tecktom.com

検出力

2026年10月17日10分で読めますAI生成教科書『資格試験』第16章 実験計画と時系列・データの諸話題
目次
  1. 2種類の誤りと検出力
  2. 片側 検定の検出力関数
  3. 検出力関数の性質
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第16章 §16.2 ★★★ 検出力は「対立仮説が正しいときに H0H_0 を棄却する確率」で、母数の真の値の関数になる。α\alpha を下げると下がり、nn を増やすと上がる

2種類の誤りと検出力

仮説検定(第12章)では、帰無仮説 H0H_0 を棄却するかどうかを、検定統計量が棄却域に入るかどうかで決める。判断の誤りは2種類あり、第12章 §12.3 で定義したとおり、H0H_0 が正しいのに棄却する誤りが第1種の過誤(確率は有意水準 α\alpha)、対立仮説 H1H_1 が正しいのに棄却しない誤りが第2種の過誤(確率 β\beta)である。この節では、第12章で1つの対立仮説の値について計算した β\beta を、母数の関数として調べ直す。

H0H_0 が正しいH1H_1 が正しい
H0H_0 を棄却する第1種の過誤(確率 α\alpha)正しい判断(確率 1−β1-\beta)
H0H_0 を棄却しない正しい判断(確率 1−α1-\alpha)第2種の過誤(確率 β\beta)

定義 16.3(検出力)

H1H_1 が正しいときに H0H_0 を棄却する確率 1−β1-\beta を、その検定の検出力と呼ぶ。H1H_1 が「μ>μ0\mu>\mu_0」のように母数の範囲を表すときは、β\beta は母数の真の値 μ\mu によって変わるので β(μ)\beta(\mu) と書き、μ\mu の関数 1−β(μ)1-\beta(\mu) を検出力関数と呼ぶ。

注意

この巻は第12章 §12.3 と同じく、β\beta を第2種の過誤の確率、1−β1-\beta を検出力と書く(2級の対策本と問題文の流儀)。数理統計の解説 第7章は棄却する確率そのものを検出力関数 β(θ)\beta(\theta) と書くので、この章の 1−β(μ)1-\beta(\mu) が数理統計の解説の β(μ)\beta(\mu) に当たる。どちらの流儀かは、β(μ0)\beta(\mu_0) が α\alpha か 1−α1-\alpha かで見分けられる。

α\alpha は H0H_0 が正しいという1つの状況で決まる確率なので、研究者が事前に 0.050.05 のように決めることができる。これに対して β\beta は、H1H_1 のもとで母数の真の値がどこにあるかによって変わり、真の値は分からないので、1つの数として決めることはできない。検出力を論じるときは、必ず「真の値が μ1\mu_1 のときの検出力」のように、H1H_1 の中の特定の値を指定する。

片側 zz 検定の検出力関数

X1,…,XnX_1,\dots,X_n を N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) からの無作為標本とし、σ\sigma は既知とする。H0:μ=μ0H_0:\mu=\mu_0、H1:μ>μ0H_1:\mu>\mu_0 を有意水準 α\alpha で検定する。検定統計量 Z0=(Xˉ−μ0)/(σ/n)Z_0=(\bar X-\mu_0)/(\sigma/\sqrt n) が zαz_\alpha 以上なら棄却する。これを Xˉ\bar X の言葉に直すと、棄却域は Xˉ≥c\bar X\ge c、c=μ0+zασ/nc=\mu_0+z_\alpha\sigma/\sqrt n である。

真の平均が μ\mu のとき、Xˉ∼N(μ,σ2/n)\bar X\sim\mathrm{N}(\mu,\sigma^2/n)(第6章の線形結合の再生性)なので、(Xˉ−μ)/(σ/n)∼N(0,1)(\bar X-\mu)/(\sigma/\sqrt n)\sim\mathrm{N}(0,1) である。棄却する確率は

P(Xˉ≥c)=P ⁣(Xˉ−μσ/n≥c−μσ/n)=1−Φ ⁣(μ0−μσ/n+zα)P(\bar X\ge c)=P\!\left(\frac{\bar X-\mu}{\sigma/\sqrt n}\ge\frac{c-\mu}{\sigma/\sqrt n}\right)=1-\Phi\!\left(\frac{\mu_0-\mu}{\sigma/\sqrt n}+z_\alpha\right)

となる。1−Φ(−w)=Φ(w)1-\Phi(-w)=\Phi(w)(第6章)を使って整理する。

定理 16.4(片側 zz 検定の検出力関数)

上の片側検定の検出力関数は

1−β(μ)=Φ ⁣(n (μ−μ0)σ−zα)(16.4)1-\beta(\mu)=\Phi\!\left(\frac{\sqrt n\,(\mu-\mu_0)}{\sigma}-z_\alpha\right)\tag{16.4}

である。Δ=(μ−μ0)/σ\Delta=(\mu-\mu_0)/\sigma(差を標準偏差で測ったもの。効果量と呼ぶ)を使えば 1−β(μ)=Φ(Δn−zα)1-\beta(\mu)=\Phi(\Delta\sqrt n-z_\alpha) と書ける。両側検定(H1:μ≠μ0H_1:\mu\neq\mu_0、∣Z0∣≥zα/2\lvert Z_0\rvert \ge z_{\alpha/2} で棄却)では

1−β(μ)=Φ(Δn−zα/2)+Φ(−Δn−zα/2)(16.5)1-\beta(\mu)=\Phi(\Delta\sqrt n-z_{\alpha/2})+\Phi(-\Delta\sqrt n-z_{\alpha/2})\tag{16.5}

である。

両側の式 (16.5) は、Z0≥zα/2Z_0\ge z_{\alpha/2} と Z0≤−zα/2Z_0\le-z_{\alpha/2} の確率の和として、片側と同じ計算を2回すれば得られる。Δ>0\Delta>0 では第2項は Φ(−zα/2−Δn)<Φ(−zα/2)=α/2\Phi(-z_{\alpha/2}-\Delta\sqrt n)<\Phi(-z_{\alpha/2})=\alpha/2 で小さく、多くの場合は無視できる。

検出力関数の性質

(16.4) の Φ\Phi は増加関数なので、括弧の中の Δn−zα\Delta\sqrt n-z_\alpha が大きいほど検出力は大きい。このことから次の性質をすべて読み取ることができる。

命題 16.5(片側検定の検出力の性質)

(16.4) の検出力関数について、

  1. μ=μ0\mu=\mu_0 で 1−β(μ0)=Φ(−zα)=α1-\beta(\mu_0)=\Phi(-z_\alpha)=\alpha である。
  2. μ\mu について増加し、μ→∞\mu\to\infty で 11 に近づく。μ<μ0\mu<\mu_0 では α\alpha より小さい。
  3. μ>μ0\mu>\mu_0 を固定すると、nn について増加し、n→∞n\to\infty で 11 に近づく。
  4. α\alpha を小さくすると zαz_\alpha が大きくなるので、すべての μ\mu で検出力は下がる(β\beta は上がる)。
  5. σ\sigma が小さいほど Δ\Delta が大きくなり、検出力は上がる。

(1) と (3) をあわせると、nn を増やしても有意水準 α\alpha は変わらず、変わるのは検出力(β\beta)の方だということが分かる。nn を増やすと Xˉ\bar X の分布は細くなるが、棄却の境界 c=μ0+zασ/nc=\mu_0+z_\alpha\sigma/\sqrt n も同じ割合で μ0\mu_0 に近づくので、H0H_0 のもとで境界を越える確率は α\alpha のまま保たれる。H1H_1 のもとでは Xˉ\bar X の分布の中心 μ\mu は動かないまま境界が近づくので、境界を越える確率が上がる。(4) は、α\alpha と β\beta の間の取引関係である。nn を固定したまま第1種の過誤を減らそうとすると、第2種の過誤が増える。両方を同時に減らす方法は、nn を増やすか、σ\sigma を小さくする(測定を精密にする、局所管理を取り入れる)ことである。

図

図 16.1 片側 zz 検定(α=0.05\alpha=0.05)の検出力関数 (16.4)。横軸は効果量 Δ\Delta。どちらの曲線も Δ=0\Delta=0 で α=0.05\alpha=0.05 を通る(nn を変えても α\alpha は変わらない)。Δ>0\Delta>0 では n=25n=25 の方が速く 11 に近づき、検出力が 0.80.8(上の破線)に達する Δ\Delta は n=9n=9 で 0.830.83、n=25n=25 で 0.500.50 である。

例題 16.2 充填量の検査の検出力 ★★★

オリジナルある飲料の充填量は N(μ,102)\mathrm{N}(\mu,10^2)(単位 mL)に従い、規格の平均は μ0=500\mu_0=500 である。充填機の設定が上にずれたかどうかを、n=25n=25 本の平均 Xˉ\bar X で H0:μ=500H_0:\mu=500、H1:μ>500H_1:\mu>500 として有意水準 5%5\% で検定する。

  1. 棄却域を Xˉ\bar X の範囲で表せ。
  2. 真の平均が μ=504\mu=504 のときの検出力と、第2種の過誤の確率を求めよ。
  3. 真の平均が μ=505\mu=505 のときの検出力を求めよ。また、有意水準を 1%1\% にすると μ=505\mu=505 での検出力はいくらになるか。
解答

(1) σ/n=10/5=2\sigma/\sqrt n=10/5=2、z0.05=1.645z_{0.05}=1.645 なので、c=500+1.645×2=503.29c=500+1.645\times2=503.29 で、棄却域は Xˉ≥503.29\bar X\ge503.29 である。

(2) μ=504\mu=504 のとき Xˉ∼N(504,22)\bar X\sim\mathrm{N}(504,2^2) なので

1−β=P(Xˉ≥503.29)=P ⁣(Z≥503.29−5042)=P(Z≥−0.355)=Φ(0.355)=0.6391-\beta=P(\bar X\ge503.29)=P\!\left(Z\ge\frac{503.29-504}{2}\right)=P(Z\ge-0.355)=\Phi(0.355)=0.639

である。(16.4) で Δn=(4/10)×5=2\Delta\sqrt n=(4/10)\times5=2 として Φ(2−1.645)=Φ(0.355)\Phi(2-1.645)=\Phi(0.355) と書いても同じである。第2種の過誤の確率は β=1−0.639=0.361\beta=1-0.639=0.361 で、平均が 44 mL ずれていても、ほぼ3回に1回は見逃す。

(3) Δn=(5/10)×5=2.5\Delta\sqrt n=(5/10)\times5=2.5 なので、1−β=Φ(2.5−1.645)=Φ(0.855)=0.8041-\beta=\Phi(2.5-1.645)=\Phi(0.855)=0.804 である。有意水準 1%1\% では z0.01=2.326z_{0.01}=2.326 で、1−β=Φ(2.5−2.326)=Φ(0.174)=0.5691-\beta=\Phi(2.5-2.326)=\Phi(0.174)=0.569 に下がる。第1種の過誤を 0.050.05 から 0.010.01 に減らした代わりに、第2種の過誤は 0.1960.196 から 0.4310.431 に増えた。

確認テスト

オリジナル

  1. 16.2-1 次の文の正誤を答え、誤りなら正しく直せ。(a) 検出力とは、帰無仮説が正しいときにそれを棄却しない確率である。(b) 有意水準を 5%5\% から 1%1\% に下げると、検出力は下がる。(c) 標本の大きさを増やすと、第1種の過誤の確率は小さくなる。(d) 片側 zz 検定の検出力関数は、μ=μ0\mu=\mu_0 で有意水準に等しい。
  2. 16.2-2 N(μ,152)\mathrm{N}(\mu,15^2) からの n=16n=16 の標本で、H0:μ=100H_0:\mu=100、H1:μ>100H_1:\mu>100 を有意水準 5%5\% で検定する。棄却域を Xˉ\bar X で表し、μ=106\mu=106 のときの検出力を求めよ。
  3. 16.2-3 16.2-2 と同じ設定で、両側検定(H1:μ≠100H_1:\mu\ne100、有意水準 5%5\%)にしたときの μ=106\mu=106 での検出力を (16.5) で求め、16.2-2 と比べよ。
  4. 16.2-4 (16.4) から命題 16.5 の (1)・(2)・(4) を示せ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『資格試験』の記事一覧へ