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対数微分法と、対数を取る場面

2025年度 高2解説2026年10月6日10分で読めます塾講師木下微分
目次
  1. 1. はなぜ公式で微分できないのか
  2. 積と商でできた式にも使える
  3. 2. 微分以外で対数を取る場面
  4. 方程式の連立
  5. と の大小
  6. 限りなく続く積

授業で扱った問題は、自然数 nn のうち (n20)n20\left(\dfrac{n}{20}\right)^{\frac{n}{20}} がいちばん小さくなるものを求める問題でした1塾の授業で扱った問題は塾の教材なので、数値を変えた類題に差し替えています。下の脚注へ。x=n20x=\dfrac n{20} とおけば、関数 f(x)=xx (x>0)f(x)=x^x\ (x>0) の増減の問題になります。その f(x)f(x) を微分するときに使ったのが、この頁で扱う対数微分法です。

1. xxx^x はなぜ公式で微分できないのか

これまでに学んだ微分の公式のうち、累乗の形をしたものは2つあります。

xxx^x は底も指数も変数なので、どちらの公式にも当てはまりません。たとえば (xx)′=x⋅xx−1=xx(x^x)'=x\cdot x^{x-1}=x^x とする計算は、指数を定数とみなした誤りです。

そこで対数を取ります。y=xxy=x^x の両辺の自然対数を取ると、対数の性質 log⁡ap=plog⁡a\log a^p=p\log a により指数が前に出て

log⁡y=xlog⁡x\log y=x\log x

となります。右辺は xx と log⁡x\log x の積なので、積の微分で扱えます。左辺の log⁡y\log y は、yy が xx の関数であることに注意して合成関数の微分をすると ddxlog⁡y=1y⋅dydx\dfrac{d}{dx}\log y=\dfrac1y\cdot\dfrac{dy}{dx} です。したがって

1y⋅dydx=log⁡x+1よりdydx=y(log⁡x+1)=xx(log⁡x+1)\begin{aligned}\frac1y\cdot\frac{dy}{dx}&=\log x+1\quad \text{より}\\\frac{dy}{dx}&=y(\log x+1)=x^x(\log x+1)\end{aligned}

が得られます。

対数微分法の手順

⑴ y=f(x)y=f(x) の両辺が正であることを確かめてから、両辺の自然対数を取る。

⑵ 右辺の log⁡f(x)\log f(x) を対数の性質(積は和に、商は差に、指数は係数に)で、微分しやすい形に整理する。

⑶ 両辺を xx で微分する。左辺は ddxlog⁡y=1y⋅dydx\dfrac{d}{dx}\log y=\dfrac{1}{y}\cdot\dfrac{dy}{dx} となる。

⑷ 両辺に yy をかけて dydx\dfrac{dy}{dx} を求め、最後に yy を f(x)f(x) に戻す。

⑶の右辺は、計算の結果としては f′(x)f(x)\dfrac{f'(x)}{f(x)} に等しくなります。ただし、f′(x)f'(x) が直接求めにくいので対数を取っているのですから、⑶では⑵で整理した式のほうを微分します。

別の見方:ee の累乗に書き直す

x=elog⁡xx=e^{\log x} なので、xx=(elog⁡x)x=exlog⁡xx^x=\left(e^{\log x}\right)^x=e^{x\log x} と書き直せます。これを合成関数として微分すると

(exlog⁡x)′=exlog⁡x⋅(xlog⁡x)′=xx(log⁡x+1)\left(e^{x\log x}\right)'=e^{x\log x}\cdot(x\log x)'=x^x(\log x+1)

となり、同じ答えになります。一般に {f(x)}g(x)=eg(x)log⁡f(x)\{f(x)\}^{g(x)}=e^{g(x)\log f(x)} と書けるので、対数微分法の計算とこの書き直しの計算は中身が同じです。

授業で扱った問題に戻ると、f′(x)=xx(log⁡x+1)f'(x)=x^x(\log x+1) で xx>0x^x>0 なので、f′(x)f'(x) の符号は log⁡x+1\log x+1 の符号と一致します。log⁡x+1=0\log x+1=0 となるのは x=1ex=\dfrac1e のときだけで、0<x<1e0<x<\dfrac1e では f′(x)<0f'(x)<0、x>1ex>\dfrac1e では f′(x)>0f'(x)>0 です。したがって f(x)f(x) は x=1ex=\dfrac1e で最小になります。

図1図1 y=xxy=x^x のグラフ。x=1ex=\frac1e で最小になり、その両側に x=0.35x=0.35 と x=0.4x=0.4 の点がある

2.7<e<2.82.7<e<2.8 より 12.8<1e<12.7\dfrac1{2.8}<\dfrac1e<\dfrac1{2.7} で、0.35<12.80.35<\dfrac1{2.8}、12.7<0.4\dfrac1{2.7}<0.4 なので 0.35<1e<0.40.35<\dfrac1e<0.4 です。x=n20x=\dfrac n{20} は 0.050.05 刻みなので、自然数 nn の候補は 1e\dfrac1e をはさむ n=7n=7 と n=8n=8 の2つに絞られます。

両者を比べるには、それぞれを 2020 乗すると (720)7=77207\left(\dfrac7{20}\right)^7=\dfrac{7^7}{20^7}、(820)8=(25)8=2858\left(\dfrac8{20}\right)^8=\left(\dfrac25\right)^8=\dfrac{2^8}{5^8} となり、前者を後者で割ると

77207⋅5828=77⋅58214⋅57⋅28=5⋅77222=41177154194304<1\begin{aligned}\frac{7^7}{20^7}\cdot\frac{5^8}{2^8}&=\frac{7^7\cdot5^8}{2^{14}\cdot5^7\cdot2^8}\\&=\frac{5\cdot7^7}{2^{22}}\\&=\frac{4117715}{4194304}<1\end{aligned}

です。前者のほうが小さいので、答えは n=7n=7 です。

積と商でできた式にも使える

対数微分法は、xxx^x のような式だけでなく、因数がいくつもかけ合わされた式の微分にも使えます。たとえば x>−1x>-1 で

y=(x+1)2x+2(x+3)3y=\frac{(x+1)^2\sqrt{x+2}}{(x+3)^3}

を微分するとき、商の微分と積の微分を重ねると式が長くなります。y>0y>0 を確かめて対数を取ると

log⁡y=2log⁡(x+1)+12log⁡(x+2)−3log⁡(x+3)\log y=2\log(x+1)+\frac12\log(x+2)-3\log(x+3)

と和と差に分かれ、各項は1つずつ微分できます。

y′y=2x+1+12(x+2)−3x+3よりy′=(x+1)2x+2(x+3)3(2x+1+12(x+2)−3x+3)\begin{aligned}\frac{y'}{y}&=\frac{2}{x+1}+\frac{1}{2(x+2)}-\frac{3}{x+3}\quad \text{より}\\y'&=\frac{(x+1)^2\sqrt{x+2}}{(x+3)^3}\left(\frac{2}{x+1}+\frac{1}{2(x+2)}-\frac{3}{x+3}\right)\end{aligned}

増減を調べるだけなら、y>0y>0 なので y′y' の符号はかっこの中の符号と一致し、かっこの中を通分して符号を調べれば済みます。

yy が負の値もとる関数のときは、∣y∣|y| の対数を取ります。y<0y<0 のところでも ddxlog⁡∣y∣=y′y\dfrac{d}{dx}\log|y|=\dfrac{y'}{y} が成り立つので、同じ手順で y′y' が求まります。

もう1つ例を挙げると、y=xsin⁡x (x>0)y=x^{\sin x}\ (x>0) は log⁡y=sin⁡x⋅log⁡x\log y=\sin x\cdot\log x より

y′y=cos⁡xlog⁡x+sin⁡xx,y′=xsin⁡x(cos⁡xlog⁡x+sin⁡xx)\begin{aligned}\frac{y'}{y}&=\cos x\log x+\frac{\sin x}{x},\\y'&=x^{\sin x}\left(\cos x\log x+\frac{\sin x}{x}\right)\end{aligned}

です。底と指数の両方に変数がある式({f(x)}g(x)\{f(x)\}^{g(x)} の形)は、累乗と指数関数の公式では微分できないので、対数微分法か、上の ee の累乗への書き直しで微分します。

2. 微分以外で対数を取る場面

対数を取ると、累乗は積に、積は和に変わります。この性質は微分以外の場面でも使えますが、微分のとき以外は思いつきにくいようです。次の形を見たら対数を取ることを考えましょう。

対数を取ることを考える形

  1. 底と指数の両方に変数がある:対数を取ると指数が log⁡\log の係数になる
  2. 積・商・累乗だけでできている(和や差を含まない):対数を取ると和と差になる
  3. 項が限りなく続く積:対数を取ると和の極限になる

log⁡(a+b)\log(a+b) は log⁡a\log a と log⁡b\log b で表せないので、2つめでは和や差を含まないことを条件にしています。

方程式の連立

指数・対数関数の授業では、底と指数の両方に文字が入った式を3本連立する問題を2題扱いました。1題目は、正の数 x,y,zx,y,z が

xxyz=y3,yxyz=z3,zxyz=x3x^{xyz}=y^3,\qquad y^{xyz}=z^3,\qquad z^{xyz}=x^3

を満たすとき、x,y,zx,y,z を求める問題です。どちらの問題でも、各式の両辺の対数を取ると、指数が log⁡\log の係数として前に出て、log⁡x, log⁡y, log⁡z\log x,\ \log y,\ \log z についての式になります。1題目は t=xyzt=xyz とおくと

tlog⁡x=3log⁡y,tlog⁡y=3log⁡z,tlog⁡z=3log⁡x\begin{aligned}&t\log x=3\log y,\quad t\log y=3\log z,\quad t\log z=3\log x\end{aligned}

となります。log⁡x,log⁡y,log⁡z\log x,\log y,\log z のどれか1つが 00 なら、3式を順にたどると3つとも 00 になり、x=y=z=1x=y=z=1 です(t=1t=1 となり、元の3式も満たします)。どれも 00 でないときは、3式を辺々かけて log⁡xlog⁡ylog⁡z\log x\log y\log z で割ると t3=27t^3=27、つまり t=3t=3 です。このとき log⁡y=log⁡x\log y=\log x、log⁡z=log⁡y\log z=\log y なので x=y=zx=y=z で、xyz=x3=3xyz=x^3=3 から x=y=z=33x=y=z=\sqrt[3]3 となります。

2題目は、log⁡ax, log⁡by, log⁡cz\log_a x,\ \log_b y,\ \log_c z を未知数とする連立1次方程式として解きました。

aba^b と bab^a の大小

3π3^\pi と π3\pi^3 のどちらが大きいかを考えます。どちらも正なので、自然対数を取って比べることができます(log⁡\log は増加関数なので、対数の大小と元の数の大小は一致します)。

log⁡3π=πlog⁡3,log⁡π3=3log⁡π\log3^\pi=\pi\log3,\qquad \log\pi^3=3\log\pi

両者を正の数 3π3\pi で割ると、比べるものは log⁡33\dfrac{\log3}{3} と log⁡ππ\dfrac{\log\pi}{\pi} になり、同じ関数 g(x)=log⁡xxg(x)=\dfrac{\log x}{x} の x=3x=3 と x=πx=\pi での値の比較になります。

g′(x)=1−log⁡xx2g'(x)=\frac{1-\log x}{x^2}

なので、g(x)g(x) は 0<x≦e0<x\leqq e で増加し、x≧ex\geqq e で減少します。e<3<πe<3<\pi なので g(3)>g(π)g(3)>g(\pi)、すなわち πlog⁡3>3log⁡π\pi\log3>3\log\pi となり、3π>π33^\pi>\pi^3 がわかります。

図2図2 y=log⁡xxy=\frac{\log x}{x} のグラフ。x=ex=e で最大となり、x>ex>e では減少する。x=3x=3 と x=πx=\pi での値を比べる

一般に、正の数 a,ba,b について

ab>ba  ⟺   blog⁡a>alog⁡b  ⟺   log⁡aa>log⁡bb\begin{aligned}&a^b>b^a\quad \iff\ b\log a>a\log b\quad \iff\ \frac{\log a}{a}>\frac{\log b}{b}\end{aligned}

が成り立ちます(2つめの同値は両辺を正の数 abab で割っただけです)。底と指数を入れ替えた2数の比較は、関数 log⁡xx\dfrac{\log x}{x} の値の比較に言い換えられます。

限りなく続く積

3つめの形は、積分の単元で学ぶ区分求積法と組み合わせて使います3区分求積法とは、lim⁡n→∞1n∑k=1nh ⁣(kn)=∫01h(x) dx\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac1n\sum_{k=1}^{n}h\!\left(\frac kn\right)=\int_0^1h(x)\,dx という関係を使って、和の極限を積分で求める方法のことです。下の脚注へ。たとえば n!nnn\sqrt[n]{\dfrac{n!}{n^n}} の極限は、対数を取ると

log⁡n!nnn=1n∑k=1nlog⁡kn\log\sqrt[n]{\frac{n!}{n^n}}=\frac1n\sum_{k=1}^{n}\log\frac kn

という和になり、n→∞n\to\infty でこの和は ∫01log⁡x dx=−1\displaystyle\int_0^1\log x\,dx=-1 に近づきます。したがって元の式は e−1=1ee^{-1}=\dfrac1e に近づきます。

1 塾の授業で扱った問題は塾の教材なので、数値を変えた類題に差し替えています。

2 この頁の log⁡\log は自然対数、つまり底が ee の対数です。

3 区分求積法とは、lim⁡n→∞1n∑k=1nh ⁣(kn)=∫01h(x) dx\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac1n\sum_{k=1}^{n}h\!\left(\frac kn\right)=\int_0^1h(x)\,dx という関係を使って、和の極限を積分で求める方法のことです。

塾の授業で配った補足資料をもとに、問題を類題に差し替えて書き直しました。

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