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確率変数の分散

2026年10月17日10分で読めますAI生成教科書『資格試験』第4章 確率変数・累積分布関数・期待値と分散
目次
  1. 定義と計算の公式
  2. 標準化
  3. Chebyshev の不等式
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第4章 §4.7 ★★★ V[X]=E[X2]−E[X]2V[X]=E[X^2]-E[X]^2・V[aX+b]=a2V[X]V[aX+b]=a^2V[X]・標準化・Chebyshev の不等式を導出つきで

定義と計算の公式

期待値は分布の位置を表すが、散らばりの大きさは表さない。値が期待値からどれだけ離れているかを、離れ方の2乗の期待値で測る。

定義 4.12(分散・標準偏差)

μ=E[X]\mu=E[X] とするとき、

V[X]=E[(X−μ)2]V[X]=E\bigl[(X-\mu)^2\bigr]

を XX の分散、その正の平方根 σ=V[X]\sigma=\sqrt{V[X]} を標準偏差と呼ぶ。分散を σ2\sigma^2 とも書く。

定理 4.10 を g(x)=(x−μ)2g(x)=(x-\mu)^2 に使えば、離散型では V[X]=∑(xi−μ)2p(xi)V[X]=\sum(x_i-\mu)^2p(x_i)、連続型では V[X]=∫(x−μ)2f(x) dxV[X]=\int(x-\mu)^2f(x)\,\mathrm{d} x である。分散の単位は XX の単位の2乗なので、XX と同じ単位で散らばりを述べたいときは標準偏差を使う。

確率変数の分散には nn も n−1n-1 も出てこない

ここで定義した V[X]V[X] は分布から決まる1つの数で、データの個数とは無関係である。データ x1,…,xnx_1,\dots,x_n から計算する「nn で割る分散」と「n−1n-1 で割る不偏分散 S2S^2」の区別は第2章と第9章の話題で、不偏分散は「E[S2]E[S^2] がこの章の V[X]V[X] に一致する」ように割る数を選んだものである。2つを混同しないために、確率変数の分散を V[X]V[X] または σ2\sigma^2、データから計算する量を s2s^2 や S2S^2 と、文字を分けて書く。

定理 4.13(分散の公式)

  1. V[X]=E[X2]−(E[X])2V[X]=E[X^2]-(E[X])^2。
  2. 定数 a,ba,b について V[aX+b]=a2V[X]V[aX+b]=a^2V[X]。したがって aX+baX+b の標準偏差は ∣a∣σ\lvert a\rvert \sigma。
  3. 任意の定数 cc について E[(X−c)2]=V[X]+(μ−c)2E[(X-c)^2]=V[X]+(\mu-c)^2。したがって E[(X−c)2]E[(X-c)^2] は c=μc=\mu で最小になる。
証明

(1) (X−μ)2=X2−2μX+μ2(X-\mu)^2=X^2-2\mu X+\mu^2 の期待値を、定理 4.11 で項ごとにとる。μ\mu は定数なので

V[X]=E[X2]−2μE[X]+μ2=E[X2]−2μ2+μ2=E[X2]−μ2.V[X]=E[X^2]-2\mu E[X]+\mu^2=E[X^2]-2\mu^2+\mu^2=E[X^2]-\mu^2.

(2) Y=aX+bY=aX+b の期待値は E[Y]=aμ+bE[Y]=a\mu+b なので、Y−E[Y]=aX+b−(aμ+b)=a(X−μ)Y-E[Y]=aX+b-(a\mu+b)=a(X-\mu)。よってV[Y]=E[a2(X−μ)2]=a2E[(X−μ)2]=a2V[X]V[Y]=E[a^2(X-\mu)^2]=a^2E[(X-\mu)^2]=a^2V[X]。定数 bb は期待値と一緒に引き去られるので分散に残らない。

(3) X−c=(X−μ)+(μ−c)X-c=(X-\mu)+(\mu-c) と分けて2乗すると

E[(X−c)2]=E[(X−μ)2]+2(μ−c)E[X−μ]+(μ−c)2=V[X]+(μ−c)2.E[(X-c)^2]=E[(X-\mu)^2]+2(\mu-c)E[X-\mu]+(\mu-c)^2=V[X]+(\mu-c)^2.

ここで E[X−μ]=E[X]−μ=0E[X-\mu]=E[X]-\mu=0 を使った。(μ−c)2≥0(\mu-c)^2\ge0 なので、最小は c=μc=\mu のときである。

(1) から E[X2]≥(E[X])2E[X^2]\ge(E[X])^2 が常に成り立つ(分散は負にならない)。計算で E[X2]<(E[X])2E[X^2]<(E[X])^2 が出たら、どこかが誤っている。(2) で分散に aa を1回だけ掛ける誤り(V[3X]=3V[X]V[3X]=3V[X] とする誤り)は、2級の頻出の失点である。XX が 33 倍になれば偏差も 33 倍になり、その2乗は 99 倍になる。(3) は、2乗の誤差で測る限り「最も良い1点の予想」は期待値であることを表す。第2章の平均がデータの偏差平方和を最小にする性質の、分布の版である。

標準化

(2) を a=1/σa=1/\sigma、b=−μ/σb=-\mu/\sigma に使うと、次の標準化が得られる。

Z=X−μσ⟹E[Z]=μ−μσ=0,V[Z]=1σ2V[X]=1.(4.9)Z=\frac{X-\mu}{\sigma}\quad\Longrightarrow\quad E[Z]=\frac{\mu-\mu}{\sigma}=0,\qquad V[Z]=\frac{1}{\sigma^2}V[X]=1.\tag{4.9}

標準化は特定の分布の公式ではなく、「期待値を引いて標準偏差で割る」という操作の名前で、どの分布にも使える。第6章では正規分布に、第8章では標本平均 Xˉ\bar X(期待値 μ\mu、標準偏差 σ/n\sigma/\sqrt n)にこの操作を施して、数表の zαz_\alpha と比べる。

Chebyshev の不等式

分散が小さければ、値は期待値の近くに集まるはずである。このことを、分布の形を何も仮定せずに定量化したのが次の不等式である。

定理 4.14(Chebyshev の不等式)

XX の期待値を μ\mu、分散を σ2\sigma^2 とする。任意の ε>0\varepsilon>0 について

P(∣X−μ∣≥ε)≤σ2ε2.(4.10)P\bigl(\lvert X-\mu\rvert \ge\varepsilon\bigr)\le\frac{\sigma^2}{\varepsilon^2}.\tag{4.10}

ε=kσ\varepsilon=k\sigma(k>0k>0)とおくと P(∣X−μ∣≥kσ)≤1k2P(\lvert X-\mu\rvert \ge k\sigma)\le\dfrac1{k^2}、余事象では P(∣X−μ∣<kσ)≥1−1k2P(\lvert X-\mu\rvert <k\sigma)\ge1-\dfrac1{k^2}。

証明

連続型で示す(離散型は積分を和に変える)。分散の積分を、∣x−μ∣≥ε\lvert x-\mu\rvert \ge\varepsilon の部分 DD とそれ以外に分ける。被積分関数 (x−μ)2f(x)(x-\mu)^2f(x) は非負なので、DD 以外の部分を捨てると値は減るか等しい。DD の上では (x−μ)2≥ε2(x-\mu)^2\ge\varepsilon^2 なので

σ2=∫−∞∞(x−μ)2f(x) dx ≥ ∫D(x−μ)2f(x) dx ≥ ε2∫Df(x) dx=ε2P(∣X−μ∣≥ε).\sigma^2=\int_{-\infty}^{\infty}(x-\mu)^2f(x)\,\mathrm{d} x\ \ge\ \int_D(x-\mu)^2f(x)\,\mathrm{d} x\ \ge\ \varepsilon^2\int_Df(x)\,\mathrm{d} x=\varepsilon^2P\bigl(\lvert X-\mu\rvert \ge\varepsilon\bigr).

両辺を ε2\varepsilon^2 で割ればよい。

証明で捨てた部分と、(x−μ)2(x-\mu)^2 を ε2\varepsilon^2 で下から押さえた部分の2か所で値が減っているので、評価は一般に粗い。図 4.3 のように、k=2k=2 では上界 0.250.25 に対して、正規分布の実際の確率は 0.04550.0455 である。それでも、分布の形が分からない場面で使えることと、証明が2行で済むことに価値がある。第8章では、この不等式を標本平均に使って大数の法則を示す。

図

図 4.3 期待値から kσk\sigma 以上離れる確率 P(∣X−μ∣≥kσ)P(\lvert X-\mu\rvert \ge k\sigma)。赤の実線が Chebyshev の上界 1/k21/k^2、青の実線が正規分布の値 2{1−Φ(k)}2\{1-\Phi(k)\}、緑の破線が一様分布の値 max⁡(0, 1−k/3)\max(0,\,1-k/\sqrt3)。どの分布も赤の線の下にあり、上界は分布の形を問わずに成り立つ。

例題 4.9 分散・一次変換・Chebyshev の評価と実際の確率 ★★★

オリジナル密度 f(x)=3x2f(x)=3x^2(0≤x≤10\le x\le1)の XX について(例題 4.8 の結果を使ってよい)、次を求めよ。

  1. V[X]V[X] と標準偏差 σ\sigma。
  2. Y=10X+5Y=10X+5 の期待値・分散・標準偏差。
  3. P(∣X−μ∣≥2σ)P(\lvert X-\mu\rvert \ge2\sigma) の値を求め、Chebyshev の上界と比べよ。
解答

(1) E[X]=34E[X]=\frac34、E[X2]=35E[X^2]=\frac35 なので V[X]=35−916=48−4580=380V[X]=\frac35-\frac9{16}=\frac{48-45}{80}=\frac3{80}、σ=3/80≈0.1936\sigma=\sqrt{3/80}\approx0.1936。

(2) E[Y]=10⋅34+5=12.5E[Y]=10\cdot\frac34+5=12.5、V[Y]=102⋅380=154=3.75V[Y]=10^2\cdot\frac3{80}=\frac{15}4=3.75、標準偏差は 10σ=152≈1.93610\sigma=\frac{\sqrt{15}}2\approx1.936。

(3) μ−2σ≈0.75−0.3873=0.3627\mu-2\sigma\approx0.75-0.3873=0.3627、μ+2σ≈1.137\mu+2\sigma\approx1.137 である。X≤1X\le1 なので X≥μ+2σX\ge\mu+2\sigma は起こらず、

P(∣X−μ∣≥2σ)=P(X≤μ−2σ)=(μ−2σ)3≈0.36273≈0.0477.P(\lvert X-\mu\rvert \ge2\sigma)=P(X\le\mu-2\sigma)=(\mu-2\sigma)^3\approx0.3627^3\approx0.0477.

Chebyshev の上界は 1/22=0.251/2^2=0.25 で、実際の確率の5倍以上ある。

例題 4.10 分布が分からないときの保証の幅 ★★

オリジナルある部品の重さ XX(グラム)は、期待値 5050、標準偏差 55 であることだけが分かっている。

  1. P(40<X<60)P(40<X<60) の下界を Chebyshev の不等式で求めよ。
  2. 「μ−kσ<X<μ+kσ\mu-k\sigma<X<\mu+k\sigma となる確率が 0.960.96 以上」を分布によらず保証できる最小の kk と、その区間を求めよ。
  3. XX が正規分布に従うと分かっていれば、確率 0.960.96 の区間の kk はいくらで足りるか。Φ(2.054)≈0.98\Phi(2.054)\approx0.98 を使ってよい。
解答

(1) 40<X<6040<X<60 は ∣X−50∣<10=2σ\lvert X-50\rvert <10=2\sigma なので、P≥1−122=34P\ge1-\frac1{2^2}=\frac34。

(2) 1−1k2≥0.961-\frac1{k^2}\ge0.96 から k2≥25k^2\ge25、k≥5k\ge5。最小の k=5k=5 で区間は 50±2550\pm25、すなわち 25<X<7525<X<75。

(3) 正規分布なら P(∣X−μ∣<kσ)=2Φ(k)−1=0.96P(\lvert X-\mu\rvert <k\sigma)=2\Phi(k)-1=0.96 から Φ(k)=0.98\Phi(k)=0.98、k≈2.054k\approx2.054。区間は 50±10.2750\pm10.27 で足りる。分布の形を知っていることで、同じ確率を保証する区間の幅は 55 から 2.0542.054 へ半分以下に縮む。

確認テスト

オリジナル

  1. 4.7-1 公正なサイコロの目 XX について V[X]V[X] と V[−3X+2]V[-3X+2] を求めよ。
  2. 4.7-2 区間 (0,1)(0,1) 上の一様分布に従う UU の分散を E[U2]−(E[U])2E[U^2]-(E[U])^2 で求め、X=a+(b−a)UX=a+(b-a)U(a<ba<b)の分散が (b−a)2/12(b-a)^2/12 になることを示せ。
  3. 4.7-3 密度 f(x)=6x(1−x)f(x)=6x(1-x)(0≤x≤10\le x\le1)の XX について、E[X]E[X]、E[X2]E[X^2]、V[X]V[X] を求めよ。
  4. 4.7-4 V[X]=0V[X]=0 なら P(X=μ)=1P(X=\mu)=1 となることを、Chebyshev の不等式を使って示せ。
  5. 4.7-5 密度 f(x)=12e−x/2f(x)=\frac12e^{-x/2}(x≥0x\ge0)の XX の期待値と分散を求め、P(∣X−μ∣≥4)P(\lvert X-\mu\rvert \ge4) について Chebyshev の上界と実際の値(小数第4位まで)を比べよ。

木下の勉強ステータス

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