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電位と Poisson 方程式

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第2章 静電場
目次
  1. 電場の回転はゼロ
  2. 電位と仕事
  3. Poisson 方程式と Laplace 方程式
  4. 境界条件
  5. 法線成分
  6. 接線成分
  7. 電位
  8. 解の一意性
  9. 確認テスト
  10. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第2章 §2.3 ★★★ 静電場は回転がゼロで、スカラーの電位1つで書ける。電位は Poisson 方程式を満たし、境界条件を与えれば解はただ1つに決まる

電場の回転はゼロ

式 (2.5) の被積分関数の中の因子は、勾配の形に書き直せる。観測点 r\bm{r} について微分すると

∇1∣r−r′∣=−r−r′∣r−r′∣3(2.10)\nabla\frac{1}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }=-\frac{\bm{r}-\bm{r}'}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert ^3}\tag{2.10}

である(R=r−r′\bm{R}=\bm{r}-\bm{r}' と置くと ∂x(R2)−1/2=−12(R2)−3/2⋅2Rx\partial_x(R^2)^{-1/2}=-\tfrac12(R^2)^{-3/2}\cdot2R_x になる)。勾配を積分の外へ出すと、電場は

E(r)=−∇ϕ(r),ϕ(r)=14πε0∫ρ(r′)∣r−r′∣ d3r′(2.11)\bm{E}(\bm{r})=-\nabla\phi(\bm{r}),\qquad \phi(\bm{r})=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\int\frac{\rho(\bm{r}')}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }\,\mathrm{d}^3r'\tag{2.11}

と書ける。スカラー関数 ϕ\phi を静電ポテンシャルまたは電位と呼ぶ。単位は V(== J/C)である。勾配の回転は恒等的にゼロ(∇×∇ϕ=0\nabla\times\nabla\phi=\bm{0})なので、静電場について

∇×E=0(2.12)\nabla\times\bm{E}=\bm{0}\tag{2.12}

が成り立つ。これは Gauss の法則と並ぶ静電場の基本方程式である。第7章で電磁誘導を扱うと、右辺は −∂B/∂t-\partial\bm{B}/\partial t に変わる。

電位と仕事

第1章 §1.2 の Stokes の定理を (2.12) に使うと、任意の閉曲線 CC について ∮CE⋅dl=0\oint_C\bm{E}\cdot\mathrm{d}\bm{l}=0 が成り立つ。したがって、2点 A,BA,B を結ぶ線積分 ∫ABE⋅dl\int_A^B\bm{E}\cdot\mathrm{d}\bm{l} は経路によらない。E=−∇ϕ\bm{E}=-\nabla\phi を使えば、その値は

∫ABE⋅dl=−∫AB∇ϕ⋅dl=ϕ(A)−ϕ(B)(2.13)\int_A^B\bm{E}\cdot\mathrm{d}\bm{l}=-\int_A^B\nabla\phi\cdot\mathrm{d}\bm{l}=\phi(A)-\phi(B)\tag{2.13}

である。電荷 qq を2点のあいだでゆっくり運ぶ。電場の力に逆らって運ぶのに必要な仕事は

WA→B=−q∫ABE⋅dl=q[ϕ(B)−ϕ(A)]W_{A\to B}=-q\int_A^B\bm{E}\cdot\mathrm{d}\bm{l}=q\bigl[\phi(B)-\phi(A)\bigr]

となる。電位は「単位電荷あたりの位置エネルギー」である。

電位は定数を足しても同じ電場を与えるので、どこか1点を基準に選んで値を決める必要がある。電荷分布が有界なら、(2.11) の積分は無限遠でゼロになるように基準を選んだものに当たる。点電荷 qq の電位は

ϕ(r)=q4πε0∣r−r′∣\phi(\bm{r})=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }

である。電荷分布が無限遠まで広がっている場合(無限に長い直線電荷など)は、無限遠を基準にすると積分が発散するので、有限の点を基準に選ぶ。

Poisson 方程式と Laplace 方程式

E=−∇ϕ\bm{E}=-\nabla\phi を Gauss の法則 (2.8) に代入すると

∇2ϕ=−ρε0(2.14)\nabla^2\phi=-\frac{\rho}{\varepsilon_0}\tag{2.14}

を得る。これを Poisson 方程式と呼び、電荷の無い領域での ∇2ϕ=0\nabla^2\phi=0 を Laplace 方程式と呼ぶ。(2.11) の積分が実際に (2.14) を満たすことは、(2.1) から直接確かめられる。

∇2ϕ=14πε0∫ρ(r′) ∇21∣r−r′∣ d3r′=14πε0∫ρ(r′)(−4πδ3(r−r′))d3r′=−ρ(r)ε0.\nabla^2\phi=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\int\rho(\bm{r}')\,\nabla^2\frac{1}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }\,\mathrm{d}^3r' =\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\int\rho(\bm{r}')\bigl(-4\pi\delta^3(\bm{r}-\bm{r}')\bigr)\mathrm{d}^3r'=-\frac{\rho(\bm{r})}{\varepsilon_0}.

電場の発散と回転についての2本の方程式が、スカラー ϕ\phi についての1本の2階偏微分方程式にまとまった。これは第1章 §1.3 の Helmholtz の分解で、回転のない場はポテンシャルの勾配で書けることの具体例である。

例題 2.4 一様に帯電した球の電位を Poisson 方程式から求める ★★

オリジナル例題 2.3 の一様に帯電した球の電位 ϕ(r)\phi(r) を、球座標の Poisson 方程式を解いて求めよ。条件として次の3つを使え。

  1. 無限遠で ϕ→0\phi\to0。
  2. 中心 r=0r=0 で ϕ\phi とその微分が有限。
  3. 球面 r=ar=a で、電位とその動径方向の微分が連続。
解答

球対称なので ϕ=ϕ(r)\phi=\phi(r) とし、球座標のラプラシアン(第1章 §1.4)を使う。

1r2ddr(r2dϕdr)={−ρ0/ε0(r<a)0(r>a)\frac{1}{r^2}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} r}\Bigl(r^2\frac{\mathrm{d}\phi}{\mathrm{d} r}\Bigr)=\begin{cases}-\rho_0/\varepsilon_0 & (r<a)\\ 0 & (r>a)\end{cases}

内部:両辺に r2r^2 を掛けて1回積分すると r2ϕ′=−ρ0r3/(3ε0)+C1r^2\phi'=-\rho_0r^3/(3\varepsilon_0)+C_1 である。中心で ϕ′\phi' が有限であるためには、C1=0C_1=0 でなければならない。もう1回積分して

ϕin(r)=−ρ0r26ε0+C2.\phi_{\mathrm{in}}(r)=-\frac{\rho_0r^2}{6\varepsilon_0}+C_2.

外部:r2ϕ′=C3r^2\phi'=C_3 を積分して ϕout=−C3/r+C4\phi_{\mathrm{out}}=-C_3/r+C_4 となる。無限遠で ϕ→0\phi\to0 から C4=0C_4=0 である。

接続:r=ar=a で導関数が連続であることから

−ρ0a3ε0=C3a2,C3=−ρ0a33ε0=−Q4πε0-\frac{\rho_0a}{3\varepsilon_0}=\frac{C_3}{a^2},\qquad C_3=-\frac{\rho_0a^3}{3\varepsilon_0}=-\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0}

となる。最後の等号は ρ0=3Q/(4πa3)\rho_0=3Q/(4\pi a^3) による。ϕ\phi の連続から

−ρ0a26ε0+C2=Q4πε0a,C2=Q4πε0a+Q8πε0a=3Q8πε0a.-\frac{\rho_0a^2}{6\varepsilon_0}+C_2=\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0a},\qquad C_2=\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0a}+\frac{Q}{8\pi\varepsilon_0a}=\frac{3Q}{8\pi\varepsilon_0a}.

まとめると

ϕ(r)={Q8πε0a(3−r2a2)(r≤a)Q4πε0r(r>a)(2.15)\phi(r)=\begin{cases}\dfrac{Q}{8\pi\varepsilon_0a}\Bigl(3-\dfrac{r^2}{a^2}\Bigr) & (r\le a)\\[2ex] \dfrac{Q}{4\pi\varepsilon_0r} & (r>a)\end{cases}\tag{2.15}

である。−dϕ/dr-\mathrm{d}\phi/\mathrm{d} r を計算すると、例題 2.3 の電場に戻る。中心の電位は表面の電位の 3/23/2 倍になる(図 2.2)。

境界条件

電荷が面の上に面密度 σ\sigma で分布していると、電場は面をまたいで不連続になる。その跳びの大きさを、2つの基本方程式から求める(図 2.3)。面の上の1点で、面の法線 n^\hat{\bm{n}} を領域1から領域2へ向けてとる。

法線成分

面をはさむ薄い円筒(底面積 ΔS\Delta S、高さ hh)に Gauss の法則 (2.7) を使う。h→0h\to0 で側面の流束は消え、上下の底面の流束と中の電荷 σΔS\sigma\Delta S だけが残る。

(E2−E1)⋅n^ ΔS=σ ΔSε0⟹E2n−E1n=σε0.(\bm{E}_2-\bm{E}_1)\cdot\hat{\bm{n}}\,\Delta S=\frac{\sigma\,\Delta S}{\varepsilon_0} \quad\Longrightarrow\quad E_{2n}-E_{1n}=\frac{\sigma}{\varepsilon_0}.

接線成分

面をまたぐ細長い長方形の閉曲線を考え、面に平行な辺の長さを Δl\Delta l、それと垂直な辺の長さを hh とする。この閉曲線で ∮E⋅dl=0\oint\bm{E}\cdot\mathrm{d}\bm{l}=0 を使う。h→0h\to0 で面に垂直な辺の寄与は消える。面に平行な2辺の寄与は、接線方向の単位ベクトル t^\hat{\bm{t}} を使って (E2−E1)⋅t^ Δl(\bm{E}_2-\bm{E}_1)\cdot\hat{\bm{t}}\,\Delta l になる。これがゼロなので、t^\hat{\bm{t}} が面内の任意の向きであることから

E2t=E1t\bm{E}_{2t}=\bm{E}_{1t}

を得る。電場の接線成分は連続である。

電位

電位の差は ϕ2−ϕ1=−∫12E⋅dl\phi_2-\phi_1=-\int_1^2\bm{E}\cdot\mathrm{d}\bm{l} で、経路の長さ h→0h\to0 とともにゼロになる(電場は有限なので)。したがって面電荷があっても電位は連続であり、法線方向の微分だけが跳ぶ。

ϕ2=ϕ1,∂ϕ2∂n−∂ϕ1∂n=−σε0.(2.16)\phi_2=\phi_1,\qquad \frac{\partial\phi_2}{\partial n}-\frac{\partial\phi_1}{\partial n}=-\frac{\sigma}{\varepsilon_0}.\tag{2.16}

図

図 2.3 境界条件の導出。左の円筒(底面積 ΔS\Delta S)で Gauss の法則を使うと法線成分の跳び、右の長方形の閉曲線(長さ Δl\Delta l)で回転ゼロを使うと接線成分の連続が出る。どちらも高さ h→0h\to0 とする。

解の一意性

Poisson 方程式を有界な領域 VV で解くとき、境界 SS でどんな条件を与えれば解がただ1つに決まるかを考える。第3章では、この定理を使って「条件を満たす関数を1つ見つけたら、それが答えである」と結論する(鏡像法がその典型である)。

定理 2.3(一意性定理 ★★★)

領域 VV の中で電荷密度 ρ\rho が与えられているとする。VV の境界 SS の各点で、次のどちらかを与える。

  1. Dirichlet 条件:電位 ϕ\phi の値。
  2. Neumann 条件:法線微分 ∂ϕ/∂n\partial\phi/\partial n の値(SS 全体で Neumann 条件を与えるときは、それが Gauss の法則と矛盾しないとする)。

このとき、Poisson 方程式 (2.14) の解は、SS の全体で Neumann 条件を与えた場合を除いて、ただ1つである。SS の全体で Neumann 条件を与えた場合は、解は定数の差を除いてただ1つで、電場 E=−∇ϕ\bm{E}=-\nabla\phi はただ1つに決まる。

証明

同じ電荷密度と同じ境界条件を満たす解が2つ、ϕ1\phi_1 と ϕ2\phi_2 があったとする。差 u=ϕ1−ϕ2u=\phi_1-\phi_2 は VV で

∇2u=0\nabla^2u=0

を満たす。境界 SS の各点では、uu とその法線微分のどちらかがゼロである。恒等式 ∇⋅(u∇u)=∣∇u∣2+u∇2u\nabla\cdot(u\nabla u)=\left\vert \nabla u\right\vert ^2+u\nabla^2u を VV で積分し、発散定理を使うと

∫V∣∇u∣2 d3r=∮Su ∂u∂n dS−∫Vu ∇2u d3r\int_V\left\vert \nabla u\right\vert ^2\,\mathrm{d}^3r=\oint_Su\,\frac{\partial u}{\partial n}\,\mathrm{d} S-\int_Vu\,\nabla^2u\,\mathrm{d}^3r

となる。右辺の体積積分は ∇2u=0\nabla^2u=0 により消える。面積分も、境界の各点で uu か法線微分がゼロなので消える。よって左辺の積分はゼロである。

被積分関数は非負の連続関数だから、VV 全体で ∇u=0\nabla u=\bm{0} である。したがって uu は定数で、2つの解の電場は一致する。境界の一部でも Dirichlet 条件があれば、そこで u=0u=0 なので定数はゼロになり、ϕ1=ϕ2\phi_1=\phi_2 である。

一意性定理の使い方

  1. 全空間の場合:VV を半径 RR の大きな球とし、半径を無限大にする。有界な電荷分布の電位は遠方で 1/r1/r で減り、電場は 1/r21/r^2 で減る。面積は R2R^2 で増えるので、面積分は 1/R1/R のように減ってゼロになる。よって無限遠でゼロになる解は (2.11) の積分だけである。
  2. 条件を与えすぎない:同じ点で ϕ\phi と ∂ϕ/∂n\partial\phi/\partial n の両方を勝手に与えると、一般には解が存在しない。
  3. 導体の場合:第3章では、導体の表面の電位、または導体の全電荷を与える条件でも一意性が成り立つことを示す。

確認テスト

オリジナル

  1. 2.3-1 kk を定数として、次の2つのベクトル場を考える。

E1=k(y,−x,0),E2=k(y,x,0)\bm{E}_1=k(y,-x,0),\qquad \bm{E}_2=k(y,x,0)

静電場になりうるのはどちらかを、回転を計算して判定せよ。また、そちらの電位を求めよ。2. 2.3-2 線電荷密度 λ\lambda の無限に長い直線電荷の電位を、軸からの距離 s0s_0 の点を基準にして求めよ。また、無限遠を基準にできない理由を述べよ。3. 2.3-3 平面 z=0z=0 に一様な面電荷密度 σ\sigma がある。さらに外から一様な電場 E0z^E_0\hat{\bm{z}} がかかっている。z>0z>0 と z<0z<0 の電場を求め、境界条件 (2.16) の法線成分の跳びを満たすことを確かめよ。4. 2.3-4 厚さ dd の無限に広い板の中に、一様な密度 ρ0\rho_0 の電荷がある。板の面を z=0z=0 と z=dz=d にとる。境界条件 ϕ(0)=ϕ(d)=0\phi(0)=\phi(d)=0 のもとで Poisson 方程式を解き、電位が最大になる位置とその値を求めよ。5. 2.3-5 定理 2.3 の証明で、境界の全体で Neumann 条件を与えたとき、2つの解の差がゼロとは限らず定数になる理由を説明せよ。また、そのとき与える Neumann 条件が満たすべき条件 ∮S(∂ϕ/∂n) dS=−Qin/ε0\oint_S(\partial\phi/\partial n)\,\mathrm{d} S=-Q_{\mathrm{in}}/\varepsilon_0 を導け。

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