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発展的事項

2026年10月15日16分で読めますAI生成教科書『資格試験』第3章 代表的な確率分布
目次
  1. 指数型分布族
  2. 混合分布と階層モデル
  3. 無限分解可能性
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

数理統計 第3章 §3.3 ★★ 指数型分布族の積率の公式、混合分布の平均と分散、無限分解可能性。第6・7章の十分統計量と最強力検定の準備になる

指数型分布族

ここまでの分布の多くは、母数とデータが指数関数の中で「母数の関数 × データの関数」の積の形でしか結び付かないという共通の構造を持つ。

定義 3.19(指数型分布族)

確率関数または密度が、次の関数を使って (3.24) の形に書けるとする。

  • 母数に依存しない関数:h(x)≥0h(x)\ge0 と、T1(x),…,Tk(x)T_1(x),\dots,T_k(x)。
  • 母数 θ\theta の関数:η1(θ),…,ηk(θ)\eta_1(\theta),\dots,\eta_k(\theta)。
  • 母数 θ\theta の関数:A(θ)A(\theta)。

f(x;θ)=h(x)exp⁡{∑j=1kηj(θ)Tj(x)−A(θ)}(3.24)f(x;\theta)=h(x)\exp\Bigl\{\sum_{j=1}^k\eta_j(\theta)T_j(x)-A(\theta)\Bigr\}\tag{3.24}

このとき、この分布の族を指数型分布族と呼ぶ。η=(η1,…,ηk)\bm\eta=(\eta_1,\dots,\eta_k) を自然母数と呼ぶ。η\bm\eta を母数とみて次のように書いた形を、正準形と呼ぶ。

f(x;η)=h(x)exp⁡{η⊤T(x)−κ(η)},κ(η)=log⁡∫h(x)eη⊤T(x)dx.f(x;\bm\eta)=h(x)\exp\{\bm\eta^\top\bm T(x)-\kappa(\bm\eta)\},\qquad \kappa(\bm\eta)=\log\int h(x)e^{\bm\eta^\top\bm T(x)}dx .

κ\kappa は規格化のための関数である(離散なら積分を和に読み替える)。

定義から、分布の台 {x:f(x;θ)>0}={x:h(x)>0}\{x: f(x;\theta)>0\}=\{x: h(x)>0\} は θ\theta によらない。したがって U(0,θ)\mathrm{U}(0,\theta) のように台が母数とともに動く分布は指数型分布族に入らない。主な分布の正準形は次のとおりである。

  • Bin(n,p)\mathrm{Bin}(n,p)(nn は既知):

(nx)pxqn−x=(nx)exp⁡{xlog⁡(p/q)+nlog⁡q}\binom nx p^xq^{n-x}=\binom nx\exp\{x\log(p/q)+n\log q\}

なので、次のようにとる。

h(x)=(nx),T(x)=x,η=log⁡(p/q),κ(η)=nlog⁡(1+eη).h(x)=\binom nx,\quad T(x)=x,\quad \eta=\log(p/q),\quad \kappa(\eta)=n\log(1+e^\eta).

最後の式は、q=1/(1+eη)q=1/(1+e^\eta) から −nlog⁡q=nlog⁡(1+eη)-n\log q=n\log(1+e^\eta) となることによる。

  • Po(λ)\mathrm{Po}(\lambda):e−λλx/x!=1x!exp⁡{xlog⁡λ−λ}e^{-\lambda}\lambda^x/x!=\frac{1}{x!}\exp\{x\log\lambda-\lambda\} である。よって

T(x)=x,η=log⁡λ,κ(η)=eη.T(x)=x,\quad \eta=\log\lambda,\quad \kappa(\eta)=e^\eta .

  • N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2)(両方未知):指数の中を展開すると

−x22σ2+μxσ2−μ22σ2−12log⁡(2πσ2)-\frac{x^2}{2\sigma^2}+\frac{\mu x}{\sigma^2}-\frac{\mu^2}{2\sigma^2}-\frac12\log(2\pi\sigma^2)

である。よって T(x)=(x,x2)\bm T(x)=(x,x^2)、η=(μ/σ2, −1/(2σ2))\bm\eta=(\mu/\sigma^2,\,-1/(2\sigma^2))。

  • Ga(α,β)\mathrm{Ga}(\alpha,\beta)(両方未知):例題 3.5 で扱う。

定理 3.20(十分統計量の平均と分散 ★★)

正準形の指数型分布族を考える。κ\kappa が有限になる範囲を自然母数空間と呼び、η\bm\eta はその内点にあるとする。このとき T=T(X)\bm T=\bm T(X) の積率母関数は、原点の近くの s\bm s について

E[es⊤T]=exp⁡{κ(η+s)−κ(η)}E[e^{\bm s^\top\bm T}]=\exp\{\kappa(\bm\eta+\bm s)-\kappa(\bm\eta)\}

となる。また

E[Tj]=∂κ∂ηj(η),Cov(Ti,Tj)=∂2κ∂ηi∂ηj(η).(3.25)E[T_j]=\frac{\partial\kappa}{\partial\eta_j}(\bm\eta),\qquad \mathrm{Cov}(T_i,T_j)=\frac{\partial^2\kappa}{\partial\eta_i\partial\eta_j}(\bm\eta).\tag{3.25}

証明

κ\kappa の定義 eκ(η)=∫h(x)eη⊤T(x)dxe^{\kappa(\bm\eta)}=\int h(x)e^{\bm\eta^\top\bm T(x)}dx を使うと

E[es⊤T]=∫h(x)e(η+s)⊤T(x)−κ(η)dx=eκ(η+s)−κ(η).E[e^{\bm s^\top\bm T}]=\int h(x)e^{(\bm\eta+\bm s)^\top\bm T(x)-\kappa(\bm\eta)}dx=e^{\kappa(\bm\eta+\bm s)-\kappa(\bm\eta)}.

η\bm\eta は内点なので、s\bm s が小さければ右辺は有限である。したがって T\bm T のキュムラント母関数(積率母関数の対数)は

K(s)=κ(η+s)−κ(η)K(\bm s)=\kappa(\bm\eta+\bm s)-\kappa(\bm\eta)

である。その1階偏微分の s=0\bm s=\bm0 での値が平均、2階偏微分の値が共分散である。

1変数の場合で確かめる。K=log⁡MK=\log M から

K′=M′M,K′′=M′′M−(M′M)2.K'=\frac{M'}{M},\qquad K''=\frac{M''}{M}-\Bigl(\frac{M'}{M}\Bigr)^2 .

s=0s=0 において M=1M=1 なので、次のようになる。

K′(0)=E[T],K′′(0)=E[T2]−E[T]2.K'(0)=E[T],\qquad K''(0)=E[T^2]-E[T]^2 .

ポアソン分布なら κ(η)=eη\kappa(\eta)=e^\eta なので、E[X]=V[X]=eη=λE[X]=V[X]=e^\eta=\lambda。二項分布なら

κ′(η)=neη1+eη=np,κ′′(η)=neη(1+eη)2=npq\kappa'(\eta)=\frac{ne^\eta}{1+e^\eta}=np,\qquad \kappa''(\eta)=\frac{ne^\eta}{(1+e^\eta)^2}=npq

で、命題 3.2 と一致する。母関数を毎回計算しなくても、正準形にすれば κ\kappa の微分だけで平均と分散が出る。

この構造は後の章で次のように使う。

  • 第6章:標本 X1,…,XnX_1,\dots,X_n の同時密度は

∏h(xi)exp⁡{η⊤∑iT(xi)−nκ(η)}\prod h(x_i)\exp\Bigl\{\bm\eta^\top\sum_i\bm T(x_i)-n\kappa(\bm\eta)\Bigr\}

となる。ここから ∑iT(Xi)\sum_i\bm T(X_i) が十分統計量になる。尤度方程式は

1n∑iT(Xi)=∇κ(η)\frac1n\sum_i\bm T(X_i)=\nabla\kappa(\bm\eta)

すなわち「十分統計量の標本平均=その期待値」になる。Fisher 情報量は κ\kappa の2階微分である。

  • 第7章:η\eta が θ\theta の単調関数である1母数の族を考える。そこでは単調尤度比が成り立ち、片側検定の一様最強力検定が作られる。

例題 3.5 ガンマ分布の正準形と E[log⁡X]E[\log X] ★★

オリジナルX∼Ga(α,β)X\sim\mathrm{Ga}(\alpha,\beta) とする。α,β\alpha,\beta はともに未知とする。ディガンマ関数を ψ(α)=Γ′(α)/Γ(α)\psi(\alpha)=\Gamma'(\alpha)/\Gamma(\alpha) と書く。

  1. 密度を次の正準形に書け。

h(x)exp⁡{η1T1(x)+η2T2(x)−κ(η1,η2)}h(x)\exp\{\eta_1T_1(x)+\eta_2T_2(x)-\kappa(\eta_1,\eta_2)\}

また、そのときの十分統計量 T\bm T と自然母数 η\bm\eta を求めよ。関数 κ\kappa も求めよ。2. 定理 3.20 を使って E[X]E[X] と E[log⁡X]E[\log X] を求めよ。3. α=2\alpha=2、β=1\beta=1 とする。E[log⁡X]E[\log X] の値を、ψ(2)=1−γ\psi(2)=1-\gamma を使って求めよ。ここで γ=0.5772\gamma=0.5772 は Euler の定数である。

解答

(1) 密度を書き直すと

xα−1e−x/βΓ(α)βα=1xexp⁡{αlog⁡x−x/β−log⁡Γ(α)−αlog⁡β}\frac{x^{\alpha-1}e^{-x/\beta}}{\Gamma(\alpha)\beta^\alpha}=\frac1x\exp\{\alpha\log x-x/\beta-\log\Gamma(\alpha)-\alpha\log\beta\}

なので、次のようにとる。

h(x)=1/x,T(x)=(log⁡x, x),η=(α, −1/β).h(x)=1/x,\qquad \bm T(x)=(\log x,\ x),\qquad \bm\eta=(\alpha,\ -1/\beta).

β=−1/η2\beta=-1/\eta_2 を代入して

κ(η1,η2)=log⁡Γ(η1)+η1log⁡β=log⁡Γ(η1)−η1log⁡(−η2)(η1>0, η2<0).\kappa(\eta_1,\eta_2)=\log\Gamma(\eta_1)+\eta_1\log\beta=\log\Gamma(\eta_1)-\eta_1\log(-\eta_2)\qquad(\eta_1>0,\ \eta_2<0).

(2) κ=log⁡Γ(η1)−η1log⁡(−η2)\kappa=\log\Gamma(\eta_1)-\eta_1\log(-\eta_2) を微分する。∂∂η2log⁡(−η2)=1η2\dfrac{\partial}{\partial\eta_2}\log(-\eta_2)=\dfrac{1}{\eta_2} に注意すると

∂κ∂η2=−η1η2=αβ,よって E[X]=αβ(定理 3.14 と一致),∂κ∂η1=ψ(η1)−log⁡(−η2)=ψ(α)+log⁡β.\begin{aligned}\frac{\partial\kappa}{\partial\eta_2}&=-\frac{\eta_1}{\eta_2}=\alpha\beta, &&\text{よって }E[X]=\alpha\beta\text{(定理 3.14 と一致)},\\ \frac{\partial\kappa}{\partial\eta_1}&=\psi(\eta_1)-\log(-\eta_2)=\psi(\alpha)+\log\beta .\end{aligned}

したがって

E[log⁡X]=ψ(α)+log⁡β.E[\log X]=\psi(\alpha)+\log\beta .

さらに2階微分から、次も得る。

V[log⁡X]=∂2κ∂η12=ψ′(α),Cov(log⁡X,X)=∂2κ∂η1∂η2=−1η2=β.V[\log X]=\frac{\partial^2\kappa}{\partial\eta_1^2}=\psi'(\alpha),\qquad \mathrm{Cov}(\log X,X)=\frac{\partial^2\kappa}{\partial\eta_1\partial\eta_2}=-\frac1{\eta_2}=\beta .

(3) E[log⁡X]=ψ(2)+log⁡1=1−0.5772=0.4228E[\log X]=\psi(2)+\log1=1-0.5772=0.4228。

(2) の結果から、ガンマ分布の最尤推定の尤度方程式は次のようになる。

1n∑log⁡Xi=ψ(α)+log⁡β,Xˉ=αβ.\frac1n\sum\log X_i=\psi(\alpha)+\log\beta,\qquad \bar X=\alpha\beta .

これが α\alpha について閉じた形で解けない理由である(第11章の Newton 法の例)。

混合分布と階層モデル

母数そのものが確率変数であるようなモデルを考える。たとえば次の2段で書いたモデルである。

  1. Λ\Lambda がある分布に従う。
  2. Λ\Lambda の値を与えたとき、XX がその値を母数とするポアソン分布に従う。

このようなモデルを階層モデルと呼ぶ。そのときの XX の周辺分布を混合分布と呼ぶ。

混合分布の平均と分散は、次の2つの公式で求める。条件付き期待値は第4章 §4.2 で定義する。ここでは E[X∣Y]E[X\mid Y] が YY の関数である確率変数であることだけを使う。

E[X]=E[E[X∣Y]],V[X]=E[V[X∣Y]]+V[E[X∣Y]].(3.26)E[X]=E\bigl[E[X\mid Y]\bigr],\qquad V[X]=E\bigl[V[X\mid Y]\bigr]+V\bigl[E[X\mid Y]\bigr].\tag{3.26}

後者は次のように示す。V[X∣Y]=E[X2∣Y]−E[X∣Y]2V[X\mid Y]=E[X^2\mid Y]-E[X\mid Y]^2 の期待値をとったものと、V[E[X∣Y]]V[E[X\mid Y]] の定義を並べる。

E[V[X∣Y]]=E[X2]−E[E[X∣Y]2],V[E[X∣Y]]=E[E[X∣Y]2]−E[X]2.\begin{aligned}E\bigl[V[X\mid Y]\bigr]&=E[X^2]-E\bigl[E[X\mid Y]^2\bigr],\\ V\bigl[E[X\mid Y]\bigr]&=E\bigl[E[X\mid Y]^2\bigr]-E[X]^2 .\end{aligned}

2式を足せば E[X2]−E[X]2=V[X]E[X^2]-E[X]^2=V[X] になる。

条件付きの揺らぎの平均と、条件付き平均の揺らぎの和が全体の分散になる。母数が揺らぐ分だけ、混合分布の分散は条件付き分布の分散より大きくなる。

例題 3.6 ポアソン・ガンマ混合と負の二項分布 ★★

オリジナルΛ∼Ga(α,β)\Lambda\sim\mathrm{Ga}(\alpha,\beta) とする。Λ=λ\Lambda=\lambda を与えたとき X∼Po(λ)X\sim\mathrm{Po}(\lambda) とする。

  1. XX の周辺確率関数を求めよ。それが負の二項分布 (3.7) であることを示せ。母数は r=αr=\alpha、p=1/(1+β)p=1/(1+\beta) である。ここで rr は正の実数でよい。
  2. (3.26) を使って E[X]E[X] と V[X]V[X] を求めよ。V[X]>E[X]V[X]>E[X] を確かめよ。
  3. α=2\alpha=2、β=1.5\beta=1.5 とする。次を求めよ。

E[X],V[X],P(X=0)E[X],\qquad V[X],\qquad P(X=0)

解答

(1) λ\lambda について積分して周辺化する。被積分関数を λ\lambda のガンマ密度の形にまとめると

P(X=k)=∫0∞e−λλkk!⋅λα−1e−λ/βΓ(α)βαdλ=1k! Γ(α)βα∫0∞λk+α−1e−λ(1+β)/βdλ.P(X=k)=\int_0^\infty e^{-\lambda}\frac{\lambda^k}{k!}\cdot\frac{\lambda^{\alpha-1}e^{-\lambda/\beta}}{\Gamma(\alpha)\beta^\alpha}d\lambda =\frac{1}{k!\,\Gamma(\alpha)\beta^\alpha}\int_0^\infty\lambda^{k+\alpha-1}e^{-\lambda(1+\beta)/\beta}d\lambda .

積分は、形状 k+αk+\alpha・尺度 β/(1+β)\beta/(1+\beta) のガンマ密度の規格化定数である。その値は

Γ(k+α)(β1+β)k+α\Gamma(k+\alpha)\Bigl(\frac{\beta}{1+\beta}\Bigr)^{k+\alpha}

に等しい。よって

P(X=k)=Γ(k+α)k! Γ(α)(11+β)α(β1+β)k.P(X=k)=\frac{\Gamma(k+\alpha)}{k!\,\Gamma(\alpha)}\Bigl(\frac{1}{1+\beta}\Bigr)^\alpha\Bigl(\frac{\beta}{1+\beta}\Bigr)^k .

係数は

Γ(k+α)k! Γ(α)=(α+k−1)(α+k−2)⋯αk!=(α+k−1k)\frac{\Gamma(k+\alpha)}{k!\,\Gamma(\alpha)}=\frac{(\alpha+k-1)(\alpha+k-2)\cdots\alpha}{k!}=\binom{\alpha+k-1}{k}

と書ける。p=1/(1+β)p=1/(1+\beta)、q=β/(1+β)q=\beta/(1+\beta) とおく。すると r=αr=\alpha として、(3.7) の形 (r+k−1k)prqk\binom{r+k-1}{k}p^rq^k になる。

(2) E[X∣Λ]=V[X∣Λ]=ΛE[X\mid\Lambda]=V[X\mid\Lambda]=\Lambda なので、(3.26) から

E[X]=E[Λ]=αβ,V[X]=E[Λ]+V[Λ]=αβ+αβ2=αβ(1+β).\begin{aligned}E[X]&=E[\Lambda]=\alpha\beta,\\ V[X]&=E[\Lambda]+V[\Lambda]=\alpha\beta+\alpha\beta^2=\alpha\beta(1+\beta).\end{aligned}

β>0\beta>0 なので V[X]>E[X]V[X]>E[X]。負の二項分布の公式 rq/p=αβrq/p=\alpha\beta、rq/p2=αβ(1+β)rq/p^2=\alpha\beta(1+\beta) とも一致する。

(3)

E[X]=2×1.5=3,V[X]=3×2.5=7.5,P(X=0)=(1/2.5)2=0.16.E[X]=2\times1.5=3,\qquad V[X]=3\times2.5=7.5,\qquad P(X=0)=(1/2.5)^2=0.16 .

計数データの分散が平均よりはっきり大きいとき、個体ごとに発生率 λ\lambda がばらついていると考えてこのモデルを当てはめる。第10章のベイズ推定では、Λ\Lambda の分布を事前分布とみなす。X=kX=k を観測したあとの Λ\Lambda の条件付き分布(事後分布)は、再びガンマ分布

Ga(α+k, β/(1+β))\mathrm{Ga}\bigl(\alpha+k,\ \beta/(1+\beta)\bigr)

になる。(1) の被積分関数がこの密度に比例していることから分かる。

無限分解可能性

確率変数 XX が次の性質を持つとき、XX の分布は無限分解可能であるという。

任意の正の整数 nn について、独立同一分布に従う nn 個の確率変数の和と同じ分布を持つ。

X=dYn,1+⋯+Yn,nX\overset{d}{=}Y_{n,1}+\cdots+Y_{n,n}

積率母関数で言えば、各 nn について MX(t)1/nM_X(t)^{1/n} がまた何かの分布の積率母関数になることである。

  • Po(λ)\mathrm{Po}(\lambda):eλ(et−1)={e(λ/n)(et−1)}ne^{\lambda(e^t-1)}=\{e^{(\lambda/n)(e^t-1)}\}^n である。Yn,i∼Po(λ/n)Y_{n,i}\sim\mathrm{Po}(\lambda/n) ととればよい。
  • N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2):Yn,i∼N(μ/n,σ2/n)Y_{n,i}\sim\mathrm{N}(\mu/n,\sigma^2/n)。
  • Ga(α,β)\mathrm{Ga}(\alpha,\beta):(1−βt)−α={(1−βt)−α/n}n(1-\beta t)^{-\alpha}=\{(1-\beta t)^{-\alpha/n}\}^n である。Yn,i∼Ga(α/n,β)Y_{n,i}\sim\mathrm{Ga}(\alpha/n,\beta) ととればよい。NB(r,p)\mathrm{NB}(r,p) も同様に NB(r/n,p)\mathrm{NB}(r/n,p) に分ける。

一方、退化していない有界な分布は無限分解可能でない。∣X∣≤c\lvert X\rvert \le c とする。XX が独立同一な Yn,1,…,Yn,nY_{n,1},\dots,Y_{n,n} の和に分解されたとする。

  1. もし P(Yn,1>c/n)=δ>0P(Y_{n,1}>c/n)=\delta>0 なら、独立性から

P(X>c)≥P(すべての Yn,i>c/n)=δn>0P(X>c)\ge P(\text{すべての }Y_{n,i}>c/n)=\delta^n>0

となって矛盾する。よって Yn,1≤c/nY_{n,1}\le c/n。下側も同様で、∣Yn,1∣≤c/n\lvert Y_{n,1}\rvert \le c/n である。2. すると、すべての nn で次が成り立つ。

V[X]=nV[Yn,1]≤n(c/n)2=c2/n.V[X]=nV[Y_{n,1}]\le n(c/n)^2=c^2/n .

よって V[X]=0V[X]=0 となる。

したがって 0<p<10<p<1 の Bin(n,p)\mathrm{Bin}(n,p) は無限分解可能でない。U(a,b)\mathrm{U}(a,b) も同様である。無限分解可能な分布は、短い時間区間の増分を足し合わせて作る確率過程の、1時点の分布として現れる(ポアソン過程やブラウン運動、第12章)。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.3-1 U(0,θ)\mathrm{U}(0,\theta)(θ>0\theta>0 が母数)が指数型分布族でない理由を1行で述べよ。
  2. 3.3-2 X∼Po(λ)X\sim\mathrm{Po}(\lambda) とする。X=nX=n を与えたとき Y∼Bin(n,p)Y\sim\mathrm{Bin}(n,p) とする。これは、XX 個のそれぞれを確率 pp で独立に残すことに当たる。次を示せ。

Y∼Po(λp),X−Y∼Po(λq),Y と X−Y は独立.Y\sim\mathrm{Po}(\lambda p),\qquad X-Y\sim\mathrm{Po}(\lambda q),\qquad Y\text{ と }X-Y\text{ は独立}.

また λ=4\lambda=4、p=0.25p=0.25 とする。P(Y=0)P(Y=0) を求めよ。3. 3.3-3 P∼Beta(a,b)P\sim\mathrm{Beta}(a,b) とする。P=pP=p を与えたとき X∼Bin(n,p)X\sim\mathrm{Bin}(n,p) とする(ベータ二項分布)。 E[X]E[X] と V[X]V[X] を求めよ。また n=10n=10、a=b=2a=b=2 とする。そのときの値を、Bin(10,0.5)\mathrm{Bin}(10,0.5) の分散と比べよ。4. 3.3-4 N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) を正準形に書け。κ(η1,η2)\kappa(\eta_1,\eta_2) を η1,η2\eta_1,\eta_2 で表せ。定理 3.20 から E[X]E[X] と E[X2]E[X^2] を導け。

木下の勉強ステータス

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