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連続分布

2026年10月15日30分で読めますAI生成教科書『資格試験』第3章 代表的な確率分布
目次
  1. 一様分布と確率積分変換
  2. 正規分布
  3. 指数分布とガンマ分布
  4. カイ二乗分布
  5. ベータ分布
  6. そのほかの連続分布
  7. 確認テスト
  8. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

数理統計 第3章 §3.2 ★★★ 指数 → ガンマ → カイ二乗、ガンマ → ベータの関係は、第5章以降の標本分布の導出すべての土台になる

一様分布と確率積分変換

区間 (a,b)(a,b) 上で密度が一定値 1/(b−a)1/(b-a) の分布を一様分布と呼ぶ。これを U(a,b)\mathrm{U}(a,b) と書く。

E[X]=∫abxb−a dx=a+b2,E[X2]=b3−a33(b−a)=a2+ab+b23,E[X]=\int_a^b\frac{x}{b-a}\,dx=\frac{a+b}{2},\qquad E[X^2]=\frac{b^3-a^3}{3(b-a)}=\frac{a^2+ab+b^2}{3},

したがって

V[X]=a2+ab+b23−(a+b)24=(b−a)212V[X]=\frac{a^2+ab+b^2}{3}-\frac{(a+b)^2}{4}=\frac{(b-a)^2}{12}

である。

定理 3.9(確率積分変換 ★★)

(1) XX の分布関数を FF とする。FF が連続なら、F(X)∼U(0,1)F(X)\sim\mathrm{U}(0,1) である。(2) U∼U(0,1)U\sim\mathrm{U}(0,1) とし、分布関数 FF に対して

F−1(u)=inf⁡{x:F(x)≥u}F^{-1}(u)=\inf\{x: F(x)\ge u\}

と定める。このとき F−1(U)F^{-1}(U) の分布関数は FF である。

証明

(2) から示す。FF は右連続で単調非減少なので、F−1(u)≤x  ⟺  u≤F(x)F^{-1}(u)\le x\iff u\le F(x) が成り立つ。よって P(F−1(U)≤x)=P(U≤F(x))=F(x)P(F^{-1}(U)\le x)=P(U\le F(x))=F(x)。

(1) は FF が狭義単調増加の場合に示す。0<u<10<u<1 に対し F(X)≤u  ⟺  X≤F−1(u)F(X)\le u\iff X\le F^{-1}(u) なので

P(F(X)≤u)=F(F−1(u))=uP(F(X)\le u)=F(F^{-1}(u))=u

で、これは U(0,1)\mathrm{U}(0,1) の分布関数である。(FF に平らな区間があっても、その区間に XX が入る確率は 0 なので結論は変わらない。)

この定理の2つの主張は、それぞれ次の根拠になる。

  • (2) は、一様乱数から任意の分布の乱数を作る方法(逆関数法)の根拠である。
  • (1) は、連続分布に従う検定統計量の pp 値が帰無仮説のもとで U(0,1)\mathrm{U}(0,1) に従うことの根拠である。

たとえば指数分布の分布関数 F(x)=1−e−λxF(x)=1-e^{-\lambda x} の逆関数は F−1(u)=−log⁡(1−u)/λF^{-1}(u)=-\log(1-u)/\lambda である。1−U1-U も U(0,1)\mathrm{U}(0,1) に従う。よって −log⁡U/λ-\log U/\lambda は指数分布に従う。

正規分布

定義 3.10(正規分布)

μ∈R\mu\in\mathbb{R}、σ>0\sigma>0 に対し、密度が

f(x)=12π σexp⁡{−(x−μ)22σ2}(x∈R)(3.13)f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}\,\sigma}\exp\Bigl\{-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}\Bigr\}\qquad(x\in\mathbb{R})\tag{3.13}

の分布を正規分布と呼び、N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) と書く。N(0,1)\mathrm{N}(0,1) を標準正規分布と呼ぶ。その密度を ϕ\phi、分布関数を Φ\Phi と書く。次を満たす点 zαz_\alpha を、上側 100α%100\alpha\% 点と呼ぶ。

1−Φ(zα)=α1-\Phi(z_\alpha)=\alpha

密度の積分が 1 になることは、I=∫−∞∞e−x2/2dxI=\int_{-\infty}^\infty e^{-x^2/2}dx の2乗を極座標で計算して確かめる。

I2=∫−∞∞ ⁣∫−∞∞e−(x2+y2)/2 dx dy=∫02π ⁣ ⁣∫0∞e−r2/2 r dr dθ=2π[−e−r2/2]0∞=2π.I^2=\int_{-\infty}^\infty\!\int_{-\infty}^\infty e^{-(x^2+y^2)/2}\,dx\,dy=\int_0^{2\pi}\!\!\int_0^\infty e^{-r^2/2}\,r\,dr\,d\theta =2\pi\Bigl[-e^{-r^2/2}\Bigr]_0^\infty=2\pi .

I>0I>0 なので I=2πI=\sqrt{2\pi}。一般の μ,σ\mu,\sigma は z=(x−μ)/σz=(x-\mu)/\sigma と置換する。dx=σ dzdx=\sigma\,dz でこの場合に帰着する。同じ置換から、X∼N(μ,σ2)X\sim\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) なら次が成り立つ。

Z=X−μσ∼N(0,1)  (標準化),aX+b∼N(aμ+b, a2σ2)  (a≠0).Z=\frac{X-\mu}{\sigma}\sim\mathrm{N}(0,1)\ \ \text{(標準化)},\qquad aX+b\sim\mathrm{N}(a\mu+b,\,a^2\sigma^2)\ \ (a\ne0).

命題 3.11(正規分布の積率母関数と積率)

X∼N(μ,σ2)X\sim\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) なら、すべての t∈Rt\in\mathbb{R} で

MX(t)=exp⁡(μt+σ2t2/2).M_X(t)=\exp(\mu t+\sigma^2t^2/2).

Z∼N(0,1)Z\sim\mathrm{N}(0,1) の積率は、奇数次が 0、偶数次が

E[Z2k]=(2k)!2k k!=(2k−1)(2k−3)⋯3⋅1(3.14)E[Z^{2k}]=\frac{(2k)!}{2^k\,k!}=(2k-1)(2k-3)\cdots3\cdot1\tag{3.14}

で、とくに E[Z2]=1E[Z^2]=1、E[Z4]=3E[Z^4]=3。

証明

まず ZZ について、指数の中を平方完成する。tz−z2/2=−(z−t)2/2+t2/2tz-z^2/2=-(z-t)^2/2+t^2/2 なので

MZ(t)=∫−∞∞12πetz−z2/2 dz=et2/2∫−∞∞12πe−(z−t)2/2 dz=et2/2.M_Z(t)=\int_{-\infty}^\infty\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{tz-z^2/2}\,dz=e^{t^2/2}\int_{-\infty}^\infty\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-(z-t)^2/2}\,dz=e^{t^2/2}.

最後の積分は N(t,1)\mathrm{N}(t,1) の密度の積分で 1 である。X=μ+σZX=\mu+\sigma Z なので

MX(t)=E[etμ+tσZ]=eμtMZ(σt)=exp⁡(μt+σ2t2/2).M_X(t)=E[e^{t\mu+t\sigma Z}]=e^{\mu t}M_Z(\sigma t)=\exp(\mu t+\sigma^2t^2/2).

積率は、次の2つの展開の係数を比べて得る。

MZ(t)=et2/2=∑k≥0t2k2kk!,MZ(t)=∑mE[Zm]m!tm.M_Z(t)=e^{t^2/2}=\sum_{k\ge0}\frac{t^{2k}}{2^kk!},\qquad M_Z(t)=\sum_m\frac{E[Z^m]}{m!}t^m .

奇数次の項が無いので、奇数次の積率は 0 である。t2kt^{2k} の係数から E[Z2k]/(2k)!=1/(2kk!)E[Z^{2k}]/(2k)!=1/(2^kk!) である。

この積率母関数から、独立な Xi∼N(μi,σi2)X_i\sim\mathrm{N}(\mu_i,\sigma_i^2) の線形結合の分布がわかる。

M∑aiXi(t)=∏iexp⁡(aiμit+ai2σi2t2/2)M_{\sum a_iX_i}(t)=\prod_i\exp(a_i\mu_it+a_i^2\sigma_i^2t^2/2)

より、∑aiXi\sum a_iX_i は N(∑aiμi, ∑ai2σi2)\mathrm{N}(\sum a_i\mu_i,\ \sum a_i^2\sigma_i^2) に従う。とくに独立同一に N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) に従う標本の平均は Xˉ∼N(μ,σ2/n)\bar X\sim\mathrm{N}(\mu,\sigma^2/n) である。数表の値として、次を使う。

z0.05=1.645,z0.025=1.960,z0.005=2.576.z_{0.05}=1.645,\qquad z_{0.025}=1.960,\qquad z_{0.005}=2.576 .

指数分布とガンマ分布

定義 3.12(指数分布)

λ>0\lambda>0 に対し、密度が

f(x)=λe−λx(x>0)f(x)=\lambda e^{-\lambda x}\qquad(x>0)

の分布を指数分布と呼び、Ex(λ)\mathrm{Ex}(\lambda) と書く。

分布関数は F(x)=1−e−λxF(x)=1-e^{-\lambda x}、裾は P(X>x)=e−λxP(X>x)=e^{-\lambda x} である。t<λt<\lambda で積率母関数

MX(t)=∫0∞λe−(λ−t)xdx=λλ−tM_X(t)=\int_0^\infty\lambda e^{-(\lambda-t)x}dx=\frac{\lambda}{\lambda-t}

が存在する。微分して t=0t=0 を代入すると

MX′(t)=λ(λ−t)2⟹E[X]=1λ,MX′′(t)=2λ(λ−t)3⟹E[X2]=2λ2,V[X]=1λ2.\begin{aligned}M_X'(t)&=\frac{\lambda}{(\lambda-t)^2} &&\Longrightarrow\quad E[X]=\frac1\lambda,\\ M_X''(t)&=\frac{2\lambda}{(\lambda-t)^3} &&\Longrightarrow\quad E[X^2]=\frac2{\lambda^2},\quad V[X]=\frac1{\lambda^2}.\end{aligned}

幾何分布と同じ無記憶性

P(X>s+t∣X>s)=e−λ(s+t)e−λs=e−λt=P(X>t)(s,t>0)(3.15)P(X>s+t\mid X>s)=\frac{e^{-\lambda(s+t)}}{e^{-\lambda s}}=e^{-\lambda t}=P(X>t)\qquad(s,t>0)\tag{3.15}

を持つ。正の値をとる連続分布で無記憶性を持つのは指数分布だけである。

実際、g(t)=P(X>t)g(t)=P(X>t) は g(s+t)=g(s)g(t)g(s+t)=g(s)g(t) を満たす単調な関数である。そのような関数は g(t)=e−λtg(t)=e^{-\lambda t} の形に限られる。寿命や待ち時間のモデルで「使い古されても壊れやすさが変わらない」という仮定を置くことは、指数分布を仮定することと同じである。

ガンマ分布を定義するために、ガンマ関数

Γ(α)=∫0∞xα−1e−x dx(α>0)(3.16)\Gamma(\alpha)=\int_0^\infty x^{\alpha-1}e^{-x}\,dx\qquad(\alpha>0)\tag{3.16}

を使う。積分は両端で収束する。

  • x→0x\to0 で被積分関数は xα−1x^{\alpha-1} 程度である。よって α>0\alpha>0 なら収束する。
  • x→∞x\to\infty では、指数関数 e−xe^{-x} の減衰がべき関数の増加より速い。よって収束する。

部分積分で

Γ(α+1)=[−xαe−x]0∞+α∫0∞xα−1e−xdx=α Γ(α)\Gamma(\alpha+1)=\Bigl[-x^\alpha e^{-x}\Bigr]_0^\infty+\alpha\int_0^\infty x^{\alpha-1}e^{-x}dx=\alpha\,\Gamma(\alpha)

を得る。Γ(1)=1\Gamma(1)=1 と合わせると、正の整数 nn について次が成り立つ。

Γ(n)=(n−1)!\Gamma(n)=(n-1)!

また x=z2/2x=z^2/2 と置換する。dx=z dzdx=z\,dz、x−1/2=2/zx^{-1/2}=\sqrt2/z なので

Γ(1/2)=∫0∞2ze−z2/2 z dz=2∫0∞e−z2/2dz=2⋅2π2=π.\Gamma(1/2)=\int_0^\infty\frac{\sqrt2}{z}e^{-z^2/2}\,z\,dz=\sqrt2\int_0^\infty e^{-z^2/2}dz=\sqrt2\cdot\frac{\sqrt{2\pi}}{2}=\sqrt\pi .

定義 3.13(ガンマ分布)

α>0\alpha>0(形状母数)、β>0\beta>0(尺度母数)に対し、密度が

f(x)=xα−1e−x/βΓ(α) βα(x>0)(3.17)f(x)=\frac{x^{\alpha-1}e^{-x/\beta}}{\Gamma(\alpha)\,\beta^\alpha}\qquad(x>0)\tag{3.17}

の分布をガンマ分布と呼び、Ga(α,β)\mathrm{Ga}(\alpha,\beta) と書く。この教材では β\beta を常に尺度(平均に比例する側)にとる。

x=βyx=\beta y と置換すると

∫0∞f(x)dx=1Γ(α)∫0∞yα−1e−ydy=1\int_0^\infty f(x)dx=\frac{1}{\Gamma(\alpha)}\int_0^\infty y^{\alpha-1}e^{-y}dy=1

である。同じ置換から、Y∼Ga(α,1)Y\sim\mathrm{Ga}(\alpha,1) なら βY∼Ga(α,β)\beta Y\sim\mathrm{Ga}(\alpha,\beta) である。一般に c>0c>0 について cX∼Ga(α,cβ)cX\sim\mathrm{Ga}(\alpha,c\beta)。

α=1\alpha=1 とすると f(x)=e−x/β/βf(x)=e^{-x/\beta}/\beta である。よって Ga(1,1/λ)=Ex(λ)\mathrm{Ga}(1,1/\lambda)=\mathrm{Ex}(\lambda) である。

ガンマ分布を xα−1e−λxλα/Γ(α)x^{\alpha-1}e^{-\lambda x}\lambda^\alpha/\Gamma(\alpha)(λ\lambda は率)で書く本もある。そのときの λ\lambda はこの教材の 1/β1/\beta に当たる。答案ではどちらの書き方かを先に宣言する。

定理 3.14(ガンマ分布の積率・積率母関数・再生性 ★★★)

X∼Ga(α,β)X\sim\mathrm{Ga}(\alpha,\beta) とする。

  1. k>−αk>-\alpha を満たす実数 kk について

E[Xk]=βk Γ(α+k)Γ(α).E[X^k]=\beta^k\,\frac{\Gamma(\alpha+k)}{\Gamma(\alpha)}.

とくに E[X]=αβE[X]=\alpha\beta、V[X]=αβ2V[X]=\alpha\beta^2。2. t<1/βt<1/\beta で MX(t)=(1−βt)−αM_X(t)=(1-\beta t)^{-\alpha}。3. X1∼Ga(α1,β)X_1\sim\mathrm{Ga}(\alpha_1,\beta) と X2∼Ga(α2,β)X_2\sim\mathrm{Ga}(\alpha_2,\beta) が独立なら、

X1+X2∼Ga(α1+α2,β).X_1+X_2\sim\mathrm{Ga}(\alpha_1+\alpha_2,\beta).

証明

(1) 密度の積分が 1 であることを、母数 α+k\alpha+k について使う。すなわち

∫0∞xα+k−1e−x/βdx=Γ(α+k)βα+k\int_0^\infty x^{\alpha+k-1}e^{-x/\beta}dx=\Gamma(\alpha+k)\beta^{\alpha+k}

なので

E[Xk]=1Γ(α)βα∫0∞xα+k−1e−x/βdx=Γ(α+k)βα+kΓ(α)βα=βkΓ(α+k)Γ(α).E[X^k]=\frac{1}{\Gamma(\alpha)\beta^\alpha}\int_0^\infty x^{\alpha+k-1}e^{-x/\beta}dx=\frac{\Gamma(\alpha+k)\beta^{\alpha+k}}{\Gamma(\alpha)\beta^\alpha} =\beta^k\frac{\Gamma(\alpha+k)}{\Gamma(\alpha)}.

k=1k=1 とすると、Γ(α+1)/Γ(α)=α\Gamma(\alpha+1)/\Gamma(\alpha)=\alpha である。よって E[X]=αβE[X]=\alpha\beta。k=2k=2 とすると E[X2]=β2α(α+1)E[X^2]=\beta^2\alpha(\alpha+1)。よって

V[X]=β2α(α+1)−α2β2=αβ2.V[X]=\beta^2\alpha(\alpha+1)-\alpha^2\beta^2=\alpha\beta^2.

(2) etxe−x/β=e−x(1−βt)/βe^{tx}e^{-x/\beta}=e^{-x(1-\beta t)/\beta} である。そこで β′=β/(1−βt)\beta'=\beta/(1-\beta t) とおく(t<1/βt<1/\beta で正)。尺度 β′\beta' のガンマ密度の積分に直すと

MX(t)=1Γ(α)βα∫0∞xα−1e−x/β′dx=Γ(α)β′αΓ(α)βα=(11−βt)α.M_X(t)=\frac{1}{\Gamma(\alpha)\beta^\alpha}\int_0^\infty x^{\alpha-1}e^{-x/\beta'}dx=\frac{\Gamma(\alpha)\beta'^\alpha}{\Gamma(\alpha)\beta^\alpha}=\Bigl(\frac{1}{1-\beta t}\Bigr)^\alpha .

(3) (3.1) から、t<1/βt<1/\beta で

MX1+X2(t)=(1−βt)−α1(1−βt)−α2=(1−βt)−(α1+α2).M_{X_1+X_2}(t)=(1-\beta t)^{-\alpha_1}(1-\beta t)^{-\alpha_2}=(1-\beta t)^{-(\alpha_1+\alpha_2)}.

これは Ga(α1+α2,β)\mathrm{Ga}(\alpha_1+\alpha_2,\beta) の積率母関数なので、一意性定理から主張が従う。

尺度 β\beta が共通でないと再生性は成り立たない。系として、X1,…,XnX_1,\dots,X_n が独立に Ex(λ)=Ga(1,1/λ)\mathrm{Ex}(\lambda)=\mathrm{Ga}(1,1/\lambda) に従うとする。その和は ∑Xi∼Ga(n,1/λ)\sum X_i\sim\mathrm{Ga}(n,1/\lambda) である。定数倍の性質と合わせて

2λ∑i=1nXi∼Ga(n,2)(3.18)2\lambda\sum_{i=1}^nX_i\sim\mathrm{Ga}(n,2)\tag{3.18}

を得る。次の小節で見るように、Ga(n,2)\mathrm{Ga}(n,2) は自由度 2n2n のカイ二乗分布である。(3.18) は指数分布の母数の信頼区間(第8章)と検定(第7章)の枢軸量になる。

図 3.2 に β=1\beta=1 のガンマ密度を示す。形は α\alpha で2通りに分かれる。

  • α≤1\alpha\le1 では x=0x=0 で密度が最大になる。α<1\alpha<1 なら密度は発散する。
  • α>1\alpha>1 では最頻値 (α−1)β(\alpha-1)\beta を持つ山形になる。
図

図 3.2 ガンマ分布 Ga(α,1)\mathrm{Ga}(\alpha,1) の密度。実線は α=1\alpha=1、破線は α=2\alpha=2 である。点線は α=4\alpha=4 である。平均 α\alpha と分散 α\alpha がともに増え、山が右へ移りながら広がる(座標は verify_ch03.py で再計算できる)。

ガンマ分布と指数分布の和の関係は、ポアソン分布との間の次の関係に言い換えることができる。

定理 3.15(待ち時間と個数の双対性 ★★)

nn を正の整数、λ>0\lambda>0 とする。T∼Ga(n,1/λ)T\sim\mathrm{Ga}(n,1/\lambda) とし、Nt∼Po(λt)N_t\sim\mathrm{Po}(\lambda t) とする。すべての t>0t>0 について

P(T≤t)=P(Nt≥n)=1−∑k=0n−1e−λt(λt)kk!.(3.19)P(T\le t)=P(N_t\ge n)=1-\sum_{k=0}^{n-1}e^{-\lambda t}\frac{(\lambda t)^k}{k!}.\tag{3.19}

証明

右辺を tt の関数 R(t)R(t) とみて微分する。和の各項の微分は次のとおりである。

k≥1 の項:ddt{e−λt(λt)kk!}=λe−λt(λt)k−1(k−1)!−λe−λt(λt)kk!,k=0 の項:ddte−λt=−λe−λt.\begin{aligned}&k\ge1\text{ の項:}&&\frac{d}{dt}\Bigl\{e^{-\lambda t}\frac{(\lambda t)^k}{k!}\Bigr\}=\lambda e^{-\lambda t}\frac{(\lambda t)^{k-1}}{(k-1)!}-\lambda e^{-\lambda t}\frac{(\lambda t)^k}{k!},\\ &k=0\text{ の項:}&&\frac{d}{dt}e^{-\lambda t}=-\lambda e^{-\lambda t}.\end{aligned}

∑k=0n−1\sum_{k=0}^{n-1} の微分では隣どうしが打ち消し合い、−λe−λt(λt)n−1/(n−1)!-\lambda e^{-\lambda t}(\lambda t)^{n-1}/(n-1)! だけが残る。よって

R′(t)=λe−λt(λt)n−1(n−1)!=tn−1e−λtΓ(n)(1/λ)n,R'(t)=\lambda e^{-\lambda t}\frac{(\lambda t)^{n-1}}{(n-1)!}=\frac{t^{n-1}e^{-\lambda t}}{\Gamma(n)(1/\lambda)^n},

これは Ga(n,1/λ)\mathrm{Ga}(n,1/\lambda) の密度である。R(0)=1−1=0=P(T≤0)R(0)=1-1=0=P(T\le0) なので、両辺は t=0t=0 で等しく導関数も等しい。したがってすべての t>0t>0 で等しい。

この関係には次の解釈がある。事象が単位時間あたり平均 λ\lambda 回、互いに独立に起こるとする(ポアソン過程、第12章)。

  • 事象の間隔は独立に Ex(λ)\mathrm{Ex}(\lambda) に従う。nn 番目の事象の時刻を TT とする。TT は間隔を nn 個足したものである。よって T∼Ga(n,1/λ)T\sim\mathrm{Ga}(n,1/\lambda)。
  • 時刻 tt までの事象の個数を NtN_t とする。NtN_t は Po(λt)\mathrm{Po}(\lambda t) に従う。

次の2つは同じ事象なので、確率が一致する。

  • nn 番目の事象が時刻 tt までに起こる。
  • 時刻 tt までに nn 個以上起こる。

例題 3.3 待ち時間の確率を2通りに計算する ★★

オリジナルある窓口に客が単位時間(1時間)あたり平均 3 人のポアソン過程で到着する。

  1. 2人目の客の到着時刻 TT の分布を答え、その平均を分で求めよ。
  2. TT が30分以内である確率を、TT の密度の積分で求めよ。
  3. 同じ確率を定理 3.15 を使ってポアソン分布で求め、(2) と一致することを確かめよ。
解答

(1) 到着間隔 X1,X2X_1,X_2 は独立に Ex(3)=Ga(1,1/3)\mathrm{Ex}(3)=\mathrm{Ga}(1,1/3) に従う。T=X1+X2T=X_1+X_2 なので、再生性から T∼Ga(2,1/3)T\sim\mathrm{Ga}(2,1/3)。平均は αβ=2/3\alpha\beta=2/3 時間 =40=40 分である。

(2) 密度は f(t)=t e−3t/(Γ(2)(1/3)2)=9t e−3tf(t)=t\,e^{-3t}/(\Gamma(2)(1/3)^2)=9t\,e^{-3t}。部分積分で

P(T≤12)=∫01/29t e−3tdt=9[−t3e−3t−19e−3t]01/2=9(−16e−1.5−19e−1.5+19)=1−2.5 e−1.5.P(T\le\tfrac12)=\int_0^{1/2}9t\,e^{-3t}dt=9\Bigl[-\frac{t}{3}e^{-3t}-\frac{1}{9}e^{-3t}\Bigr]_0^{1/2} =9\Bigl(-\frac16e^{-1.5}-\frac19e^{-1.5}+\frac19\Bigr)=1-2.5\,e^{-1.5}.

(3) 30分間の到着数は N∼Po(3×12)=Po(1.5)N\sim\mathrm{Po}(3\times\frac12)=\mathrm{Po}(1.5)。(3.19) で n=2n=2 として

P(T≤12)=P(N≥2)=1−e−1.5(1+1.5)=1−2.5 e−1.5=0.4422.P(T\le\tfrac12)=P(N\ge2)=1-e^{-1.5}(1+1.5)=1-2.5\,e^{-1.5}=0.4422 .

(2) と同じ式になる。部分積分を繰り返す (2) の計算は nn が大きいと長くなるが、(3) の側は有限和を書くだけで済む。

カイ二乗分布

定義 3.16(カイ二乗分布)

nn を正の整数とする。Ga(n/2, 2)\mathrm{Ga}(n/2,\,2) を自由度 nn のカイ二乗分布と呼ぶ。これを χn2\chi^2_n と書く。密度は

f(x)=xn/2−1e−x/22n/2 Γ(n/2)(x>0)(3.20)f(x)=\frac{x^{n/2-1}e^{-x/2}}{2^{n/2}\,\Gamma(n/2)}\qquad(x>0)\tag{3.20}

で、上側 100α%100\alpha\% 点を χn2(α)\chi^2_n(\alpha) と書く。

定理 3.14 から、χn2\chi^2_n について次が成り立つ。

平均(n/2)⋅2=n,分散(n/2)⋅4=2n,積率母関数(1−2t)−n/2(t<1/2).\begin{aligned}&\text{平均}&&(n/2)\cdot2=n,\\ &\text{分散}&&(n/2)\cdot4=2n,\\ &\text{積率母関数}&&(1-2t)^{-n/2}\quad(t<1/2).\end{aligned}

また再生性により、独立なカイ二乗変数の和は、自由度を足したカイ二乗分布に従う。式で書けば χm2+χn2∼χm+n2\chi^2_m+\chi^2_n\sim\chi^2_{m+n} である。n=2n=2 では Ga(1,2)=Ex(1/2)\mathrm{Ga}(1,2)=\mathrm{Ex}(1/2) である。カイ二乗分布が統計に現れる理由は、次の命題にある。

命題 3.17(標準正規の2乗 ★★★)

Z∼N(0,1)Z\sim\mathrm{N}(0,1) なら Z2∼χ12Z^2\sim\chi^2_1。したがって、Z1,…,ZnZ_1,\dots,Z_n が独立に N(0,1)\mathrm{N}(0,1) に従うなら

∑i=1nZi2∼χn2.\sum_{i=1}^nZ_i^2\sim\chi^2_n .

証明

x>0x>0 について、Z2≤x  ⟺  −x≤Z≤xZ^2\le x\iff-\sqrt x\le Z\le\sqrt x である。よって

P(Z2≤x)=Φ(x)−Φ(−x)=2Φ(x)−1.P(Z^2\le x)=\Phi(\sqrt x)-\Phi(-\sqrt x)=2\Phi(\sqrt x)-1 .

xx で微分すると、合成関数の微分で (x)′=1/(2x)(\sqrt x)'=1/(2\sqrt x) だから

fZ2(x)=2ϕ(x)⋅12x=12πx−1/2e−x/2.f_{Z^2}(x)=2\phi(\sqrt x)\cdot\frac{1}{2\sqrt x}=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}x^{-1/2}e^{-x/2}.

Γ(1/2)=π\Gamma(1/2)=\sqrt\pi から 21/2Γ(1/2)=2π2^{1/2}\Gamma(1/2)=\sqrt{2\pi} である。よってこれは (3.20) で n=1n=1 としたものに等しい。

後半を示す。独立な Zi2Z_i^2 はそれぞれ Ga(1/2,2)\mathrm{Ga}(1/2,2) に従う。定理 3.14 (3) の再生性を n−1n-1 回使えばよい。

Z2≤xZ^2\le x の事象を2つの裾に分けて書くところが、単調でない変換の分布を求めるときの定石である(第2章 §2.5 の変数変換の公式は単調な変換を前提にしているので、そのままは使えない)。命題から χ12(α)=zα/22\chi^2_1(\alpha)=z_{\alpha/2}^2 で、たとえば χ12(0.05)=1.9602=3.841\chi^2_1(0.05)=1.960^2=3.841 である。

例題 3.4 指数分布の和とカイ二乗分布 ★★★

オリジナル

  1. Z1,…,ZnZ_1,\dots,Z_n が独立に N(0,1)\mathrm{N}(0,1) に従うとする。W=∑Zi2W=\sum Z_i^2 とおく。Z12Z_1^2 の積率母関数の計算から、WW の積率母関数を直接求めよ。それを使って W∼χn2W\sim\chi^2_n を確かめよ。
  2. X1,…,XnX_1,\dots,X_n が独立に Ex(λ)\mathrm{Ex}(\lambda) に従うとする。2λ∑Xi∼χ2n22\lambda\sum X_i\sim\chi^2_{2n} を積率母関数で示せ。
  3. χ22\chi^2_2 の上側 5%5\% 点を閉じた形で求めよ。
解答

(1) t<1/2t<1/2 で

MZ12(t)=∫−∞∞12πetz2e−z2/2dz=∫−∞∞12πe−(1−2t)z2/2dz=(1−2t)−1/2.M_{Z_1^2}(t)=\int_{-\infty}^\infty\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{tz^2}e^{-z^2/2}dz=\int_{-\infty}^\infty\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-(1-2t)z^2/2}dz=(1-2t)^{-1/2}.

最後は u=1−2t zu=\sqrt{1-2t}\,z と置換し、標準正規密度の積分が 1 であることを使った。独立性から MW(t)=(1−2t)−n/2M_W(t)=(1-2t)^{-n/2} である。これは Ga(n/2,2)=χn2\mathrm{Ga}(n/2,2)=\chi^2_n の積率母関数に等しい。定理 3.14 (2) で α=n/2\alpha=n/2、β=2\beta=2 とすればよい。

(2) Y=2λ∑XiY=2\lambda\sum X_i とおく。s<λs<\lambda で MXi(s)=λ/(λ−s)M_{X_i}(s)=\lambda/(\lambda-s) である。よって t<1/2t<1/2 で

MY(t)=E[e2λt∑Xi]=∏i=1nMXi(2λt)=(λλ−2λt)n=(1−2t)−n=(1−2t)−2n/2.M_Y(t)=E\bigl[e^{2\lambda t\sum X_i}\bigr]=\prod_{i=1}^nM_{X_i}(2\lambda t)=\Bigl(\frac{\lambda}{\lambda-2\lambda t}\Bigr)^n=(1-2t)^{-n}=(1-2t)^{-2n/2}.

これは χ2n2\chi^2_{2n} の積率母関数なので Y∼χ2n2Y\sim\chi^2_{2n}。λ\lambda が分布から消えることが、枢軸量として使える理由である。

(3) χ22=Ex(1/2)\chi^2_2=\mathrm{Ex}(1/2) なので P(W>x)=e−x/2P(W>x)=e^{-x/2}。e−x/2=0.05e^{-x/2}=0.05 を解いて χ22(0.05)=−2log⁡0.05=2log⁡20=5.991\chi^2_2(0.05)=-2\log0.05=2\log20=5.991。

ベータ分布

ベータ関数 B(a,b)=∫01xa−1(1−x)b−1dxB(a,b)=\int_0^1x^{a-1}(1-x)^{b-1}dx(a,b>0a,b>0)を使い、密度が

f(x)=xa−1(1−x)b−1B(a,b)(0<x<1)(3.21)f(x)=\frac{x^{a-1}(1-x)^{b-1}}{B(a,b)}\qquad(0<x<1)\tag{3.21}

の分布をベータ分布と呼び、Beta(a,b)\mathrm{Beta}(a,b) と書く。Beta(1,1)=U(0,1)\mathrm{Beta}(1,1)=\mathrm{U}(0,1) である。

X∼Beta(a,b)X\sim\mathrm{Beta}(a,b) なら1−X∼Beta(b,a)1-X\sim\mathrm{Beta}(b,a) である。x↦1−xx\mapsto1-x と置換すれば、密度の形が入れ替わるからである。[0,1][0,1] に値をとる量、たとえば比率や確率そのもののモデルに使う。ベータ分布とガンマ分布は次の定理で結び付く。

定理 3.18(ガンマ変数の和と比 ★★★)

X∼Ga(a,β)X\sim\mathrm{Ga}(a,\beta) と Y∼Ga(b,β)Y\sim\mathrm{Ga}(b,\beta) が独立であるとする。U=X+YU=X+Y と V=X/(X+Y)V=X/(X+Y) をつくると、次が成り立つ。

  1. UU と VV は独立である。
  2. U∼Ga(a+b,β)U\sim\mathrm{Ga}(a+b,\beta)、V∼Beta(a,b)V\sim\mathrm{Beta}(a,b) である。

さらに

B(a,b)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b).(3.22)B(a,b)=\frac{\Gamma(a)\Gamma(b)}{\Gamma(a+b)}.\tag{3.22}

証明

次の2変数の変換を考える。

(x,y)↦(u,v)=(x+y, xx+y)(x,y)\mapsto(u,v)=\Bigl(x+y,\ \frac{x}{x+y}\Bigr)

これは (0,∞)2(0,\infty)^2 から (0,∞)×(0,1)(0,\infty)\times(0,1) への1対1の写像である。逆写像は x=uvx=uv、y=u(1−v)y=u(1-v)。第4章 §4.3 の変数変換の公式(同時密度に逆変換のヤコビアンの絶対値を掛ける)を使う。ヤコビアンは

∂(x,y)∂(u,v)=det⁡(vu1−v−u)=−uv−u(1−v)=−u,\frac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}=\det\begin{pmatrix}v&u\\1-v&-u\end{pmatrix}=-uv-u(1-v)=-u,

絶対値は uu。独立性から (X,Y)(X,Y) の同時密度は2つのガンマ密度の積なので、(U,V)(U,V) の同時密度は

g(u,v)=(uv)a−1e−uv/βΓ(a)βa⋅{u(1−v)}b−1e−u(1−v)/βΓ(b)βb⋅u=ua+b−1e−u/βΓ(a)Γ(b)βa+b⋅va−1(1−v)b−1.g(u,v)=\frac{(uv)^{a-1}e^{-uv/\beta}}{\Gamma(a)\beta^a}\cdot\frac{\{u(1-v)\}^{b-1}e^{-u(1-v)/\beta}}{\Gamma(b)\beta^b}\cdot u =\frac{u^{a+b-1}e^{-u/\beta}}{\Gamma(a)\Gamma(b)\beta^{a+b}}\cdot v^{a-1}(1-v)^{b-1}.

これを

g(u,v)=ua+b−1e−u/βΓ(a+b)βa+b⏟Ga(a+b,β) の密度⋅Γ(a+b)Γ(a)Γ(b)va−1(1−v)b−1⏟h(v)g(u,v)=\underbrace{\frac{u^{a+b-1}e^{-u/\beta}}{\Gamma(a+b)\beta^{a+b}}}_{\mathrm{Ga}(a+b,\beta)\text{ の密度}}\cdot\underbrace{\frac{\Gamma(a+b)}{\Gamma(a)\Gamma(b)}v^{a-1}(1-v)^{b-1}}_{h(v)}

と書き直す。同時密度が uu だけの関数と vv だけの関数の積になったので、2つの変数は独立である。UU の周辺密度は第1因子に比例する。

gg を全域で積分すると 1 になる。第1因子の uu についての積分も 1 なので、∫01h(v)dv=1\int_0^1h(v)dv=1。すなわち

Γ(a+b)B(a,b)Γ(a)Γ(b)=1\frac{\Gamma(a+b)B(a,b)}{\Gamma(a)\Gamma(b)}=1

で、(3.22) が従う。hh は Beta(a,b)\mathrm{Beta}(a,b) の密度に一致する。

(3.22) から、V∼Beta(a,b)V\sim\mathrm{Beta}(a,b) の積率は

E[Vk]=B(a+k,b)B(a,b)=Γ(a+k)Γ(a+b)Γ(a)Γ(a+b+k),E[V^k]=\frac{B(a+k,b)}{B(a,b)}=\frac{\Gamma(a+k)\Gamma(a+b)}{\Gamma(a)\Gamma(a+b+k)},

k=1,2k=1,2 として

E[V]=aa+b,E[V2]=a(a+1)(a+b)(a+b+1),V[V]=ab(a+b)2(a+b+1)(3.23)E[V]=\frac{a}{a+b},\qquad E[V^2]=\frac{a(a+1)}{(a+b)(a+b+1)},\qquad V[V]=\frac{ab}{(a+b)^2(a+b+1)}\tag{3.23}

を得る。分散は a(a+1)(a+b)(a+b+1)−a2(a+b)2=a{(a+1)(a+b)−a(a+b+1)}(a+b)2(a+b+1)=ab(a+b)2(a+b+1)\dfrac{a(a+1)}{(a+b)(a+b+1)}-\dfrac{a^2}{(a+b)^2}=\dfrac{a\{(a+1)(a+b)-a(a+b+1)\}}{(a+b)^2(a+b+1)}=\dfrac{ab}{(a+b)^2(a+b+1)} と計算する。

定理 3.18 は第5章で2つの場面に使う。

  1. FF 分布の導出。独立な2つのカイ二乗変数の比は、この定理の比 V/(1−V)V/(1-V) の定数倍になる。
  2. 一様分布の順序統計量。U(0,1)\mathrm{U}(0,1) から大きさ nn の標本をとる。その小さい方から kk 番目は Beta(k,n−k+1)\mathrm{Beta}(k,n-k+1) に従う。

そのほかの連続分布

1級の問題文に現れることのある分布を4つ挙げ、要点だけを導く。

対数正規分布  Y∼N(μ,σ2)Y\sim\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) のとき、X=eYX=e^Y の分布を対数正規分布と呼ぶ。これを LN(μ,σ2)\mathrm{LN}(\mu,\sigma^2) と書く。x=eyx=e^y は単調なので変数変換の公式から密度は

f(x)=12π σxexp⁡{−(log⁡x−μ)22σ2}(x>0).f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}\,\sigma x}\exp\Bigl\{-\frac{(\log x-\mu)^2}{2\sigma^2}\Bigr\}\qquad(x>0).

積率は正規分布の積率母関数から求まる。

E[Xk]=E[ekY]=MY(k)=exp⁡(kμ+k2σ2/2),E[X]=eμ+σ2/2,V[X]=e2μ+2σ2−e2μ+σ2=e2μ+σ2(eσ2−1).\begin{aligned}E[X^k]&=E[e^{kY}]=M_Y(k)=\exp(k\mu+k^2\sigma^2/2),\\ E[X]&=e^{\mu+\sigma^2/2},\\ V[X]&=e^{2\mu+2\sigma^2}-e^{2\mu+\sigma^2}=e^{2\mu+\sigma^2}(e^{\sigma^2}-1).\end{aligned}

ただし積率母関数 E[etX]E[e^{tX}] は、正の tt に対して発散する。eteye^{te^y} が、正規密度の減衰 e−y2/2σ2e^{-y^2/2\sigma^2} より速く増えるからである。

すべての積率が存在しても、積率母関数は存在しない。独立な対数正規変数の積は、対数をとれば正規変数の和なので、再び対数正規分布に従う。中央値は eμe^\mu で、平均 eμ+σ2/2e^{\mu+\sigma^2/2} より小さい(右に長い裾を持つ)。

コーシー分布  密度 f(x)=1/{π(1+x2)}f(x)=1/\{\pi(1+x^2)\}(x∈Rx\in\mathbb{R})の分布を標準コーシー分布と呼ぶ。∫0Rxf(x)dx=log⁡(1+R2)/(2π)→∞\int_0^R x f(x)dx=\log(1+R^2)/(2\pi)\to\infty なので E∣X∣=∞E\lvert X\rvert =\infty で、平均が存在しない。独立な2つの N(0,1)\mathrm{N}(0,1) の比がこの分布に従い(第4章の変数変換の例)、自由度 1 の tt 分布と一致する。大数の法則が成り立たない分布の代表例として使われる。

ワイブル分布  m,η>0m,\eta>0 に対し、次で定まる分布をワイブル分布と呼ぶ。

P(X>x)=exp⁡{−(x/η)m}(x>0)P(X>x)=\exp\{-(x/\eta)^m\}\qquad(x>0)

m=1m=1 なら Ex(1/η)\mathrm{Ex}(1/\eta) である。一般には

P(Xm>y)=P(X>y1/m)=e−y/ηmP(X^m>y)=P(X>y^{1/m})=e^{-y/\eta^m}

から Xm∼Ex(η−m)X^m\sim\mathrm{Ex}(\eta^{-m})。故障率(ハザード)は

f(x)P(X>x)=mxm−1ηm\frac{f(x)}{P(X>x)}=\frac{m x^{m-1}}{\eta^m}

である。これは m>1m>1 で増加し、m<1m<1 で減少する。そこで摩耗や初期故障のある寿命のモデルに使う。

ラプラス分布(両側指数分布)  密度 f(x)=e−∣x−μ∣/b/(2b)f(x)=e^{-\lvert x-\mu\rvert /b}/(2b) の分布。μ\mu を中心に左右対称である。X−μX-\mu の絶対値は Ex(1/b)\mathrm{Ex}(1/b) に従うので

V[X]=E[(X−μ)2]=E∣X−μ∣2=2b2.V[X]=E[(X-\mu)^2]=E\lvert X-\mu\rvert ^2=2b^2 .

位置母数 μ\mu の最尤推定量が標本中央値になる分布として、第6章の例に現れる。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.2-1 標準コーシー分布について E∣X∣=∞E\lvert X\rvert =\infty を示せ。
  2. 3.2-2 X1∼Ex(λ1)X_1\sim\mathrm{Ex}(\lambda_1) と X2∼Ex(λ2)X_2\sim\mathrm{Ex}(\lambda_2) が独立であるとする。次の2つを示せ。

min⁡(X1,X2)∼Ex(λ1+λ2),P(X1<X2)=λ1λ1+λ2.\min(X_1,X_2)\sim\mathrm{Ex}(\lambda_1+\lambda_2),\qquad P(X_1<X_2)=\frac{\lambda_1}{\lambda_1+\lambda_2}.

また λ1=1\lambda_1=1、λ2=3\lambda_2=3 とする。E[min⁡(X1,X2)]E[\min(X_1,X_2)] と P(X1<X2)P(X_1<X_2) を求めよ。3. 3.2-3 X∼Ga(α,β)X\sim\mathrm{Ga}(\alpha,\beta) とし、α>1\alpha>1 とする。E[1/X]E[1/X] を求めよ。また α=3\alpha=3、β=2\beta=2 とする。E[1/X]E[1/X] と E[X2]E[X^2] を求めよ。4. 3.2-4 U1,…,UnU_1,\dots,U_n が独立に U(0,1)\mathrm{U}(0,1) に従うとする。−2∑i=1nlog⁡Ui∼χ2n2-2\sum_{i=1}^n\log U_i\sim\chi^2_{2n} を示せ。それを使って P(U1U2≤e−3)P(U_1U_2\le e^{-3}) を求めよ。5. 3.2-5 X∼LN(0,1)X\sim\mathrm{LN}(0,1) の平均・分散・中央値を求めよ。

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