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2項間と3項間を「次数下げ」で統一する

2026年度 中3発展2026年10月6日31分で読めます塾講師木下数列
目次
  1. 1. 出発点:2項間漸化式は「等比数列」
  2. 2. 標準の解法: を等比数列にする
  3. 3. 例1:解が相異なる有理数()
  4. 4. 例2:解が無理数(フィボナッチ:整数列なのに一般項に )
  5. 5. 例3:解が虚数(実数列なのに一般形に が出る)
  6. 6. 例外:解が重解のとき(等比が「等差」にずれる)
  7. 7. 一般の 項間へ:等比の重ね合わせと解と係数の関係

数列の授業では、2段仮定型の帰納法(前の 22 項を仮定して次を示す)や、具体値から一般項を推測してから帰納法で証明するやり方を学んだ。では、an+2=p an+1+q ana_{n+2}=p\,a_{n+1}+q\,a_n(前の 22 項で次が決まる、定数係数の3項間)を、推測に頼らず最初から一般項をズバリ求める方法はないのか?係数 p,qp,q が定数のときは、3項間を2項間(等比数列)に「落とす」という一手で解ける。この見方だと2項間と3項間が同じ考えでつながる。カギは特性方程式だ。

1. 出発点:2項間漸化式は「等比数列」

いちばん短い漸化式は、2項間 an+1=r ana_{n+1}=r\,a_n。これは公比 rr の等比数列そのもので、an=a1 r n−1a_n=a_1\,r^{\,n-1} と完全に解ける。もう一歩進んだ an+1=p an+qa_{n+1}=p\,a_n+q(右辺に定数 qq が付いた 22 項間)も、授業で解いたとおり、α=p α+q\alpha=p\,\alpha+q をみたす α\alpha(p≠1p\neq1 のとき存在する)だけずらして an+1−α=p (an−α)a_{n+1}-\alpha=p\,(a_n-\alpha) とすれば、an−αa_n-\alpha が等比数列に化けて解けた。つまり「等比に帰着させる」という発想は、すでに手の内にある。そこで3項間an+2=p an+1+q ana_{n+2}=p\,a_{n+1}+q\,a_n も、同じ発想で2項間(等比)に落とせないかを考える。うまくいけば「知らない3項間」を「知っている2項間」に帰着でき、次数を1つ下げる一手になる。

2. 標準の解法:an+1−α ana_{n+1}-\alpha\,a_n を等比数列にする

解きたいのは、定数 p,qp,q(q≠0q\neq0 とする)による3項間漸化式

an+2=p an+1+q ana_{n+2}=p\,a_{n+1}+q\,a_n

である(前の 22 項 an+1,ana_{n+1},a_n から次の an+2a_{n+2} が決まる)。方針は、この 33 項間を隣接 22 項間(等比数列)へ帰着させることである。そこで、うまい定数 α,β\alpha,\beta を選んで数列 {an+1−α an}\{a_{n+1}-\alpha\,a_n\} が公比 β\beta の等比数列になるようにしたい。そうなる条件を、11 つ先 an+2−α an+1a_{n+2}-\alpha\,a_{n+1} を計算して調べよう。an+2=p an+1+q ana_{n+2}=p\,a_{n+1}+q\,a_n を代入すると

an+2−α an+1=(p−α) an+1+q an.a_{n+2}-\alpha\,a_{n+1}=(p-\alpha)\,a_{n+1}+q\,a_n .

これが公比 β\beta の等比、すなわち β (an+1−α an)=β an+1−αβ an\beta\,(a_{n+1}-\alpha\,a_n)=\beta\,a_{n+1}-\alpha\beta\,a_n に一致するには、an+1a_{n+1} とana_n の係数を見比べて

p−α=β,q=−αβ⟺ α+β=p,  αβ=−q\begin{aligned}&p-\alpha=\beta,\quad q=-\alpha\beta\quad \Longleftrightarrow\ \alpha+\beta=p,\ \ \alpha\beta=-q\end{aligned}

であればよい。右側はまさに二次方程式の解と係数の関係であり、α,β\alpha,\beta は x2−p x−q=0x^2-p\,x-q=0 を移項した特性方程式

x2=p x+q(特性方程式)x^2=p\,x+q\qquad(\text{特性方程式})

の 22 解としてひとりでに決まる。つまり、特性方程式の 22 解 α,β\alpha,\beta に対して

an+2−α an+1=β (an+1−α an)a_{n+2}-\alpha\,a_{n+1}=\beta\,(a_{n+1}-\alpha\,a_n)

が成り立つ。これは「数列 {an+1−α an}\{a_{n+1}-\alpha\,a_n\} の次の項が前の項のちょうど β\beta 倍」という式で、{an+1−α an}\{a_{n+1}-\alpha\,a_n\} が公比 β\beta の等比数列であることそのものである。しかも α,β\alpha,\beta は対等(入れかえても条件 α+β=p, αβ=−q\alpha+\beta=p,\ \alpha\beta=-q は変わらない)だから、役割を入れかえた

an+2−β an+1=α (an+1−β an)a_{n+2}-\beta\,a_{n+1}=\alpha\,(a_{n+1}-\beta\,a_n)

も同時に成り立ち、{an+1−β an}\{a_{n+1}-\beta\,a_n\} は公比 α\alpha の等比数列になる。この 22 本から一般項を出す。

手順1(22 本の等比数列の一般項):{an+1−α an}\{a_{n+1}-\alpha\,a_n\} は初項 a2−α a1a_2-\alpha\,a_1・公比 β\beta の等比数列だから

an+1−α an=(a2−α a1) β n−1⋯(1).a_{n+1}-\alpha\,a_n=(a_2-\alpha\,a_1)\,\beta^{\,n-1}\quad\cdots\text{(1)} .

同じく {an+1−β an}\{a_{n+1}-\beta\,a_n\} は初項 a2−β a1a_2-\beta\,a_1・公比 α\alpha で

an+1−β an=(a2−β a1) α n−1⋯(2).a_{n+1}-\beta\,a_n=(a_2-\beta\,a_1)\,\alpha^{\,n-1}\quad\cdots\text{(2)} .

手順2(引き算して an+1a_{n+1} を消す):(1)(2) はどちらも「an+1a_{n+1} と ana_n」の関係で、an+1a_{n+1} がそのままの係数で入っている。(1) から (2) を引くと an+1a_{n+1} が消え、−α an−(−β an)=(β−α) an-\alpha\,a_n-(-\beta\,a_n)=(\beta-\alpha)\,a_n より

(β−α) an=(a2−α a1) β n−1−(a2−β a1) α n−1.(\beta-\alpha)\,a_n=(a_2-\alpha\,a_1)\,\beta^{\,n-1}-(a_2-\beta\,a_1)\,\alpha^{\,n-1} .

α≠β\alpha\neq\beta なら両辺を β−α\beta-\alpha で割って ana_n が一つに定まる。α n,β n\alpha^{\,n},\beta^{\,n} の係数はどちらもa1,a2a_1,a_2 で決まる定数だから、それらを A,BA,B とまとめれば

an=A α n+B β na_n=A\,\alpha^{\,n}+B\,\beta^{\,n}

の形になる(係数 A,BA,B は α,β\alpha,\beta と a1,a2a_1,a_2 で決まる定数)。なお、はじめから an=Aα n+Bβ na_n=A\alpha^{\,n}+B\beta^{\,n} と形を仮定して初期値で A,BA,B を合わせるやり方も思いつくが、それだけでは「その形の数列も漸化式をみたす」という十分条件を確かめたにすぎない。実は、重解がなければどんな解も必ずこの形で表せることが知られていて(のちほど §7 で理由を述べる)、それを認めれば形を仮定するやり方も正当化できるのだが、この事実をきちんと示すのはひと仕事である。上のように 22 本の等比 (1)(2) を引き算する手順なら、その事実を借りずに ana_n が一意に定まる(必要十分)。だから答案では毎回この手順を最後まで踏むのがよい。以下の例でもそうする。

22 項間と 33 項間のつながり

いちばん短い漸化式 an+1=r ana_{n+1}=r\,a_n は等比数列そのもので、いわば特性方程式にあたる 11 次方程式 x=rx=r の解 11 個で片づく。33 項間は、an+1−α ana_{n+1}-\alpha\,a_n を等比数列にすることで 22 項間へ帰着させ、その定数 α,β\alpha,\beta が特性方程式の 22 解として現れた。22 項間も 33 項間も「等比に帰着させる」同じ考えで解けており、どちらも一般項を推測する必要はない。

以下では、特性方程式の解が有理数・無理数・虚数になる 33 つの例で、この手順を最後まで実行してみる。解の種類に応じて数列がどんな姿になるかが、はっきり見えるはずだ。

3. 例1:解が相異なる有理数(an+2=7an+1−12ana_{n+2}=7a_{n+1}-12a_n)

a1=1, a2=7a_1=1,\ a_2=7、an+2=7an+1−12ana_{n+2}=7a_{n+1}-12a_n とする1塾の授業で扱った問題は塾の教材なので、数値を変えた類題に差し替えています。下の脚注へ。特性方程式は

x2=7x−12⟺ x2−7x+12=(x−3)(x−4)=0,α=3, β=4.\begin{aligned}x^2&=7x-12\\\Longleftrightarrow\ x^2-7x+12&=(x-3)(x-4)=0,\\\alpha&=3,\ \beta=4.\end{aligned}

本当に等比数列ができているか、漸化式を移項して確かめよう。an+2=7an+1−12ana_{n+2}=7a_{n+1}-12a_n より

an+2−3 an+1=4 an+1−12 an=4 (an+1−3 an),an+2−4 an+1=3 an+1−12 an=3 (an+1−4 an)\begin{aligned}a_{n+2}-3\,a_{n+1}&=4\,a_{n+1}-12\,a_n\\&=4\,(a_{n+1}-3\,a_n),\\a_{n+2}-4\,a_{n+1}&=3\,a_{n+1}-12\,a_n\\&=3\,(a_{n+1}-4\,a_n)\end{aligned}

となり、たしかに {an+1−3an}\{a_{n+1}-3a_n\} は公比 44、{an+1−4an}\{a_{n+1}-4a_n\} は公比 33 の等比数列である。初項はa2−αa1=7−3=4a_2-\alpha a_1=7-3=4、a2−βa1=7−4=3a_2-\beta a_1=7-4=3 だから

an+1−3an=4⋅4 n−1=4 n ⋯(1),an+1−4an=3⋅3 n−1=3 n ⋯(2).\begin{aligned}a_{n+1}-3a_n&=4\cdot4^{\,n-1}=4^{\,n}\ \cdots\text{(1)},\\a_{n+1}-4a_n&=3\cdot3^{\,n-1}=3^{\,n}\ \quad \cdots\text{(2)} .\end{aligned}

(1)−-(2) で an+1a_{n+1} が消え、(−3+4)an=an(-3+4)a_n=a_n より

 an=4 n−3 n .\boxed{\,a_n=4^{\,n}-3^{\,n}\,}.

実際 1, 7, 37, 175, 781,…1,\,7,\,37,\,175,\,781,\dots とぴたり合う。解が有理数なので一般項もきれい。推測せずに一発で出た。

4. 例2:解が無理数(フィボナッチ:整数列なのに一般項に 5\sqrt5)

だれもが知るフィボナッチ数列 1,1,2,3,5,8,13,…1,1,2,3,5,8,13,\dots は、a1=a2=1a_1=a_2=1、an+2=an+1+ana_{n+2}=a_{n+1}+a_n で定まる。特性方程式は

x2=x+1⟺ x2−x−1=0,α=1+52,  β=1−52\begin{aligned}&x^2=x+1\quad \Longleftrightarrow\ x^2-x-1=0,\quad \alpha=\frac{1+\sqrt5}{2},\ \ \beta=\frac{1-\sqrt5}{2}\end{aligned}

で、解は無理数。22 本の等比数列を作ろう。初項 a2−αa1=1−αa_2-\alpha a_1=1-\alpha だが、ここで1−α=1−1+52=1−52=β1-\alpha=1-\dfrac{1+\sqrt5}{2}=\dfrac{1-\sqrt5}{2}=\beta(同様に 1−β=α1-\beta=\alpha)なので

an+1−αan=(1−α)β n−1=β⋅β n−1=β n ⋯(1),an+1−βan=α n ⋯(2).\begin{aligned}a_{n+1}-\alpha a_n&=(1-\alpha)\beta^{\,n-1}\\&=\beta\cdot\beta^{\,n-1}\\&=\beta^{\,n}\ \cdots\text{(1)},\\a_{n+1}-\beta a_n&=\alpha^{\,n}\ \quad \cdots\text{(2)} .\end{aligned}

(1)−-(2) より (β−α)an=β n−α n(\beta-\alpha)a_n=\beta^{\,n}-\alpha^{\,n}、すなわち an=α n−β nα−βa_n=\dfrac{\alpha^{\,n}-\beta^{\,n}}{\alpha-\beta}。α−β=5\alpha-\beta=\sqrt5 だから

 an=15{(1+52) ⁣n−(1−52) ⁣n} \boxed{\,a_n=\frac{1}{\sqrt5}\left\{\left(\frac{1+\sqrt5}{2}\right)^{\!n}-\left(\frac{1-\sqrt5}{2}\right)^{\!n}\right\}\,}

(ビネの公式)。5\sqrt5 だらけの式なのに、n=1,2,3,…n=1,2,3,\dots を入れると 1,1,2,3,5,…1,1,2,3,5,\dots と必ず整数に戻る。整数列なのに一般項は無理数を含む、という不思議は、特性方程式の解が無理数だからこそ起きる。1,1,2,3,51,1,2,3,5 を眺めるだけではこの形は推測できず、特性方程式の手順があってはじめて求まる。

5. 例3:解が虚数(実数列なのに一般形に ii が出る)

こんどは a1=1, a2=1a_1=1,\ a_2=1、an+2=an+1−ana_{n+2}=a_{n+1}-a_n。数列を書き出すと

1, 1, 0, −1, −1, 0, 1, 1, 0, …(6項ごとにくり返す、れっきとした実数列)1,\ 1,\ 0,\ -1,\ -1,\ 0,\ 1,\ 1,\ 0,\ \dots\quad(\text{6項ごとにくり返す、れっきとした実数列})

特性方程式は x2=x−1x^2=x-1、すなわち x2−x+1=0x^2-x+1=0。判別式は 1−4=−3<01-4=-3<0 で、解は虚数

α=1+3 i2,β=1−3 i2.\alpha=\frac{1+\sqrt3\,i}{2},\qquad \beta=\frac{1-\sqrt3\,i}{2}.

手順はこれまでと変わらない。初期値 a1=a2=1a_1=a_2=1 は例2と同じなので、1−α=β, 1−β=α1-\alpha=\beta,\ 1-\beta=\alpha から 22 本の等比

an+1−αan=β n ⋯(1),an+1−βan=α n ⋯(2)\begin{aligned}a_{n+1}-\alpha a_n&=\beta^{\,n}\ \cdots\text{(1)},\\a_{n+1}-\beta a_n&=\alpha^{\,n}\ \quad \cdots\text{(2)}\end{aligned}

ができ、(1)−-(2) を引いて

an=α n−β nα−βa_n=\frac{\alpha^{\,n}-\beta^{\,n}}{\alpha-\beta}

を得る。ここまでは例2と同じ形だが、いまは α,β\alpha,\beta が虚数である。数列は全部実数なのに材料が虚数、という一見おかしな状況で、この α n−β n\alpha^{\,n}-\beta^{\,n} と α−β\alpha-\beta を三角関数の形に書きなおすと、虚部がきれいに打ち消し合って実数に戻るのが見える。次のコラムでそれを行う。

コラム:虚数の解は三角関数に化ける(ド・モアブルの定理)

まず、どんな複素数 a+bia+bi も、00 以上の実数 rr と角 θ\theta を使って

a+bi=r(cos⁡θ+isin⁡θ)a+bi=r(\cos\theta+i\sin\theta)

の形に書ける。実際、r=a2+b2r=\sqrt{a^2+b^2} とおき、cos⁡θ=ar, sin⁡θ=br\cos\theta=\dfrac{a}{r},\ \sin\theta=\dfrac{b}{r} をみたす θ\theta を取ればよい(このとき (ar)2+(br)2=a2+b2r2=1\big(\tfrac{a}{r}\big)^2+\big(\tfrac{b}{r}\big)^2=\dfrac{a^2+b^2}{r^2}=1 だから、そのような θ\theta は必ず存在する)。a,ba,b を a2+b2\sqrt{a^2+b^2} で割って係数を cos⁡,sin⁡\cos,\sin にそろえるこのやり方は、三角関数の合成acos⁡φ+bsin⁡φ=a2+b2 sin⁡(φ+δ)a\cos\varphi+b\sin\varphi=\sqrt{a^2+b^2}\,\sin(\varphi+\delta) で係数を振幅と角に読みかえたのと同じである。

この形が便利なのは、2つかけると角度がちょうど足し算になるからである。実際、一般の θ,φ\theta,\varphi について加法定理を使うと

(cos⁡θ+isin⁡θ)(cos⁡φ+isin⁡φ)=(cos⁡θcos⁡φ−sin⁡θsin⁡φ)+i (sin⁡θcos⁡φ+cos⁡θsin⁡φ)=cos⁡(θ+φ)+isin⁡(θ+φ)\begin{aligned} &(\cos\theta+i\sin\theta)(\cos\varphi+i\sin\varphi)\\ &\qquad=(\cos\theta\cos\varphi-\sin\theta\sin\varphi)+i\,(\sin\theta\cos\varphi+\cos\theta\sin\varphi)\\ &\qquad=\cos(\theta+\varphi)+i\sin(\theta+\varphi) \end{aligned}

がわかる(i2=−1i^2=-1 と加法定理を使った)。「かけ算=角度の足し算」だから、(cos⁡θ+isin⁡θ)(\cos\theta+i\sin\theta) を nn 回かければ角度は θ\theta の nn 個ぶん、すなわち nθn\theta になり、

(cos⁡θ+isin⁡θ)n=cos⁡nθ+isin⁡nθ(ド・モアブルの定理)\begin{aligned}(\cos\theta+i\sin\theta)^n&=\cos n\theta+i\sin n\theta\qquad (\text{ド・モアブルの定理})\end{aligned}

が成り立つ。

さて、いまの二つの解 α=12+32 i\alpha=\tfrac12+\tfrac{\sqrt3}{2}\,i と β=12−32 i\beta=\tfrac12-\tfrac{\sqrt3}{2}\,i をこの形に書こう。どちらもr=(12)2+(32)2=1r=\sqrt{\big(\tfrac12\big)^2+\big(\tfrac{\sqrt3}{2}\big)^2}=1 で、α\alpha は cos⁡θ=12, sin⁡θ=32\cos\theta=\tfrac12,\ \sin\theta=\tfrac{\sqrt3}{2}から θ=60∘\theta=60{}^{\circ}、β\beta は cos⁡θ=12, sin⁡θ=−32\cos\theta=\tfrac12,\ \sin\theta=-\tfrac{\sqrt3}{2} から θ=−60∘\theta=-60{}^{\circ}。よって

α=cos⁡60∘+isin⁡60∘,β=cos⁡(−60∘)+isin⁡(−60∘).\begin{aligned}\alpha&=\cos60{}^{\circ}+i\sin60{}^{\circ},\\\beta&=\cos(-60{}^{\circ})+i\sin(-60{}^{\circ}).\end{aligned}

ド・モアブルの定理をそれぞれに用いると

α n=cos⁡(60∘n)+isin⁡(60∘n),β n=cos⁡(60∘n)−isin⁡(60∘n)\begin{aligned}\alpha^{\,n}&=\cos(60{}^{\circ} n)+i\sin(60{}^{\circ} n),\\\beta^{\,n}&=\cos(60{}^{\circ} n)-i\sin(60{}^{\circ} n)\end{aligned}

(β n=cos⁡(−60∘n)+isin⁡(−60∘n)\beta^{\,n}=\cos(-60{}^{\circ} n)+i\sin(-60{}^{\circ} n) で、cos⁡\cos は偶関数・sin⁡\sin は奇関数だから虚部の符号だけ逆になる)。これで、例3で引き算まで済ませておいた an=α n−β nα−βa_n=\dfrac{\alpha^{\,n}-\beta^{\,n}}{\alpha-\beta} の分子・分母がどちらも書きくだせる:

α n−β n=2i sin⁡(60∘n),α−β=(12+32i)−(12−32i)=3 i.\begin{aligned}\alpha^{\,n}-\beta^{\,n}&=2i\,\sin(60{}^{\circ} n),\\\alpha-\beta&=\Big(\tfrac12+\tfrac{\sqrt3}{2}i\Big)-\Big(\tfrac12-\tfrac{\sqrt3}{2}i\Big)=\sqrt3\,i.\end{aligned}

分子・分母がどちらも虚数単位 ii を含むので、割ると ii が約分されて実数になる:

an=2i sin⁡(60∘n)3 i=23 sin⁡ ⁣(60∘⋅n)a_n=\frac{2i\,\sin(60{}^{\circ} n)}{\sqrt3\,i}=\frac{2}{\sqrt3}\,\sin\!\big(60{}^{\circ}\cdot n\big)

となる(n=1,2,3,…n=1,2,3,\dots で 1,1,0,−1,−1,0,…1,1,0,-1,-1,0,\dots)。60∘×6=360∘60{}^{\circ}\times6=360{}^{\circ} だから周期6になるのも当然である。虚数を経由して実数の周期数列が出てくる、これが二次方程式と三角関数のつながりである。

図1
an=23sin⁡(60∘n)a_n=\dfrac{2}{\sqrt3}\sin(60{}^{\circ} n)(点)と、それを結ぶ sin⁡\sin 曲線。1,1,0,−1,−1,0,…1,1,0,-1,-1,0,\dots と6項でくり返す実数列。

6. 例外:解が重解のとき(等比が「等差」にずれる)

特性方程式が重解(22 解が一致)になると、α=β\alpha=\beta なので an=Aα n+Bβ na_n=A\alpha^{\,n}+B\beta^{\,n} の 22 本の等比が重なってしまい、これまでの「22 本を引き算」は使えない(同じ式どうしを引くと 0=00=0 となって何も残らない)。この場合を具体例で見よう。

a1=2, a2=9a_1=2,\ a_2=9、an+2=6an+1−9ana_{n+2}=6a_{n+1}-9a_n とする。特性方程式は

x2=6x−9⟺ x2−6x+9=(x−3)2=0,α=3 (重解).\begin{aligned}&x^2=6x-9\\\Longleftrightarrow\ &x^2-6x+9=(x-3)^2=0,\\&\alpha=3\ (\text{重解}) .\end{aligned}

それでも、an+1−αana_{n+1}-\alpha a_n を等比数列にする手順そのものは使える。ただし解は α=3\alpha=3 の 11 つだけだから、作れる等比数列も bn:=an+1−3anb_n:=a_{n+1}-3a_n の11 本だけである。これは公比 33 の等比数列で、初項は b1=a2−3a1=9−6=3b_1=a_2-3a_1=9-6=3だから bn=3⋅3 n−1=3 nb_n=3\cdot3^{\,n-1}=3^{\,n}。よって

an+1−3an=3 na_{n+1}-3a_n=3^{\,n}

という 22 項間に落ちる。ここで右辺の 3 n3^{\,n} を定数に変えるため、両辺を α n+1=3 n+1\alpha^{\,n+1}=3^{\,n+1} で割ると

an+13 n+1−an3 n=3 n3 n+1=13\frac{a_{n+1}}{3^{\,n+1}}-\frac{a_n}{3^{\,n}}=\frac{3^{\,n}}{3^{\,n+1}}=\frac13

となる。そこで cn:=an3 nc_n:=\dfrac{a_n}{3^{\,n}} とおくと cn+1−cn=13c_{n+1}-c_n=\dfrac13、つまり cnc_n は公差 13\tfrac13 の等差数列。初項 c1=a13=23c_1=\dfrac{a_1}{3}=\dfrac23 より cn=23+(n−1)13=n+13c_n=\dfrac23+(n-1)\dfrac13=\dfrac{n+1}{3}。したがって

 an=3 ncn=(n+1) 3 n−1 \boxed{\,a_n=3^{\,n}c_n=(n+1)\,3^{\,n-1}\,}

(2,9,36,135,486,…2,9,36,135,486,\dots と一致)。nn が11 次で顔を出すのがポイントで、一般に重解 α\alpha のときはan=(A+Bn) α na_n=(A+Bn)\,\alpha^{\,n} の形になる。

7. 一般の mm 項間へ:等比の重ね合わせと解と係数の関係

33 項間を解いたときの話が、そのまま長い漸化式に伸びる。項数は番号 nn と紛れないよう mm で書き、mm 項間(前の m−1m{-}1 項で次が決まる、係数が定数の漸化式。pm−1≠0p_{m-1}\neq0 とする)

an+m−1=p1 an+m−2+⋯+pm−1 ana_{n+m-1}=p_1\,a_{n+m-2}+\dots+p_{m-1}\,a_n

を考える(m=3m=3 とすれば an+2=p an+1+q ana_{n+2}=p\,a_{n+1}+q\,a_n に戻る)。

結論の先出し

33 項間の x2=px+qx^2=px+q にあたる特性方程式は、mm 項間では m−1m{-}1 次方程式

xm−1=p1 xm−2+⋯+pm−1x^{m-1}=p_1\,x^{m-2}+\dots+p_{m-1}

になり、そのm−1m{-}1 個の解 α1,…,αm−1\alpha_1,\dots,\alpha_{m-1} が、33 項間の α,β\alpha,\beta とそっくり同じ役割をはたす。解と係数の関係もそのまま拡張され(33 項間の α+β=p, αβ=−q\alpha+\beta=p,\ \alpha\beta=-q が、m−1m{-}1 個の解の基本対称式と係数の関係にひろがる)、一般項は、特性方程式に重解がない場合には、これらm−1m{-}1 本の等比の重ね合わせ

an=A1 α1 n+A2 α2 n+⋯+Am−1 αm−1 na_n=A_1\,\alpha_1^{\,n}+A_2\,\alpha_2^{\,n}+\dots+A_{m-1}\,\alpha_{m-1}^{\,n}

になる(重解があるときは、33 項間のときと同じく nn の多項式が顔を出す)。

漸化式特性方程式解の個数
22 項間11 次(x=rx=r)11 個
33 項間22 次(x2=px+qx^2=px+q)22 個
mm 項間m−1m{-}1 次m−1m{-}1 個

長い話になるので、確かめるべきことを先に 33 つの問いに分けておこう。

  1. 問1:なぜ特性方程式の解 α\alpha の等比数列 α n\alpha^{\,n} は、漸化式をみたすのか。
  2. 問2:なぜ、それらを重ね合わせてよいのか。
  3. 問3:重ね合わせで、漸化式の解は全部尽くせているのか。

そのあと仕上げに、33 項間で使った「等比に落とす」計算が mm 項間でもそのまま動くことを、44 項間を例に確かめる。

問1:なぜ an=α na_n=\alpha^{\,n} が漸化式をみたすのか。  式に起こせば一目である。an=α na_n=\alpha^{\,n} を漸化式の右辺に代入し、α n\alpha^{\,n} でくくると

p1 α n+m−2+⋯+pm−1 α n=α n (p1 α m−2+⋯+pm−1)=α n⋅α m−1=α n+m−1\begin{aligned}p_1\,\alpha^{\,n+m-2}+\dots+p_{m-1}\,\alpha^{\,n}&=\alpha^{\,n}\,\bigl(p_1\,\alpha^{\,m-2}+\dots+p_{m-1}\bigr)\\&=\alpha^{\,n}\cdot\alpha^{\,m-1}\\&=\alpha^{\,n+m-1}\end{aligned}

となって、左辺 an+m−1=α n+m−1a_{n+m-1}=\alpha^{\,n+m-1} に一致する。途中、括弧の中がちょうど特性方程式の右辺になっていて、α\alpha が特性方程式の解だからこそ、括弧を α m−1\alpha^{\,m-1} に置きかえられた。つまり

「α n\alpha^{\,n} が漸化式をみたす」と「α\alpha が特性方程式をみたす」は同じことの言い換え

であり、特性方程式は「等比数列 α n\alpha^{\,n} が漸化式の解になるための、公比 α\alpha の条件」と読むこともできる。

問2:なぜ重ね合わせてよいのか。  漸化式を移項したan+m−1−p1an+m−2−⋯−pm−1an=0a_{n+m-1}-p_1a_{n+m-2}-\dots-p_{m-1}a_n=0 の左辺は、数列の各項を定数倍して足すだけでできている。だから22 つの数列 {an},{an′}\{a_n\},\{a'_n\} がどちらもこの式をみたすなら、混ぜた数列 {A an+B an′}\{A\,a_n+B\,a'_n\} を代入してもA×0+B×0=0A\times0+B\times0=0 となって、やはりみたす:漸化式の解どうしを定数倍して足したものも、また漸化式の解である。問1で見たとおり、特性方程式の各解 αi\alpha_i について等比数列 αi n\alpha_i^{\,n} は漸化式の解だから、これと合わせれば、重ね合わせ A1α1 n+⋯+Am−1αm−1 nA_1\alpha_1^{\,n}+\dots+A_{m-1}\alpha_{m-1}^{\,n} は、係数 A1,…,Am−1A_1,\dots,A_{m-1} をどう選んでも必ず漸化式をみたすことがわかる。

問3:これで漸化式の解の「全部」なのか。  つまり、どんな初期値から出発した解も、本当にこの重ね合わせの形に書けるのか。カギは、漸化式の解ははじめの m−1m{-}1 項で完全に決まるという当たり前の事実だ。a1,…,am−1a_1,\dots,a_{m-1} が決まれば漸化式が ama_m を決め、それが決まれば次の am+1a_{m+1} が決まり、……とドミノ式にすべて決まってしまう(授業でやった帰納法の考え方そのものである)。したがって、もし係数 A1,…,Am−1A_1,\dots,A_{m-1} をうまく選んで、重ね合わせのはじめの m−1m{-}1 項を与えられた a1,…,am−1a_1,\dots,a_{m-1} に一致させられれば、もとの解と重ね合わせはともに漸化式をみたし出だしも同じだから、以後のすべての項が一致する。つまり、その解は重ね合わせの形に書けている。係数を合わせる条件は

A1 α1+⋯+Am−1 αm−1=a1,A1 α1 2+⋯+Am−1 αm−1 2=a2,  ⋮\begin{aligned}A_1\,\alpha_1+\dots+A_{m-1}\,\alpha_{m-1}&=a_1,\\A_1\,\alpha_1^{\,2}+\dots+A_{m-1}\,\alpha_{m-1}^{\,2}&=a_2,\\&\ \ \vdots\end{aligned}

という、A1,…,Am−1A_1,\dots,A_{m-1} についての連立一次方程式(m−1m{-}1 本)である。33 項間(m=3m=3)なら未知数 22 個の連立で、α≠β\alpha\neq\beta のとき必ず解ける。実際、手順2の「22 本の等比を引き算する」計算は、この連立を解いたことに相当している。

残る一点は、一般の mm でも、この連立は必ず解けるのかである。未知数 m−1m{-}1 個に式が m−1m{-}1 本だから、文字を順に消去していけば解けそうに見えるし、実際特性方程式の解がすべて相異なれば、この連立方程式は必ずただ 11 通りに解ける。ただし、未知数と式の数が同じでも、式どうしが「かぶって」いると解は定まらない(例:x+y=1x+y=1 と 2x+2y=22x+2y=2)。解 α1,…,αm−1\alpha_1,\dots,\alpha_{m-1} が相異なるかぎりこの「かぶり」は決して起きない、というのがここの核心で、その厳密な証明に大学で学ぶ線形代数という分野の道具(ヴァンデルモンドの行列式)を使う。ここではこの 11 点だけを事実として認めよう。

ここまでの到達点

  1. 重ね合わせ A1α1 n+⋯+Am−1αm−1 nA_1\alpha_1^{\,n}+\dots+A_{m-1}\alpha_{m-1}^{\,n} は常に漸化式の解(問1+問2。完全に初等的)。
  2. 係数さえ確定すれば、漸化式に従うよう作った以上それ以外の値の取りようがない(問3のドミノ。これも初等的)。
  3. 大学数学を借りるのは「係数合わせの連立が必ず解ける」という最後の一手だけ(ヴァンデルモンドの行列式)。

形を当てずっぽうに仮定したのではなく、これが解の全部だと確定できるのが要点である。

仕上げ:mm 項間を実際に等比へ「落とす」。  最後に、mm 項間を項数が 11 つ少ない漸化式に落とすための α\alpha の条件として、この m−1m{-}1 次特性方程式が現れることを、§2と同じ係数を見比べる計算で確かめる。bk=ak+1−α akb_k=a_{k+1}-\alpha\,a_k とおき、{bk}\{b_k\} が項数の 11 つ少ない漸化式をみたすように α\alpha を選ぶ。この α\alpha として特性方程式の解を 11 つ使うたびに、項数が 11 つ減っていく。

一般の44 項間

ak+3=p ak+2+q ak+1+r aka_{k+3}=p\,a_{k+2}+q\,a_{k+1}+r\,a_k

で確かめる。33 項間のときと同じく bk=ak+1−α akb_k=a_{k+1}-\alpha\,a_k の 22 つ先を計算すると

bk+2=ak+3−α ak+2=(p−α) ak+2+q ak+1+r ak.\begin{aligned}b_{k+2}&=a_{k+3}-\alpha\,a_{k+2}\\&=(p-\alpha)\,a_{k+2}+q\,a_{k+1}+r\,a_k.\end{aligned}

これが bb だけの 33 項間 bk+2=P bk+1+Q bkb_{k+2}=P\,b_{k+1}+Q\,b_k になってほしい。右辺を bk+1=ak+2−α ak+1b_{k+1}=a_{k+2}-\alpha\,a_{k+1}、bk=ak+1−α akb_k=a_{k+1}-\alpha\,a_k で書き直して ak+2,ak+1,aka_{k+2},a_{k+1},a_k の係数を見比べると、

P=p−α,Q−αP=q,−αQ=r\begin{aligned}&P=p-\alpha,\quad Q-\alpha P=q,\quad -\alpha Q=r\end{aligned}

の 33 本が出る。上の 22 本から Q=q+αP=q+α(p−α)Q=q+\alpha P=q+\alpha(p-\alpha) を最後の式に入れ、α\alpha だけの式に直すと

α3=p α2+q α+r.\alpha^3=p\,\alpha^2+q\,\alpha+r .

つまり α\alpha は、33 項間での x2=px+qx^2=px+q にあたる特性方程式 x3=p x2+q x+rx^3=p\,x^2+q\,x+r の解でなければならない(33 項間で特性方程式が an+1−α ana_{n+1}-\alpha\,a_n を等比にする条件だったのと同様、これも44 項間を 33 項間に落とすための α\alpha の条件として現れる)。この 33 次方程式の 33 解 α,β,γ\alpha,\beta,\gammaについて、x3−p x2−q x−r=(x−α)(x−β)(x−γ)x^3-p\,x^2-q\,x-r=(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma) の係数を見比べれば解と係数の関係

α+β+γ=p,αβ+βγ+γα=−q,αβγ=r\begin{aligned}&\alpha+\beta+\gamma=p,\quad \alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=-q,\quad \alpha\beta\gamma=r\end{aligned}

が成り立つ。33 項間で α+β=p, αβ=−q\alpha+\beta=p,\ \alpha\beta=-q が果たしたのと同じ役割だ。

落とした先の特性方程式はどうなるか。  ここで大事なのは、落とした 33 項間 bk+2=P bk+1+Q bkb_{k+2}=P\,b_{k+1}+Q\,b_k の特性方程式 x2=Px+Qx^2=Px+Q の 22 解が、残りの解 β,γ\beta,\gamma そのものだということである。実際、もとの特性方程式の解と係数の関係から

P=p−α=(α+β+γ)−α=β+γ,Q=−βγ\begin{aligned}P&=p-\alpha=(\alpha+\beta+\gamma)-\alpha=\beta+\gamma,\\Q&=-\beta\gamma\end{aligned}

となり(QQ は −αQ=r=αβγ-\alpha Q=r=\alpha\beta\gamma より)、x2−Px−Q=(x−β)(x−γ)x^2-Px-Q=(x-\beta)(x-\gamma)。つまり、解 α\alpha を使って 44 項間を33 項間へ落とすと、使われずに残った解 β,γ\beta,\gamma が、そのまま落とした先の 33 項間に引き継がれる(P,QP,Q はβ,γ\beta,\gamma 自身ではなく、その和と積=落とした先の解と係数である)。この 33 項間を§2の方法でさらに 22 項間まで落とせば bkb_k が求まり、最後にak+1−α ak=bka_{k+1}-\alpha\,a_k=b_k を解いて ana_n が出る。結果として一般項は等比の重ね合わせ

an=A α n+B β n+C γ na_n=A\,\alpha^{\,n}+B\,\beta^{\,n}+C\,\gamma^{\,n}

になり、係数 A,B,CA,B,C は、33 項間と同じく順に等比へ落として引く操作を最後までたどれば初期値 a1,a2,a3a_1,a_2,a_3 から定まる。

55 項間以上も手つきは同じで、bk=ak+1−α akb_k=a_{k+1}-\alpha\,a_k とおくたびに項数が 11 つ減り、α\alpha の満たす特性方程式の次数が 11 つずつ上がる。解と係数の関係の本数も特性方程式の次数ぶん(項数より 11 少ない本数)に増える(一般には ∑,∏\textstyle\sum,\prod を使う書き方になり、ここには書ききれない)。式が長くなるだけで、項数を 11 つずつ落として等比に帰着させるという筋は少しも変わらない。

コラム:微分方程式とのつながり(特性方程式のふるさと)

実は、この「特性方程式」という道具は、数列だけのものではない。大学で学ぶ微分方程式(関数の「変わり方」=増える速さに条件をつけて、関数そのものを求めるタイプの方程式)を解くのに、まったく同じ特性方程式が現れる。数列の側では 1818 世紀前半にド・モアブルが同じ考えで漸化式(回帰級数)を解き、ほぼ同じころオイラーが線形微分方程式を解くために同じ手法を整えた。数列 ana_n の番号 nn は 1,2,3,…1,2,3,\dots と、とびとびにしか動かない。この nn を、すき間なく連続に動く変数 xx に置きかえ、数列 ana_n を関数 y(x)y(x) に置きかえたものが微分方程式の世界である。つまり微分方程式は「漸化式のnn を xx へ連続化したもの」であり、逆に言えば漸化式は微分方程式の“とびとび版”にあたる。等比数列 α n\alpha^{\,n} の相方は指数関数であり、特性方程式が同じ形になること、解と係数の関係で解けること、重解のときにおまけの nn(あちらでは xx)が付くこと、虚数解のときに三角関数(振動)が現れることまで、本稿の話が一つ残らず対応する。2この対応は、別の記事「漸化式と微分方程式:同じ理論の離散版と連続版」で詳しく書きました。下の脚注へ高校の数学IIIで微分・積分を学ぶと微分方程式の入り口が見えてくるので、興味があったら「線形微分方程式 特性方程式」で調べてみてほしい。

まとめ:「等比に落とす」で2項間と3項間を統一

  1. 2項間 an+1=rana_{n+1}=r a_n は等比数列(=完全に解ける)。3項間はこれに落とすのが目標。
  2. 特性方程式 x2=px+qx^2=px+q(an+1−αana_{n+1}-\alpha a_n を等比にする条件)の 22 解 α,β\alpha,\beta で、漸化式を 22 通りの等比の形(an+2−αan+1=β (an+1−αan)a_{n+2}-\alpha a_{n+1}=\beta\,(a_{n+1}-\alpha a_n) と、α,β\alpha,\beta を入れかえた形)に書き直し、22 本の等比を作って引き算すれば ana_n(=Aαn+Bβn=A\alpha^n+B\beta^n 型)が一意に定まる(形を先に仮定して係数を当てるのは十分条件どまり)。解と係数の関係 α+β=p, αβ=−q\alpha+\beta=p,\ \alpha\beta=-q がこの書き直しを支える。
  3. 解が有理数なら一般項もきれい(例1)、無理数なら整数列でも一般項に無理数(例2・フィボナッチ)、虚数なら実数のまま周期的=三角関数(例3)。
  4. 重解のときは等比が等差にずれて an=(A+Bn)αna_n=(A+Bn)\alpha^n 型(本文の例で確認)。一般の mm 項間も項数を 11 つずつ落として等比に帰着するだけ(解と係数の関係が支える)。

確かめてみよう

  • 表計算で数列を作る:a1,a2a_1,a_2 を置き、an+2=p an+1+q ana_{n+2}=p\,a_{n+1}+q\,a_n で下へ伸ばす。例1なら 4n−3n4^n-3^n、例3なら 23sin⁡(60∘n)\frac{2}{\sqrt3}\sin(60{}^{\circ} n) と一致するのを確かめる。
  • Desmos で一般項を重ねる:desmos.com/calculator にa(n)=4^n-3^n や b(n)=2/sqrt(3)sin(60n*pi/180) を入れ、整数 nn での値が数列と合うか見る。

1 塾の授業で扱った問題は塾の教材なので、数値を変えた類題に差し替えています。

2 この対応は、別の記事「漸化式と微分方程式:同じ理論の離散版と連続版」で詳しく書きました。

塾の授業で配った補足資料をもとに、問題を類題に差し替えて書き直しました。

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