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場の強さとゲージ不変な運動項

2026年10月15日5分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第5部 第1章 局所ゲージ不変性とゲージ場

AI 生成・木下が未勉強

場の量子論入門 第5部 第1章 §5.1.4 ★★★ FμνF_{\mu\nu} は共変微分の交換子。Maxwell 項の形が決まる

ここまでで AμA_\mu は導入されたが、AμA_\mu 自身が時空を伝わるための運動項がまだない。運動項は、AμA_\mu の微分を含み、Lorentz 不変で、局所ゲージ変換のもとで不変でなければならない。そのような量を作る材料が、共変微分どうしの交換子である。任意の場 ψ\psi に対して

[Dμ, Dν]ψ=ie(∂μAν−∂νAμ)ψ\left[D_\mu,\,D_\nu\right]\psi=\mathrm{i} e\bigl(\partial_{\mu} A_\nu-\partial_{\nu} A_\mu\bigr)\psi

が成り立つ(例題 5.1.3 )。微分演算子どうしの交換子であるにもかかわらず、右辺には微分が残らず、掛け算の演算子になっている点が要点である。そこで

 Fμν≡1ie[Dμ, Dν]=∂μAν−∂νAμ \boxed{\ F_{\mu\nu}\equiv\frac{1}{\mathrm{i} e}\left[D_\mu,\,D_\nu\right]=\partial_{\mu} A_\nu-\partial_{\nu} A_\mu\ }

と定義する。FμνF_{\mu\nu} を場の強さ(field strength)と呼ぶ。DμψD_\mu\psi が ψ\psi と同じ位相因子で変換するので、[Dμ, Dν]ψ\left[D_\mu,\,D_\nu\right]\psi も同じ位相因子で変換し、したがって FμνF_{\mu\nu} 自身は位相因子を持たない。すなわち FμνF_{\mu\nu} はゲージ不変である。直接確かめても

Fμν→∂μ(Aν+1e∂να)−∂ν(Aμ+1e∂μα)=FμνF_{\mu\nu}\to\partial_{\mu}\Bigl(A_\nu+\tfrac1e\partial_{\nu}\alpha\Bigr)-\partial_{\nu}\Bigl(A_\mu+\tfrac1e\partial_{\mu}\alpha\Bigr)=F_{\mu\nu}

であり、∂μ∂να\partial_{\mu}\partial_{\nu}\alpha の対称性から余分な項が消える。成分を書けばF0i=−EiF^{0i}=-E^i、Fij=−εijkBkF^{ij}=-\varepsilon^{ijk}B^k であり、FμνF_{\mu\nu} は電場と磁場を1つのテンソルにまとめたものである。

ゲージ不変で Lorentz 不変、かつ質量次元が4以下(くりこみ可能性の要請。第6部)という条件で FμνF_{\mu\nu} から作れる項は、FμνFμνF_{\mu\nu}F^{\mu\nu} とεμνρσFμνFρσ\varepsilon^{\mu\nu\rho\sigma}F_{\mu\nu}F_{\rho\sigma} の2つしかない。後者は全微分であり運動方程式に寄与しないので落とす(空間反転で符号を変えるため、パリティを保つ理論ではそもそも許されないという言い方もできる)。残るのは

LA=−14FμνFμν\mathcal{L}_A=-\frac14F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}

であり、係数 −1/4-1/4 は LA=12(E2−B2)\mathcal{L}_A=\frac12(\bm{E}^2-\bm{B}^2) という標準的な規格化に対応する。こうして QED の Lagrangian 密度

 LQED=ψˉ(iD̸−m)ψ−14FμνFμν=ψˉ(i∂̸−m)ψ−14FμνFμν−e ψˉγμψ Aμ \boxed{\ \mathcal{L}_{\rm QED}=\bar\psi \bigl(\mathrm{i}\not D-m\bigr)\psi-\frac14F_{\mu\nu}F^{\mu\nu} =\bar\psi (\mathrm{i}\not\partial-m)\psi-\frac14F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}-e\,\bar\psi \gamma^\mu\psi\,A_\mu\ }

が完成する。AμA_\mu についての Euler–Lagrange 方程式は

∂μFμν=e ψˉγνψ\partial_{\mu} F^{\mu\nu}=e\,\bar\psi \gamma^\nu\psi

であり、右辺を電流と読めば Maxwell 方程式の非斉次な組(Gauss の法則と Ampère–Maxwell の法則)である。斉次な組(∇⋅B=0\nabla\cdot\bm{B}=0 と Faraday の法則)は Fμν=∂μAν−∂νAμF_{\mu\nu}=\partial_{\mu} A_\nu-\partial_{\nu} A_\mu という表示から恒等的に従う(Bianchi 恒等式)。電磁気学で経験則として与えられていた Maxwell 方程式が、ここでは局所 U(1)U(1) 不変性の要求から導かれた。

例題 1.3(共変微分の交換子)

オリジナル[Dμ, Dν]ψ=ieFμνψ\left[D_\mu,\,D_\nu\right]\psi=\mathrm{i} eF_{\mu\nu}\psi を示せ。ただし Dμ=∂μ+ieAμD_\mu=\partial_{\mu}+\mathrm{i} eA_\mu、Fμν=∂μAν−∂νAμF_{\mu\nu}=\partial_{\mu} A_\nu-\partial_{\nu} A_\mu とする。

解答

交換子は演算子どうしの関係なので、必ず場 ψ\psi に作用させて計算する。

DμDνψ=(∂μ+ieAμ)(∂νψ+ieAνψ)=∂μ∂νψ+ie(∂μAν)ψ+ieAν∂μψ+ieAμ∂νψ−e2AμAνψ.D_\mu D_\nu\psi=\bigl(\partial_{\mu}+\mathrm{i} eA_\mu\bigr)\bigl(\partial_{\nu}\psi+\mathrm{i} eA_\nu\psi\bigr) =\partial_{\mu}\partial_{\nu}\psi+\mathrm{i} e(\partial_{\mu} A_\nu)\psi+\mathrm{i} eA_\nu\partial_{\mu}\psi+\mathrm{i} eA_\mu\partial_{\nu}\psi-e^2A_\mu A_\nu\psi .

第2項は微分が AνA_\nu に当たった分(Leibniz 則)である。μ\mu と ν\nu を入れ替えた式を引くと、∂μ∂νψ\partial_{\mu}\partial_{\nu}\psi は対称なので消え、ieAν∂μψ+ieAμ∂νψ\mathrm{i} eA_\nu\partial_{\mu}\psi+\mathrm{i} eA_\mu\partial_{\nu}\psi も対称なので消え、−e2AμAνψ-e^2A_\mu A_\nu\psi も対称なので消える。残るのは

[Dμ, Dν]ψ=ie(∂μAν−∂νAμ)ψ=ieFμνψ\left[D_\mu,\,D_\nu\right]\psi=\mathrm{i} e\bigl(\partial_{\mu} A_\nu-\partial_{\nu} A_\mu\bigr)\psi=\mathrm{i} eF_{\mu\nu}\psi

だけである。微分演算子が消え、掛け算の演算子だけが残ったことが本質である。この事実によってFμνF_{\mu\nu} は「場」として扱える量になり、これを使って運動項が組める。

なお、U(1)U(1) では AμA_\mu が数(可換)なので −e2AμAν-e^2A_\mu A_\nu が対称になって消えたが、AμA_\mu が行列(非可換)ならこの項は残る。それが第 5.1.6 節の主題である。■\blacksquare

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