次元解析入門 第2章 §2.2 ★★★ 力学では M,L,T の3つ。流体の問題もすべてこの3つで足りる
面積は「長さ×長さ」で定義され、力は運動方程式 F=ma によって「質量×長さ÷時間2」と結びつく。このように、定義や物理法則を通じて他の量から作られる量を誘導量と呼び、その単位を組立単位と呼ぶ。定義や法則で結びつけても最後まで他の量に還元できずに残る、互いに独立な量を基本量、その単位を基本単位と呼ぶ。
SI(国際単位系)の基本量は、長さ・質量・時間・電流・熱力学温度・物質量・光度の7つである。力学の問題だけを扱うなら長さ・質量・時間の3つで足り、熱を含むなら温度、電磁気を含むなら電流を加える。
定義 (title=定義:次元)
基本量を長さ L、質量 M、時間 T とするとき、物理量 Q の単位が基本単位のべきの積kgambsc で書けるならば、
[Q]=MaLbTc
と書き、これを Q の次元と呼ぶ。指数の組 (a,b,c) を次元の指数と呼ぶ。a=b=c=0 のとき Q は無次元であるという。
次元とは、基本単位を取り替えたときに Q の数値が何倍になるかを表す記号である。長さの単位を 1/λL 倍、質量の単位を 1/λM 倍、時間の単位を 1/λT 倍にすると、Q の数値は λMaλLbλTc 倍になる。無次元量の数値は、どの単位系で測っても変わらない。これが無次元量の最も大事な性質である。
力学と流体でよく出てくる量の次元を表にしておく。どれも「定義式か物理法則を1つ書けば次元が出る」ことを確かめておくとよい。
| 物理量 | 次元 | 次元が出る式 |
| 速さ v | LT−1 | v=dx/dt |
| 加速度、重力加速度 g | LT−2 | a=dv/dt |
| 力 F | MLT−2 | F=ma |
| エネルギー E | ML2T−2 | E=Fx |
| 圧力・応力 P, σ | ML−1T−2 | 力÷面積 |
| 密度 ρ | ML−3 | 質量÷体積 |
| ばね定数 k | MT−2 | F=−kx |
| 抵抗係数 a(速度に比例する抵抗) | MT−1 | F=−ax˙ |
| 線密度 λ | ML−1 | 質量÷長さ |
| 表面張力 γ | MT−2 | 力÷長さ |
| 粘性係数 μ | ML−1T−1 | τ=μdu/dy(第5.2節) |
| 動粘性係数 ν=μ/ρ | L2T−1 | μ と ρ の比 |
| 体積流量 Q | L3T−1 | 体積÷時間 |
| 振動数 f、角振動数 ω | T−1 | 回数÷時間(角度は無次元) |
| プランク定数 h, ℏ | ML2T−1 | E=hν |
title=角度は無次元
角度(ラジアン)は「弧の長さ÷半径」で定義されるので、長さどうしの比であり無次元である。振り子の振幅 θ0 のような角度は、そのまま1つの無次元量として扱う(第4.1節)。
SI の定義定数(2019年改定)
★★ 5つの定数を有効数字3桁・単位つきで書けるようにしておく
2019年5月20日から、SI の7つの基本単位は、7つの物理定数の値を誤差のない定義値として固定し、そこから逆に決める方式に変わった。たとえば 1 m は「真空中の光速 c の数値を、単位 m/s でちょうど 299792458 とする」ことで決まる。1 s を決めるセシウムの周波数と組み合わせれば、1 m は「光が真空中を 1/299792458 秒に進む距離」になる。1 kg は、かつては国際キログラム原器という金属の塊の質量だったが、プランク定数 h の値を固定する方式に改められた。
表 2.1 SI の7つの定義定数。有効数字3桁で書いた値。| 定数 | 定義値(誤差なし) | 有効数字3桁 | 決める単位 |
| セシウム133の超微細遷移周波数 ΔνCs | 9192631770 Hz | 9.19×109 Hz | s |
| 真空中の光速 c | 299792458 ms−1 | 3.00×108 ms−1 | m |
| プランク定数 h | 6.62607015×10−34 Js | 6.63×10−34 Js | kg |
| 電気素量 e | 1.602176634×10−19 C | 1.60×10−19 C | A |
| ボルツマン定数 kB | 1.380649×10−23 JK−1 | 1.38×10−23 JK−1 | K |
| アボガドロ定数 NA | 6.02214076×1023 mol−1 | 6.02×1023 mol−1 | mol |
| 視感効果度 Kcd(540 THz の光) | 683 lmW−1 | 683 lmW−1 | cd |
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com