場の量子論入門 第2部 第2章 §2.2.1 ★★★ 真空の定義とエネルギー・運動量の固有値。
第1章で得た H=∫(2π)3d3pEpap†ap+(定数) は、形式的には無限個の調和振動子のエネルギーの和である。本章では、この演算子代数が作る状態空間を調べ、「励起量子=相対論的粒子」という読み替えが正当であることを確かめる。非相対論の第二量子化(『量子力学入門』第9部 第2章)を既に学んでいれば、ここでやることは形式的にはその繰り返しである。違いは、分散関係がEp=p2+m2 であること、場 ϕ が a と a† の両方を含むこと、そして規格化を Lorentz 不変にそろえる必要があることの3点に集約される。
真空 ∣0⟩ を、すべてのモードの消滅演算子で消える状態として定義する:
ap∣0⟩=0(∀p),⟨0∣0⟩=1.
これが H の最低エネルギー状態である。実際 ap†ap は非負の演算子だから、⟨ψ∣ap†ap∣ψ⟩=∥ap∣ψ⟩∥2≥0 であり、すべての p でゼロになるのは ap∣ψ⟩=0 のときに限る。
真空のエネルギーは式(2.1.8) の第2項、すなわち発散した定数 E0 である。第3章で議論するように、重力を考えない限りエネルギーの絶対値には意味がないので、以後は H から E0 を差し引いた
H=∫(2π)3d3p Epap†ap(2.2.1)
を使う。この操作を正規順序化と呼び、第3章で定義する。
aq†∣0⟩ の性質を調べる。例題 1.2 で計算した [H,aq]=−Eqaq のHermite 共役から [H,aq†]=+Eqaq† であり、H∣0⟩=0 と合わせて
Haq†∣0⟩=[H,aq†]∣0⟩=Eqaq†∣0⟩.
つまり aq†∣0⟩ はエネルギー Eq=q2+m2 の固有状態である。
運動量についても同じことを見る。第1部 第4章の Noether の定理から、空間並進に対応する保存量は Pi=−∫d3xT0i=−∫d3x π∂iϕ である。展開を代入して第1章と同じ整理を行うと
P=∫(2π)3d3p p ap†ap(2.2.2)
となる(零点項に相当する ∫(2π)3d3pp21(2π)3δ3(0) は被積分関数が p の奇関数なので積分するとゼロになり、H のときのような発散した定数は現れない)。したがってPaq†∣0⟩=qaq†∣0⟩ である。
エネルギー q2+m2、運動量 q を持ち、これらがE2−p2=m2 という相対論的な関係を満たす。この事実をもって、aq†∣0⟩ を「質量 m、運動量 q の粒子が1個ある状態」と読む。場の量子論において粒子とは、場のモードの励起量子のことである。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com