適用例
AI 生成・木下が未勉強
実験計画法 第13章 §13.2 ★ 誤差を2段に分けて分散分析表を作り、最適条件の区間推定を Satterthwaite で行う
実験の設定
鋼材の熱処理条件を調べる。焼入れ温度 (2水準)と焼戻し温度 (2水準)は炉の設定で、1回の炉入れ(バッチ)ごとにしか変えられない。
素材 (2種類)は、同じバッチに2本の試験片を並べて入れることで同時に処理できる。特性値は硬さの指標で、大きいほど良い。求めたい要因は である。
で を1次の文字にし、2次の文字は残りの1つとする。 バッチで、各バッチに 本の試験片が入る。要因と列の対応は次のとおりである。
| 要因 | ||||||
| 列 | [1] | [2] | [3] | [8] | [9] | [10] |
| 成分記号 |
列[4]()は、同じ組合せの1回目のバッチか2回目のバッチかを表すだけで、因子を置かない。そのため次のように誤差の列が決まる。
- 1次誤差:列[4]〜[7]()の4本。
- 2次誤差:列[11]〜[15]()の5本。
8バッチの実施順は乱数で決め、各バッチの中での試験片の位置も乱数で決める。図 13.1 が1次単位の構造である。
図 13.1 この適用例の1次単位(バッチ)。 はバッチごとに設定し、同じ組合せのバッチが2つずつある。各バッチの中で素材 の2本を同時に処理する。バッチの実施順と、バッチの中での試験片の位置は乱数で決める。
得られたデータを表 13.1 に示す。
| No. | バッチ | No. | バッチ | ||||||||
| 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 59 | 9 | 5 | 2 | 1 | 1 | 48 |
| 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 52 | 10 | 5 | 2 | 1 | 2 | 48 |
| 3 | 2 | 1 | 1 | 1 | 56 | 11 | 6 | 2 | 1 | 1 | 49 |
| 4 | 2 | 1 | 1 | 2 | 52 | 12 | 6 | 2 | 1 | 2 | 48 |
| 5 | 3 | 1 | 2 | 1 | 52 | 13 | 7 | 2 | 2 | 1 | 47 |
| 6 | 3 | 1 | 2 | 2 | 46 | 14 | 7 | 2 | 2 | 2 | 48 |
| 7 | 4 | 1 | 2 | 1 | 54 | 15 | 8 | 2 | 2 | 1 | 44 |
| 8 | 4 | 1 | 2 | 2 | 48 | 16 | 8 | 2 | 2 | 2 | 45 |
平方和の計算
誤差の列平方和は、 の列[4]〜[7]や[11]〜[15]の水準を表から読んで計算してもよいが、次の2段の分解で求める方が手早い。1次単位(バッチ)の合計を とし、バッチ間の平方和を次で定める(自由度は )。
この は、1次の列の平方和の合計に等しい。これは、1次の列が張る空間が「1次単位の中で一定なベクトル」の空間(から を除いたもの)と一致するからで、1次単位の平均どうしの差の平方和を1次の列に分解したものが である。したがって
である。2次の列の平方和の合計 はバッチ内の平方和 に等しい。
例題 13.2 2段の分散分析表 ★
オリジナル表 13.1 のデータについて、分散分析表を作り、有意水準5%と1%で検定せよ。 値が2未満の交互作用は、同じ段の誤差にプールして表を作り直せ。ただし次の値を用いてよい。
解答
修正項と総平方和。総合計は なので 。 より 。
バッチ間の平方和。バッチの合計は で、。(自由度7)。
1次の要因。2元表 の合計(各4個)と主効果の合計は次のとおりである。
これらから
。よって 、。
2次の要因。素材の合計は で、。2元表 と の合計は次のとおりである。
これらから平方和を求める。
、。
分散分析表(プーリング前)。
| 要因 | |||||
| 110.25 | 1 | 110.25 | 28.45 | ||
| 49.00 | 1 | 49.00 | 12.65 | ||
| 6.25 | 1 | 6.25 | 1.61 | ||
| 15.50 | 4 | 3.875 | 5.54 | ||
| 30.25 | 1 | 30.25 | 43.21 | ||
| 36.00 | 1 | 36.00 | 51.43 | ||
| 0.25 | 1 | 0.25 | 0.36 | ||
| 3.50 | 5 | 0.70 | |||
| 計 | 251.00 | 15 |
1次の要因の分散比は で割り、2次の要因の分散比は で割った。判定は次のとおりである。
- は で1%有意。
- は で5%有意。
- と は16.26を超えて1%有意。
- 1次誤差の行の分散比 は、 の検定である。 を超えるので、バッチ間の変動は5%で有意に存在する(この判定だけは の数表を使う)。
プーリング。次の2つをプールする。
- (分散比1.61)は1次の要因なので、 にプールする。
- (分散比0.36)は2次の要因なので、 にプールする。
プール後の誤差は次のとおりである。
| 要因 | ||||
| 110.25 | 1 | 110.25 | 25.34 | |
| 49.00 | 1 | 49.00 | 11.26 | |
| 21.75 | 5 | 4.35 | ||
| 30.25 | 1 | 30.25 | 48.40 | |
| 36.00 | 1 | 36.00 | 57.60 | |
| 3.75 | 6 | 0.625 | ||
| 計 | 251.00 | 15 |
は で1%有意である。 は で5%有意である。 と は13.75を超えて1%有意である。
結果の読み方と推定
交互作用 が有意なので、2つの因子は2元表で一緒に見る。2元表の平均は次のとおりである。
焼入れ温度 では素材 の方が明らかに硬く、もう一方の温度ではほとんど差が無い。因子 は交互作用を持たない。平均 と を比べ、大きい方の水準1を選ぶ。最適条件は である。
例題 13.3 最適条件の区間推定と分散成分 ★
オリジナル例題 13.2 のプーリング後の表を使う。
- 最適条件 の母平均の点推定値を求めよ。
- その推定量の分散を で書き、推定値と Satterthwaite の等価自由度を求め、信頼率95%の信頼区間を作れ。
- と を点推定せよ。
ただし を用いてよい。
解答
(1) 残した要因は なので、推定式は
である。
(2) 使った列は、1次の列が の2本、2次の列が の2本である。よって 。定理 13.4 で として
第2式の2つの係数は、次の意味をもつ。
- 2次誤差分散の係数 は、有効反復数 の逆数である。
- 1次誤差分散の係数 は である。
推定値を作るには、 を で置き換える。残りの は で置き換える。
等価自由度は
で、6に丸める。 なので信頼区間は
等価自由度は、 と の間で5の側に寄る。分散の推定値の大部分(14.30のうち13.05)を、1次誤差の項が占めるからである。
(3) 、。バッチ間のばらつき(標準偏差の推定で約1.36)がバッチ内のばらつき(約0.79)より大きく、バッチを単位とした分割法の構造を無視すると誤差の見積もりを誤ることが数値でも確かめられる(確認テスト 13.2-2)。
分割法にする利点と代償
完全に無作為化した なら16回の炉入れが要るところを、この計画では8回で済む。その代わり、1次の要因()は8つのバッチの比較でしか調べられず、誤差分散 が大きく、自由度も少ない。2次の要因()はバッチの中の比較で調べるので、誤差分散が だけになり、かえって精度が上がる。どの因子を1次に回すかは、水準の変えにくさと、精度よく調べたい度合いの両方で決める。
確認テスト
オリジナル
- 13.2-1 例題 13.2 のプーリング後の表を使い、 のもとでの素材の差 の点推定値と信頼率95%の信頼区間を求めよ。差の分散が だけで書けることを示してから計算すること()。
- 13.2-2 表 13.1 のデータを、分割法であることを無視して普通の の実験として解析し、 以外の9列をすべて誤差にした。誤差の平均平方を求めよ。また と の分散比を、例題 13.2(プーリング前)と比べよ。また、その誤差の平均平方の期待値を で書き、何が起きているかを説明せよ。
- 13.2-3 例題 13.2 のプーリング後の表を使い、 のもとでの焼入れ温度の差 を推定する。点推定値、その推定量の分散の式と推定値、Satterthwaite の等価自由度を求め、信頼率95%の信頼区間を作れ。等価自由度を丸めたあとの の値として を用いてよい。
- 13.2-4 この適用例の割り付けで、列[10]に を置かず、4つ目の2水準の2次因子 を置いたとする。、 はどの列に現れ、それぞれ1次と2次のどちらの誤差で検定することになるか。
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