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Maxwell 方程式の共変形式

2026年10月15日19分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第10章 電磁気学と特殊相対論
目次
  1. 源のある2本
  2. 源の無い2本
  3. ポテンシャルで書いた形
  4. 保存則の共変形
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第10章 §10.4 ★★★ 4本の Maxwell 方程式は ∂μFμν=μ0Jν\partial_\mu F^{\mu\nu}=\mu_0J^\nu と ∂μF~μν=0\partial_\mu\tilde F^{\mu\nu}=0 の2本になり、どちらもテンソルの式なのでどの慣性系でも同じ形で成り立つ

源のある2本

定理 10.4(源のある Maxwell 方程式の共変形)

Gauss の法則 ∇⋅E=ρ/ε0\nabla\cdot\bm{E}=\rho/\varepsilon_0 と Ampère–Maxwell の法則 ∇×B=μ0J+c−2∂tE\nabla\times\bm{B}=\mu_0\bm{J}+c^{-2}\partial_t\bm{E} の組は、

∂μFμν=μ0Jν(10.30)\partial_\mu F^{\mu\nu}=\mu_0J^\nu\tag{10.30}

と同値である。

証明

ν\nu ごとに左辺を展開する。ν=0\nu=0 では F00=0F^{00}=0 なので、和は空間の添字だけにわたる。Fi0=Ei/cF^{i0}=E_i/c から

∂μFμ0=∂iFi0=1c∇⋅E.\partial_\mu F^{\mu0}=\partial_iF^{i0}=\frac1c\nabla\cdot\bm{E} .

右辺は μ0J0=μ0cρ\mu_0J^0=\mu_0c\rho である。両辺に cc を掛けて ∇⋅E=μ0c2ρ=ρ/ε0\nabla\cdot\bm{E}=\mu_0c^2\rho=\rho/\varepsilon_0 となる。これは Gauss の法則である。

ν=j\nu=j(空間)では

∂μFμj=∂0F0j+∂iFij=1c∂∂t(−Ejc)+∂i(−ϵijkBk)=−1c2∂Ej∂t+ϵjik∂iBk\partial_\mu F^{\mu j}=\partial_0F^{0j}+\partial_iF^{ij} =\frac1c\frac{\partial }{\partial t}\Bigl(-\frac{E_j}{c}\Bigr)+\partial_i(-\epsilon_{ijk}B_k) =-\frac{1}{c^2}\frac{\partial E_j}{\partial t}+\epsilon_{jik}\partial_iB_k

となる(−ϵijk=ϵjik-\epsilon_{ijk}=\epsilon_{jik} を使った)。ϵjik∂iBk\epsilon_{jik}\partial_iB_k は (∇×B)j(\nabla\times\bm{B})_j そのものである。したがって空間成分の式は

(∇×B)j−1c2∂Ej∂t=μ0Jj(\nabla\times\bm{B})_j-\frac{1}{c^2}\frac{\partial E_j}{\partial t}=\mu_0J_j

で、Ampère–Maxwell の法則の jj 成分である。逆に3次元の2式から各成分の式が出るので、同値である。

(10.30) の左辺で、電磁場テンソルはテンソル、微分は共変成分として変換される。したがって左辺は ν\nu を上付きに持つ4元ベクトルである。右辺の JνJ^\nu も4元ベクトルである。両辺が同じ規則で変換されるので、1つの慣性系で (10.30) が成り立てば、すべての慣性系で同じ形で成り立つ。

電荷の保存は、この式から自動的に出る。(10.30) の両辺に ∂ν\partial_\nu を作用させ、ν\nu について和をとる。左辺は ∂ν∂μFμν\partial_\nu\partial_\mu F^{\mu\nu} である。2階微分は添字の入れ替えで対称、電磁場テンソルは反対称なので、この和は0になる(和の添字の名前を入れ替えると自分自身の −1-1 倍になる)。したがって

∂νJν=0(10.31)\partial_\nu J^\nu=0\tag{10.31}

で、連続の式 (10.16) が得られる。第8章 §8.1 で、変位電流の項が連続の式と両立するために必要だったことを、4次元の形で見直したものである。

源の無い2本

定理 10.5(源の無い Maxwell 方程式の共変形)

∇⋅B=0\nabla\cdot\bm{B}=0 と Faraday の法則 ∇×E=−∂tB\nabla\times\bm{E}=-\partial_t\bm{B} の組は、次の2つの式のそれぞれと同値である。

∂μF~μν=0,∂λFμν+∂μFνλ+∂νFλμ=0.(10.32)\partial_\mu\tilde F^{\mu\nu}=0, \qquad \partial_\lambda F_{\mu\nu}+\partial_\mu F_{\nu\lambda}+\partial_\nu F_{\lambda\mu}=0 .\tag{10.32}

第2式(λ,μ,ν\lambda,\mu,\nu の巡回和)を Bianchi 恒等式と呼ぶ。

証明

第1式を成分で確かめる。(10.27) から

F~i0=Bi,F~0j=−Bj,F~ij=ϵijkEkc\tilde F^{i0}=B_i,\qquad \tilde F^{0j}=-B_j,\qquad \tilde F^{ij}=\epsilon_{ijk}\frac{E_k}{c}

である。ν=0\nu=0 では ∂μF~μ0=∂iBi=∇⋅B\partial_\mu\tilde F^{\mu0}=\partial_iB_i=\nabla\cdot\bm{B} なので、第1式は磁場の発散が0であることを表す。ν=j\nu=j では

∂μF~μj=1c∂∂t(−Bj)+∂i(ϵijkEkc)=−1c(∂Bj∂t+ϵjik∂iEk)=−1c(∂Bj∂t+(∇×E)j)\partial_\mu\tilde F^{\mu j}=\frac1c\frac{\partial }{\partial t}(-B_j)+\partial_i\Bigl(\epsilon_{ijk}\frac{E_k}{c}\Bigr) =-\frac1c\Bigl(\frac{\partial B_j}{\partial t}+\epsilon_{jik}\partial_iE_k\Bigr) =-\frac1c\Bigl(\frac{\partial B_j}{\partial t}+(\nabla\times\bm{E})_j\Bigr)

で、これが 00 であることは Faraday の法則の jj 成分である。

次に第1式と第2式の同値を示す。定義 (10.26) から

∂μF~μν=12ϵμνρσ∂μFρσ=−12ϵνμρσ∂μFρσ\partial_\mu\tilde F^{\mu\nu}=\frac12\epsilon^{\mu\nu\rho\sigma}\partial_\mu F_{\rho\sigma}=-\frac12\epsilon^{\nu\mu\rho\sigma}\partial_\mu F_{\rho\sigma}

である。ϵνμρσ\epsilon^{\nu\mu\rho\sigma} は、後ろ3つの添字の巡回置換(偶置換)で変わらない。そこで和の添字の名前を巡回させた3つの式を平均すると

ϵνμρσ∂μFρσ=13ϵνμρσ(∂μFρσ+∂ρFσμ+∂σFμρ)\epsilon^{\nu\mu\rho\sigma}\partial_\mu F_{\rho\sigma}=\frac13\epsilon^{\nu\mu\rho\sigma}\bigl(\partial_\mu F_{\rho\sigma}+\partial_\rho F_{\sigma\mu}+\partial_\sigma F_{\mu\rho}\bigr)

となる。したがって第2式が成り立てば第1式が成り立つ。

逆向きは次の事実を使う。ν\nu を1つ固めると、ϵνμρσ\epsilon^{\nu\mu\rho\sigma} が0でないのは、残りの3つの添字が残りの3つの値の並べ替えのときだけである。たとえば ν=0\nu=0 の式は、{1,2,3}\{1,2,3\} についての巡回和

∂1F23+∂2F31+∂3F12\partial_1F_{23}+\partial_2F_{31}+\partial_3F_{12}

に比例する。ν=1,2,3\nu=1,2,3 の式は、残りの3通りの巡回和に比例する。

第2式は、添字のどれか2つが等しいと恒等的に0である(反対称性から項が打ち消し合う)。したがって独立な式は、相異なる3つの添字の組 {λ,μ,ν}⊂{0,1,2,3}\{\lambda,\mu,\nu\}\subset\{0,1,2,3\} の4通りに対応する4本である。これが第1式の4成分と一対一に対応する。

FμνF_{\mu\nu} を4元ポテンシャルで (10.21) と書いている限り、Bianchi 恒等式は自動的に成り立つ。実際、巡回和に代入すると

∂λ(∂μAν−∂νAμ)+∂μ(∂νAλ−∂λAν)+∂ν(∂λAμ−∂μAλ)\partial_\lambda(\partial_\mu A_\nu-\partial_\nu A_\mu)+\partial_\mu(\partial_\nu A_\lambda-\partial_\lambda A_\nu)+\partial_\nu(\partial_\lambda A_\mu-\partial_\mu A_\lambda)

の6項は、偏微分の順序を入れ替えられることから2つずつ打ち消し合う(確認テスト 10.4-5)。第8章 §8.2 で、源の無い2本がポテンシャルを使うと恒等的に満たされることを示した。その4次元の言い方がこれである。

Maxwell 方程式の共変形

∂μFμν=μ0Jν,∂μF~μν=0(⟺ ∂λFμν+∂μFνλ+∂νFλμ=0),dpμdτ=qFμνuν.\partial_\mu F^{\mu\nu}=\mu_0J^\nu,\qquad \partial_\mu\tilde F^{\mu\nu}=0\quad\bigl(\Longleftrightarrow\ \partial_{\lambda}F_{\mu\nu}+\partial_\mu F_{\nu\lambda}+\partial_\nu F_{\lambda\mu}=0\bigr), \qquad \frac{d p^\mu}{d \tau}=qF^{\mu\nu}u_\nu .

3次元の4本の方程式と Lorentz 力が、テンソルの式3本にまとまる。両辺がテンソルなので、Maxwell 方程式は Lorentz 変換で形を変えない。

ポテンシャルで書いた形

(10.21) を (10.30) に代入すると、

∂μ(∂μAν−∂νAμ)=□Aν−∂ν(∂μAμ)=μ0Jν(10.33)\partial_\mu(\partial^\mu A^\nu-\partial^\nu A^\mu)=\Box A^\nu-\partial^\nu(\partial_\mu A^\mu)=\mu_0J^\nu\tag{10.33}

を得る。Lorenz 条件 ∂μAμ=0\partial_\mu A^\mu=0 を課すと第2項が消え、§10.2 の (10.18) に戻る。第8章 §8.2 で、Lorenz ゲージではスカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルが同じ形の波動方程式に従うことを見た。それは4つの成分が1つの4元ベクトルの成分だからである。

(10.33) はゲージ変換 (10.20) で変わらない。Aν→Aν−∂νΛA^\nu\to A^\nu-\partial^\nu\Lambda とすると、左辺の変化は

−□∂νΛ+∂ν□Λ=0-\Box\partial^\nu\Lambda+\partial^\nu\Box\Lambda=0

だからである。

保存則の共変形

第8章 §8.3・§8.4 のエネルギーと運動量の保存則も、4次元の形にまとまる。電磁場のエネルギー運動量テンソルを

Tμν=1μ0(FμαFαν+14ημνFαβFαβ)(10.34)T^{\mu\nu}=\frac{1}{\mu_0}\Bigl(F^{\mu\alpha}F_\alpha{}^\nu+\frac14\eta^{\mu\nu}F_{\alpha\beta}F^{\alpha\beta}\Bigr)\tag{10.34}

と定める(Fαν=ηαβFβνF_\alpha{}^\nu=\eta_{\alpha\beta}F^{\beta\nu})。積 FμαFαν=FμαηαβFβνF^{\mu\alpha}F_\alpha{}^\nu=F^{\mu\alpha}\eta_{\alpha\beta}F^{\beta\nu} は、2つの添字の入れ替えで対称である。したがって TμνT^{\mu\nu} は対称テンソルである。

成分を計算する。FαβFαβ=2(B2−E2/c2)F_{\alpha\beta}F^{\alpha\beta}=2(B^2-E^2/c^2) を使う。

T00T^{00} では、Fi0=ηiiFi0=−Ei/cF_i{}^0=\eta_{ii}F^{i0}=-E_i/c を使って

F0αFα0=∑iF0iFi0=∑i(−Eic)(−Eic)=E2c2F^{0\alpha}F_\alpha{}^0=\sum_iF^{0i}F_i{}^0=\sum_i\Bigl(-\frac{E_i}{c}\Bigr)\Bigl(-\frac{E_i}{c}\Bigr)=\frac{E^2}{c^2}

である。よって

T00=1μ0(E2c2+12B2−E22c2)=ε02E2+12μ0B2=uT^{00}=\frac{1}{\mu_0}\Bigl(\frac{E^2}{c^2}+\frac12B^2-\frac{E^2}{2c^2}\Bigr)=\frac{\varepsilon_0}{2}E^2+\frac{1}{2\mu_0}B^2=u

で、第8章 §8.3 のエネルギー密度に一致する。T0iT^{0i} では η0i=0\eta^{0i}=0 である。Fji=ηjjFji=Fij=−ϵijkBkF_j{}^i=\eta_{jj}F^{ji}=F^{ij}=-\epsilon_{ijk}B_k を使うと

T0i=1μ0F0jFji=1μ0(−Ejc)(−ϵijkBk)=1μ0c(E×B)i=SicT^{0i}=\frac{1}{\mu_0}F^{0j}F_j{}^i=\frac{1}{\mu_0}\Bigl(-\frac{E_j}{c}\Bigr)(-\epsilon_{ijk}B_k)=\frac{1}{\mu_0c}(\bm{E}\times\bm{B})_i=\frac{S_i}{c}

で、Poynting ベクトル S\bm{S} を cc で割ったものになる(確認テスト 10.4-4)。空間の成分は、同じ計算を進めると

Tij=−[ε0(EiEj−12δijE2)+1μ0(BiBj−12δijB2)]=−Tij(10.35)T^{ij}=-\Bigl[\varepsilon_0\Bigl(E_iE_j-\frac12\delta_{ij}E^2\Bigr)+\frac{1}{\mu_0}\Bigl(B_iB_j-\frac12\delta_{ij}B^2\Bigr)\Bigr]=-T_{ij}\tag{10.35}

となり、第8章 §8.4 の Maxwell 応力テンソル TijT_{ij} の符号を変えたものである。第8章の応力テンソルは面に働く力の向きで定義した量なので、4次元の運動量の流れとしては符号が逆になる。

エネルギー運動量テンソルの成分

Tμν=(uSx/cSy/cSz/cSx/cSy/c−TijSz/c),u=ε02E2+B22μ0,S=E×Bμ0.T^{\mu\nu}=\begin{pmatrix} u & S_x/c & S_y/c & S_z/c\\ S_x/c & & & \\ S_y/c & & -T_{ij} & \\ S_z/c & & & \end{pmatrix}, \qquad u=\frac{\varepsilon_0}{2}E^2+\frac{B^2}{2\mu_0},\quad \bm{S}=\frac{\bm{E}\times\bm{B}}{\mu_0}.

T0i=Si/cT^{0i}=S_i/c は、運動量密度 gi=Si/c2g_i=S_i/c^2 を光速倍したものでもある。エネルギーの流れと運動量の密度が同じ成分に入ることが、g=S/c2\bm{g}=\bm{S}/c^2 の4次元での理由である。

このテンソルを使うと、第8章の2つの保存則は

∂μTμν=−FνλJλ(10.36)\partial_\mu T^{\mu\nu}=-F^\nu{}_\lambda J^\lambda\tag{10.36}

の1本にまとまる。

  1. ν=0\nu=0 成分:左辺と右辺は

1c∂tu+∂i(Sic),−1cE⋅J\frac1c\partial_tu+\partial_i\Bigl(\frac{S_i}{c}\Bigr),\qquad -\frac{1}{c}\bm{E}\cdot\bm{J}

である(右辺は F0i=−F0i=Ei/cF^0{}_i=-F^{0i}=E_i/c から)。cc を掛けて

∂u∂t+∇⋅S=−J⋅E\frac{\partial u}{\partial t}+\nabla\cdot\bm{S}=-\bm{J}\cdot\bm{E}

となり、Poynting の定理である。2. ν=i\nu=i 成分:左辺は

1c∂t(Sic)+∂jTji=∂tgi−∂jTij\frac1c\partial_t\Bigl(\frac{S_i}{c}\Bigr)+\partial_jT^{ji}=\partial_tg_i-\partial_jT_{ij}

である。右辺は次の2つの項から −(ρE+J×B)i=−fi-(\rho\bm{E}+\bm{J}\times\bm{B})_i=-f_i となる。

Fi0J0=Eic(cρ),FijJj=−FijJj=ϵijkJjBkF^i{}_0J^0=\frac{E_i}{c}(c\rho),\qquad F^i{}_jJ^j=-F^{ij}J^j=\epsilon_{ijk}J_jB_k

したがって

∂gi∂t−∂jTij=−fi\frac{\partial g_i}{\partial t}-\partial_jT_{ij}=-f_i

となり、第8章 §8.4 の運動量保存則である。

右辺の FνλJλF^\nu{}_\lambda J^\lambda は、(10.25) の Lorentz 力を電荷の分布について単位体積あたりに書いた力の密度(4元の力の密度)である。(10.36) を Maxwell 方程式からテンソルの計算だけで導く道と、この式を使った例は『相対論入門』第6章 §6.3 で扱う。

例題 10.4 平面電磁波を4次元の形で書く ★★

オリジナル4元ポテンシャルを、定数の振幅 aa と、定数の4元ベクトル2つを使って

Aμ=a εμcos⁡(kνxν)A^\mu=a\,\varepsilon^\mu\cos(k_\nu x^\nu)

とおく。kμk^\mu は4元波数、εμ\varepsilon^\mu は偏りの向きを表す4元ベクトルである(誘電率と区別するため、この例題の中だけの記号)。

  1. Lorenz 条件と源の無い方程式 □Aμ=0\Box A^\mu=0 が成り立つための条件を、2つの4元ベクトルの内積で書け。
  2. FμνF^{\mu\nu} を求め、2つの不変量が0になることを示せ。
  3. 次の場合に、電場と磁場を3次元の形で書け。

kμ=ωc(1,0,0,1),εμ=(0,1,0,0)k^\mu=\frac{\omega}{c}(1,0,0,1),\qquad \varepsilon^\mu=(0,1,0,0)

∣E∣=c∣B∣\left\vert \bm{E}\right\vert =c\left\vert \bm{B}\right\vert と E⊥B\bm{E}\perp\bm{B} を確かめよ。Poynting ベクトルが +z+z 向きであることを確かめよ。

解答
  1. ∂μcos⁡(kνxν)=−kμsin⁡(kνxν)\partial_\mu\cos(k_\nu x^\nu)=-k_\mu\sin(k_\nu x^\nu) なので

∂μAμ=−a(kμεμ)sin⁡(k⋅x),□Aμ=∂α∂αAμ=−a(kαkα)εμcos⁡(k⋅x)\partial_\mu A^\mu=-a(k_\mu\varepsilon^\mu)\sin(k\cdot x),\qquad \Box A^\mu=\partial_\alpha\partial^\alpha A^\mu=-a(k_\alpha k^\alpha)\varepsilon^\mu\cos(k\cdot x)

である(k⋅x=kνxνk\cdot x=k_\nu x^\nu)。すべての点で0になる条件は次の2つである。

  • k⋅ε=0k\cdot\varepsilon=0(Lorenz 条件)。
  • k⋅k=0k\cdot k=0。これは ω=c∣k∣\omega=c\left\vert \bm{k}\right\vert、つまり光速で進むことを表す。
  1. ∂μAν=−akμενsin⁡(k⋅x)\partial^\mu A^\nu=-ak^\mu\varepsilon^\nu\sin(k\cdot x) なので

Fμν=−asin⁡(k⋅x)(kμεν−kνεμ).F^{\mu\nu}=-a\sin(k\cdot x)\bigl(k^\mu\varepsilon^\nu-k^\nu\varepsilon^\mu\bigr).

不変量は

FμνFμν=a2sin⁡2(k⋅x)(kμεν−kνεμ)(kμεν−kνεμ)=2a2sin⁡2(k⋅x)[(k⋅k)(ε⋅ε)−(k⋅ε)2]=0.F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}=a^2\sin^2(k\cdot x)\bigl(k_\mu\varepsilon_\nu-k_\nu\varepsilon_\mu\bigr)\bigl(k^\mu\varepsilon^\nu-k^\nu\varepsilon^\mu\bigr) =2a^2\sin^2(k\cdot x)\bigl[(k\cdot k)(\varepsilon\cdot\varepsilon)-(k\cdot\varepsilon)^2\bigr]=0 .

もう一方の不変量は、次の量に比例する。

ϵμνρσFμνFρσ∝ϵμνρσkμενkρεσ\epsilon^{\mu\nu\rho\sigma}F_{\mu\nu}F_{\rho\sigma}\propto\epsilon^{\mu\nu\rho\sigma}k_\mu\varepsilon_\nu k_\rho\varepsilon_\sigma

kμkρk_\mu k_\rho は2つの添字について対称なので、これは0である。3. 位相は kνxν=ωt−ωczk_\nu x^\nu=\omega t-\frac{\omega}{c}z である。4元ポテンシャルは Aμ=(0,acos⁡(ωt−ωz/c),0,0)A^\mu=(0,a\cos(\omega t-\omega z/c),0,0) なので

ϕ=0,A=acos⁡(ωt−ωzc)x^\phi=0,\qquad \bm{A}=a\cos\Bigl(\omega t-\frac{\omega z}{c}\Bigr)\hat{\bm{x}}

で、

E=−∂A∂t=aωsin⁡(ωt−ωzc)x^,B=∇×A=∂Ax∂zy^=aωcsin⁡(ωt−ωzc)y^.\bm{E}=-\frac{\partial \bm{A}}{\partial t}=a\omega\sin\Bigl(\omega t-\frac{\omega z}{c}\Bigr)\hat{\bm{x}},\qquad \bm{B}=\nabla\times\bm{A}=\frac{\partial A_x}{\partial z}\hat{\bm{y}}=\frac{a\omega}{c}\sin\Bigl(\omega t-\frac{\omega z}{c}\Bigr)\hat{\bm{y}}.

大きさは ∣E∣=c∣B∣\left\vert \bm{E}\right\vert =c\left\vert \bm{B}\right\vert で、電場と磁場は直交している。E×B∝x^×y^=z^\bm{E}\times\bm{B}\propto\hat{\bm{x}}\times\hat{\bm{y}}=\hat{\bm{z}} なので、Poynting ベクトルは +z+z 向きである。

(2) の結果と合わせると、∣E∣=c∣B∣\left\vert \bm{E}\right\vert =c\left\vert \bm{B}\right\vert と E⊥B\bm{E}\perp\bm{B} はどの慣性系でも成り立つ。第9章 §9.1 の平面波の性質が、慣性系によらない形で確かめられたことになる。

確認テスト

オリジナル

  1. 10.4-1 ∂ν∂μFμν=0\partial_\nu\partial_\mu F^{\mu\nu}=0 を、和の添字の名前の入れ替えで示せ。それと (10.30) から連続の式を導け。
  2. 10.4-2 (10.30) の ν=2\nu=2 成分を、行列 (10.24) の第2列を使って項ごとに書き下せ。それが Ampère–Maxwell の法則の yy 成分になることを確かめよ。
  3. 10.4-3 原点に静止した点電荷 qq の4元ポテンシャルは次のとおりである。

Aμ=(q4πε0cr,0,0,0)A^\mu=\Bigl(\frac{q}{4\pi\varepsilon_0cr},0,0,0\Bigr)

ここから Fi0F^{i0} を計算して Coulomb 電場を確かめよ。原点以外で ∂μFμ0=0\partial_\mu F^{\mu0}=0 となることを示せ。半径 RR の球面を貫く電場の流束が q/ε0q/\varepsilon_0 になることを示せ。4. 10.4-4 定義 (10.34) から T00T^{00} と T01T^{01} を成分の和として書き下せ。それぞれ uu と Sx/cS_x/c になることを確かめよ。5. 10.4-5 Fμν=∂μAν−∂νAμF_{\mu\nu}=\partial_\mu A_\nu-\partial_\nu A_\mu のとき、Bianchi 恒等式が恒等的に成り立つことを示せ。添字の組 (1,2,3)(1,2,3) の式が ∇⋅B=0\nabla\cdot\bm{B}=0 であることを確かめよ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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