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曲線論の基本定理

2026年10月22日12分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第6章 曲線の幾何
目次
  1. 剛体運動で変わらない量
  2. 基本定理の主張
  3. 一意性の証明
  4. 存在の証明
  5. 曲率から曲線を組み立てる例
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第6章 §6.3 ★★ 曲率と捩率は曲線の形の完全な記述になる。存在は線形常微分方程式、一意性は内積の保存で示す

剛体運動で変わらない量

曲線を空間の中で平行移動したり回転したりしても、曲がり方とねじれ方は変わらないはずである。この直観を式で確かめる。

定義 6.15(剛体運動)

直交行列 QQ とベクトル c∈R3\bm{c}\in\mathbb{R}^3 をとる。写像 x↦Qx+c\bm{x}\mapsto Q\bm{x}+\bm{c} を合同変換と呼ぶ。合同変換のうち、det⁡Q=+1\det Q=+1 のものを剛体運動と呼ぶ。

行列式が −1-1 の合同変換は、鏡映を含む。証明の中では、直交行列についての次の恒等式を使う。

Qa×Qb=(det⁡Q) Q(a×b).Q\bm{a}\times Q\bm{b}=(\det Q)\,Q(\bm{a}\times\bm{b}).

外積は右手系の向きを使って定義されているので、鏡映を含む変換では向きが反転する。この恒等式はそのことを表している。

命題 6.16(曲率と捩率の不変性)

曲線 r(s)\bm{r}(s) を合同変換で写した曲線を r~(s)=Qr(s)+c\tilde{\bm{r}}(s)=Q\bm{r}(s)+\bm{c} とする。その曲率と捩率は次のようになる。

κ~=κ,τ~=(det⁡Q) τ.\tilde\kappa=\kappa,\qquad \tilde\tau=(\det Q)\,\tau.

とくに剛体運動では、曲率も捩率も変わらない。

証明

QQ は長さを保つので、r~′=Qr′\tilde{\bm{r}}'=Q\bm{r}' は単位ベクトルである。したがって ss は写した曲線の弧長でもある。T~=QT\tilde{\bm{T}}=Q\bm{T} を微分すると T~′=κ QN\tilde{\bm{T}}'=\kappa\,Q\bm{N} となる。QNQ\bm{N} は単位ベクトルなので、曲率は変わらず、主法線は QNQ\bm{N} である。

従法線は上の恒等式から次になる。

B~=QT×QN=(det⁡Q) QB.\tilde{\bm{B}}=Q\bm{T}\times Q\bm{N}=(\det Q)\,Q\bm{B}.

これを微分すると、次の式を得る。

B~′=(det⁡Q) QB′=−(det⁡Q) τ QN=−(det⁡Q) τ N~.\tilde{\bm{B}}'=(\det Q)\,Q\bm{B}'=-(\det Q)\,\tau\,Q\bm{N}=-(\det Q)\,\tau\,\tilde{\bm{N}}.

第3式 B~′=−τ~N~\tilde{\bm{B}}'=-\tilde\tau\tilde{\bm{N}} と比べて、τ~=(det⁡Q) τ\tilde\tau=(\det Q)\,\tau を得る。

鏡に映した螺旋は巻きの向きが逆になり、捩率の符号が反転する。右巻きのねじと左巻きのねじが回転では重ならないことは、この符号の違いとして表される。

基本定理の主張

定理 6.17(曲線論の基本定理 ★★★)

区間 II 上の滑らかな関数 κ(s),τ(s)\kappa(s),\tau(s) を与える。ただし κ\kappa はつねに正とする。

  1. (存在)弧長で表され、曲率が κ(s)\kappa(s)、捩率が τ(s)\tau(s) である空間曲線が存在する。
  2. (一意性)同じ曲率と捩率をもつ2つの曲線は、剛体運動で互いに重なる。

この定理によって、曲線の形を調べる問題は、2つの1変数関数を調べる問題に置き換わる。弧長をパラメータに選ぶのは、パラメータの取り方による違いを取り除くためである。

一意性の証明

一意性の証明

2つの曲線 r,r~\bm{r},\tilde{\bm{r}} が同じ曲率と捩率をもつとし、点 s0∈Is_0\in I を1つ選ぶ。s0s_0 での2つの Frenet 標構は、どちらも右手系の正規直交基底である。したがって一方を他方へ写す回転 QQ がある。

写した曲線の位置が s0s_0 で一致するように、平行移動 c\bm{c} を選ぶ。

c=r(s0)−Qr~(s0).\bm{c}=\bm{r}(s_0)-Q\tilde{\bm{r}}(s_0).

r~\tilde{\bm{r}} を Qr~+cQ\tilde{\bm{r}}+\bm{c} に置き換えても、命題 6.16 により曲率と捩率は変わらない。置き換えたあとは、s0s_0 で位置と標構が一致する。

次の関数を考える。

f(s)=T⋅T~+N⋅N~+B⋅B~.f(s)=\bm{T}\cdot\tilde{\bm{T}}+\bm{N}\cdot\tilde{\bm{N}}+\bm{B}\cdot\tilde{\bm{B}}.

両方の曲線に (6.6) を使って微分すると、次になる。

f′=κN⋅T~+κT⋅N~+(−κT+τB)⋅N~+N⋅(−κT~+τB~)−τN⋅B~−τB⋅N~=0.\begin{aligned}f'&=\kappa\bm{N}\cdot\tilde{\bm{T}}+\kappa\bm{T}\cdot\tilde{\bm{N}} +(-\kappa\bm{T}+\tau\bm{B})\cdot\tilde{\bm{N}}+\bm{N}\cdot(-\kappa\tilde{\bm{T}}+\tau\tilde{\bm{B}}) -\tau\bm{N}\cdot\tilde{\bm{B}}-\tau\bm{B}\cdot\tilde{\bm{N}}\\ &=0.\end{aligned}

6つの項は2つずつ打ち消し合う。

したがって ff は定数で、s0s_0 での値は3である。

単位ベクトルどうしの内積は1以下で、等号はベクトルが一致するときに限る。3つの内積の和が3なので、すべての ss で2つの標構は一致する。とくに T=T~\bm{T}=\tilde{\bm{T}} なので、r−r~\bm{r}-\tilde{\bm{r}} は定数である。点 s0s_0 で一致しているので、2つの曲線は等しい。

存在の証明

存在は、Frenet–Serret の式 (6.7) を、未知の標構についての方程式として解いて示す。未知数は3本のベクトルの9成分で、方程式はそれらについて線形である。

存在の証明

点 s0∈Is_0\in I を選ぶ。行列値の未知関数 E(s)E(s) について、次の初期値問題を考える。

E′(s)=K(s) E(s),E(s0)=I,K=(0κ0−κ0τ0−τ0).(6.11)E'(s)=K(s)\,E(s),\qquad E(s_0)=I,\qquad K=\begin{pmatrix}0&\kappa&0\\-\kappa&0&\tau\\0&-\tau&0\end{pmatrix}.\tag{6.11}

係数が区間上で連続な線形常微分方程式の解は、その区間全体でただ1つ存在する(線形常微分方程式の存在と一意性の定理)。EE の3つの行を、T(s),N(s),B(s)\bm{T}(s),\bm{N}(s),\bm{B}(s) と名付ける。

手順1(正規直交性が保たれること)。

行列 G=EETG=EE^{\mathsf T} の成分は、3本の行ベクトルどうしの内積である。これを微分すると次になる。

G′=E′ET+E E′T=KG+GKT=KG−GK.G'=E'E^{\mathsf T}+E\,E'^{\mathsf T}=KG+GK^{\mathsf T}=KG-GK.

最後の等号で、KK が反対称であることを使った。

定数行列 G≡IG\equiv I は方程式 G′=KG−GKG'=KG-GK を満たし、初期値も同じである。これも線形方程式なので、解は1つしかない。

したがってすべての ss で G(s)=IG(s)=I であり、3本のベクトルはつねに正規直交である。さらに det⁡E\det E は ±1\pm1 の値をとる連続関数で、初期点で1なので、つねに1である。つまり3本は右手系をなす。

手順2(曲線を作る)。

曲線を次のように定める。

r(s)=∫s0sT(u) du.\bm{r}(s)=\int_{s_0}^{s}\bm{T}(u)\,\mathrm{d} u.

r′=T\bm{r}'=\bm{T} は単位ベクトルなので、ss は弧長である。T\bm{T} はこの曲線の単位接ベクトルである。

手順3(曲率と捩率を確かめる)。

(6.11) の第1行から、r′′=κN\bm{r}''=\kappa\bm{N} である。係数は正で N\bm{N} は単位ベクトルなので、曲率は κ\kappa で、主法線は第2行のベクトルである。右手系なので、B=T×N\bm{B}=\bm{T}\times\bm{N} が従法線である。第3行 B′=−τN\bm{B}'=-\tau\bm{N} から、捩率は τ\tau である。

平面曲線の場合

平面では、符号つき曲率 κs(s)\kappa_{\mathrm s}(s) だけで曲線が決まる。この場合の κs\kappa_{\mathrm s} は負の値や 0 をとってもよい。存在は2回の積分で表される。

θ(s)=θ0+∫s0sκs(u) du,r(s)=r0+∫s0s(cos⁡θ(u), sin⁡θ(u)) du.(6.12)\theta(s)=\theta_0+\int_{s_0}^{s}\kappa_{\mathrm s}(u)\,\mathrm{d} u,\qquad \bm{r}(s)=\bm{r}_0+\int_{s_0}^{s}\bigl(\cos\theta(u),\,\sin\theta(u)\bigr)\,\mathrm{d} u.\tag{6.12}

一意性も同様である。定数 θ0\theta_0 と r0\bm{r}_0 の取り方の違いが、平面内の回転と平行移動にあたる。

曲率から曲線を組み立てる例

曲率と捩率がともに正の定数の場合を考える。例題 6.2 の螺旋で、次の連立方程式を満たす a,ba,b を選べばよい。

aa2+b2=κ,ba2+b2=τ.\frac{a}{a^2+b^2}=\kappa,\qquad \frac{b}{a^2+b^2}=\tau.

2式の2乗の和から a2+b2=1/(κ2+τ2)a^2+b^2=1/(\kappa^2+\tau^2) となり、次のように解ける。

a=κκ2+τ2,b=τκ2+τ2.a=\frac{\kappa}{\kappa^2+\tau^2},\qquad b=\frac{\tau}{\kappa^2+\tau^2}.

一意性から、曲率と捩率が一定の曲線は螺旋に限られる。

平面で κs(s)=s/A2\kappa_{\mathrm s}(s)=s/A^2 とすると、曲率が弧長に比例して増える曲線ができる(A>0A>0 は定数)。(6.12) で初期値をすべて 0 にとると、次の Fresnel 積分になる。

x(s)=∫0scos⁡u22A2 du,y(s)=∫0ssin⁡u22A2 du.(6.13)x(s)=\int_0^{s}\cos\frac{u^2}{2A^2}\,\mathrm{d} u,\qquad y(s)=\int_0^{s}\sin\frac{u^2}{2A^2}\,\mathrm{d} u.\tag{6.13}

この曲線をクロソイド(Euler の螺旋)と呼ぶ。s→±∞s\to\pm\infty で、曲線は2点 ±π2A (1,1)\pm\tfrac{\sqrt\pi}{2}A\,(1,1) のまわりを巻きながら近づく(図 6.3)。原点の近くでは直線に近く、離れるほど急に曲がる。この性質のため、§6.4 では道路と鉄道の緩和曲線としてクロソイドが現れる。

図

図 6.3 クロソイド κs=s/A2\kappa_{\mathrm s}=s/A^2(−3.6A≤s≤3.6A-3.6A\le s\le3.6A)。座標は Fresnel 積分 (6.13) を数値で求めた値。原点で曲率が 00 で、両端は点 ±π2A(1,1)\pm\tfrac{\sqrt\pi}{2}A(1,1) のまわりを巻く

例題 6.3 曲率 1/(1+s2)1/(1+s^2) の平面曲線 ★★

オリジナル弧長 s∈Rs\in\mathbb{R} で表された平面曲線で、符号つき曲率が次で与えられるものを求めよ。

κs(s)=11+s2.\kappa_{\mathrm s}(s)=\frac{1}{1+s^2}.

ただし s=0s=0 で原点を通り、そこで単位接ベクトルが (1,0)(1,0) であるとする。得られた曲線が懸垂線 y=cosh⁡x−1y=\cosh x-1 であることを示せ。

解答

(6.12) を使う。初期条件から θ0=0\theta_0=0 なので、接線の角は次になる。

θ(s)=∫0sdu1+u2=arctan⁡s.\theta(s)=\int_0^s\frac{\mathrm{d} u}{1+u^2}=\arctan s.

この角は −π/2-\pi/2 と π/2\pi/2 のあいだにあるので、余弦は正である。

cos⁡θ=11+s2,sin⁡θ=s1+s2.\cos\theta=\frac{1}{\sqrt{1+s^2}},\qquad \sin\theta=\frac{s}{\sqrt{1+s^2}}.

これを積分すると座標が得られる。

x(s)=∫0sdu1+u2=arsinh⁡s,y(s)=∫0su du1+u2=1+s2−1.x(s)=\int_0^s\frac{\mathrm{d} u}{\sqrt{1+u^2}}=\operatorname{arsinh}s,\qquad y(s)=\int_0^s\frac{u\,\mathrm{d} u}{\sqrt{1+u^2}}=\sqrt{1+s^2}-1.

1つ目の式から s=sinh⁡xs=\sinh x であり、2つ目に代入すると次になる。

y=1+sinh⁡2x−1=cosh⁡x−1.y=\sqrt{1+\sinh^2x}-1=\cosh x-1.

検算として、系 6.7 を f(x)=cosh⁡x−1f(x)=\cosh x-1 に使う。

f′′(1+f′2)3/2=cosh⁡xcosh⁡3x=1cosh⁡2x=11+sinh⁡2x=11+s2.\frac{f''}{(1+f'^2)^{3/2}}=\frac{\cosh x}{\cosh^3x}=\frac{1}{\cosh^2x}=\frac{1}{1+\sinh^2x}=\frac{1}{1+s^2}.

基本定理の一意性から、この条件を満たす曲線は懸垂線だけである。

確認テスト

オリジナル

  1. 6.3-1 曲線を鏡映 (x,y,z)↦(x,y,−z)(x,y,z)\mapsto(x,y,-z) で写すと、曲率と捩率はどう変わるか。例題 6.2 の螺旋で確かめよ。
  2. 6.3-2 s>0s>0 で符号つき曲率が 1/s1/s の平面曲線を求めよ。ただし s=1s=1 で θ=0\theta=0 とする。積分定数は、点 r(s)\bm{r}(s) と原点の距離が s/2s/\sqrt2 になるように選ぶ。得られた曲線が対数螺旋であることを確かめよ。
  3. 6.3-3 曲率が 4/254/25、捩率が 3/253/25 で、どちらも一定の曲線を求めよ。その半径とピッチ(1周で軸方向に進む距離)を答えよ。
  4. 6.3-4 曲率が正の空間曲線で、比 τ/κ\tau/\kappa が定数 cc であるとする。ベクトル u=cT+B\bm{u}=c\bm{T}+\bm{B} が一定であることを示せ。さらに、T\bm{T} と u\bm{u} のなす角が一定であることを導け(Lancret の定理の一方向)。

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