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Stokes の定理

2026年10月22日14分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第12章 微分形式と外微分
目次
  1. 境界と向き
  2. 定理と証明
  3. 4つの積分定理
  4. 物理への応用
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第12章 §12.4 ★★★ 微分積分学の基本定理・Green・Stokes・Gauss の4つが、1つの式 ∫Mdω=∫∂Mω\int_M\mathrm{d}\omega=\int_{\partial M}\omega の場合分けになる

境界と向き

境界を持つ kk 次元の向きの入った多様体を MM とする。その境界を ∂M\partial M と書く。例は、平面の円板(境界は円)、空間の曲面の一部(境界は縁の曲線)、空間の立体(境界は表面)である。境界は k−1k-1 次元で、MM の向きから次の規則で向きが入る。

定義 12.13(境界の向き)

境界の点で、MM の外へ向かう接ベクトル noutn_{\mathrm{out}} をとる。境界の接ベクトルの組 (v1,…,vk−1)(v_1,\dots,v_{k-1}) を考える。組 (nout,v1,…,vk−1)(n_{\mathrm{out}},v_1,\dots,v_{k-1}) が MM の正の向きの組であるとき、この組を正の向きと定める。

平面の領域では、この規則は「境界を反時計回りに回る」ことになる。外向きの法線の次に正の向きで続くのは、領域を左手に見て進む向きだからである。3次元空間の曲面では、法線と境界の回り方が右手の規則で結ばれる。

1次元の区間 [a,b][a,b] の境界は2点である。終点には ++ の向き、始点には −- の向きが入る。

定理と証明

定理 12.14(Stokes の定理 ★★★)

MM を境界を持つ kk 次元のコンパクトな向きの入った多様体とし、境界に定義 12.13 の向きを入れる。k−1k-1 形式 ω\omega について、次が成り立つ。

∫Mdω=∫∂Mω(12.26)\int_M\mathrm{d}\omega=\int_{\partial M}\omega\tag{12.26}

証明

証明は3つの手順に分ける。

手順1:立方体。M=Ik=[0,1]kM=I^k=[0,1]^k とする。線形性から、次の形の ω\omega で示せば足りる。

ω=f dx1∧⋯∧dxi^∧⋯∧dxk\omega=f\,\mathrm{d} x^1\wedge\dots\wedge\widehat{\mathrm{d} x^i}\wedge\dots\wedge\mathrm{d} x^k

外微分では ∂if dxi\partial_if\,\mathrm{d} x^i の項だけが残る。dxi\mathrm{d} x^i を先頭へ移すと符号 (−1)i−1(-1)^{i-1} が出る。

dω=(−1)i−1 ∂if dx1∧⋯∧dxk\mathrm{d}\omega=(-1)^{i-1}\,\partial_if\,\mathrm{d} x^1\wedge\dots\wedge\mathrm{d} x^k

xix^i について積分すると、1変数の微分積分学の基本定理から次の式を得る。

∫Ikdω=(−1)i−1∫Ik−1[f∣xi=1−f∣xi=0] dx1⋯dxi^⋯dxk\int_{I^k}\mathrm{d}\omega=(-1)^{i-1}\int_{I^{k-1}}\bigl[f|_{x^i=1}-f|_{x^i=0}\bigr]\,\mathrm{d} x^1\cdots\widehat{\mathrm{d} x^i}\cdots\mathrm{d} x^k

右辺を求める。ω\omega は dxi\mathrm{d} x^i を含まない。そのため、xix^i 以外の座標が一定の面では、引き戻しが 00 になる。残るのは面 xi=1x^i=1 と xi=0x^i=0 だけである。

面 xi=1x^i=1 の外向きは +ei+e_i である。組 (ei,e1,…,ei^,…,ek)(e_i,e_1,\dots,\widehat{e_i},\dots,e_k) の向きは (−1)i−1(-1)^{i-1} である。反対側の面では外向きが逆なので、向きは (−1)i(-1)^i になる。したがって、境界の積分は左辺と同じ式になる。

手順2:立方体の像。滑らかな写像 c ⁣:Ik→Mc\colon I^k\to M で張った面について、(12.20) と手順1から次が成り立つ。

∫cdω=∫Ikc∗dω=∫Ikd(c∗ω)=∫∂Ikc∗ω=∫∂cω\int_c\mathrm{d}\omega=\int_{I^k}c^*\mathrm{d}\omega=\int_{I^k}\mathrm{d}(c^*\omega)=\int_{\partial I^k}c^*\omega=\int_{\partial c}\omega

手順3:張り合わせ。一般の MM は、向きを揃えた小さな立方体の像に分割できる。この事実の証明は多様体の本に譲り、ここでは認める。

隣り合う2つの小片の共通の面は、それぞれの境界として逆向きに1回ずつ現れる(図 12.4)。そのため、共通の面の積分は打ち消し合う。手順2の式を全小片について足すと、左辺は ∫Mdω\int_M\mathrm{d}\omega になる。右辺は外側の境界だけの積分 ∫∂Mω\int_{\partial M}\omega になる。

図

図 12.4 Stokes の定理の手順3。左の4つの小片はどれも反時計回りの境界を持つ。内側の辺は隣の小片と逆向きに1回ずつ通るので、その分の線積分は打ち消し合う。残るのは右の外側の境界だけである。

4つの積分定理

(12.26) の次元を変え、§12.2 の対応を使うと、ベクトル解析の積分定理がすべて出る。

1次元のとき、MM は曲線である。その境界は終点 BB と始点 AA である。ω=f\omega=f を関数とすると、次の勾配定理になる。

∫γdf=f(B)−f(A)(12.27)\int_\gamma\mathrm{d} f=f(B)-f(A)\tag{12.27}

平面の領域 DD では、ω=P dx+Q dy\omega=P\,\mathrm{d} x+Q\,\mathrm{d} y とする。外微分は dω=(∂xQ−∂yP) dx∧dy\mathrm{d}\omega=(\partial_xQ-\partial_yP)\,\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y である。これを (12.26) に入れたものが Green の定理である。

∫D(∂Q∂x−∂P∂y)dx dy=∮∂D(P dx+Q dy)(12.28)\int_D\Bigl(\frac{\partial Q}{\partial x}-\frac{\partial P}{\partial y}\Bigr)\mathrm{d} x\,\mathrm{d} y=\oint_{\partial D}(P\,\mathrm{d} x+Q\,\mathrm{d} y)\tag{12.28}

空間の曲面 SS では、ω=a♭\omega=\bm{a}^\flat とする。(12.16) と (12.25) から、ベクトル解析の形の Stokes の定理になる。

∫S(∇×a)⋅n dS=∮∂Sa⋅dl(12.29)\int_S(\nabla\times\bm{a})\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} S=\oint_{\partial S}\bm{a}\cdot\mathrm{d}\bm{l}\tag{12.29}

空間の立体 VV では、ω=Φb\omega=\Phi_{\bm{b}} とする。(12.17) から、Gauss の発散定理になる。

∫V∇⋅b  dV=∮∂Vb⋅n dS(12.30)\int_V\nabla\cdot\bm{b}\;\mathrm{d} V=\oint_{\partial V}\bm{b}\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} S\tag{12.30}

4つの定理の右辺はどれも、内部で微分したものの積分が境界の値だけで決まるという形をしている。手順3の打ち消し合いが共通の理由で、ベクトル解析で別々に示す4つの証明は、この1つの証明の特別な場合である。

物理への応用

Maxwell 方程式の積分形は、微分形にこの定理を当てたものである。Faraday の法則 ∇×E=−∂tB\nabla\times\bm{E}=-\partial_t\bm{B} を、時間に依らない曲面 SS の上で積分する。(12.29) を左辺に使うと、誘導起電力の式になる。

∮∂SE⋅dl=−ddt∫SB⋅n dS(12.31)\oint_{\partial S}\bm{E}\cdot\mathrm{d}\bm{l}=-\frac{d }{d t}\int_S\bm{B}\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} S\tag{12.31}

同じように、Gauss の法則と (12.30) から、閉曲面を貫く電場の流束は中の電荷の 1/ε01/\varepsilon_0 倍になる。

図

図 12.5 上半球面 SS と、その境界の赤道 ∂S\partial S。外向きの法線 n\bm{n} を選ぶと、右手の規則で赤道は上から見て反時計回りの向きになる。例題 12.5 はこの向きで両辺を計算する。

例題 12.4 楕円の面積と面積速度 ★★

オリジナル

  1. (1) 平面の1形式 ω=12(x dy−y dx)\omega=\tfrac12(x\,\mathrm{d} y-y\,\mathrm{d} x) について、dω=dx∧dy\mathrm{d}\omega=\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y を示せ。領域 DD の面積が、境界での ω\omega の線積分で求まることを説明せよ。
  2. (2) 楕円 x=acos⁡tx=a\cos t、y=bsin⁡ty=b\sin t で囲まれた面積を、(1) を使って求めよ。
  3. (3) 質量 mm の質点が平面を運動する。原点と質点を結ぶ線分が単位時間に掃く面積が、L/(2m)L/(2m) であることを示せ。ここで L=m(xy˙−yx˙)L=m(x\dot y-y\dot x) は角運動量である。
解答

(1) Leibniz 則から次の計算になる。

dω=12(dx∧dy−dy∧dx)=12(dx∧dy+dx∧dy)=dx∧dy\mathrm{d}\omega=\tfrac12(\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y-\mathrm{d} y\wedge\mathrm{d} x)=\tfrac12(\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y+\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y)=\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y

Stokes の定理から、∮∂Dω\oint_{\partial D}\omega は dx∧dy\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y の積分に等しい。それは DD の面積である。境界は反時計回りにとる。

(2) 引き戻しは dx=−asin⁡t dt\mathrm{d} x=-a\sin t\,\mathrm{d} t、dy=bcos⁡t dt\mathrm{d} y=b\cos t\,\mathrm{d} t である。

12(x dy−y dx)=12(abcos⁡2t+absin⁡2t)dt=12ab dt\tfrac12(x\,\mathrm{d} y-y\,\mathrm{d} x)=\tfrac12\bigl(ab\cos^2t+ab\sin^2t\bigr)\mathrm{d} t=\tfrac12ab\,\mathrm{d} t

1周分を積分すると、面積は πab\pi ab である。

(3) 時刻 tt から t+dtt+\mathrm{d} t までに質点が動くと、原点と質点を結ぶ線分は細い三角形を掃く。その面積は、(1) の被積分関数を曲線へ引き戻した値である。(12.24) から、それは次の式になる。

12(xy˙−yx˙) dt=L2m dt\tfrac12(x\dot y-y\dot x)\,\mathrm{d} t=\frac{L}{2m}\,\mathrm{d} t

中心力のもとでは LL が保存するので、面積速度 L/(2m)L/(2m) は一定である。これが Kepler の第2法則である。楕円軌道の周期を TT とすると、(2) から πab=LT/(2m)\pi ab=LT/(2m) という関係が出る。

例題 12.5 上半球面で Stokes の定理を確かめる ★★

オリジナル1形式 ω=−y dx+x dy\omega=-y\,\mathrm{d} x+x\,\mathrm{d} y と、半径 RR の上半球面を考える。上半球面には外向きの法線で向きを入れ、SS と書く。

  1. (1) dω\mathrm{d}\omega を求めよ。
  2. (2) 上半球面を次の写像で表し、∫Sdω\int_S\mathrm{d}\omega を引き戻しで計算せよ。

c(θ,φ)=R (sin⁡θcos⁡φ, sin⁡θsin⁡φ, cos⁡θ),0≤θ≤π2c(\theta,\varphi)=R\,(\sin\theta\cos\varphi,\ \sin\theta\sin\varphi,\ \cos\theta),\qquad 0\le\theta\le\frac\pi2 3. (3) 境界の赤道を図 12.5 の向きに1周する線積分を計算し、(2) と一致することを確かめよ。

解答

(1) dω=−dy∧dx+dx∧dy=2 dx∧dy\mathrm{d}\omega=-\mathrm{d} y\wedge\mathrm{d} x+\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y=2\,\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y である。

(2) 例題 12.3 で見たとおり、(θ,φ)(\theta,\varphi) の順は外向きの法線に合う。dx∧dy\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y の引き戻しの係数は、ヤコビ行列式である。

det⁡(Rcos⁡θcos⁡φ−Rsin⁡θsin⁡φRcos⁡θsin⁡φRsin⁡θcos⁡φ)=R2sin⁡θcos⁡θ\det\begin{pmatrix}R\cos\theta\cos\varphi&-R\sin\theta\sin\varphi\\ R\cos\theta\sin\varphi&R\sin\theta\cos\varphi\end{pmatrix}=R^2\sin\theta\cos\theta

これを積分する。

∫Sdω=2R2∫02π ⁣ ⁣∫0π/2sin⁡θcos⁡θ dθ dφ=2R2⋅2π⋅12=2πR2\int_S\mathrm{d}\omega=2R^2\int_0^{2\pi}\!\!\int_0^{\pi/2}\sin\theta\cos\theta\,\mathrm{d}\theta\,\mathrm{d}\varphi=2R^2\cdot2\pi\cdot\frac12=2\pi R^2

(3) 赤道を x=Rcos⁡φx=R\cos\varphi、y=Rsin⁡φy=R\sin\varphi と表す。φ\varphi の増える向きが、上から見て反時計回りである。

∮∂Sω=∫02π(R2sin⁡2φ+R2cos⁡2φ)dφ=2πR2\oint_{\partial S}\omega=\int_0^{2\pi}\bigl(R^2\sin^2\varphi+R^2\cos^2\varphi\bigr)\mathrm{d}\varphi=2\pi R^2

(2) と一致する。

この値は、赤道を境界とする平らな円板で計算した値 2πR22\pi R^2 とも同じである。Stokes の定理によれば、同じ境界を持つ曲面ならどれで計算しても ∫dω\int\mathrm{d}\omega は等しい。

確認テスト

オリジナル

  1. 12.4-1 ポテンシャル VV を持つ力 F=−∇V\bm{F}=-\nabla V を考える。その力のする仕事が始点と終点だけで決まり、経路に依らないことを、(12.27) を使って示せ。
  2. 12.4-2 次の2形式と単位立方体 V=[0,1]3V=[0,1]^3 を考える。

β=x dy∧dz+y dz∧dx+z dx∧dy\beta=x\,\mathrm{d} y\wedge\mathrm{d} z+y\,\mathrm{d} z\wedge\mathrm{d} x+z\,\mathrm{d} x\wedge\mathrm{d} y

∫Vdβ\int_V\mathrm{d}\beta と ∫∂Vβ\int_{\partial V}\beta をそれぞれ直接計算して、一致することを確かめよ。3. 12.4-3 半径 5 cm5\,\mathrm{cm} の円形の導線ループを、ループの面に垂直な一様な磁場の中に置く。磁場が毎秒 0.20 T0.20\,\mathrm{T} の割合で増えるとき、(12.31) からループに生じる起電力の大きさを求めよ。4. 12.4-4 境界の無いコンパクトな向きの入った曲面 SS と、1形式 η\eta を考える。∫Sdη=0\int_S\mathrm{d}\eta=0 を示せ。これを使って、ΦB=dA♭\Phi_{\bm{B}}=\mathrm{d}\bm{A}^\flat と書ける磁場では、閉曲面を貫く磁束が 00 になることを示せ。

木下の勉強ステータス

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