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エネルギー保存と Poynting ベクトル

2026年10月15日14分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第8章 Maxwell 方程式と保存則
目次
  1. 場が電荷にする仕事
  2. Poynting の定理
  3. 例:抵抗のある導線
  4. 物質中のエネルギー保存
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第8章 §8.3 ★★★ 場が電荷にする仕事を場だけで書くと、エネルギー密度 uu と流れの密度 S=E×B/μ0\bm{S}=\bm{E}\times\bm{B}/\mu_0 の連続の式になる

場が電荷にする仕事

第2章 §2.4 では、静電場のエネルギーが密度 ε0E2/2\varepsilon_0E^2/2 で空間に分布していると解釈できることを見た。第7章 §7.3 では、静磁場のエネルギーが密度 B2/(2μ0)B^2/(2\mu_0) で分布していると解釈できることを見た。時間変化する場でこの解釈が成り立つかを、Maxwell 方程式から確かめる。

電荷 qq が速度 v\bm{v} で動いているとき、Lorentz 力が単位時間にする仕事は

q(E+v×B)⋅v=qE⋅vq(\bm{E}+\bm{v}\times\bm{B})\cdot\bm{v}=q\bm{E}\cdot\bm{v}

である。磁場の力は速度に垂直なので仕事をしない。電荷が連続的に分布しているときは、単位体積あたりの仕事率は ρv⋅E=J⋅E\rho\bm{v}\cdot\bm{E}=\bm{J}\cdot\bm{E} である。体積 VV の中の電荷が受け取る仕事率は

dWmechdt=∫VJ⋅E dV(8.25)\frac{d W_{\mathrm{mech}}}{d t}=\int_V\bm{J}\cdot\bm{E}\,\mathrm{d} V\tag{8.25}

となる。導体の中では、これは Joule 熱になる。

Poynting の定理

(8.9) を J\bm{J} について解いて代入する。

J⋅E=1μ0E⋅(∇×B)−ε0E⋅∂E∂t.\bm{J}\cdot\bm{E}=\frac{1}{\mu_0}\bm{E}\cdot(\nabla\times\bm{B})-\varepsilon_0\bm{E}\cdot\frac{\partial \bm{E}}{\partial t}.

第1項を変形するため、第1章 §1.1 の積の公式 ∇⋅(E×B)=B⋅(∇×E)−E⋅(∇×B)\nabla\cdot(\bm{E}\times\bm{B})=\bm{B}\cdot(\nabla\times\bm{E})-\bm{E}\cdot(\nabla\times\bm{B}) を使い、∇×E\nabla\times\bm{E} に (8.8) を入れる。

E⋅(∇×B)=B⋅(∇×E)−∇⋅(E×B)=−B⋅∂B∂t−∇⋅(E×B).\bm{E}\cdot(\nabla\times\bm{B})=\bm{B}\cdot(\nabla\times\bm{E})-\nabla\cdot(\bm{E}\times\bm{B})=-\bm{B}\cdot\frac{\partial \bm{B}}{\partial t}-\nabla\cdot(\bm{E}\times\bm{B}).

E⋅∂E/∂t=12∂(E2)/∂t\bm{E}\cdot\partial\bm{E}/\partial t=\frac12\partial(E^2)/\partial t、B⋅∂B/∂t=12∂(B2)/∂t\bm{B}\cdot\partial\bm{B}/\partial t=\frac12\partial(B^2)/\partial t を使ってまとめると

J⋅E=−∂∂t(ε02E2+12μ0B2)−∇⋅(1μ0E×B)\bm{J}\cdot\bm{E}=-\frac{\partial }{\partial t}\Bigl(\frac{\varepsilon_0}{2}E^2+\frac{1}{2\mu_0}B^2\Bigr)-\nabla\cdot\Bigl(\frac{1}{\mu_0}\bm{E}\times\bm{B}\Bigr)

を得る。

定理 8.7(Poynting の定理)

電磁場のエネルギー密度 uu と Poynting ベクトル S\bm{S} を

u=ε02E2+12μ0B2,S=1μ0E×B(8.26)u=\frac{\varepsilon_0}{2}E^2+\frac{1}{2\mu_0}B^2,\qquad \bm{S}=\frac{1}{\mu_0}\bm{E}\times\bm{B}\tag{8.26}

で定めると、Maxwell 方程式から

∂u∂t+∇⋅S=−J⋅E(8.27)\frac{\partial u}{\partial t}+\nabla\cdot\bm{S}=-\bm{J}\cdot\bm{E}\tag{8.27}

が成り立つ。体積 VV について積分すると

ddt∫Vu dV+dWmechdt=−∮∂VS⋅dS.(8.28)\frac{d }{d t}\int_Vu\,\mathrm{d} V+\frac{d W_{\mathrm{mech}}}{d t}=-\oint_{\partial V}\bm{S}\cdot\mathrm{d}\bm{S} .\tag{8.28}

証明

微分形は上の計算そのものである。積分形は、(8.27) を VV で積分して得る(VV は時間によらないとする)。第1章 §1.2 の発散定理で

∫V∇⋅S dV=∮∂VS⋅dS\int_V\nabla\cdot\bm{S}\,\mathrm{d} V=\oint_{\partial V}\bm{S}\cdot\mathrm{d}\bm{S}

とし、(8.25) を使えばよい。

(8.28) は、「VV の中の場のエネルギーと電荷の力学的エネルギーの和が増える割合は、表面から流れ込む S\bm{S} の流束に等しい」と読める。S\bm{S} は単位時間に単位面積を通るエネルギー、つまりエネルギーの流れの密度で、単位は W/m2\mathrm{W/m^2} である。(8.27) は、電荷の連続の式 (8.2) と同じ形の、エネルギーの局所的な保存則である。電荷の場合と違って右辺に −J⋅E-\bm{J}\cdot\bm{E} があるのは、場のエネルギーが電荷の力学的エネルギーと行き来するからである。

局所的な保存則の意味

「全エネルギーが一定」という大域的な保存則だけなら、ある場所でエネルギーが消え、同時に遠く離れた場所に同じ量が現れることも許される。(8.27) はそれを禁じ、エネルギーが減った所からは必ず流れ S\bm{S} が出ていき、隣り合う場所を通って移っていくことを要求する。相対論では「同時」が観測者によって変わるので、離れた場所で同時に起きる増減を保存則の根拠にすることができない。保存則は局所的な形で書かれていなければならず、Maxwell 方程式はその形をはじめから持っている。

例:抵抗のある導線

Poynting ベクトルで見ると、導線の中で発生する Joule 熱のエネルギーは、導線の中を電流と一緒に流れてくるのではなく、導線の外の空間から側面を通って流れ込む。図 8.2 と例題 8.5 でそれを確かめる。

図

図 8.2 電流 II が流れる抵抗のある導線。導線の中の電場 E\bm{E} は軸方向、磁場 B\bm{B} は軸を囲む向きで、Poynting ベクトル S=E×B/μ0\bm{S}=\bm{E}\times\bm{B}/\mu_0は側面に垂直に内向きになる。

例題 8.5 導線に流れ込むエネルギーと Joule 熱 ★★★

オリジナル半径 aa、長さ ℓ\ell の一様な導線に、定常電流が流れている。電流は II、両端の電位差は VV である。導線の表面で Poynting ベクトルを求めよ。さらに、側面から流れ込むエネルギーの単位時間あたりの量が、導線の中で発生する Joule 熱 VIVI に等しいことを示せ。

解答

定常電流なので導線の中の電場は一様で、大きさは E=V/ℓE=V/\ell、向きは電流と同じ軸方向である。電場の接線成分は境界で連続((8.14) の第3式)である。そのため、側面のすぐ外でも軸方向の成分は V/ℓV/\ell である。磁場は第5章 §5.3 の Ampère の法則から、導線の表面で軸を囲む向きに B=μ0I/(2πa)B=\mu_0I/(2\pi a) である。

単位ベクトルを次のように決める。

  • 軸方向:z^\hat{\bm{z}}。
  • 軸から離れる向き:s^\hat{\bm{s}}。
  • 軸を囲む向き:φ^\hat{\bm{\varphi}}。

z^×φ^=−s^\hat{\bm{z}}\times\hat{\bm{\varphi}}=-\hat{\bm{s}} なので

S=1μ0Ez^×Bφ^=−1μ0Vℓμ0I2πas^=−VI2πaℓs^\bm{S}=\frac{1}{\mu_0}E\hat{\bm{z}}\times B\hat{\bm{\varphi}}=-\frac{1}{\mu_0}\frac{V}{\ell}\frac{\mu_0I}{2\pi a}\hat{\bm{s}}=-\frac{VI}{2\pi a\ell}\hat{\bm{s}}

となり、側面に垂直で内向きである。側面の面積は 2πaℓ2\pi a\ell なので、側面から流れ込むエネルギーは単位時間あたり

VI2πaℓ×2πaℓ=VI\frac{VI}{2\pi a\ell}\times2\pi a\ell=VI

である。両端の断面では S\bm{S} は面に平行(S⊥z^\bm{S}\perp\hat{\bm{z}})なので流束は無い。

定常状態では場のエネルギーは時間変化しないので、(8.28) により、流れ込む VIVI は ∫J⋅E dV\int\bm{J}\cdot\bm{E}\,\mathrm{d} V に等しい。実際、

∫J⋅E dV=Iπa2⋅Vℓ⋅πa2ℓ=VI\int\bm{J}\cdot\bm{E}\,\mathrm{d} V=\frac{I}{\pi a^2}\cdot\frac{V}{\ell}\cdot\pi a^2\ell=VI

で、Ohm の法則 V=IRV=IR を使えば Joule 熱 I2RI^2R と一致する。

物質中のエネルギー保存

物質の中では、自由電流がする仕事 Jf⋅E\bm{J}_{\mathrm f}\cdot\bm{E} に注目する。

Jf⋅E=E⋅(∇×H)−E⋅∂D∂t((8.13) の第4式)E⋅(∇×H)=−H⋅∂B∂t−∇⋅(E×H)(積の公式と第3式)\begin{aligned}\bm{J}_{\mathrm f}\cdot\bm{E}&=\bm{E}\cdot(\nabla\times\bm{H})-\bm{E}\cdot\frac{\partial \bm{D}}{\partial t} &&\text{((8.13) の第4式)}\\ \bm{E}\cdot(\nabla\times\bm{H})&=-\bm{H}\cdot\frac{\partial \bm{B}}{\partial t}-\nabla\cdot(\bm{E}\times\bm{H}) &&\text{(積の公式と第3式)}\end{aligned}

である。よって

E⋅∂D∂t+H⋅∂B∂t+∇⋅(E×H)=−Jf⋅E.(8.29)\bm{E}\cdot\frac{\partial \bm{D}}{\partial t}+\bm{H}\cdot\frac{\partial \bm{B}}{\partial t}+\nabla\cdot(\bm{E}\times\bm{H})=-\bm{J}_{\mathrm f}\cdot\bm{E} .\tag{8.29}

線形で時間変化しない物質(D=εE\bm{D}=\varepsilon\bm{E}、B=μH\bm{B}=\mu\bm{H})を考える。このとき

E⋅∂D∂t=∂∂t(12E⋅D)\bm{E}\cdot\frac{\partial \bm{D}}{\partial t}=\frac{\partial }{\partial t}\Bigl(\frac12\bm{E}\cdot\bm{D}\Bigr)

なので、

u=12(E⋅D+B⋅H),S=E×H(8.30)u=\frac12(\bm{E}\cdot\bm{D}+\bm{B}\cdot\bm{H}),\qquad \bm{S}=\bm{E}\times\bm{H}\tag{8.30}

とおけば (8.27) と同じ形になる。uu の第1項は第4章 §4.4 の誘電体のエネルギー密度と一致する。分散のある物質(ε\varepsilon が周波数に依存する物質)では、E⋅∂D/∂t\bm{E}\cdot\partial\bm{D}/\partial t を全微分の形に書けないので、エネルギー密度の定義には注意が要る。この問題は第9章 §9.2 で触れる。

Poynting ベクトルの不定性

  • (8.27) が決めるのは ∇⋅S\nabla\cdot\bm{S} だけである。そのため、S\bm{S} に任意のベクトル場の回転 ∇×F\nabla\times\bm{F} を足しても保存則は変わらない。閉曲面を通る全体の流束も変わらない。
  • 例えば、静止した点電荷と静止した棒磁石を並べると、E×B≠0\bm{E}\times\bm{B}\neq\bm{0} なので S\bm{S} は 0 でなく、閉じた輪を描いて循環する。どの閉曲面を通る流束も 0 なので、エネルギーが溜まったり減ったりする場所は無い。
  • 局所的な S\bm{S} の値を物理的な意味のある量として選ぶ根拠は、§8.4 の運動量密度 S/c2\bm{S}/c^2 との関係と、第10章のエネルギー運動量テンソルの対称性にある。

例題 8.6 太陽光の電場と磁場の大きさ ★★

オリジナル地球の位置で太陽光が運ぶエネルギーの流れの密度(太陽定数)は約 1361 W/m21361\,\mathrm{W/m^2} である。太陽光を、電場の振幅 E0E_0 の単色の平面波とみなす。平面波では E⊥B\bm{E}\perp\bm{B}、∣B∣=∣E∣/c\left\vert \bm{B}\right\vert =\left\vert \bm{E}\right\vert /c である。Poynting ベクトルは進む向きを向く(第9章 §9.1)。

  1. Poynting ベクトルの時間平均 ⟨S⟩\langle S \rangle を E0E_0 で表せ。
  2. E0E_0 と磁場の振幅 B0B_0 を求めよ。
  3. 電磁場のエネルギー密度の時間平均 ⟨u⟩\langle u \rangle を求めよ。
解答
  1. E=E0cos⁡(kx−ωt)E=E_0\cos(kx-\omega t)、B=E/cB=E/c なので

S=EBμ0=E02cos⁡2(kx−ωt)μ0c.S=\frac{EB}{\mu_0}=\frac{E_0^2\cos^2(kx-\omega t)}{\mu_0c}.

コサインの2乗の1周期の平均は 12\frac12 である。1/(μ0c)=cε01/(\mu_0c)=c\varepsilon_0 も使うと

⟨S⟩=E022μ0c=12cε0E02.\langle S \rangle =\frac{E_0^2}{2\mu_0c}=\frac12c\varepsilon_0E_0^2 . 2. cε0=(2.998×108)(8.854×10−12) S=2.654×10−3 Sc\varepsilon_0=(2.998\times10^{8})(8.854\times10^{-12})\,\mathrm{S}=2.654\times10^{-3}\,\mathrm S なので

E0=2⟨S⟩cε0=2×13612.654×10−3 V/m=1.01×103 V/m,B0=E0c=3.38×10−6 T.E_0=\sqrt{\frac{2\langle S \rangle }{c\varepsilon_0}}=\sqrt{\frac{2\times1361}{2.654\times10^{-3}}}\,\mathrm{V/m}=1.01\times10^{3}\,\mathrm{V/m},\qquad B_0=\frac{E_0}{c}=3.38\times10^{-6}\,\mathrm T .

電場は晴天時の大気の電場(約 100 V/m100\,\mathrm{V/m}、第2章)の10倍程度ある。ただし 1014 Hz10^{14}\,\mathrm{Hz} を超える振動数で向きを変えているので、時間平均は 0 である。3. 平面波では ε0E2/2=B2/(2μ0)\varepsilon_0E^2/2=B^2/(2\mu_0) で、電場と磁場のエネルギーは等しい。u=ε0E2u=\varepsilon_0E^2 の時間平均は

⟨u⟩=12ε0E02=⟨S⟩c=13612.998×108 J/m3=4.54×10−6 J/m3.\langle u \rangle =\frac12\varepsilon_0E_0^2=\frac{\langle S \rangle }{c}=\frac{1361}{2.998\times10^{8}}\,\mathrm{J/m^3}=4.54\times10^{-6}\,\mathrm{J/m^3}.

⟨S⟩=c⟨u⟩\langle S \rangle =c\langle u \rangle は、エネルギー密度が速さ cc で運ばれていることを表している。

確認テスト

オリジナル

  1. 8.3-1 Poynting ベクトル S=E×B/μ0\bm{S}=\bm{E}\times\bm{B}/\mu_0 の単位が W/m2\mathrm{W/m^2} であることを確かめよ。次の関係を使ってよい。

T=V⋅s/m2,H=V⋅s/A.\mathrm T=\mathrm{V\cdot s/m^2},\qquad \mathrm H=\mathrm{V\cdot s/A}. 2. 8.3-2 同軸ケーブルの内導体の半径を aa、外導体の半径を bb とする。内導体に電流 II が流れ、外導体を同じ大きさの電流が逆向きに戻る。内導体の電位は外導体より VV 高く、導体の抵抗は無視する。導体の間の電場と磁場を求め、導体の間の断面を通る Poynting ベクトルの流束が VIVI になることを示せ。3. 8.3-3 出力 1.0 mW1.0\,\mathrm{mW} のレーザーポインターの光が、半径 1.0 mm1.0\,\mathrm{mm} の円の中に一様に分布しているとする。Poynting ベクトルの時間平均、電場の振幅、磁場の振幅を求めよ。4. 8.3-4 例題 8.1 のコンデンサーを考える。極板の半径は aa、間隔は dd である。極板の間の電場が E(t)E(t) のとき、極板の間の円柱の側面(半径 aa)での Poynting ベクトルを求めよ。側面から流れ込むエネルギーが、円柱の中の電場のエネルギー ε02E2πa2d\frac{\varepsilon_0}{2}E^2\pi a^2d の増える割合に等しいことを示せ。

木下の勉強ステータス

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