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正規母集団に関する検定

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『資格試験』第7章 統計的仮説検定
目次
  1. 1標本:平均の検定
  2. 1標本:分散の検定
  3. 2標本:平均の差の検定
  4. 2標本:分散の比の検定
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

数理統計 第7章 §7.2 ★★★ z, t, χ2, Fz,\ t,\ \chi^2,\ F の各検定。統計量の分布を (7.1) から導けることが答案の前提

正規母集団の検定は、どれも「H0H_0 のもとで分布が完全に分かる統計量を作る」という同じ方針で組み立てる。未知のパラメータが分布に残っている統計量では棄却限界が決まらないので、未知の母数を消す形(標準化や比)に直すことが要点になる。

1標本:平均の検定

X1,…,XnX_1,\dots,X_n を独立に N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) からの標本とする。帰無仮説 H0:μ=μ0H_0:\mu=\mu_0 を検定する。

σ2\sigma^2 が既知なら、帰無仮説のもとで次が成り立つ。これを使うのがzz 検定である。

Z=n(Xˉ−μ0)σ∼N(0,1).Z=\frac{\sqrt n(\bar X-\mu_0)}{\sigma}\sim\mathrm{N}(0,1).

分散が未知のときは σ\sigma を SS で置き換えた

T=n (Xˉ−μ0)S(7.4)T=\frac{\sqrt n\,(\bar X-\mu_0)}{S}\tag{7.4}

を使う。帰無仮説のもとで T∼tn−1T\sim t_{n-1} となることは、次のように (7.1) から導ける。

命題 7.4(1標本 tt 統計量の分布)

帰無仮説を H0:μ=μ0H_0:\mu=\mu_0 とする。そのもとで、(7.4) の統計量は tn−1t_{n-1} に従う。

証明

次の2つの統計量を考える。

Z=n(Xˉ−μ0)σ∼N(0,1),W=(n−1)S2σ2∼χn−12.Z=\frac{\sqrt n(\bar X-\mu_0)}{\sigma}\sim\mathrm{N}(0,1),\qquad W=\frac{(n-1)S^2}{\sigma^2}\sim\chi^2_{n-1}.

標本平均と標本分散が独立なので、ZZ と WW も独立である。比を取ると

ZW/(n−1)=n(Xˉ−μ0)/σS2/σ2=n(Xˉ−μ0)S=T\frac{Z}{\sqrt{W/(n-1)}}=\frac{\sqrt n(\bar X-\mu_0)/\sigma}{\sqrt{S^2/\sigma^2}}=\frac{\sqrt n(\bar X-\mu_0)}{S}=T

となり、σ\sigma が分子と分母で消える。左辺は tt 分布の定義の形なので T∼tn−1T\sim t_{n-1}。

対立仮説に応じて棄却域は次のようになる(水準 α\alpha)。

H1:μ≠μ0 なら ∣T∣>tn−1(α/2),H1:μ>μ0 なら T>tn−1(α),H1:μ<μ0 なら T<−tn−1(α).\begin{gathered}H_1:\mu\ne\mu_0\ \text{なら}\ \lvert T\rvert >t_{n-1}(\alpha/2),\\ H_1:\mu>\mu_0\ \text{なら}\ T>t_{n-1}(\alpha),\qquad H_1:\mu<\mu_0\ \text{なら}\ T<-t_{n-1}(\alpha).\end{gathered}

対になったデータ (Xi,Yi)(X_i,Y_i) の平均の差を調べるときは、対応のある検定を使う。差 Di=Xi−YiD_i=X_i-Y_i を1標本とみなし、同じ tt 検定をかける。仮定するのは、差が独立に N(μD,σD2)\mathrm{N}(\mu_D,\sigma_D^2) に従うことだけである。対の2つの値の相関は、差の分散 σD2\sigma_D^2 に吸収される。

1標本:分散の検定

H0:σ2=σ02H_0:\sigma^2=\sigma_0^2 には

χ2=(n−1)S2σ02 ∼ χn−12(H0 のもと)(7.5)\chi^2=\frac{(n-1)S^2}{\sigma_0^2}\ \sim\ \chi^2_{n-1}\quad(H_0\ \text{のもと})\tag{7.5}

を使う。棄却域は対立仮説の向きで決まる。

  • 両側対立仮説 H1:σ2≠σ02H_1:\sigma^2\ne\sigma_0^2 では、次のどちらかで棄却する。

χ2<χn−12(1−α/2)またはχ2>χn−12(α/2).\chi^2<\chi^2_{n-1}(1-\alpha/2)\quad\text{または}\quad\chi^2>\chi^2_{n-1}(\alpha/2).

  • 片側対立仮説 H1:σ2>σ02H_1:\sigma^2>\sigma_0^2 では、χ2>χn−12(α)\chi^2>\chi^2_{n-1}(\alpha) で棄却する。

カイ二乗分布は左右非対称なので、両側検定の2つの棄却限界は σ02\sigma_0^2 を中心に対称にはならない。母平均が既知なら ∑(Xi−μ)2/σ02∼χn2\sum(X_i-\mu)^2/\sigma_0^2\sim\chi^2_n を使い、自由度が1つ増える。

2標本:平均の差の検定

2つの標本を互いに独立にとる。

X1,…,Xm∼N(μ1,σ12),Y1,…,Yn∼N(μ2,σ22).X_1,\dots,X_m\sim\mathrm{N}(\mu_1,\sigma_1^2),\qquad Y_1,\dots,Y_n\sim\mathrm{N}(\mu_2,\sigma_2^2).

帰無仮説 H0:μ1=μ2H_0:\mu_1=\mu_2 を検定する。不偏分散をそれぞれ S12S_1^2、S22S_2^2 とする。

等分散 σ12=σ22=σ2\sigma_1^2=\sigma_2^2=\sigma^2 を仮定する場合、共通の分散の推定に両方の標本を使った合併分散

Sp2=(m−1)S12+(n−1)S22m+n−2S_p^2=\frac{(m-1)S_1^2+(n-1)S_2^2}{m+n-2}

を作り、

T=Xˉ−YˉSp1m+1n(7.6)T=\frac{\bar X-\bar Y}{S_p\sqrt{\dfrac1m+\dfrac1n}}\tag{7.6}

とする。

命題 7.5(2標本 tt 統計量の分布)

等分散を仮定する。このとき帰無仮説 H0:μ1=μ2H_0:\mu_1=\mu_2 のもとで、(7.6) の統計量は tm+n−2t_{m+n-2} に従う。

証明

2つの標本平均は独立で、Xˉ∼N(μ1,σ2/m)\bar X\sim\mathrm{N}(\mu_1,\sigma^2/m)、Yˉ∼N(μ2,σ2/n)\bar Y\sim\mathrm{N}(\mu_2,\sigma^2/n) である。よって帰無仮説のもとで

Xˉ−Yˉ∼N ⁣(0,σ2(1m+1n)),Z=Xˉ−Yˉσ1/m+1/n∼N(0,1).\bar X-\bar Y\sim\mathrm{N}\!\left(0,\sigma^2\Bigl(\frac1m+\frac1n\Bigr)\right),\qquad Z=\frac{\bar X-\bar Y}{\sigma\sqrt{1/m+1/n}}\sim\mathrm{N}(0,1).

一方、次の2つは独立である。

(m−1)S12σ2∼χm−12,(n−1)S22σ2∼χn−12.\frac{(m-1)S_1^2}{\sigma^2}\sim\chi^2_{m-1},\qquad \frac{(n-1)S_2^2}{\sigma^2}\sim\chi^2_{n-1}.

カイ二乗分布の再生性から、和について次が成り立つ。

W=(m+n−2)Sp2σ2∼χm+n−22.W=\frac{(m+n-2)S_p^2}{\sigma^2}\sim\chi^2_{m+n-2}.

各標本の中で、標本平均と標本分散は独立である。2つの標本どうしも独立だから、ZZ と WW は独立である。したがって Z/W/(m+n−2)=T∼tm+n−2Z/\sqrt{W/(m+n-2)}=T\sim t_{m+n-2} となる(σ\sigma は約分で消える)。

等分散を仮定しない場合は、次の統計量の分布が分散比 σ12/σ22\sigma_1^2/\sigma_2^2 に依存する。

Xˉ−YˉS12/m+S22/n\frac{\bar X-\bar Y}{\sqrt{S_1^2/m+S_2^2/n}}

そのため正確な tt 分布にはならない(Behrens–Fisher 問題)。実用上は、自由度を

ν=(S12/m+S22/n)2(S12/m)2m−1+(S22/n)2n−1\nu=\frac{\left(S_1^2/m+S_2^2/n\right)^2}{\dfrac{(S_1^2/m)^2}{m-1}+\dfrac{(S_2^2/n)^2}{n-1}}

とした tνt_\nu で近似する(Welch の検定)。分母の S12/m+S22/nS_1^2/m+S_2^2/n をカイ二乗分布の定数倍で近似し、平均と分散を合わせて自由度を決めたものである。

2標本:分散の比の検定

帰無仮説 H0:σ12=σ22H_0:\sigma_1^2=\sigma_2^2 には F=S12/S22F=S_1^2/S_2^2 を使う。次の2つが独立であることから出発する。

(m−1)S12σ12∼χm−12,(n−1)S22σ22∼χn−12.\frac{(m-1)S_1^2}{\sigma_1^2}\sim\chi^2_{m-1},\qquad \frac{(n-1)S_2^2}{\sigma_2^2}\sim\chi^2_{n-1}.

FF 分布の定義から

S12/σ12S22/σ22∼Fm−1,n−1\frac{S_1^2/\sigma_1^2}{S_2^2/\sigma_2^2}\sim F_{m-1,n-1}

である。帰無仮説のもとでは2つの分散が約分されて F∼Fm−1,n−1F\sim F_{m-1,n-1} となる。両側検定では次のどちらかで棄却する。

F<Fm−1,n−1(1−α/2)またはF>Fm−1,n−1(α/2).F<F_{m-1,n-1}(1-\alpha/2)\quad\text{または}\quad F>F_{m-1,n-1}(\alpha/2).

数表には上側の点しか載っていないことが多いので、下側の点は

Fm,n(1−α)=1Fn,m(α)(7.7)F_{m,n}(1-\alpha)=\frac{1}{F_{n,m}(\alpha)}\tag{7.7}

で求める。理由は次のとおりである。F∼Fm,nF\sim F_{m,n} なら 1/F∼Fn,m1/F\sim F_{n,m} なので

P(F≤x)=P(1/F≥1/x)P(F\le x)=P(1/F\ge1/x)

となる。右辺は x=1/Fn,m(α)x=1/F_{n,m}(\alpha) のときに α\alpha になる。

正規母集団の検定のまとめ

仮説統計量H0H_0 のもとでの分布
μ=μ0\mu=\mu_0(σ2\sigma^2 既知)n(Xˉ−μ0)/σ\sqrt n(\bar X-\mu_0)/\sigmaN(0,1)\mathrm{N}(0,1)
μ=μ0\mu=\mu_0(σ2\sigma^2 未知)n(Xˉ−μ0)/S\sqrt n(\bar X-\mu_0)/Stn−1t_{n-1}
σ2=σ02\sigma^2=\sigma_0^2(n−1)S2/σ02(n-1)S^2/\sigma_0^2χn−12\chi^2_{n-1}
μ1=μ2\mu_1=\mu_2(等分散)(Xˉ−Yˉ)/(Sp1/m+1/n)(\bar X-\bar Y)/\bigl(S_p\sqrt{1/m+1/n}\bigr)tm+n−2t_{m+n-2}
σ12=σ22\sigma_1^2=\sigma_2^2S12/S22S_1^2/S_2^2Fm−1,n−1F_{m-1,n-1}

例題 7.2 1標本の tt 検定と分散の検定 ★★★

オリジナルある部品の長さを 10 個測った。標本平均は xˉ=10.8\bar x=10.8、標本標準偏差は s=1.2s=1.2 である(不偏分散の平方根)。長さは N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) に従うとする。

  1. H0:μ=10 対 H1:μ≠10H_0:\mu=10\ \text{対}\ H_1:\mu\ne10 を有意水準 0.05 で検定せよ。pp 値も求めよ。
  2. H0:σ2=1 対 H1:σ2>1H_0:\sigma^2=1\ \text{対}\ H_1:\sigma^2>1 を有意水準 0.05 で検定せよ。
解答
  1. 命題 7.4 より、帰無仮説のもとで T=10(Xˉ−10)/S∼t9T=\sqrt{10}(\bar X-10)/S\sim t_9。観測値は

t=10×0.81.2=2.108.t=\frac{\sqrt{10}\times0.8}{1.2}=2.108 .

両側の棄却限界は t9(0.025)=2.262t_9(0.025)=2.262 である。∣t∣=2.108<2.262\lvert t\rvert =2.108<2.262 なので H0H_0 は棄却しない。pp 値は 2P(t9≥2.108)=0.0642P(t_9\ge2.108)=0.064 で、0.05 を上回る。2. (7.5) より

χ2=9s21=9×1.44=12.96.\chi^2=\frac{9s^2}{1}=9\times1.44=12.96.

片側の棄却限界は χ92(0.05)=16.919\chi^2_9(0.05)=16.919 である。12.96<16.91912.96<16.919 なので棄却しない。

例題 7.3 2標本の等分散の確認と平均の差の検定 ★★

オリジナル2つの製法で作った製品の強度を測り、次の値を得た。

  • 製法1:m=8m=8 個、標本平均 5.2、不偏分散 s12=1.5s_1^2=1.5。
  • 製法2:n=10n=10 個、標本平均 4.1、不偏分散 s22=1.1s_2^2=1.1。

それぞれ N(μ1,σ12)\mathrm{N}(\mu_1,\sigma_1^2)、N(μ2,σ22)\mathrm{N}(\mu_2,\sigma_2^2) からの独立な標本とする。

  1. H0:σ12=σ22H_0:\sigma_1^2=\sigma_2^2 を両側・有意水準 0.05 で検定せよ。数表の値 F7,9(0.025)=4.197F_{7,9}(0.025)=4.197、F9,7(0.025)=4.823F_{9,7}(0.025)=4.823 を使ってよい。
  2. 等分散を仮定して、H0:μ1=μ2H_0:\mu_1=\mu_2 を有意水準 0.05 で検定せよ。対立仮説は次の2通りとする。

H1:μ1≠μ2,H1:μ1>μ2.H_1:\mu_1\ne\mu_2,\qquad H_1:\mu_1>\mu_2.

解答
  1. 統計量の値は F=s12/s22=1.5/1.1=1.364F=s_1^2/s_2^2=1.5/1.1=1.364。棄却限界は次の2つである(下側は (7.7) による)。

上側 F7,9(0.025)=4.197,下側 1F9,7(0.025)=14.823=0.207.\text{上側}\ F_{7,9}(0.025)=4.197,\qquad \text{下側}\ \frac{1}{F_{9,7}(0.025)}=\frac{1}{4.823}=0.207.

0.207<1.364<4.1970.207<1.364<4.197 なので等分散の仮説は棄却しない。2. 合併分散は

sp2=7×1.5+9×1.116=10.5+9.916=1.275.s_p^2=\frac{7\times1.5+9\times1.1}{16}=\frac{10.5+9.9}{16}=1.275 .

命題 7.5 より T∼t16T\sim t_{16} で、観測値は

t=5.2−4.11.275 (1/8+1/10)=1.10.286875=1.10.5356=2.054.t=\frac{5.2-4.1}{\sqrt{1.275\,(1/8+1/10)}}=\frac{1.1}{\sqrt{0.286875}}=\frac{1.1}{0.5356}=2.054 .

結論は対立仮説の向きで分かれる。

  • 両側検定:棄却限界は t16(0.025)=2.120t_{16}(0.025)=2.120。観測値 2.054 はこれを下回るので棄却しない(pp 値 0.057)。
  • 片側検定:棄却限界は t16(0.05)=1.746t_{16}(0.05)=1.746。観測値 2.054 はこれを上回るので棄却する(pp 値 0.028)。

同じデータでも、対立仮説の向きを先に決めているかどうかで結論が変わる。片側検定はデータを見る前に「μ1<μ2\mu_1<\mu_2 は考えなくてよい」と言える根拠があるときにだけ使う。

確認テスト

オリジナル

  1. 7.2-1 対応のある2標本(同じ人の前後の測定など)に、独立2標本の tt 検定 (7.6) を使うと何がまずいか。1行で答えよ。
  2. 7.2-2 正規母集団 N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) からの大きさ 15 の標本で、不偏分散 s2=2.9s^2=2.9 を得た。H0:σ2=1.5 対 H1:σ2≠1.5H_0:\sigma^2=1.5\ \text{対}\ H_1:\sigma^2\ne1.5 を有意水準 0.05 で検定せよ。
  3. 7.2-3 6人について、ある処置の前後の測定値の差(後 − 前)が 1.2, 0.8, −0.3, 1.5, 0.9, 0.7 であった。差は N(μD,σD2)\mathrm{N}(\mu_D,\sigma_D^2) に従うとする。H0:μD=0 対 H1:μD≠0H_0:\mu_D=0\ \text{対}\ H_1:\mu_D\ne0 を有意水準 0.05 で検定せよ。
  4. 7.2-4 分散が既知の正規母集団で、H0:μ=μ0 対 H1:μ≠μ0H_0:\mu=\mu_0\ \text{対}\ H_1:\mu\ne\mu_0 の両側 zz 検定を考える。棄却域は

∣n(Xˉ−μ0)/σ∣>zα/2\lvert \sqrt n(\bar X-\mu_0)/\sigma\rvert >z_{\alpha/2}

とする。δ=n(μ−μ0)/σ\delta=\sqrt n(\mu-\mu_0)/\sigma とおくと、検出力関数が

β(μ)=Φ(δ−zα/2)+Φ(−δ−zα/2)\beta(\mu)=\Phi(\delta-z_{\alpha/2})+\Phi(-\delta-z_{\alpha/2})

と書けることを示せ。また検出力関数が μ=μ0\mu=\mu_0 で最小値 α\alpha をとることを示せ。

木下の勉強ステータス

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