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Gauss の法則

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第2章 静電場
目次
  1. 点電荷の電場の流束
  2. 球面の場合
  3. 一般の閉曲面の場合
  4. 積分形と微分形
  5. 対称性からの計算
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第2章 §2.2 ★★★ 電場の流束と中の電荷を結ぶ法則。対称性があれば積分なしで電場が求まり、微分形は Maxwell 方程式の1本になる

点電荷の電場の流束

閉じた曲面 SS を考え、外向きの単位法線ベクトルを n^\hat{\bm{n}} とする。面を貫く電場の流束を

ΦE=∮SE⋅n^ dS\Phi_E=\oint_S\bm{E}\cdot\hat{\bm{n}}\,\mathrm{d} S

で定義する。まず原点に置いた点電荷 qq の電場 E=qr^/(4πε0r2)\bm{E}=q\hat{\bm{r}}/(4\pi\varepsilon_0r^2) について流束を計算する。

球面の場合

原点を中心とする半径 RR の球面では、n^=r^\hat{\bm{n}}=\hat{\bm{r}} で、電場の大きさは面上で一定である。よって

ΦE=q4πε0R2⋅4πR2=qε0\Phi_E=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0R^2}\cdot4\pi R^2=\frac{q}{\varepsilon_0}

となり、半径 RR によらない。電場が 1/r21/r^2 で減る割合と、球の面積が r2r^2 で増える割合がちょうど打ち消し合うからである。

一般の閉曲面の場合

面要素 dS\mathrm{d} S が原点に対して張る立体角は

dΩ=r^⋅n^ dSr2\mathrm{d}\Omega=\frac{\hat{\bm{r}}\cdot\hat{\bm{n}}\,\mathrm{d} S}{r^2}

である。点電荷の電場の流束の要素はこれを使って

E⋅n^ dS=q4πε0 dΩ\bm{E}\cdot\hat{\bm{n}}\,\mathrm{d} S=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}\,\mathrm{d}\Omega

と書ける。原点が SS の内側にあれば、SS は原点のまわりの全方向をちょうど1回覆う。よって立体角の合計は 4π4\pi である。

原点が外側にあれば、原点から出る半直線は SS と偶数回交わる。入る所と出る所で dΩ\mathrm{d}\Omega の符号が逆になるので、合計はゼロになる。したがって

∮SE⋅n^ dS={q/ε0(電荷が S の内側)0(電荷が S の外側)(2.6)\oint_S\bm{E}\cdot\hat{\bm{n}}\,\mathrm{d} S= \begin{cases}q/\varepsilon_0 & (\text{電荷が }S\text{ の内側})\\ 0 & (\text{電荷が }S\text{ の外側})\end{cases}\tag{2.6}

が成り立つ。

積分形と微分形

重ね合わせの原理により、電荷がいくつあっても、流束は各電荷の寄与の和になる。式 (2.6) から、外側の電荷は寄与せず、内側の電荷はそれぞれ qi/ε0q_i/\varepsilon_0 を寄与する。連続分布では SS が囲む領域 VV の電荷の総和を使って、次の定理を得る。

定理 2.1(Gauss の法則(積分形) ★★★)

任意の閉曲面 SS と、それが囲む領域 VV について

∮SE⋅n^ dS=1ε0∫Vρ d3r=Qinε0.(2.7)\oint_S\bm{E}\cdot\hat{\bm{n}}\,\mathrm{d} S=\frac{1}{\varepsilon_0}\int_V\rho\,\mathrm{d}^3r=\frac{Q_{\mathrm{in}}}{\varepsilon_0}.\tag{2.7}

証明

上で示したことの言い換えである。

電場 (2.5) の流束を、源の各体積要素 ρ(r′)d3r′\rho(\bm{r}')\mathrm{d}^3r' ごとに計算する。要素が VV の中にあれば、(2.6) より流束 ρ d3r′/ε0\rho\,\mathrm{d}^3r'/\varepsilon_0 を寄与する。外にあれば寄与はゼロである。これを源の座標について積分すれば (2.7) になる。

面積分と体積積分の順序の交換は、電荷分布が有界で、面の上に点電荷が乗っていなければ許される。

左辺に第1章 §1.2 の Gauss の発散定理 ∮SE⋅n^ dS=∫V∇⋅E d3r\oint_S\bm{E}\cdot\hat{\bm{n}}\,\mathrm{d} S=\int_V\nabla\cdot\bm{E}\,\mathrm{d}^3r を使うと、

∫V(∇⋅E−ρε0)d3r=0\int_V\Bigl(\nabla\cdot\bm{E}-\frac{\rho}{\varepsilon_0}\Bigr)\mathrm{d}^3r=0

がすべての領域 VV について成り立つ。

被積分関数が連続なら、どこかで正の値をとると、その点のまわりの小さな VV で積分が正になって矛盾する。よって被積分関数そのものがゼロでなければならない。

定理 2.2(Gauss の法則(微分形) ★★★)

∇⋅E=ρε0.(2.8)\nabla\cdot\bm{E}=\frac{\rho}{\varepsilon_0}.\tag{2.8}

微分形は、立体角の議論を経ずに (2.5) から直接確かめることもできる。観測点 r\bm{r} についての発散を積分の中に入れる。

∇⋅r−r′∣r−r′∣3=−∇21∣r−r′∣=4π δ3(r−r′)\nabla\cdot\frac{\bm{r}-\bm{r}'}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert ^3}=-\nabla^2\frac{1}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }=4\pi\,\delta^3(\bm{r}-\bm{r}')

を使う。最初の等号は ∇∣r−r′∣−1=−(r−r′)/∣r−r′∣3\nabla\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert ^{-1}=-(\bm{r}-\bm{r}')/\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert ^3 によるもので、2つめの等号は (2.1) である。これを代入すると

∇⋅E=14πε0∫ρ(r′) 4π δ3(r−r′) d3r′=ρ(r)ε0\nabla\cdot\bm{E}=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\int\rho(\bm{r}')\,4\pi\,\delta^3(\bm{r}-\bm{r}')\,\mathrm{d}^3r'=\frac{\rho(\bm{r})}{\varepsilon_0}

となる。点電荷の電場は原点以外では発散がゼロで、原点にだけデルタ関数の湧き出しを持つ。Gauss の法則の中身はこの事実である。

Gauss の法則と逆2乗則

  1. 逆2乗であることが必要:電場が 1/r2+δ1/r^{2+\delta} で減るとする(δ≠0\delta\ne0)。このとき半径 RR の球面の流束は R−δR^{-\delta} に比例し、半径によって変わる。流束が中の電荷だけで決まるという法則は成り立たない。
  2. 法則が単独で決めるもの:Gauss の法則は電場の発散だけを決め、回転については何も言わない。電場を一意に決めるには、§2.3 の ∇×E=0\nabla\times\bm{E}=\bm{0} と遠方での条件を合わせる必要がある。
  3. 第8章との関係:時間変化する場でも (2.8) はそのまま成り立ち、Maxwell 方程式の1本になる。

対称性からの計算

電荷分布の対称性から、電場の向きと「大きさが一定になる面」が先に分かる場合には、Gauss の法則だけで電場が求まる。典型は球対称・円柱対称(無限に長い)・平面対称(無限に広い)の3つである。手順は次のとおりである。

  1. 電場の向きを決める:対称性の操作(回転・鏡映・平行移動)で分布が変わらないなら、電場もその操作で変わらない。これから電場の向きを絞り込む。
  2. 閉曲面を選ぶ:電場が面に垂直で大きさが一定の部分と、面に平行(流束ゼロ)の部分だけからなる閉曲面を選ぶ。
  3. 法則を適用する:流束は「電場の大きさ×面積」になるので、(2.7) から電場の大きさが代数的に求まる。

球対称の場合を例にとる。電荷密度が中心からの距離 rr だけの関数 ρ(r)\rho(r) なら、中心を通る任意の軸のまわりの回転で分布は変わらない。この回転で電場の接線成分は向きを変えてしまうので、電場は動径方向 Er(r)r^E_r(r)\hat{\bm{r}} に限られる。半径 rr の球面に (2.7) を使うと

4πr2Er(r)=Q(r)ε0,Q(r)=∫0r4πr′2ρ(r′) dr′(2.9)4\pi r^2E_r(r)=\frac{Q(r)}{\varepsilon_0},\qquad Q(r)=\int_0^r4\pi r'^2\rho(r')\,\mathrm{d} r'\tag{2.9}

となる。半径 rr より外の電荷は、rr での電場に寄与しない。とくに分布の外側では、全電荷が中心に集まった点電荷と同じ電場になる。

例題 2.3 一様に帯電した球の電場 ★★★

オリジナル半径 aa の球の内部に、全電荷 QQ が一様に分布している。密度は ρ0=3Q/(4πa3)\rho_0=3Q/(4\pi a^3) である。

  1. 電場をすべての rr について求めよ。
  2. 求めた電場が微分形 (2.8) を満たすことを、球座標の発散の公式で確かめよ。
解答

(1) 半径 rr の内側の電荷は、r≤ar\le a なら

Q(r)=43πr3ρ0=Qr3a3,Q(r)=\frac43\pi r^3\rho_0=Q\frac{r^3}{a^3},

r>ar>a なら Q(r)=QQ(r)=Q である。(2.9) に入れると

Er(r)={Q4πε0ra3(r≤a)Q4πε01r2(r>a)E_r(r)=\begin{cases}\dfrac{Q}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{r}{a^3} & (r\le a)\\[2ex] \dfrac{Q}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{1}{r^2} & (r>a)\end{cases}

となる。r=ar=a で2つの式はともに Q/(4πε0a2)Q/(4\pi\varepsilon_0a^2) になり、電場は連続である。内部では中心からの距離に比例して増え、外部では点電荷と同じく 1/r21/r^2 で減る(図 2.2)。

(2) 球座標で動径成分だけを持つ場の発散は

∇⋅E=1r2ddr(r2Er)\nabla\cdot\bm{E}=\frac{1}{r^2}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} r}\bigl(r^2E_r\bigr)

である(第1章 §1.4)。内部では r2Er∝r3r^2E_r\propto r^3 だから

∇⋅E=Q4πε0a3⋅3r2r2=3Q4πε0a3=ρ0ε0\nabla\cdot\bm{E}=\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0a^3}\cdot\frac{3r^2}{r^2}=\frac{3Q}{4\pi\varepsilon_0a^3}=\frac{\rho_0}{\varepsilon_0}

となる。外部では r2Err^2E_r が定数なので ∇⋅E=0\nabla\cdot\bm{E}=0 で、そこには電荷が無いことと一致する。

図

図 2.2 一様に帯電した球(半径 aa)の電場 ErE_r(実線)と電位 ϕ\phi(破線)。どちらも球面 r=ar=a での値で割ってある。電位は例題 2.4 で求める。

晴天時の地表付近には、鉛直下向きに約 100100 V/m の電場がある。この電場から地球の全電荷を見積もる計算は、第1章の例題 1.3 で発散定理を使って行った。(2.9) を地球の半径 RE=6.37×106R_{\mathrm E}=6.37\times10^6 m の球面で使い、外向きの成分を Er=−100E_r=-100 V/m とおくと、同じ結果が1行で出る。

Q=4πε0RE2Er≈−4.5×105 CQ=4\pi\varepsilon_0R_{\mathrm E}^2E_r\approx-4.5\times10^5\ \mathrm C

確認テスト

オリジナル

  1. 2.2-1 一辺の長さ LL の立方体の中心に点電荷 qq を置く。立方体の1つの面を貫く電場の流束を、対称性を使って求めよ。
  2. 2.2-2 平面 ∣x∣<d\left\vert x\right\vert <d にはさまれた無限に広い板の中に、一様な電荷密度 ρ0\rho_0 の電荷がある。電場 Ex(x)E_x(x) をすべての xx について求めよ。
  3. 2.2-3 zz 軸上に線電荷密度 λ\lambda の無限に長い直線電荷がある。それを囲む半径 bb の無限に長い円筒面には、単位長さあたり −λ-\lambda の電荷が一様に分布している。軸からの距離 ss の点の電場を、円筒の内側と外側に分けて求めよ。
  4. 2.2-4 ある球対称な電荷分布の電場が、半径 aa の内側で Er=E0(r/a)2E_r=E_0(r/a)^2 である。内側の電荷密度 ρ(r)\rho(r) を求めよ。
  5. 2.2-5 半径 aa の球殻に全電荷 QQ が一様に分布している。球殻の内部で電場がゼロになることを Gauss の法則で示せ。あわせて、議論のどこで球対称性を使ったかを述べよ。

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