場の量子論入門 第2部 第2章 §2.2.4 ★★★ ϕ(x)∣0⟩ の意味。波動関数と場をつなぐ橋。
ϕ の展開(2.1.5) を真空に作用させると、ap∣0⟩=0 よりap† の項だけが残る:
ϕ(x)∣0⟩=∫(2π)3d3p 2Ep1eip⋅xap†∣0⟩=∫(2π)3d3p 2Ep1eip⋅x∣p⟩.
最後の等号では ap†∣0⟩=∣p⟩/2Ep を使った。すなわち ϕ(x)∣0⟩ は、不変測度で重み付けした1粒子状態の重ね合わせである。この状態を1粒子状態に射影すると
⟨p∣ϕ(x)∣0⟩=eip⋅x(2.2.6)
という単純な結果になる(⟨p∣q⟩=2Ep(2π)3δ3 を使えば直ちに出る)。場の演算子の真空と1粒子状態の間の行列要素が平面波である、というのが式(2.2.6) の内容で、これが「1粒子量子力学の波動関数」と「場の演算子」をつなぐ橋になっている。より一般に、1粒子状態 ∣ψ⟩=∫(2π)3d3p2Ep1f(p)∣p⟩ に対して
⟨0∣ϕ(x)∣ψ⟩=∫(2π)3d3p 2Ep1f(p)e−ip⋅x
となり、右辺は f を運動量表示の波動関数とする Klein–Gordon 方程式の解である。
非相対論の場の演算子 ψ^†(r) は、位置 r に粒子をきっちり1個作る演算子で、{ψ^(r),ψ^†(r′)}=δ3(r−r′) が示すように完全に局在した状態を生む。一方、相対論版の ϕ(x)∣0⟩ は重み 1/(2Ep) のせいで完全には局在せず、Compton 波長 1/m 程度に広がる。これは技術的な不便ではなく物理的な内容を持っている。粒子を 1/m より狭い領域に押し込めようとすると不確定性関係から運動量が m を超え、対生成が起きて「1粒子」という前提自体が崩れるからである。
非相対論の第二量子化との対応
『量子力学入門』第9部 第2章の非相対論的な場 ψ^(r)=∑kφk(r)a^kと、本章の ϕ(x) の違いは次の4点にまとめられる。(i) ψ^ は a^ だけを含むので粒子数を必ず1つ減らすが、ϕ は ap と ap† の両方を含むので粒子数を変える向きが一意でない。(ii) 分散関係が p2/2m ではなく p2+m2 である。(iii) ϕ は Hermite 演算子であり、それ自身が観測量の候補になる。(iv) 複素場にすると反粒子が現れる(第5章)。非相対論の理論は ∣p∣≪m の極限で回復し、そこではe−imt の因子をくくり出すと ψ^ の理論に帰着する。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com