場の量子論入門 第4部 第1章 §4.1.3 ★★ なぜスピン 1/2 か:回転の生成子が σ/2 を2つ並べた形になる
「ψ はスピン 1/2 の粒子を表す」と言うとき、その根拠は ψ が Lorentz 群のどの表現に属するかにある。ここではその表現を具体的に作る。
4元ベクトル xμ の Lorentz 変換 x′μ=Λ νμxν を、微小変換 Λ νμ=δνμ+ω νμ(ωμν=−ωνμ は6個の微小パラメータで、3個が回転角、3個がラピディティ)で考える。場 ψ は、座標の変換に伴って成分が混ざる:
ψ(x) ⟶ ψ′(x′)=Λ1/2ψ(x),Λ1/2=exp(−2iωμνSμν).
未知なのは 4×4 行列 Sμν(=−Sνμ)である。これが満たすべき条件は、Dirac 方程式が変換後も同じ形をもつこと(共変性)である。
答えを先に書くと、
Sμν=4i[γμ,γν]
であり、これで条件が満たされる。確認の要は、Dirac 代数だけから従う次の交換関係である。γμγρ=2ημρ−γργμ を2回使うと[γμ,γργσ]=2ημργσ−2ημσγρが出るので、
[γμ,Sρσ]=4i[γμ,[γρ,γσ]]=i(ημργσ−ημσγρ)=(Jρσ) νμγν(4.1.12)
となる。最右辺の (Jρσ) νμ=i(ηρμδνσ−ησμδνρ) は、4元ベクトルに作用する Lorentz 生成子そのものである。式(4.1.12)は「γμ はスピノル添字については行列だが、μ については4元ベクトルとして振る舞う」ことを述べている。これを微小変換に展開して積み上げると
Λ1/2−1γμΛ1/2=Λ νμγν(4.1.13)
が得られ、これを (iγμ∂μ−m)ψ=0 に代入すると、変換後の方程式も同じ形になる。また式(4.1.12)から、Sμν 自身が Jμν と同じ Lorentz 代数の交換関係を満たすことも従う。
回転部分:スピン 1/2 であることの意味
Sμν の空間成分を Dirac 表示(4.1.8)で計算すると
Sij=21εijkΣk,Σk≡(σk00σk)(4.1.14)
となる。したがって z 軸まわりの角 θ の回転ではΛ1/2=exp(−iθΣ3/2) であり、これは Pauli 行列で書いたスピン 1/2 の回転演算子(『量子力学入門』第4部 第1章)を2組並べたものに他ならない。Σ3 の固有値は ±1 なので、スピン角運動量の z 成分は ±1/2 である。4成分のうち2成分ずつが同じスピンの値を担い、残りの分裂は粒子と反粒子の区別に対応する(第2章で確認する)。
一方、ブースト部分は S0i=2iγ0γi=2iαi で、αi が Hermite なので S0i は反 Hermite であり、ブーストに対する Λ1/2 はユニタリでない。この事実がψ†ψ が不変量でない理由であり、代わりに ψˉψ を使う理由である。実際、式(4.1.4)から γ0Sμν†γ0=Sμν が示せ、したがって
γ0Λ1/2†γ0=Λ1/2−1⟹ψˉ→ψˉΛ1/2−1(4.1.15)
となり、ψˉψ→ψˉΛ1/2−1Λ1/2ψ=ψˉψ(スカラー)、ψˉγμψ→Λ νμψˉγνψ(式(4.1.13)を使った。4元ベクトル)が言える。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com