[3](b,abb,ab)、第3群は cc を含む列[4]〜[7]である。L16L_{16} ではこれに第4群の列[8]〜[15](dd を含む8列)が加わる。

分割法を直交配列表に載せるときは、基本文字を前の qq 個と残り p−qp-q 個に分ける。前の組を1次の文字、残りを2次の文字とする。実験の行を、1次の文字の基本列の水準の組でまとめたものを1つの1次単位とする。

標準の表では前の基本文字ほど行の上位の桁に対応するので、1次単位は連続する k=2p−qk=2^{p-q} 行のまとまりになる。1次単位の数は m=2qm=2^q、1つの1次単位に入る行の数は k=N/mk=N/m である。L16L_{16} での例を2つ挙げる。

  • a,b,ca,b,c を1次の文字にすると、m=8, k=2m=8,\ k=2 である。行 No. 1・2、No. 3・4、…、No. 15・16 が1次単位になる。
  • a,ba,b だけを1次の文字にすると、m=4, k=4m=4,\ k=4 である。No. 1〜4、5〜8、9〜12、13〜16 が1次単位になる。

群の言葉で言えば、第 qq 群までの列が1次の列、第 q+1q+1 群以降の列が2次の列である。

定義 13.1(1次の列と2次の列)

成分記号が1次の文字だけでできている列を1次の列、2次の文字を1つ以上含む列を2次の列と呼ぶ。1次の列は m−1m-1 本、2次の列は N−mN-m 本ある。

本数は次のように数えられる。1次の文字 qq 個から作れる空でない積は 2q−1=m−12^q-1=m-1 通りある。残りの (N−1)−(m−1)=N−m(N-1)-(m-1)=N-m 本が2次の列になる。

定理 13.2(列の値の1次単位の中での振る舞い ★★)

1次の列は、各1次単位の中で水準が一定である。2次の列は、各1次単位の中で水準1と水準2がちょうど k/2k/2 回ずつ現れる。符号ベクトルで書くと、1次単位 ll の行の集合を BlB_l として

∑n∈Bluj,n={±k(列[j]が1次の列)0(列[j]が2次の列)(13.3)\sum_{n\in B_l}u_{j,n}= \begin{cases}\pm k & (\text{列[}{j}\text{]が1次の列})\\ 0 & (\text{列[}{j}\text{]が2次の列})\end{cases}\tag{13.3}

である。

証明

行を基本文字の値の組 (z1,…,zp)∈{0,1}p(z_1,\dots,z_p)\in\{0,1\}^p で表す。ztz_t は、tt 番目の基本列の水準から1を引いたものである。成分記号も同じ形のベクトル w\bm w とみなす。第8章で見たとおり、列の水準は 1+(w⋅z mod 2)1+(\bm w\cdot\bm z \bmod 2) である。

ベクトルを前 qq 個と後ろ p−qp-q 個の成分に分けて、次のように書く。

z=(z1,z2),w=(w1,w2)\bm z=(\bm z_1,\bm z_2),\qquad \bm w=(\bm w_1,\bm w_2)

1次単位の中では z1\bm z_1 が固定である。後ろの z2\bm z_2 は、取りうる kk 通りの値すべてを1回ずつ取る。

  • 1次の列(w2=0\bm w_2=\bm 0):w⋅z=w1⋅z1\bm w\cdot\bm z=\bm w_1\cdot\bm z_1 は1次単位の中で一定である。
  • 2次の列(w2≠0\bm w_2\neq\bm 0):その1の立つ成分の1つを選び、z2\bm z_2 のその成分だけを反転させる写像を考える。この写像は {0,1}p−q\{0,1\}^{p-q} の上の1対1の対応で、w2⋅z2 mod 2\bm w_2\cdot\bm z_2 \bmod 2 の値を反転させる。したがって、w⋅z mod 2\bm w\cdot\bm z \bmod 2 が0になる行と1になる行は同数で、どちらも k/2k/2 個である。符号の和は k/2−k/2=0k/2-k/2=0 になる。

定理 13.2 の前半は、1次因子を1次の列に置けば、その因子の水準が1次単位の中で変わらない(=炉に入れ直さずに済む)ことを意味する。後半は、2次の列に置いた因子が、どの1次単位の中でも両方の水準を同じ回数だけ通ることを意味する。2次の列どうしの比較は1次単位の中で完結するので、1次単位ごとの変動 σ(1)2\sigma_{(1)}^2 は2次の列から消える。これを次の小節で式にする。

構造式と列平方和の期待値

1次単位ごとに共通にかかる1次誤差を δl\delta_l(l=1,…,ml=1,\dots,m)と書く。各行の2次誤差を εn\varepsilon_n とし、データの構造式を

xn=μ+∑j=1N−1βjuj,n+δl(n)+εn,δl∼N(0,σ(1)2),εn∼N(0,σ(2)2)(13.4)x_n=\mu+\sum_{j=1}^{N-1}\beta_j u_{j,n}+\delta_{l(n)}+\varepsilon_n,\qquad \delta_l\sim\mathrm{N}(0,\sigma_{(1)}^2),\quad \varepsilon_n\sim\mathrm{N}(0,\sigma_{(2)}^2)\tag{13.4}

とする。ここで l(n)l(n) は行 nn を含む1次単位の番号で、確率変数はすべて独立である。βj\beta_j は列[jj]に置いた因子または交互作用の効果(第8章の列の効果パラメータ)である。何も置かない列や効果の無い列では βj=0\beta_j=0 とする。

行列 ZZ(N×mN\times m)を、1次単位への所属を表す0と1の行列とする。すなわち行 nn が1次単位 ll に入るときだけ、その成分が1である。このときデータのベクトル x\bm x の分散共分散行列は

Σ=V[x]=σ(1)2ZZ⊤+σ(2)2IN(13.5)\Sigma=V[\bm x]=\sigma_{(1)}^2ZZ^\top+\sigma_{(2)}^2 I_N\tag{13.5}

である。同じ1次単位の2つのデータの共分散は σ(1)2\sigma_{(1)}^2、異なる1次単位のデータの共分散は0になる。

定理 13.3(列平方和の分布 ★★)

構造式 (13.4) のもとで、u1⊤x,…,uN−1⊤x\bm u_1^\top\bm x,\dots,\bm u_{N-1}^\top\bm x は互いに独立な正規確率変数で、列[jj]について

E[uj⊤x]=Nβj,V[uj⊤x]={N(σ(2)2+k σ(1)2)(1次の列)Nσ(2)2(2次の列)(13.6)E[\bm u_j^\top\bm x]=N\beta_j,\qquad V[\bm u_j^\top\bm x]=\begin{cases}N(\sigma_{(2)}^2+k\,\sigma_{(1)}^2) & (\text{1次の列})\\ N\sigma_{(2)}^2 & (\text{2次の列})\end{cases}\tag{13.6}

である。したがって列平方和 S[j]=(uj⊤x)2/NS_{[j]}=(\bm u_j^\top\bm x)^2/N の期待値は

E(S[j])={σ(2)2+k σ(1)2+Nβj2(1次の列)σ(2)2+Nβj2(2次の列)(13.7)E(S_{[j]})=\begin{cases}\sigma_{(2)}^2+k\,\sigma_{(1)}^2+N\beta_j^2 & (\text{1次の列})\\ \sigma_{(2)}^2+N\beta_j^2 & (\text{2次の列})\end{cases}\tag{13.7}

で、βj=0\beta_j=0 のとき次の2つはそれぞれ χ12\chi^2_1 に従う。

S[j]σ(2)2+kσ(1)2 (1次の列),S[j]σ(2)2 (2次の列)\frac{S_{[j]}}{\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2}\ (\text{1次の列}),\qquad \frac{S_{[j]}}{\sigma_{(2)}^2}\ (\text{2次の列})

証明

期待値は、第8章の直交性から求まる。

uj⊤uj′=0 (j≠j′),uj⊤uj=N,uj⊤1=0\bm u_j^\top\bm u_{j'}=0\ (j\neq j'),\qquad \bm u_j^\top\bm u_j=N,\qquad \bm u_j^\top\bm 1=0

これを使うと E[uj⊤x]=μ uj⊤1+∑j′βj′uj⊤uj′=NβjE[\bm u_j^\top\bm x]=\mu\,\bm u_j^\top\bm 1+\sum_{j'}\beta_{j'}\bm u_j^\top\bm u_{j'}=N\beta_j となる。

分散と共分散を計算する。(13.5) より Cov(uj⊤x,uj′⊤x)=uj⊤Σuj′=σ(1)2(Z⊤uj)⊤(Z⊤uj′)+σ(2)2uj⊤uj′\mathrm{Cov}(\bm u_j^\top\bm x,\bm u_{j'}^\top\bm x)=\bm u_j^\top\Sigma\bm u_{j'} =\sigma_{(1)}^2(Z^\top\bm u_j)^\top(Z^\top\bm u_{j'})+\sigma_{(2)}^2\bm u_j^\top\bm u_{j'} である。

Z⊤ujZ^\top\bm u_j の各成分は、対応する1次単位の中の符号の和である。定理 13.2 により、この和は1次の列なら ksj,lk s_{j,l}、2次の列なら0である。ここで sj,l=±1s_{j,l}=\pm1 は、1次単位 ll でのその列の符号を表す。

  • jj が2次の列の場合:Z⊤uj=0Z^\top\bm u_j=\bm 0 なので、第1項はどの列との組でも0である。共分散は第2項 σ(2)2uj⊤uj′\sigma_{(2)}^2\bm u_j^\top\bm u_{j'} だけになる。これは同じ列なら Nσ(2)2N\sigma_{(2)}^2、異なる列なら0である。
  • j,j′j,j' がともに1次の列なら、第1項は σ(1)2k2∑lsj,lsj′,l\sigma_{(1)}^2k^2\sum_l s_{j,l}s_{j',l} である。1次単位の中で符号は一定なのでuj⊤uj′=k∑lsj,lsj′,l\bm u_j^\top\bm u_{j'}=k\sum_l s_{j,l}s_{j',l} で、∑lsj,lsj′,l=uj⊤uj′/k\sum_l s_{j,l}s_{j',l}=\bm u_j^\top\bm u_{j'}/k。よって第1項は σ(1)2k uj⊤uj′\sigma_{(1)}^2k\,\bm u_j^\top\bm u_{j'} である。これは同じ列なら Nkσ(1)2Nk\sigma_{(1)}^2、異なる列なら0である。

以上から V[uj⊤x]V[\bm u_j^\top\bm x] は (13.6) のとおりで、異なる列の共分散はすべて0である。uj⊤x\bm u_j^\top\bm x は正規ベクトル x\bm x の1次式なので同時に正規分布に従い、共分散が0なら独立である。

期待値は E(S[j])={V[uj⊤x]+(Nβj)2}/NE(S_{[j]})=\{V[\bm u_j^\top\bm x]+(N\beta_j)^2\}/N から (13.7) を得る。βj=0\beta_j=0 なら、uj⊤x\bm u_j^\top\bm x を標準偏差で割ったものは標準正規分布に従う。その2乗は χ12\chi^2_1 に従う。

定理 13.3 は第8章の E(S[j])=σ2+Nβj2E(S_{[j]})=\sigma^2+N\beta_j^2 を2種類の誤差に広げたもので、違いは1次の列にだけ kσ(1)2k\sigma_{(1)}^2 が加わる点である。kk は1つの1次単位の中の行の数で、第12章の (13.2) の bb と同じ役割を持つ。

1次誤差と2次誤差の列

定理 13.3 から、因子も交互作用も置かなかった列(βj=0\beta_j=0 とみなせる列)の扱いが決まる。

1次誤差と2次誤差の列

  • 何も割り付けなかった1次の列の平方和を合計したものが、1次誤差の平方和 Se(1)S_{e(1)} である。自由度 ϕe(1)\phi_{e(1)} はその列の本数で、次が成り立つ。

E(Ve(1))=σ(2)2+kσ(1)2,Se(1)σ(2)2+kσ(1)2∼χϕe(1)2E(V_{e(1)})=\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2,\qquad \frac{S_{e(1)}}{\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2}\sim\chi^2_{\phi_{e(1)}}

  • 何も割り付けなかった2次の列の平方和を合計したものが、2次誤差の平方和 Se(2)S_{e(2)} である。自由度 ϕe(2)\phi_{e(2)} はその列の本数で、次が成り立つ。

E(Ve(2))=σ(2)2,Se(2)σ(2)2∼χϕe(2)2E(V_{e(2)})=\sigma_{(2)}^2,\qquad \frac{S_{e(2)}}{\sigma_{(2)}^2}\sim\chi^2_{\phi_{e(2)}}

また Se(1)S_{e(1)} と Se(2)S_{e(2)} は独立である。

  • 1次の列に置いた因子・交互作用は V/Ve(1)∼F1,ϕe(1)V/V_{e(1)}\sim F_{1,\phi_{e(1)}} で、2次の列に置いたものは V/Ve(2)∼F1,ϕe(2)V/V_{e(2)}\sim F_{1,\phi_{e(2)}} で検定する。
  • 1次誤差の点推定は σ^(2)2=Ve(2)\hat\sigma_{(2)}^2=V_{e(2)}、σ^(1)2=(Ve(1)−Ve(2))/k\hat\sigma_{(1)}^2=(V_{e(1)}-V_{e(2)})/k(負になれば0とする)。

誤差の列を1つにまとめてはいけない理由も、ここから読み取れる。期待値の異なる2種類の平方和を足すと、その平均平方は σ(2)2\sigma_{(2)}^2 と σ(2)2+kσ(1)2\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2 の間の値の推定になり、1次の要因の検定では分母が小さすぎて有意になりやすく、2次の要因の検定では分母が大きすぎて有意になりにくくなる。プーリングも同じで、効果の小さい1次の列は e(1)e_{(1)} に、効果の小さい2次の列は e(2)e_{(2)} にだけ足す。

割り付けた因子の効果と交互作用が1次と2次のどちらに入るかは、成分記号の積で決まる。

  • 1次因子どうしの交互作用:1次の文字だけの積なので、1次の列に現れる。
  • 1次因子と2次因子の交互作用:2次の文字を含む成分と1次の文字だけの成分の積なので、2次の文字が消えずに残り、2次の列に現れる。これは第12章で A×BA\times B を2次誤差で検定したことと一致する。
  • 2次因子どうしの交互作用:2次の文字どうしの積なので、文字が打ち消し合って1次の列に落ちることがある。

2次の文字が1つだけのときの2次因子どうしの交互作用

16行の表で a,b,ca,b,c を1次の文字にすると、2次の文字は dd だけになる。2次の列はすべて d×(1次の文字の積)d\times(\text{1次の文字の積}) の形である。2次の列を2本取って積を作ると d2=1d^2=1 で dd が消えるので、2次因子どうしの交互作用は必ず1次の列に現れる。

たとえば CC を列[8]、DD を列[12]に置く。成分記号の積は次のとおりで、C×DC\times D は列[4]に現れる。

C×D=d⋅cd=cC\times D=d\cdot cd=c

1次の列に現れた交互作用は1次単位の間の比較になり、1次誤差で検定するしかない。2次因子を2つ以上置き、その交互作用を2次誤差で精度よく見たいときは、2次の文字を2つ以上確保する(k≥4k\ge4 にする)。

3水準系でも規則は同じ

L9(34)L_9(3^4) や L27(313)L_{27}(3^{13}) でも、成分記号が1次の文字だけでできている列が1次の列になる。たとえば L27L_{27} で aa だけを1次の文字にすると、1次単位は連続する9行のまとまり3つになる。1次の列は列[1]の1本(自由度2)だけである。このままでは1次誤差の列が残らないので、1次単位を反復するか、1次の文字を増やす必要がある。

分散分析後の推定

有意になった(あるいは残すと決めた)列の集合を M\mathcal M とする。そのうち1次の列の自由度の合計を p1p_1、2次の列の自由度の合計を p2p_2 とする。第8章のとおり、ある水準組合せの母平均の点推定は、その組合せの行での符号を uju_j として

μ^=xˉ+∑j∈Mujβ^j,β^j=uj⊤xN=Tj1−Tj2N(13.8)\hat\mu=\bar x+\sum_{j\in\mathcal M}u_j\hat\beta_j,\qquad \hat\beta_j=\frac{\bm u_j^\top\bm x}{N}=\frac{T_{j1}-T_{j2}}{N}\tag{13.8}

で、実際の計算は2元表の平均の足し引き(μ^(A1C1)+μ^(B1)−xˉ\hat\mu(A_1C_1)+\hat\mu(B_1)-\bar x のような形)で行う。

定理 13.4(推定量の分散 ★★)

構造式 (13.4) のもとで

V[μ^]=1+p1N(σ(2)2+kσ(1)2)+p2Nσ(2)2=1+p1m σ(1)2+σ(2)2ne,ne=N1+p1+p2(13.9)V[\hat\mu]=\frac{1+p_1}{N}\bigl(\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2\bigr)+\frac{p_2}{N}\sigma_{(2)}^2 =\frac{1+p_1}{m}\,\sigma_{(1)}^2+\frac{\sigma_{(2)}^2}{n_e},\qquad n_e=\frac{N}{1+p_1+p_2}\tag{13.9}

で、その推定量と Satterthwaite の等価自由度は

V^[μ^]=(1+p1)Ve(1)+p2Ve(2)N,ϕ∗={(1+p1)Ve(1)+p2Ve(2)}2{(1+p1)Ve(1)}2ϕe(1)+(p2Ve(2))2ϕe(2)(13.10)\hat V[\hat\mu]=\frac{(1+p_1)V_{e(1)}+p_2V_{e(2)}}{N},\qquad \phi^*=\frac{\{(1+p_1)V_{e(1)}+p_2V_{e(2)}\}^2}{\dfrac{\{(1+p_1)V_{e(1)}\}^2}{\phi_{e(1)}}+\dfrac{(p_2V_{e(2)})^2}{\phi_{e(2)}}}\tag{13.10}

である。nen_e は第8章の田口の式の有効反復数と同じ式である。

証明

xˉ=1⊤x/N\bar x=\bm 1^\top\bm x/N である。1\bm 1 は「どの1次単位の中でも一定」なので、定理 13.3 の証明の1次の列と同じ計算で次を得る。

V[xˉ]=N(σ(2)2+kσ(1)2)N2=σ(2)2+kσ(1)2NV[\bar x]=\frac{N(\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2)}{N^2}=\frac{\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2}{N}

また次の式から、xˉ\bar x はどの β^j\hat\beta_j とも無相関である。

1⊤Σuj=σ(1)2k 1⊤uj+σ(2)21⊤uj=0\bm 1^\top\Sigma\bm u_j=\sigma_{(1)}^2k\,\bm 1^\top\bm u_j+\sigma_{(2)}^2\bm 1^\top\bm u_j=0

2次の列 jj では、Z⊤uj=0Z^\top\bm u_j=\bm 0 から直接0になる。β^j\hat\beta_j どうしも定理 13.3 により無相関で、uj2=1u_j^2=1 だから

V[μ^]=V[xˉ]+∑j∈MV[β^j]=σ(2)2+kσ(1)2N+p1σ(2)2+kσ(1)2N+p2σ(2)2N.V[\hat\mu]=V[\bar x]+\sum_{j\in\mathcal M}V[\hat\beta_j] =\frac{\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2}{N}+p_1\frac{\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2}{N}+p_2\frac{\sigma_{(2)}^2}{N}.

これが (13.9) の第1式である。k/N=1/mk/N=1/m を使って2つの誤差分散の係数に分けると、第2式になる。推定量は E(Ve(1))=σ(2)2+kσ(1)2E(V_{e(1)})=\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2、E(Ve(2))=σ(2)2E(V_{e(2)})=\sigma_{(2)}^2 を代入したもので、不偏である。自由度は、第11章の Satterthwaite の式(下の第1式)に第2・第3式を入れ、共通の 1/N1/N を約したものである。

ϕ∗=(∑ciVi)2∑(ciVi)2/ϕi,c1V1=(1+p1)Ve(1)N,c2V2=p2Ve(2)N\phi^*=\frac{(\sum c_iV_i)^2}{\sum(c_iV_i)^2/\phi_i},\qquad c_1V_1=\frac{(1+p_1)V_{e(1)}}{N},\qquad c_2V_2=\frac{p_2V_{e(2)}}{N}

信頼率 1−α1-\alpha の信頼区間は μ^±tϕ∗(α/2)V^[μ^]\hat\mu\pm t_{\phi^*}(\alpha/2)\sqrt{\hat V[\hat\mu]} である。等価自由度は最も近い整数に丸めて数表を引く。

2つの条件の差の推定では、使う列が2次の列だけになる場合がある。たとえば1次因子 AA の水準を固定し、2次因子 CC の水準だけを変えた差を考える。

μ^(AiC1)−μ^(AiC2)\hat\mu(A_iC_1)-\hat\mu(A_iC_2)

この差では xˉ\bar x と AA の列が打ち消し合う。符号が変わるのは、CC と A×CA\times C の列(どちらも2次の列)だけである。このとき差の分散は σ(2)2\sigma_{(2)}^2 だけで書ける。そのため Ve(2)V_{e(2)} と tϕe(2)t_{\phi_{e(2)}} で正確な区間が作れる。

逆に AA の水準を変える差には1次の列が入り、σ(1)2\sigma_{(1)}^2 が加わるので、Satterthwaite の近似を使う。一般に差 d^=∑jcjβ^j\hat d=\sum_j c_j\hat\beta_j(cj∈{0,±2}c_j\in\{0,\pm2\})の分散は

V[d^]=∑j: 1次cj2σ(2)2+kσ(1)2N+∑j: 2次cj2σ(2)2N(13.11)V[\hat d]=\sum_{j:\,1\text{次}}c_j^2\frac{\sigma_{(2)}^2+k\sigma_{(1)}^2}{N}+\sum_{j:\,2\text{次}}c_j^2\frac{\sigma_{(2)}^2}{N}\tag{13.11}

である。第11章の乱塊法で「水準間の差にはブロックの分散成分が入らない」と見たことの、分割法での対応がこれである。

例題 13.1 L16L_{16} への割り付けと期待平均平方 ★

オリジナル2水準の因子 A,BA,B は装置の段取り替えに時間がかかる。そこで1回の段取りで4回の実験を続けて行い、その中で変えやすい2水準の因子 C,DC,D を変えたい。求めたい要因は A,B,C,D,A×C,A×D,B×C,B×D,C×DA,B,C,D,A\times C,A\times D,B\times C,B\times D,C\times D で、A×BA\times B は無いと考えてよい。

  1. L16(215)L_{16}(2^{15}) で1次の文字と2次の文字をどう選ぶか。1次単位の数 mm と大きさ kk、1次単位になる行を答えよ。
  2. 割り付けを1つ与え、1次誤差と2次誤差の列と自由度を答えよ。
  3. 各要因の平均平方の期待値を書き、どれを何で検定するかを答えよ。
  4. 1次誤差の自由度について気づくことを述べよ。
解答

(1) 1回の段取りで4回の実験を行うので k=4k=4、m=16/4=4m=16/4=4。2次の文字が2個(c,dc,d)、1次の文字が2個(a,ba,b)になる。a,ba,b は行の上位2桁に対応するので、1次単位は No. 1〜4、5〜8、9〜12、13〜16 の4つである。

(2) 1次の列は a,b,aba,b,ab の3本(列[1]・[2]・[3])。AA を列[1]、BB を列[2]に置く。A×BA\times B は列[3](abab)に現れるが、無いと考えるので列[3]は1次誤差になる。2次の列は cc か dd を含む12本である。CC を列[4]、DD を列[8]に置くと、交互作用は成分記号の積で

A×C=a⋅c=ac [5],B×C=bc [6],A×D=ad [9],B×D=bd [10],C×D=cd [12]A\times C=a\cdot c=ac\ \text{[5]},\quad B\times C=bc\ \text{[6]},\quad A\times D=ad\ \text{[9]},\quad B\times D=bd\ \text{[10]},\quad C\times D=cd\ \text{[12]}

で、すべて2次の列に入り、互いに重ならない。残った2次の列は次の5本で、これが2次誤差になる。

abc [7],abd [11],acd [13],bcd [14],abcd [15]abc\ \text{[7]},\quad abd\ \text{[11]},\quad acd\ \text{[13]},\quad bcd\ \text{[14]},\quad abcd\ \text{[15]}

自由度は ϕe(1)=1\phi_{e(1)}=1、ϕe(2)=5\phi_{e(2)}=5。合計 2+7+1+5=152+7+1+5=15 で N−1N-1 と一致する。

(3) 列[jj]に置いた要因の効果を βj\beta_j とする。定理 13.3 で k=4, N=16k=4,\ N=16 とすると

E(VA)=σ(2)2+4σ(1)2+16β12,E(VB)=σ(2)2+4σ(1)2+16β22,E(Ve(1))=σ(2)2+4σ(1)2,E(V_A)=\sigma_{(2)}^2+4\sigma_{(1)}^2+16\beta_1^2,\quad E(V_B)=\sigma_{(2)}^2+4\sigma_{(1)}^2+16\beta_2^2,\quad E(V_{e(1)})=\sigma_{(2)}^2+4\sigma_{(1)}^2,

E(VC)=σ(2)2+16β42, …, E(VC×D)=σ(2)2+16β122,E(Ve(2))=σ(2)2.E(V_C)=\sigma_{(2)}^2+16\beta_4^2,\ \dots,\ E(V_{C\times D})=\sigma_{(2)}^2+16\beta_{12}^2,\quad E(V_{e(2)})=\sigma_{(2)}^2 .

A,BA,B は Ve(1)V_{e(1)} で検定する。C,DC,D と5つの交互作用は Ve(2)V_{e(2)} で検定する。帰無仮説のもとで分子と分母の期待値が一致する組を選ぶ、というのが分母の選び方である。

(4) ϕe(1)=1\phi_{e(1)}=1 なので、1次因子の検定は F1,1F_{1,1} 分布で行うことになる。棄却限界は F1,1(0.05)=161.4F_{1,1}(0.05)=161.4 と非常に大きい。A,BA,B の効果がかなり大きくないと有意にならない。

1次因子を精度よく調べたいなら、1次単位を増やす必要がある(たとえば a,b,ca,b,c を1次にして m=8m=8 とし、1次誤差を増やす)。そうすると2次の文字が dd だけになり、C×DC\times D が1次の列に落ちる(上の落とし穴の箱)。1次と2次のどちらの精度を優先するかを、実験の目的から決めることになる。

確認テスト

オリジナル

  1. 13.1-1 L8(27)L_8(2^7) で a,ba,b を1次の文字とする。1次単位の数と大きさ、1次単位になる行、1次の列と2次の列をすべて答えよ。
  2. 13.1-2 13.1-1 の設定で、構造式 (13.4) のもとで列[3]と列[6]の対比 u⊤x\bm u^\top\bm x を、1次誤差 δl\delta_l と2次誤差で書け。また β=0\beta=0 のとき、次の2式を直接導け。

E(S[3])=σ(2)2+2σ(1)2,E(S[6])=σ(2)2E(S_{[3]})=\sigma_{(2)}^2+2\sigma_{(1)}^2,\qquad E(S_{[6]})=\sigma_{(2)}^2 3. 13.1-3 L16L_{16} で a,b,ca,b,c を1次の文字とする。2次因子 CC を列[8]、DD を列[13]に置いた。C×DC\times D が現れる列を求め、それが1次の列であることと、2次の文字が1つだけのとき2次因子どうしの交互作用が必ず1次の列に現れる理由を述べよ。4. 13.1-4 N=16, k=2N=16,\ k=2 の直交配列表を用いた分割法で、残した列が1次の列3本と2次の列2本であった。誤差の平均平方と自由度は次のとおりである。

Ve(1)=6.0 (ϕe(1)=4),Ve(2)=1.5 (ϕe(2)=6)V_{e(1)}=6.0\ (\phi_{e(1)}=4),\qquad V_{e(2)}=1.5\ (\phi_{e(2)}=6)

最適条件の母平均の推定量の分散を σ(1)2,σ(2)2\sigma_{(1)}^2,\sigma_{(2)}^2 で書き、その推定値と Satterthwaite の等価自由度を求めよ。また σ^(1)2\hat\sigma_{(1)}^2 を求めよ。

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