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偏相関係数と層別解析

2026年10月17日10分で読めますAI生成教科書『資格試験』第14章 相関と回帰
目次
  1. 擬相関
  2. 偏相関係数の定義と公式
  3. 層別解析
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第14章 §14.2 ★★ 第三の変数 zz の1次式で説明できる分を xx と yy から引き、残りどうしの相関を測ると偏相関係数になる。層に分けると、層の中と層の間の偏差積和が足し合わさって全体の偏差積和になる

擬相関

市町村ごとのデータで、書店の数 xx と救急車の出動件数 yy の相関係数を計算すると、大きな正の値になる。書店が救急の需要を生むわけではない。人口 zz の大きい市町村ほど書店も出動件数も多いので、zz を通して xx と yy がそろって動いているだけである。このように、直接の関係がない2つの変数に、両方と関係する第三の変数のために相関が現れる現象を擬相関(見かけの相関)と呼び、その第三の変数を交絡因子と呼ぶ。

偏相関係数の定義と公式

zz の影響を取り除くには、xx のうち zz の1次式で説明できる部分を引き、yy についても同じことをして、残りどうしの相関を測ればよい。xx の偏差 ui=xi−xˉu_i=x_i-\bar x から zz の偏差 wi=zi−zˉw_i=z_i-\bar z の定数倍 cwicw_i を引いた残り ui−cwiu_i-cw_i を、2乗和が最小になるように選ぶ。∑(ui−cwi)2=Sxx−2cSxz+c2Szz\sum(u_i-cw_i)^2=S_{xx}-2cS_{xz}+c^2S_{zz} を cc について平方完成すると

Szz(c−SxzSzz)2+Sxx−Sxz2SzzS_{zz}\Bigl(c-\frac{S_{xz}}{S_{zz}}\Bigr)^2+S_{xx}-\frac{S_{xz}^2}{S_{zz}}

なので、最小にする cc は Sxz/SzzS_{xz}/S_{zz} である。この cc は §14.3 で xx を zz に回帰したときの傾きとして再び現れる。残りを

eix=(xi−xˉ)−SxzSzz(zi−zˉ),eiy=(yi−yˉ)−SyzSzz(zi−zˉ)(14.5)e^{x}_i=(x_i-\bar x)-\frac{S_{xz}}{S_{zz}}(z_i-\bar z),\qquad e^{y}_i=(y_i-\bar y)-\frac{S_{yz}}{S_{zz}}(z_i-\bar z)\tag{14.5}

と書く。

定義 14.4(偏相関係数)

式 (14.5) の eixe^x_i と eiye^y_i の相関係数 ∑eixeiy/∑(eix)2∑(eiy)2\sum e^x_ie^y_i/\sqrt{\sum(e^x_i)^2\sum(e^y_i)^2} を、zz を固定したときの xx と yy の偏相関係数と呼び、rxy⋅zr_{xy\cdot z} と書く。(eix,eiye^x_i,e^y_i はどちらも和が 00 なので、平均を引かずにそのまま偏差として使うことができる。)

定理 14.5(偏相関係数の公式)

∣rxz∣<1\lvert r_{xz}\rvert <1、∣ryz∣<1\lvert r_{yz}\rvert <1 のとき

rxy⋅z=rxy−rxz ryz(1−rxz2)(1−ryz2).(14.6)r_{xy\cdot z}=\frac{r_{xy}-r_{xz}\,r_{yz}}{\sqrt{(1-r_{xz}^2)(1-r_{yz}^2)}}.\tag{14.6}

証明

式 (14.5) を展開する。cx=Sxz/Szzc_x=S_{xz}/S_{zz}、cy=Syz/Szzc_y=S_{yz}/S_{zz} とすると

∑eixeiy=Sxy−cySxz−cxSyz+cxcySzz=Sxy−SxzSyzSzz\sum e^x_ie^y_i=S_{xy}-c_yS_{xz}-c_xS_{yz}+c_xc_yS_{zz}=S_{xy}-\frac{S_{xz}S_{yz}}{S_{zz}}

である(後ろの3項はどれも ±SxzSyz/Szz\pm S_{xz}S_{yz}/S_{zz} で、−1−1+1-1-1+1 の係数をまとめた)。同じ計算で

∑(eix)2=Sxx−Sxz2Szz=Sxx(1−rxz2),∑(eiy)2=Syy(1−ryz2)\sum(e^x_i)^2=S_{xx}-\frac{S_{xz}^2}{S_{zz}}=S_{xx}(1-r_{xz}^2),\qquad \sum(e^y_i)^2=S_{yy}(1-r_{yz}^2)

となる。分子と分母を SxxSyy\sqrt{S_{xx}S_{yy}} で割ると、分子は rxy−SxzSxxSzzSyzSyySzz=rxy−rxzryzr_{xy}-\dfrac{S_{xz}}{\sqrt{S_{xx}S_{zz}}}\dfrac{S_{yz}}{\sqrt{S_{yy}S_{zz}}}=r_{xy}-r_{xz}r_{yz} になり、分母は (1−rxz2)(1−ryz2)\sqrt{(1-r_{xz}^2)(1-r_{yz}^2)} になる。

式 (14.6) の分子は、xx と yy の相関から「zz を経由した分」rxzryzr_{xz}r_{yz} を引いた量である。rxyr_{xy} が大きくても rxzryzr_{xz}r_{yz} がほぼ同じ大きさなら、rxy⋅zr_{xy\cdot z} は 00 に近くなり、xx と yy の相関の大部分は zz で説明されると判断する。偏相関係数も相関係数なので −1-1 以上 11 以下である(定義 14.4 の ex,eye^x,e^y に定理 14.3 を当てはめればよい)。

例題 14.2 擬相関を偏相関係数で確かめる ★★

オリジナルある県の市町村について、書店の数 xx、救急車の出動件数 yy、人口 zz の相関係数が rxy=0.80r_{xy}=0.80、rxz=0.90r_{xz}=0.90、ryz=0.85r_{yz}=0.85 であった。zz を固定したときの xx と yy の偏相関係数を求め、結果を解釈せよ。

解答

式 (14.6) の分子は 0.80−0.90×0.85=0.80−0.765=0.0350.80-0.90\times0.85=0.80-0.765=0.035、分母は (1−0.81)(1−0.7225)=0.19×0.2775=0.052725=0.2296\sqrt{(1-0.81)(1-0.7225)}=\sqrt{0.19\times0.2775}=\sqrt{0.052725}=0.2296 である。したがって

rxy⋅z=0.0350.2296=0.152.r_{xy\cdot z}=\frac{0.035}{0.2296}=0.152.

rxy=0.80r_{xy}=0.80 のうち、0.7650.765 ぶんは人口を経由した相関で説明される。人口の影響を除くと相関は 0.150.15 程度しか残らないので、書店の数と出動件数の相関の大部分は人口による擬相関と解釈する。

層別解析

データが性質の違う複数のグループ(層)から成るとき、層を区別して描いた散布図(層別した散布図)を見ると、全体の散布図とは違う関係が見えることがある。層ごとに相関や回帰を計算することを層別解析と呼ぶ。

層が A,BA,B の2つで、それぞれ nA,nBn_A,n_B 個の点があり、層の平均が (xˉA,yˉA)(\bar x_A,\bar y_A)、(xˉB,yˉB)(\bar x_B,\bar y_B)、全体の平均が (xˉ,yˉ)(\bar x,\bar y) であるとする。全体の偏差を xi−xˉ=(xi−xˉA)+(xˉA−xˉ)x_i-\bar x=(x_i-\bar x_A)+(\bar x_A-\bar x)(ii が層 AA のとき)と分けると、∑i∈A(xi−xˉA)=0\sum_{i\in A}(x_i-\bar x_A)=0 なので交差項が消え、

Sxy=SxyA+SxyB⏟層内+nA(xˉA−xˉ)(yˉA−yˉ)+nB(xˉB−xˉ)(yˉB−yˉ)⏟層間(14.7)S_{xy}=\underbrace{S^{A}_{xy}+S^{B}_{xy}}_{\text{層内}} +\underbrace{n_A(\bar x_A-\bar x)(\bar y_A-\bar y)+n_B(\bar x_B-\bar x)(\bar y_B-\bar y)}_{\text{層間}}\tag{14.7}

となる。SxyAS^A_{xy} は層 AA の中だけで計算した偏差積和である。SxxS_{xx} についても同じ分解が成り立つ(第2章 確認テスト 2.5-5 の3群の分解と同じ計算である)。層内の項が負でも、層の平均どうしが右上がりに並んでいれば層間の項が正で大きくなり、全体の SxyS_{xy} は正になりうる。全体の相関と層の中の相関の向きが逆になる現象を Simpson のパラドックスと呼ぶ。

例題 14.3 層の中と全体で相関の向きが逆になる ★★

オリジナル2種類の土壌 A,BA,B で植物を4株ずつ育て、水やりの量 xx と草丈 yy を測った(単位は省略)。

土壌AABB
xx12345678
yy645310897
  1. 各層の中の相関係数を求めよ。
  2. 8株全体の相関係数を求め、式 (14.7) の層内と層間の項に分けて説明せよ。
解答

(1) 層 AA は xˉA=2.5\bar x_A=2.5、yˉA=4.5\bar y_A=4.5 で、偏差は xx が −1.5,−0.5,0.5,1.5-1.5,-0.5,0.5,1.5、yy が 1.5,−0.5,0.5,−1.51.5,-0.5,0.5,-1.5 である。SxxA=5S^A_{xx}=5、SyyA=5S^A_{yy}=5、SxyA=−2.25+0.25+0.25−2.25=−4S^A_{xy}=-2.25+0.25+0.25-2.25=-4 で、rA=−4/5=−0.8r_A=-4/5=-0.8 である。層 BB の点は層 AA の点を (4,4)(4,4) だけ平行移動したものなので偏差は同じで、xˉB=6.5\bar x_B=6.5、yˉB=8.5\bar y_B=8.5、rB=−0.8r_B=-0.8 である。

(2) 全体の平均は xˉ=4.5\bar x=4.5、yˉ=6.5\bar y=6.5 である。式 (14.7) の層内の項は −4+(−4)=−8-4+(-4)=-8、層間の項は 4×(−2)×(−2)+4×2×2=324\times(-2)\times(-2)+4\times2\times2=32 で、Sxy=−8+32=24S_{xy}=-8+32=24 である。同じく Sxx=Syy=(5+5)+(4×4+4×4)=42S_{xx}=S_{yy}=(5+5)+(4\times4+4\times4)=42 なので、全体の相関係数は

r=2442×42=2442=0.571r=\frac{24}{\sqrt{42\times42}}=\frac{24}{42}=0.571

で正になる。層の中ではどちらも水が多いほど草丈が低いが、土壌 BB の株は水も草丈もそろって大きいので、層間の項 3232 が層内の項 −8-8 を上回る(図 14.2)。土壌の違いを無視して全体の相関だけを見ると、「水を多くやるほど草丈が高い」と逆向きの結論を出すことになる。

図

図 14.2 層別した散布図。実線は層ごとの回帰直線(傾き −0.8-0.8)、破線は8点全体の回帰直線(傾き 24/42=0.57124/42=0.571)。回帰直線の求め方は §14.3

確認テスト

オリジナル

  1. 14.2-1 rxy=0.70r_{xy}=0.70 で rxy⋅z=0.05r_{xy\cdot z}=0.05 であった。xx と yy の関係についてどう解釈するか、1文で答えよ。
  2. 14.2-2 rxy=0.5r_{xy}=0.5、rxz=0.6r_{xz}=0.6、ryz=0.7r_{yz}=0.7 のとき、rxy⋅zr_{xy\cdot z} を小数第3位まで求めよ。
  3. 14.2-3 rxz=0r_{xz}=0 のとき ∣rxy⋅z∣≥∣rxy∣\lvert r_{xy\cdot z}\rvert \ge\lvert r_{xy}\rvert であることを示し、rxy=0.3r_{xy}=0.3、ryz=0.8r_{yz}=0.8、rxz=0r_{xz}=0 のときの rxy⋅zr_{xy\cdot z} を求めよ。zz を取り除くと相関が強く見える理由を、yy の散らばりのうち zz で説明される分から説明せよ。
  4. 14.2-4 式 (14.7) を、交差項が消えることを示して導け。

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